上腕三頭筋は、鍛えることで男女問わず、腕周りのプロポーションを大幅に改善することが可能です。今回は、上腕三頭筋を鍛えるメリット及びオススメの方法をご紹介します。
上腕三頭筋は、上腕の後ろ側についている筋肉です。
上腕三頭筋は、外側頭、長頭、内側頭からなります。外側頭は上腕三頭筋の外側の筋肉、長頭は上腕三頭筋の内側の上部の筋肉、内側頭は内側の下部の筋肉です。内側頭と外側頭を合わせて短頭ということもあります。
上腕三頭筋は、上腕を形成する上で最も大きい筋肉です。このため、腕を太くしたいと考える場合、多くの人は力コブである上腕二頭筋を鍛えようとしますが、上腕三頭筋を鍛える方が効率的です。
上腕三頭筋は上腕の中で最も大きい筋肉なので、男性の場合は鍛えることで効率的に上腕を大きくすることができます。特に上腕三頭筋を鍛えると、男性の場合は二の腕が馬の蹄(ひづめ)のような形になります。基本的に、腕はトレーニングをしないとほぼ円柱の様な形状であるのに対して、鍛えることで馬の蹄のような凹凸ができると、腕が非常にたくましく見えるようになることが期待できます。
男性が上腕三頭筋をよりたくましく見せるために、外側頭、長頭、内側頭をバランスよく鍛えることが重要です。これらの筋肉の発達具合を確認するために、鏡の前で肩を出して腕を後ろに組む様なポーズをして、上腕三頭筋を出し、どの部位が発達が遅れているかを確認することは効果的です。この発達が遅れている部位を補うようにしてトレーニングメニューを組むとなお良いです。
上腕三頭筋は、いわゆる二の腕と呼ばれる場所にある筋肉なので、女性の場合は鍛えることで二の腕を引き締めることができます。
ここでよく心配されるのが「女性も男性と同じように、鍛えすぎると腕が太くなるのではないか」という点ですね。女性も戦略的に筋トレを実施すれば腕は太くなりますが、自宅でできる範囲で毎日実施しても、男性ほどの筋肉が大きくなることは考えにくいといえます。男性ホルモンと呼ばれる「テストステロン」が少ないためです。
万が一腕が太くなってきてしまったら、筋トレを止めて、筋肉量が徐々に落ちるのを待ちましょう。
上腕三頭筋の筋肉は、主に、プッシュ種目で使われる筋肉です。
プッシュ種目とは、その名の通り「push」つまり「押す」種目です。例えば、大胸筋を鍛えるベンチプレス、大胸筋および上腕三頭筋を鍛えるプッシュアップ(腕立て伏せ)、三角筋を鍛えるショルダープレスなどが挙げられます。
一方、プル種目では、それぞれでメインとなるターゲット部位に加えて、上腕三頭筋にも刺激が入ります。プル種目とは「pull」つまり「引っ張る」種目で、例えば、ラットプルダウン、ロープーリーロウ、バーベルロウイングなどの背中を鍛える種目が挙げられます。
これは言い換えれば、「上腕三頭筋の筋肉量があれば、メインとなるターゲット部位に筋肉量がなくても重量を扱える」ということです。そのため、上腕三頭筋を鍛えれば、筋トレの幅が広がるといえます。
上腕三頭筋を効率的に鍛えるコツとして、重量を扱うならば収縮重視の種目を実施することが挙げられます。
筋トレにおける「収縮」とは、筋肉が縮んだ状態で刺激を与えるトレーニングです(コントラクト種目と表現することもあります)。例えば、上腕二頭筋を鍛えるマシンバイセップスカール(やり方にもよります)、大腿四頭筋を鍛えるレッグエクステンション(やり方によります)、広背筋を鍛えるラットプルダウン(こちらも、やり方によります)等が挙げられます。収縮種目は、重量を扱え、怪我をしにくいというメリットがありますが、筋肉の発達させやすさでは後述する伸展種目には劣るというデメリットがあります。
筋トレにおける「伸展」とは、筋肉が伸びた状態で刺激を与えるトレーニングです (ストレッチ種目と表現することもあります)。例えば、上腕二頭筋を鍛えるプリーチャーカール、大腿四頭筋を鍛えるシシースクワット、広背筋を鍛えるロープーリーロウ(やり方によります)等が挙げられます。伸展種目は、重量を扱い辛く、怪我をしやすいというデメリットがありますが、筋肉を非常に効率よく発達させやすいというメリットがあります。
上腕三頭筋を鍛える上で、後述する上腕三頭筋を伸展させて刺激する種目は有効ですが、高重量を扱うと非常に怪我をしやすいという問題点があります。このため、重量を扱うトレーニングを行う際には、収縮重視の種目を行うことがオススメです。
上腕三頭筋に限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することはトレーニングにおいて非常に重要です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、上腕三頭筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での上腕三頭筋の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
