レシピなどで「トマトの種を取り出す」という記載があることがあります。なぜトマトの種を取り出すのか疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。本記事ではトマトの種を取るメリットやデメリット、トマトの種を取る方法などを解説します。
まずはじめに、そもそもトマトの種は何のために取り除くのか、解説します。
トマトの種は「胎座(たいざ)」と呼ばれるゼリー状の成分で包まれています。胎座はトマトの成長と共に増えていき、養分の通り道になると共に種を守るクッションの役割を果たしています。
胎座はトマトにとってはなくてはならない存在ですが、調理をする際には料理の味を薄めてしまったり水っぽくしてしまう原因となります。そのため炒めものやサルサソースを作るときや、サラダを水っぽくしたくないというときには、トマトの種を取ると良いです。
トマトといえば酸味があるのが特徴の野菜ですが、爽やかでさっぱりとした味を楽しめる一方で酸味があるから苦手という方は多くいます。トマトに酸味を感じるのはクエン酸が含まれているためです。
トマトのクエン酸は胎座に最も含まれていると言われているため、種を取ることで酸味を抑えることができ、酸味が苦手な方でも食べやすくなります。
トマトを食べたときのグニュっとした食感が苦手という方も多いのではないでしょうか。トマトをグニュっとした何とも言えない食感にしているのも種と周りの胎座です。
そのため、種を取り除いておくことでトマトのグニュっとした食感を改善することができ、トマトの食感が苦手な方でも食べやすくなるメリットがあります。
離乳食では1歳頃までトマトの種は取ってから調理をすることが推奨されています。なぜなら、トマトの種は消化器官が未熟な赤ちゃんにとって消化不良を起こす原因になる可能性があるためです。トマトを種ごと与えると、多くの場合そのまま排泄されることが多いので、離乳食ではしっかり噛めるようになる離乳食後期ぐらいまでは取り除くのが良いでしょう。
ちなみに離乳食ではトマトの皮も剥いたほうが良いとされています。気にせず与えているという方もいらっしゃるようですが、噛み切れず喉につまらせてしまう危険性もあります。皮を剥き種を取って与えるのが良いでしょう。
トマトの種を取るメリットはおわかりいただけたかと思いますが、トマトの種には天然毒素などは含まれていないのでそのまま食べてももちろん問題ありません。トマトの種を取って調理するメリットがある一方でデメリットもあるので紹介します。
トマトの種や周りの胎座には栄養素も含まれているため、取り除いてしまうことでトマトの栄養価が下がってしまうというデメリットがあります。
例えばトマトの胎座に含まれているビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にする効果が期待できます。また、コラーゲンによってハリ・ツヤのある肌に導いたり、シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに効果が期待できます。そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用があると言われています。
また、酸味を感じさせるクエン酸も食べた物を体内でエネルギーに変えるときに必要な栄養素です。そのため疲労回復や筋肉痛の予防にも役立つと言われています。さらに代謝アップにもつながるので、ダイエット効果も期待できます。
これらの栄養素を余すことなく摂取したい場合は、やはり種は取らずに調理をするのが良いでしょう。
トマトには旨味成分であるグルタミン酸が含まれており、グルタミン酸が多く含まれているのも種の周りの胎座です。そのため、種や胎座を取り除くことで旨味成分も流出してしまいます。
グルタミン酸は必須アミノ酸の一種で、日本で最初に発見されたうま味物質として調味料などに活用されています。また、アンモニアを解毒し、尿の排出を促進する効果や脳の機能を活性化する効果があると言われています。
野菜や果物には種があり種を取り除いて食べることは多いですよね。例えばピーマンやかぼちゃの種は比較的簡単に取り除くことができます。しかし、トマトの場合はゼリー状の胎座に包まれているということもあり、種を取るにはひと手間かかります。
上述したように栄養素や旨味成分も流出してしまう上に、種を取るために手間がかかることを考えるとわざわざ取る必要がないと判断する方も多くいます。
トマトの種を取る方法は下記の通りです。
調理をする際に水っぽくなったり食感が悪くなることを防ぐ目的でトマトの種を取りたい場合は、スプーンを使って胎座ごと取り出します。
