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にんにくが変色する原因と対処法を色別に解説。緑・青・茶・赤になるのはなぜ?

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にんにくが変色する原因と対処法を色別に解説。緑・青・茶・赤になるのはなぜ?

一般的に食べられているにんにくは、皮が白く実は白や淡い黄色をしていますが、様々なことが原因で変色することがあります。腐ってしまったと思う方も多いと思いますが、必ずしも腐敗が原因なわけではありません。本記事ではにんにくの変色について解説します。

にんにくは変色することがある

一般的に家庭で使われているにんにくは皮も実も白色をしていますが、様々なことが原因で色が変化することがあります。

にんにくの皮の色や中身の色が変化する原因としては、

  • 化学反応(緑・青)

  • 天然色素・発芽(緑)

  • 腐敗(茶色・オレンジ)

  • カビ(白・黒・青)

  • 品種(赤紫・ピンク・黒)

などがあげられます。変色すると腐ってしまったのではないかと驚く方も多いかと思いますが、腐敗のみが変色の原因というわけではありません。にんにくの色の変化の原因を知っておくと、食べることができるのかそうでないのか判断しやすくなります。

にんにくの変色の原因〈色別〉

すりおろして緑・青は化学反応

すりおろしたにんにくをしばらく放置すると、青や緑に変色することがあります。これはカビや毒などが原因ではなく、化学反応によって起こる変色です。腐敗しているわけではないので問題なく食べることができます。

にんにくをすりおろしたりカットすることで細胞が壊され、にんにくに含まれる成分がアリイン→アリシン→アルキルサルファイド化合物へと変化します。にんにくが空気にさらされると酸化が起こり、アルキルサルファイド化合物が鉄分と反応することで青や緑っぽく変色してしまいます。

また、にんにくをすりおろしたりせずそのまま酢漬けをすることでも青や緑色に変色することがあります。これは、酢の酸性によるものや、酢に微量の鉄分が含まれているためです。

日光に当たって緑は天然色素

にんにくが日光に当たると、葉緑体が形成され緑色に変色します。栽培時には土寄せをして日光から球根部分を守るのですが、家庭菜園などで土寄せが十分に行われていないと日光が直接当たってしまい、緑色に変色してしまうことがあります。また、購入後のにんにくを直接日光が当たるような場所で保管することでも、緑色に変色してしまうことがあります。

じゃがいもの場合は、緑色になっている部分にソラニンやチャコニンといった天然毒素が多く含まれているため緑色に変色した部分は取り除く必要があるので、にんにくにも緑色になったら食べられないのでは?と思う方もいるかと思いますが、にんにくには天然毒素は含まれていないため食べることができます。

芯が緑に変色する場合は発芽

普段「にんにく」として食べているのは、鱗茎(りんけい)と呼ばれる養分をたくわえて肥大し球状になった白い部分です。にんにくは、収穫から時間が経つと自然と中心にある芯から発芽し、根も生えてきます。芯は時間が経つと緑に変色することがあります。

にんにくの芯(芽)にも、じゃがいものような天然毒素は含まれていませんので食べることができます。ただし、にんにくの芯の中心には辛味成分であるアリシンの含有量が多いため辛味を強く感じたり、苦み成分であるケルセチン(ポリフェノールの一種)が多く含まれているため、苦みやえぐみを感じやすいといわれています。また、加熱によって焦げやすい性質があるため、取り除いてから調理に使用する方がベターです。

茶色は腐敗・食害

にんにくの皮や鱗片が茶色く変色することがあります。にんにくが茶色に変色してしまう主な原因は腐敗です。新鮮なにんにくの鱗片は白や淡い黄色をなしていますが、腐敗が進むと茶色に変色してしまいます。茶色の斑点のように、にんにくの一部が茶色くなっているものや、にんにく鱗片全体が茶色くなっているものなどがあります。

また、にんにくの皮が茶色くなっているものもあります。一般に市販されているにんにくの皮は白いですが、腐敗が進むと皮も茶色に変色することがあります。腐敗しているにんにくは食べずに処分しましょう。

にんにくの鱗片が薄い茶色に変色していて表面がザラザラしていたり穴が空いているものは、虫に食べられている可能性があります。にんにくの害虫には、アブラムシやダニ(チューリップサビダニやハダニ)、アザミウマ、ネギコガなどがいます。これらの害虫はにんにくの葉や鱗片などを食します。食害にあっているにんにくも食べることはできません。

