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ほうれん草を切ってから茹でるメリット&デメリット。栄養はどうなる? 

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ほうれん草を切ってから茹でるメリット&デメリット。栄養はどうなる? 

ほうれん草を茹でるときに、そのまま茹でるか切ってから茹でるか迷ったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事ではほうれん草を切ってから茹でるメリットやデメリット、切ってから茹でる方法などを詳しく解説します。

ほうれん草を切ってから茹でるメリット

シュウ酸がよくとれる

ほうれん草を切ってから茹でるメリットとしては、シュウ酸をしっかり落とすことができるという点があげられます。

シュウ酸は栄養素というよりも老廃物で、えぐみや苦味を感じさせ料理の味を損ねるいわゆるアク(灰汁)となる成分です。たけのこや里芋などにも含まれていることで知られています。シュウ酸のデメリットは苦味やエグミを感じさせて料理の味を損ねるだけではありません。シュウ酸は大量に摂取すると体内のカルシウムと結合してシュウ酸カルシウムとなり、結石の原因や歯にこびりついて歯石になったりします。

シュウ酸は水溶性であるため、茹でたり水につけることで取り除くことができます。ほうれん草をカットしてから茹でると、水に触れる面積が広がるため丸ごと茹でるよりもしっかり落とすことができます。

柔らかい食感に

ほうれん草をカットしてから茹でると、丸ごと茹でるのと比較して柔らかい食感になります。カットした方が柔らかい食感になる理由としては、カットした方が茎までしっかりと加熱することができることや、切り口から水分を吸うことがあげられます。

茎のシャキシャキとした食感が残りにくいため、噛む力がそこまでない小さなお子様でも比較的食べやすくなります。

和え物ならそのまま使える

予めカットして茹でれば、和え物などにするときにそのまま調理をすれば良いというメリットもあります。例えば、和え物にするときは茹でた後ザルなどにあげて水けを絞ったあと、そのまま調味料を加えて混ぜるだけです。

冷凍保存する際も、予めカットし茹でたほうれん草を小分けにして冷凍しておくと味噌汁やスープに加えることができるので便利です。

大きい鍋がないときでも

ほうれん草をまるごと茹でるとなると大きな鍋が必要になりますが、カットしてから茹でれば小さな鍋でも手軽に茹でることができます。

一人暮らしをしている方など大きな鍋を持っていない場合は、カットしてから茹でると良いでしょう。

ほうれん草を切ってから茹でるデメリット

栄養素が流出してしまう

ほうれん草をカットして茹でることで水溶性のシュウ酸をしっかりと取り除くことができるということは、逆にいえば、ほうれん草に含まれている水溶性の栄養素も流出してしまいやすいということです。

ほうれん草に含まれている水溶性の栄養素には、例えばビタミンCやカリウム、β-カロテン、ビタミンK、マンガンなどがあります。せっかくの栄養素が流出してしまうのは非常にもったいないですよね。

栄養素の流出を最小限に抑えたい方はカットせずにそのまま茹でるのが良いです。

水っぽくなる

カットしてから茹でるメリットとして柔らかい食感になることをあげましたが、悪く言えば、水っぽい食感になってしまいます。そのまま調理をすると味が薄くなってしまったり、水っぽく仕上がってしまうためしっかりと水けを絞る必要があります。

バラバラになる

カットしてからほうれん草を茹でると、茹で上がったときにバラバラになってしまいます。

味噌汁やスープに入れる場合や炒めものにする場合はバラバラになっていても問題ありませんが、おひたしにする場合など、ほうれん草の向きや長さを揃えたい場合にはカットせずに茹でるのがおすすめです。おひたしや胡麻和え、ナムルなどを作るときは向きや長さが揃っていたほうが見栄えが良くなります。

ほうれん草を茹でる理由

アクを抜く

ほうれん草を茹でる一番の理由は、やはりシュウ酸を取り除くことです。上記でも説明したように、シュウ酸が残っていると苦味やエグみを感じ、料理の味を損ねてしまいます。料理の味を損ねないためにも、ほうれん草を茹でてアク抜きをすることは大切です。

ちなみにシュウ酸は単に加熱をするだけでは取り除くことはできません。そのためレンジで茹でる場合は加熱をしたあと水にさらしてアク抜きをする必要があります。炒めものにする場合も、茹でたり水にさらしてアク抜きをしてから使った方が良いです。

