ほうれん草に含まれる葉酸の量が多いのか否か、解説していきます。
葉酸はほうれん草の葉っぱからイギリスの研究者によって発見された栄養素で、ビタミンB群のひとつです。ほうれん草に限らず、葉野菜には葉酸が豊富に含まれています。
また、ビタミンB群の中で9番目に見つかったためビタミンB9とも呼ばれています。
葉酸は、ビタミンB12と一緒に正常な赤血球をつくるのに必要な栄養素で「造血ビタミン」とも言われています。赤血球は約4ヶ月で生まれ変わり体内では常に新しい赤血球が作られています。
また、たんぱく質や核酸の合成を助け、細胞の新生や増殖に深く関わっています。細胞分裂が活発な胎児期に必須の栄養素で、特に妊婦の方は葉酸を十分に摂ることでおなかの赤ちゃんの発達異常を防ぐ効果があるといわれています。
葉酸は水に溶けやすく、熱や光にも弱い性質があるので、茹でたり水洗いすることで含有量が減ってしまいます。そのため葉酸が含まれた野菜や果実は加熱せずに、生野菜サラダや生搾りジュースで効率よく摂ることをおすすめします。
18歳以降の推奨量は1日240μgです。
また妊婦さんには付加量が設定されており、日本人の食事摂取基準では、『妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性及び妊娠初期の妊婦は、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)を1日400μg摂取することが望まれる』と付記されています。
ただし、神経管閉鎖障害の原因は葉酸欠乏だけではないため、葉酸を摂取すればリスクがなくなるわけではありません。
出典:
ほうれん草100gあたりの葉酸の含有量は210μgです。
野菜の中だと豊富に含まれています。
100gあたり(すべて生)
トマト…22μg
ピーマン…26μg
キャベツ…78μg
アスパラガス…190μg
枝豆…320μg
枝豆が多く含まれていますが、ほうれん草も他の野菜と比べると含有量は多いです。ちなみに、同じ葉野菜の小松菜は100gあたり110μg含まれています。
肉類・魚介類だとレバー、果物だといちごやマンゴーなどに多く含まれています。
100gあたり
牛レバー…1,000μg
豚レバー…810μg
生うに…360μg
いちご…90μg
マンゴー…84μg
キウイフルーツ…37μg
です。レバーが圧倒的に多いのが分かります。
本来は水溶性の栄養素のことを考えると、野菜は生のまま食べることをおすすめしていますが、ほうれん草にはシュウ酸が含まれているので生食はNGです。なのでほうれん草を下茹でしなくてはなりませんが、茹で時間は短くしましょう。また葉を切ってから茹でると、切り口からどんどんビタミンCが流れて出てしまうので、茹でる前には切らないようにして、下茹でをするときなど、丸ごと茹でるようにしましょう。
葉酸は水溶性の栄養素です。水を使って加熱をするときはスープなどにして汁ごと食べられるようにしましょう。クリームスピナッチなどもおすすめです。また、ほうれん草にはビタミンCやカリウムなど他の水溶性の栄養素も含まれています。
ほうれん草はビタミン・ミネラルが豊富で、緑黄色野菜の王様とも言えます。
さらに詳しいほうれん草の栄養素に関してはこちらの記事をご覧ください
β-カロテンは、皮膚や喉などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあり、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐ事で免疫力をアップし病気にかかりにくくなります。また抗酸化作用もあるので、アンチエイジング作用があります。亜鉛が補酵素に入ると、β-カロテンがレチナールへ、さらにレチナールにナイアシンが結合することで体内に作用します。ビタミンAとしての働きを促すにはミネラルの亜鉛、ビタミンB群のナイアシンも必要になります。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目もあり、夜盲症の予防や視力低下の抑制があります。また皮膚の健康維持に関与していることから、美肌効果もあります。皮膚の新陳代謝が高まることで、乾燥肌やニキビ肌の改善が考えられます。
ほうれん草の鉄の含有量は野菜の中でトップクラスを誇ります。
鉄分はミネラル成分のひとつです。体に必要な栄養素で、成人のからだには約3〜5gの鉄が存在しています。鉄は大きく分けて2種類あります。ひとつは機能鉄といって赤血球のヘモグロビンの材料となり、酸素を運びます。
もうひとつは貯蔵鉄といって肝臓や骨髄、筋肉などに蓄えられており、機能鉄が不足すると体内に放出されます。また、酵素の構成成分で、エネルギー代謝を助ける働きがあります。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
ビタミンA・C・Eはその文字から「ビタミンエース」と呼ばれ、抗酸化3大ビタミンです。活性酸素に抗酸化作用を発揮して、細菌やウイルスの体内侵入を防いでいます。また錆びついた細胞の修復も助ける、素晴らしい栄養素です。その3つがほうれん草には含まれています。
ビタミンEは強力な抗酸化作用があります。体内の脂質が酸化するのを抑え、老化の予防をしてくれます。ビタミンEは血液中の悪玉コレステロールの酸化を抑える働きがあり、酸化によって進行してしまう動脈硬化の予防に役立ちます。
さらにビタミンEは末梢血管の拡張させる働きがあるため、血行促進に繋がります。また副腎や卵巣の性ホルモンの分泌の調整にもビタミンEは関与しているので、生殖機能の維持にも役立ちます。
ビタミンKは血液を凝固させる成分を合成する働きがあり、出血を止める役割があります。月経による出血が多い場合も、症状を軽減する効果が期待できます。
さらに、ビタミンKは、骨から血液中にカルシウムが放出されるのを抑え、骨にカルシウムが沈着するのを助けてくれるので、ビタミンDと並び健康な歯や骨を作るのに欠かせないビタミンです。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。
カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。
クロロフィルは葉緑素とも言われている、植物や藻類に含まれる緑色の天然色素です。主成分はマグネシウムで、体内からダイオキシンやコレステロールなどの排出をしたり、胃腸粘膜の保護や修復をする作用があります。クロロフィルには抗酸化作用と浄化作用があり口臭・便秘予防の効果があると言われています。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
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