なお、にんにくは品種や個体差によって薄い茶色に変色しているものや、調理後に茶色く変色するものもあります。これらの場合は腐っているわけではありませんので、そのまま食べることが可能です。

オレンジ色も腐敗

オレンジに変色したにんにくは腐ってしまっていることがほとんどなので、食べずに廃棄するようにしましょう。一般的なにんにくは収穫した後に乾燥させてから出荷され店頭にならびます。乾燥させることで保存性が高くなり長期保存することができるのですが、乾燥しきれずに水分が残っていると腐敗してオレンジ色になることがあります。

鱗片の一部のみがオレンジに変色しているにんにくのオレンジ色を切り落としても、腹痛や下痢を引き起こす可能性があるので、もったいないですが処分するほうが安全といえます。

品種によりオレンジ色になっているにんにくは問題なく食べることができます。

皮や根が黒色・白色・青はカビ

黒カビが生えたにんにく

にんにくは腐ると黒カビや白カビ、青(緑)カビが生えます。特にお尻の部分や外皮と実の間などに生えることが多いです。

カビの種類に問わず、カビが生えたにんにくは基本的には食べずに廃棄する方がよいです。カビが生えている部分をしっかりと洗い切り落せば食べることができるともいわれていますが、目に見える範囲のカビを取り除いても、菌がまだ残っている可能性があります。特に黒カビは白カビよりも毒性が強いといわれています。そのため、黒カビが広範囲に生えてしまっている場合は食べずに処分するようにしましょう。

また、カビが生えていないように見えてもカビ臭い臭いがする場合は、細菌が付着している可能性がありますので注意しましょう。

品種

化学反応や腐敗が原因ではなく、元から色がついている品種のものや熟成させることによって色が変色した状態で販売されているものもあります。この場合は当然のことながら腐敗が原因で変色しているわけではありません。

赤いにんにく

赤いにんにく

一般に市販されているにんにくの薄皮は白いものが多いですが、中には薄皮が薄いピンクや紫になっているものがあります。

薄皮がピンクや紫になっているにんにくには、「赤丸にんにく」や「ところピンクにんにく」、「富良野」、「ピンクにんにく」、「島にんにく」などの品種があります。また、スペイン産やイタリア産の「モラド(アホモラード)にんにく」のように、輸入にんにくにも皮が赤やピンク、紫っぽくなっている品種があります。

このように、皮が元からピンクや紫、赤になっているにんにくを総称して「紫にんにく」や「赤にんにく」と呼ぶこともあります。にんにくの皮が赤や紫、ピンクになるのは、色素成分である「アントシアニン」によるものです。アントシアニン(アントシアン)とは、赤や紫、青などを呈する色素群の総称です。主に植物の葉や花、果実などに含まれます。この色素は水に溶けやすく、酸性では赤に、アルカリ性では紫→青→緑へと変化します。ちなみにアントシアニンには、抗酸化作用があるといわれています。

黒にんにく

黒にんにく

品種ではありませんが、にんにく全体が黒くなった「黒にんにく」と呼ばれるものもあります。

黒にんにくとは、にんにくを熟成させたものです。名の通り皮も鱗片も黒っぽい色をなしています。熟成させるためにこのような色になっており、腐っているわけではありません。加工前のにんにくの品種によって大きさが異なります。熟成後のにんにくの皮は茶色、鱗片は茶色〜黒(熟成具合によって異なる)になります。熟成させることでにんにく特有の香りや辛みが弱まります。糖度が増しプルーンのような甘みがあるため、別名「フルーティーにんにく」とも呼ばれます。

ただしにんにくの一部のみが黒く変色している場合は、カビが生えていたり腐敗が進んでいる可能性が高いので、食べずに処分するようにしましょう。

にんにくの変色を防ぐ方法

科学反応による変色はすぐに調理をしたり熱湯に通すことで防げる

にんにくが青や緑に変色するのを防ぐには、切ったにんにくをすぐに調理に使用することです。すりおろしやみじん切りにして放置することで変色してしまうので、調理の直前に切るようにしましょう。

また、上述の通りにんにくが青や緑に変色するのには、鉄分が関係しています。鉄製のおろし金にも反応してしまう可能性が高いので、鉄製以外のおろし金を使用するとよいかもしれません。