これも上腕三頭筋に限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
これも上腕三頭筋に限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、上腕三頭筋のトレーニングでは、上腕三頭筋が伸展する際に息を吸い、上腕三頭筋が収縮する際に息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで大きな問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは絶対に避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
まず、上腕三頭筋を鍛える自重トレーニングとして、リバースプッシュアップを紹介します。
トップポジションで肘をロックしない。
身体の動きをしっかりとコントロールする。
負荷が高すぎると感じた場合には、脚を少し曲げ、踵と身体の距離を短くする。
トレーニングにおける「トップポジション」は身体が一番高い状態にあることを指します。反対に「ボトムポジション」とは、身体が一番低い状態にあることを指します。スクワットではしゃがんだ状態です。多くは筋肉がピンっと張った状態です。その間を「ミッドレンジ」といいます。
次に、上腕三頭筋を鍛える自重トレーニングとして、ナロープッシュアップを紹介します。ナローとは「狭い」という意味で、通常のプッシュアップよりも両手の距離が近くなります。
実施中は常に肩甲骨を寄せたままにする。
トップポジションで肘を伸ばし切らない。
身体を下げるときはゆっくりにする。
上半身から下半身は常に一直線で実施する。
さらに上腕三頭筋を鍛える自重トレーニングに、ディップスがあります。ディップスは自重トレーニングの中でも負荷が高くなっています。
大胸筋を鍛えるディップスとは異なり、下半身は前に持ってくる。
身体の動きをコントロールする。
肘を伸ばし切らない。
上腕三頭筋を鍛えるダンベルトレーニングに、まずダンベルキックバックが挙げられます。
テンポ重視で実施する。
ダンベルをトップポジションに持ってくるときは、ダンベルから腕までが真っ直ぐになるように手首を使う。
負荷が高すぎる場合には、片手をアジャスタブルベンチなどに手をかけて片手ずつ実施する。
さらに上腕三頭筋を鍛えるダンベルトレーニングには、ダンベルトライセップスプレスがあります。
重量の設定を重すぎないようにする。
ボトムポジションで一瞬静止し、伸展の負荷をかける。
肘の角度を床に対して垂直に設定する。
ダンベルの軌道は真っ直ぐ。
シングルアームダンベルフレンチプレスも、上腕三頭筋を鍛えるダンベルトレーニングのひとつです。家にダンベルが1つあればできますので、ジムに通っていない方にもおすすめです。
重量をやや軽めで設定する。
ダンベルの動きを終始コントロールする。
下げているときに肘に違和感を感じたら無理をしない。
ダンベルオーバーヘッドエクステンションも、上腕三頭筋を鍛えられるダンベルトレーニングです。
重量をやや軽めで設定する。
ダンベルの動きを終始コントロールする。
下げているときに肘に違和感を感じたら無理をしない。
小指の付け根でダンベルを把持するように意識する。
脇を開きすぎない。
最後に、上腕三頭筋を鍛えるダンベルトレーニングとして、ダンベルトライセップスエクステンションを紹介します。
重量をやや軽めで設定する。
ダンベルの動きを終始コントロールする。
ボトムポジションからトップポジションに移行する際には手首を外旋する。
トップポジションでのダンベルの位置は目線よりも頭寄りに設定する。
IVANKO(イヴァンコ)のクロームダンベルは、トレーニングジムにも置いてある非常に本格的なダンベルです。
イヴァンコは、プレートやダンベルのメーカーとして非常に有名であり、高品質の製品を販売しています。そのため、値段は少々張りますが、表面が錆びにくく長く使えることから長期的な投資と考えれば、そこまで高くはないかと思います。
ダンベルの種類としては固定式です。また、表面にクロームがメッキされていることから外見も美しく、自宅に置いておいてもあまり不自然ではありません。ただし、本格的にトレーニングを行うためには複数種類のダンベルを揃える必要があるという点はデメリットです。
FLEXBELL(フレックスベル)のアジャスタダンベルは、可変式のダンベルとしては非常に一般的な製品です。
ダンベルの種類は可変式です。
本製品はダンベル1つで重さをダンベルの使用範囲内なら即座に切り替えることができるというものです。可変式ダンベルのブランドの中で、FLEXBELLの製品は比較的有名であり、品質も安定しています。
1つのダンベルで、複数の重さを設定できることからダンベルとしては値段が少々高めではありますが、複数のダンベルを何個も買うことと比較すればお得です。ただし、見た目は少々ゴツいため、自宅に置くのが少々憚られるというのはデメリットです。