まず、トマトを横2等分に切ります。半分に切ったらスプーンで種をすくうようにすると簡単に種を取り出すことができます。水っぽくなることを防ぎたい場合は、種を取り出した後に切り口を下にしてザルやキッチンペーパーの上におくと、より水気をなくすことができます。
半分に切ったトマトからピンセットや手で種を取り出すという方法もあります。しかし、トマトの種をピンセットや手で取り除くのは時間がかかりますので、やはり調理に使うのであればスプーンを使って取り除くのがおすすめです。
ミニトマトの種を取りたい場合はピンセットや手でとっても良いでしょう。
トマトの種を栽培に使うこともできます。栽培に使う場合は、過熟のミニトマトを使います。過熟のミニトマトの場合はすでに柔らかくなっている状態ですので、ギュッと握るだけで簡単に種を絞り出すことができますが、ヘタの反対側に切り込みを入れてから絞るのも◎。
一般的に水が出て薄まるのを避けたい料理は種を取った方がよいと言えます。種を取ると良いトマト料理は下記の通りです。
トマトをサラダや和物にして食べる際には、種を取っておくと良いでしょう。
特にサラダにする場合は他の野菜からも水分が出るので、全体的に水っぽくなってしまいがちです。水っぽくなってしまうとドレッシングの味も薄くなってしまうので、防ぎたい方はトマトの種は取っておくと良いでしょう。種を取っておくことでぐにゅっとした食感もなくなるので、トマトが苦手な方でも食べやすくなります。
サルサソースとは、トマトを主体に作られるソースで、タコスを食べるときなどによく使われます。
サルサソースを作るときも、トマトの種を取って使うことで味が薄まったり水っぽくなってしまうのを防ぐことができます。また、種を取っておくことで口当たりの良いサルサソースに仕上げることができます。
ひと手間かかりますが、美味しいサルサソースを作るためには重要な工程です。
炒めものにする場合も種ごと使うことは可能ですが、やはり味が薄まってしまいます。また、油ハネもしやすくなるので、種を取ってから調理をした方が安心です。
炒めものにするときは濃いめの味付けにすることも多いと思いますが、トマトの種を取ることで酸味を抑えることができるので、お好みの味付けに調節しやすくなるメリットもあります。
トマトの水分を飛ばして、セミドライトマトやドライトマトにするときも種を取ることが多いです。
種をつけたままセミドライトマトやドライトマトにすることもできますが、種があるとやはり水っぽくなってしまうので乾燥するのに時間がかかってしまいます。また、保存の面でも種があると傷みやすいので、日持ちさせたい場合は種を取ってから乾燥させるのがおすすめです。
上述したようにトマトの種は取ってから調理すると、料理を水っぽくさせないなどメリットはありますが、種にも栄養が含まれているのでそのまま捨てるのは勿体ないですよね。
取ったトマトの種の活用方法を紹介します。
取ったトマトの種は、ドレッシングにすることができます。
種の部分をドレッシングにすることで、ぷちっとした種の食感がアクセントになりますし、酸味が強いのでさっぱりとした味に仕上げることができます。
ドレッシングとなると作るのが難しそうと思う方も多いと思いますが、意外と簡単。オリーブオイルとトマトの種を混ぜ合わせて塩コショウで味付けをするだけでも十分立派なドレッシングが完成します。
水っぽい種の部分は、スープにすると水っぽさが気になりませんし、加熱すれば酸味の強さも軽減されます。また、スープであれば流出してしまう水溶性の栄養素も汁ごといただけるので栄養面的にも◎
スープにしたいときは、コンソメなどで味をつけたスープに種を入れて一緒に加熱しましょう。トマトの風味と酸味をプラスすることができ、美味しいスープを楽しむことができます。
チャーハンやピラフの具として利用することもできます。
チャーハンやピラフの具として使いたい場合は、そのまま加えると水分でご飯がべちゃっとしてしまうことがあるので、予め種の部分を炒めて水分を飛ばしておくのがおすすめです。
和風や中華、洋風など様々な味付けに合うのでぜひ挑戦してみてください。
トマトから取り出した種を植えればトマトを栽培することができます。
トマトから取り出したら、一度胎座を洗い流します。洗い流したらキッチンペーパーなどの上に置いて乾燥させます。しっかりと種が乾燥したら、栽培に適した時期に植えます。
トマトの種まきには3月〜4月がおすすめです。20度〜30度くらいの温度で発芽するため、気温が安定していない3月〜4月は室内で管理し、昼間は日当たりの良い窓辺などに置くことで発芽しやすくなります。
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