にんにくの酢漬けを作る際は、酢に浸ける前ににんにくを熱湯にくぐらせることで変色を防ぐことができるといわれています。皮を剥いたにんにくを熱湯に通し、よく乾かしてから酢に浸けます。これによりアリシンと鉄分の結合を防ぐ=変色を防ぐことが可能になります。

天然色素による変色やカビ・腐敗による変色は正しく保存することで防げる

日光にあたることによって緑色に変色してしまったり、カビや腐敗で変色してしまうのは正しく保存することである程度防ぐことができます。にんにくは野菜の中でも比較的長持ちする野菜ではありますが、正しく保存できていないと腐敗を早めて変色してしまう原因となります。日本には四季がありますので、季節に応じて保存方法を変えるのがポイントです。

暖かい季節は常温保存

春・夏など暖かい季節は、ネットなどに入れて、風通しのよい冷暗所で吊るして保存がベストです。外皮は剥かずに保存しましょう。夏が終わり涼しくなると発芽してしまうので、常温保存はNGです。にんにくの匂い成分アリシンのおかげで、虫は近寄ることはありません。

常温保存した場合、約1ヶ月程度の保存が可能です。

涼しい季節は冷蔵保存

にんにくは秋になったら冷蔵保存します。にんにくを丸ごとペーパータオルで包み、ポリ袋に入れて軽く口を閉めて、チルド室で保存します。1片ずつ包んでも◎。キッチンペーパーに包むことで、冷蔵庫の冷気と乾燥から守ります。ポリ袋に入れることでさらに乾燥を防ぐことができます。ポリ袋は軽く閉じることで通気性をよくします。

冷蔵保存した場合、約2ヶ月程度の保存が可能です。

冷凍保存

にんにくは常温で長く保存することができるので、冷凍保存するメリットが他の野菜と比べてあまりありませんが、カットしたものを冷凍すると調理するときに楽です。やや香りが飛んでしまうデメリットもあります。切ったにんにくは常温・冷蔵保存では傷みが早いので注意です。

薄皮を剥いて1片ずつ冷凍保存したり、薄切りやみじん切りにして冷凍保存することも可能です。1片ずつ冷凍保存したにんにくは前日に冷蔵庫に移して自然解凍、カットして冷凍保存したにんにくは凍ったまま調理に使用することができます。

冷凍保存した場合、約1ヶ月程度の保存が可能です。

上記以外にも、にんにくは天日干ししたりオイルに浸けて保存することもできます。

新鮮なにんにくの見分け方

新鮮なにんにく

一般的に食べられているにんにくは、一度乾燥させてから出荷されていますので収穫したてのにんにくが店頭に並んでいるわけではありませんが、購入するさいに傷んでいない状態のにんにくを選ぶのも重要です。

全体的に白く色にムラがない

にんにくの品種によっては、外皮が黄色や紫、赤っぽいものもありますが、一般に多く出回っているにんにくは全体的に乳白色をなしています。全体的にチェックしてみて、色ムラがないものを選びましょう。皮が茶色や黒になっているものは、収穫から時間が経過し鮮度が落ちてしまっていたり、腐敗が進んでいる可能性があるため避けましょう。

ちなみに「新にんにく」という、乾燥させずに出荷されるにんにくは赤みを帯びていることがあります。これは色素成分のアントシアニンによるもので、腐っているわけではありません。

外皮が数枚重なっていてよく乾燥している

にんにくは収穫後に乾燥させてから出荷されます。そのため、しっかりと外皮が乾いているものを選びましょう

外皮が薄くなっていたり取れてしまっているものは、実が傷ついていたり乾燥している可能性があります。輸送中ににんにく同士がぶつかって皮が取れてしまうことはよくあることですが、あまりにも外皮が取れてしまっているものは避けた方がよいでしょう。

外皮にハリやツヤがある

外皮がよく乾燥しているだけでなく、ハリやツヤがあるものがおすすめです。皮がピンと張っていて、触るとツルツルしています。

皮にハリやツヤがないものは、鮮度が落ちている可能性があります。

頭の部分がよく締まっている

新鮮なにんにくを選ぶ際は、実の部分だけでなく頭の部分もしっかりと観察してみましょう。

頭の部分の締りがきついものほど新鮮な証拠です。この頭(首)の部分は、ニンニクが育つ際に地上に伸びていた葉鞘(ようしょう)の一部です。葉鞘にはニンニクの表面を包んでいる外皮が集まっています。締りがよいものは貯蔵性が高いです。