口あたりをよくする

ほうれん草を茹でることで、シュウ酸を取り除くことは口あたりをよくすることにも繋がります。

ほうれん草のシュウ酸を取り除かずに食べると、シュウ酸が歯のカルシウムと結合し歯が微妙にキシむような感触になって後味が悪くなってしまいます。

色鮮やかにする

ほうれん草を茹でてから冷水にさらすと、鮮やかな緑色になり見た目が良くなります。

ちなみにほうれん草の緑色は緑色の素はクロロフィルと呼ばれる成分によるものです。クロロフィル酸に触れると分解されて緑色でなくなってしまう性質があります。例えばおひたしにするときに使う醤油の他、味噌や酒などは酸性のものが多いため、ほうれん草が色あせて黄褐色になってしまうことがあります。そのため、おひたしにする場合などは、食べる直前に調味料と和えるようにすると変色を防ぐことができます。

ほうれん草を切って茹でる方法

まずほうれん草を綺麗に洗う

ほうれん草を洗う

まずは、ほうれん草を綺麗に洗います。

ほうれん草を洗うときは根に十字の切り込みを入れます。ほうれん草は根の部分に最も砂や土がついています。そのため、根に十字の切り込みを入れて洗うことで根についている汚れを綺麗に落とすことができます。また、根は葉と比べて火が通りにくいですが、切り込みを入れておくことで火の通りが早くなるメリットもあります。

ひげ根がついている場合は、切り落としておきましょう。

次にほうれん草をカットする

ほうれん草を切る

ほうれん草を洗ったら、まな板の上に横向きにほうれん草を置きます。根元を揃え包丁を持たない方の手で葉の部分を包むように抑えます。

ほうれん草を抑えたら端から食べやすい大きさにカットしていきます。茎と葉の部分は別のタイミングで茹でるので、切った後はそれぞれを別のボウルに入れておくとよいです。

鍋に湯を沸かし塩を加える

沸騰した湯に塩を加える

鍋にたっぷりの湯を沸かして塩を加えます。塩の量の目安はお湯1リットルにつき小さじ1です。

じゃがいもなどの固い野菜を下茹でするときは水から茹でますが、ほうれん草などの葉物野菜は火の通りが早いため沸騰したお湯から茹でて加熱時間を短くすることで、栄養素の流出を最小限に抑えることができるほか、歯ごたえを残すことができます。

塩を入れる理由は、変色を防ぐためです。ほうれん草の鮮やかな緑色は「クロロフィル」と呼ばれる色素によるものです。クロロフィルは熱に弱い成分であるため、茹でることで変色してしまうことがありますが、塩を加えることで色素が安定するため変色を防ぐことができます。

茎を茹でる

カットほうれん草の茎を茹でる

ほうれん草をカットしたら、鍋に水を入れて沸騰させます。沸騰したら初めにほうれん草の茎の部分を加えて30秒ほど茹でます。

茎は葉よりも火が通りにくいので先に入れて後から葉を加えることで、火の通りを均一にすることができます。

葉を茹でる

カットほうれん草の葉と茎を茹でる

茎を30秒ほど茹でたら、葉を加えさらに15秒〜30秒ほど茹でます。葉にもしっかりと火が通るように茎と葉の位置を上下交互になるように混ぜながら茹でると良いです。

冷水にさらす

カットほうれん草を冷水にさらす

ほうれん草を茹でたら、ザルなどにあげてお湯を捨てましょう。お湯を捨てたらボウルに入れた冷水にさらします。冷水にさらすことでさらにしっかりとシュウ酸を落とすことができますし、変色を防ぎきれいな色を保つことができます。

冷水にさらしすぎてしまうとビタミンCなどの水溶性の栄養素も一緒に流出してしまうので、長時間さらしすぎないように注意してください。

水けを絞る

カットほうれん草の水けを絞る

冷水にさらしてほうれん草が冷たくなったら、水けを絞ります。上述したように、カットしてから茹でたほうれん草は水っぽいので、しっかりと水けを絞るようにしましょう。

小分けにしておにぎりを握るようにギュッと何度か絞ると、しっかりと水けをとることができます。

茹でたほうれん草の保存方法

茹でたほうれん草の冷凍方法

茹でたほうれん草は、小分けにしラップで包み、冷凍用保存袋にまとめて入れ冷凍保存がおすすめです。

茹でてから冷凍したほうれん草は、料理に応じて凍ったまま使ったり、自然解凍して使用します。スープや味噌汁などの汁物、炒め物などには凍ったままの状態で入れてOKです。おひたしを作る場合は、前日に冷凍庫に移して自然解凍してから使用しましょう。急いで使用する際は流水解凍を行いましょう。

ほうれん草の正しい保存方法はこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。