PROIRONのダンベルはスポーツクラブでよく見る製品です。
ダンベルの種類は固定式です。
本製品の特徴ですが、ダンベルがラバーで覆われているため、フローリングの上にうっかり落としてしまっても床が傷つきにくいというメリットがあります。値段も上の2つの製品と比較して非常に良心的な料金設定であり、ダンベルを使ってみたいという方にオススメできる製品になります。
ただし、ラバー部分は使っていると切れて見栄えが悪くなるため、そこはデメリットです。そうなった場合には新しい物を購入するようにしましょう。
まず、上腕三頭筋を鍛えるチューブトレーニングにチューブキックバックがあります。
トップポジションで負荷を入れることを意識する。
両手で実施することも可能。
負荷を高める際にはチューブを短く設定する。
次に、チューブトライセップスエクステンションを紹介します。
ボトムポジションでチューブにテンションがかかっていないと、伸展の負荷が上腕三頭筋に入らない。
トップポジションで、肘をロックしない(真っ直ぐにしない)。
負荷を高める際にはチューブを短く設定する。脇を開きすぎない。
チューブトライセップスプレスダウンも上腕三頭筋を鍛えるダンベルトレーニングです。
トップポジションで目線は正面、ボトムポジションでは目線はやや下。
ボトムポジションで上腕三頭筋をしっかり伸展させる。
トレーニングチューブをかけるものはかなり強固なものにする
最後に、上腕三頭筋を鍛えるダンベルトレーニングとして、チューブライイングエクステンションを紹介します。
トレーニングチューブを引き切る。
トレーニングチューブをかけるものはかなり強固なものにする。
おすすめのチューブに、アディダスのパワーチューブ トレーニングが挙げられます。
本製品の特徴は、チューブに対してハンドルがついている点です。基本的に、トレーニングチューブはハンドルがついているものと、ついていないものがあるのですが、本製品は前者です。ハンドルがついているため、チューブを引っ張った際にチューブを把持(しっかり握ること)するのに握力がいらないことから、張力が強い物を扱えます。
本製品は、レベル1、2、3とあり、レベルが上がるにつれて負荷が高くなるのですが、個人的には、レベル1、2で十分です(自分にはこれくらいかなと考えるものよりも、1つレベルが下の物を選ぶのがポイントです)。
本製品の特徴は、本製品を購入するだけで異なる負荷の複数のトレーニングチューブが同梱されている点、ハンドルが複数種類同梱されている点です。
トレーニングチューブは自分のレベルにあった製品を購入するのが難しいという問題があります。そのため、このように複数のトレーニングチューブが入っていれば自分のレベルに合うものがある確率が高く、トレーニングチューブ選びで失敗しにくいです。また、チューブトレーニングをしていく中で、負荷を上げようとしたときに別製品を購入する必要がないというのも大きなメリットです。
本製品の特徴ですが、ハンドルなしのトレーニングチューブで非常にシンプルであり、値段もお手頃であるという点が挙げられます。トレーニングチューブを使い慣れていて、ハンドルは必要ないと考えている方にはおすすめの商品です。
上腕三頭筋を鍛えるマシントレーニングとしてマシンディップスが挙げられます。
目線は下側に設定する。
上半身はやや下半身にかかるように設定する。
トップポジションで重さを受け切る。
ハンドルの軌道は斜め。
ボトムポジションで上腕三頭筋をしっかり伸展させる。
慣れないうちは片手ずつ実施する。
肘を置く台と身体の向きを平行にする。
ボトムポジションで上腕三頭筋をしっかり伸展させる。
目線を意識する。
手首を掌屈させる。
トップポジションで上腕三頭筋の伸展、ボトムポジションで上腕三頭筋の収縮を意識する。
上腕三頭筋を鍛えるマシントレーニングとしてケーブルトライセップスエクステンションが挙げられます。
ボトムポジションで上腕三頭筋をしっかり伸展させる。
ケーブルを把持する部分では小指の付け根を意識する。
ケーブルを開くようにトップポジションへ移行しても良い。
まず1つ目の上腕三頭筋のストレッチを紹介します。
座った状態で肘を頭の後ろに配置し、その肘をもう片方の手で押すことで上腕三頭筋のストレッチを促します。左右で10秒ずつ3セット実施しましょう。
次に紹介したいのが、正座の状態で上体を前に倒し、肩肘を立て、手を肩にかけるようにすることで上腕三頭筋をストレッチさせるストレッチです。これも左右で10秒ずつ3セット実施しましょう。
最後に、ストレッチ2と非常に良く似ていますが、こちらのストレッチは両膝立ちになった状態で高さのある台に両肘を立て、自身の体重をかけることで上腕三頭筋をストレッチさせます。10秒ずつ3セット実施しましょう。
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