頭(首)の部分が広がっていると、そこから湿気が入り込み腐りやすくなってしまいます。また、水分が抜けやすくもなってしまうため、乾燥が進みやすく風味が落ちてしまいます。さらに、葉鞘の部分が広がっていると、そこから虫が入り込んで実を食べてしまうこともあります。そのため、にんにくの実1片1片が茎にしっかり付いていて、頭(首)がぎゅっと締まっているものがよいです。

ふくらみが均一でキレイな丸に近い

新鮮なにんにくは全体的に丸みを帯びています。1片ずつの粒が大きく揃っているものが◎。にんにくを真上から見た時に、膨らみが均一で丸に近いものを選びましょう。

お尻の部分がしっかりと乾いている

にんにくの裏側もよく見てみてください。お尻の部分がしっかりと乾いているものが◎。湿気ているものは、実も湿気ている可能性が高く、可食部が腐敗していることが多いです。

にんにくは乾燥させてから出荷されますが、乾燥が十分でない場合や、乾燥されていても多湿の環境で保管されている場合は、お尻の部分が湿度で半乾き状態になっていることがあります。

にんにくを買うときは、頭(首)の部分だけでなく、裏側もしっかりと確認しましょう。

ずっしりと重みがある

新鮮なにんにくは、持ったときにしっかりとした重みを感じます。大きさのわりに軽いものは、乾燥しすぎていて中身がスカスカになっていたり、虫に食べられている可能性が高いです。乾燥しすぎているにんにくは味や風味が落ちてしまっているので、何個か持ち比べてみて、ずっしりと重みのあるものを選びましょう。

実が固い

にんにくの実の部分を触ってみて、しっかりとした固さのあるものが新鮮なにんにくです。触ったときに実がやわらかいと、腐っている可能性が高いです。また、外皮と実の間に隙間があるにんにくは触るとブカブカします。実が小さくなっている可能性があるので避けましょう。

かすかににんにくの臭いがする

丸ごとの状態のにんにくは、実はそこまでにんにくのにおいは強くありません。固い外皮に実が守られているためです。そのため、にんにくを購入する際は、にんにくのにおいがそこまで強くないものを選びましょう。

にんにくのにおいが強いものは、にんにくに傷がついていたり、外皮が破れていたり、虫に食べられている可能性があります。

「にんにくのいい香りがする!」と思って香りが強いものを購入しないように注意しましょう。

食べてはいけないにんにくの特徴

実がやわらかくなっている、溶けている

新鮮なにんにくは実が固く締まっていますが、腐敗が始まるとやわらかくなってしまいます。腐敗が進むと軽く触るだけで形が崩れるほど溶けてしまうことがあります。

にんにくがやわらかくなってしまっているときは、色が黄色っぽい半透明な色になっていることが多いです。変色していてかつ触感も変化している場合は、腐っている可能性大ですので処分するようにしましょう。

酸っぱい臭いがする

にんにくはにんにく独特の強い香りが特徴的ですが、腐り始めると酸っぱい臭いがします。腐敗具合によっては、生ゴミやカビのような悪臭がすることもあります。

見た目は問題なくても、明らかにいつもと違う臭いがする場合は腐っている可能性が高いので、食べずに廃棄することをおすすめします。

皮がジトッと湿っている

一般に多く出回っているにんにくは、収穫後に乾燥させられているため皮はパリッとしてます。ですが、腐っているにんにくの皮はジトッと湿ってしまっています。皮を触ってみてしっとりとしているなと感じる場合は、実をしっかりと確認しましょう。実が問題ない場合はそのまま使用してもOKです。

ヌメリがある

腐ったにんにくは皮をむくとネバネバとしたヌメリがあります。新鮮なにんにくにも多少の粘りは見られますが、腐敗が進むと、糸を引くほどの強いぬめり感が出ます。

オクラなどの元々強いヌメリがある食材の場合は食べても問題ないですが、にんにくの場合は糸を引くほどの強いぬめりがあるということはありません。そのため、糸をひくほどの強いぬめりが出ている場合は食べずに破棄しましょう。