玉ねぎは様々な料理に使うことができますが、価格高騰で節約をしたいという場合や玉ねぎが苦手といった理由から別の野菜で代用できないかと考えたことがある方も多いのではないでしょうか。本記事では玉ねぎの代用となる野菜について詳しく解説します。
どんな調理にも使えて比較的安価で手に入りやすい玉ねぎですが、高温多湿を苦手とするため気温が高すぎたり雨が沢山降った年などは価格が高騰することがあります。
特に近年では地球温暖化などの影響で猛暑が続いたり、干ばつや豪雨などによって収穫量が激減し、市場価格が上昇し始めています。常備菜の定番である玉ねぎの価格の高騰は家計に大ダメージを与えてしまいますよね。そんなときに玉ねぎの代用品を知っておくととても便利です。
出典:食品価格動向調査(農林水産省)
玉ねぎと言えばツンとする匂いと辛味です。これは玉ねぎに硫化アリル(アリシン)と呼ばれる辛味成分が豊富に含まれているためであり、この玉ねぎのツンとした匂いや辛味が苦手という方も多いですよね。
玉ねぎが苦手で食べたくないとは言っても、材料から玉ねぎをただ抜くだけではコクが出なかったりなど物足りなさを感じてしまうこともあります。
玉ねぎの皮を剥いてカットをしようとすると、涙が出てきて調理がしにくいですよね。実は玉ねぎを切ると涙が出てくるのも辛味成分である硫化アリルが原因です。切った際に硫化アリルが蒸発して鼻や目の粘膜を刺激することで脳が「洗い流せ」という信号を出すため涙が止まらなくなるのです。
目に染みるような傷みと涙で調理がしにくいので、できるだけ玉ねぎは使いたくないという人も多くいます。
玉ねぎは加熱することで、玉ねぎに含まれている糖分がカラメル化するのと、糖分とアミノ酸が化学反応を起こすメイラード化と呼ばれる2つの反応が起こることにより飴色になり、甘みが増します。
炒めることで玉ねぎの甘味が増すのは、下記の3つの理由が考えられます。
辛味成分である硫化アリルの揮発によって、甘みを強く感じる。
水分の蒸発によって、糖濃度が上昇する。
加熱による組織の破壊や軟化により甘味を強く感じる。
加熱をした後の玉ねぎは、例えばカレーにコクを出したり、焼き肉やバーベキューなどでお肉と一緒に食べる野菜として食べられたりします。焼き肉やバーベキューの場合は甘味だけではなく食感を楽しむといった理由でも食べられます。
玉ねぎは長時間加熱すると柔らかくなりますが、生の状態で食べたりサッと火を通すだけだとシャキシャキとした食感を楽しむことができます。
例えばハンバーグに入れる玉ねぎのみじん切りは、しっかりと加熱をしてから加えるとハンバーグにコクを出すことができますが、加熱をせずに生地を混ぜてから焼けばシャキシャキとした食感が残るだけではなく肉の臭み消しになり、玉ねぎから出た水分がお肉をふっくらさせて肉汁と混ざり脂っこさを軽減することができます。
玉ねぎに豊富に含まれている硫化アリル(アリシン)には、糖の代謝を促し、エネルギーを生み出すビタミンB1と結びついて吸収を助けその効果を持続させる働きがあると言われています。ビタミンB1には疲労回復や滋養強壮に効果があります。また、ビタミンB1と協力して血糖値を正常に保つインスリンを分泌し血糖値の上昇を抑え糖尿病を予防する効果が期待できます。さらにコレステロール値の上昇も抑えるので、高血圧をはじめとする生活習慣病予防に繋がるとも言われています。
さらには抗酸化作用があることもわかっています。そして、硫化アリルには血液が固まりやすくなるのを防ぎ血栓が出来ないようにする効果があると言われています。玉ねぎを食べると血がサラサラになると言われているのはこのためです。不規則な生活習慣などで血流の流れが悪くなり、血栓ができやすくなった身体にとても大事な成分です。
また、強い殺菌力があるので風邪予防にも役立ち、ツンとした香りには食欲増進と消化吸収上昇の効果があるため夏バテの時期におすすめです。
その他にも、活性酸素によるダメージを防いで赤血球の働きを活発にさせ、血流を改善させる効果があると言われているケルセチンや、肝機能を強化する効果があると言われているグルタチオン、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル類も含まれています。
玉ねぎの栄養を目的として食べるのであれば、サラダなど火を通さずに生の状態で食べるのがおすすめです。
玉ねぎの甘みを活かした料理にはカレーやミートソースなどがあります。これらの料理を作る際に玉ねぎの代用となる野菜を紹介します。
甘味を出したいときの玉ねぎの代用品として定番なのは長ネギです。
長ネギは玉ねぎと同じく辛味成分でありツンとした匂いの元であるアリシンを豊富に含む野菜であるため、辛いという印象が強い方が多いかと思いますが、加熱した長ネギの糖度はいちごを超える14〜15%にもなると言われています。加熱をすると甘味が強くなるのは、玉ねぎと同様にアリシンが揮発し甘さが際立つためです。
食感も玉ねぎに似ているため、玉ねぎの代用品としておすすめです。
キャベツや白菜の芯は固いといった理由から取り除いて調理をする方が多いと思いますが、実は甘味成分であるアラニンやスクロースなどの糖類が含まれていて加熱をすることで甘味が出ます。
生で食べると芯の匂いなどが気になる方も多いですが、加熱をすることで匂いも気にならなくなります。食感が気になる方は、みじん切りにすると玉ねぎの食感と近くなります。キャベツや白菜の芯には栄養素も多く含まれているため栄養価も高くなります。
ナスにもキャベツの芯などに多く含まれる甘味成分のアラニンやセリンに由来する「甘味アミノ酸」が増加することにより、甘味が強くなります。そのため、玉ねぎの代用品としてナスを加えることで甘味やコクを深めることができます。
カレーはもちろんのこと、生姜焼きを作るときの玉ねぎの代用品としてなすを使うこともできます。
玉ねぎの甘味は、甘味料でも代用することができます。代用として使うことができる、おすすめの甘味料には、
はちみつ
メープルシロップ
アガベシロップ
てんさい糖
黒糖
などがあります。
ハンバーグやタルタルソースやサラダなど、玉ねぎのシャキシャキとした食感を出したいときの代用品となる野菜を紹介します。
もやしには玉ねぎのような甘味を出すことはできませんが、シャキシャキとした食感を出すことができます。例えば、ハンバーグを作るときは水洗いしたもやしの水気を切ったあと、細かくしてからひき肉に混ぜ込みます。
もやし1キロの年間平均価格は117円で、スーパーなどでは25g19円〜20円程で販売されているので、節約をしたいという方にもぴったりです。
セロリも甘味を出すことはできませんが、みずみずしくシャキシャキとした食感を楽しむことができる野菜であるため、スープやキーマカレーを作りたいときなどの玉ねぎの代用品として適しています。
ただし、セロリは香りや味にクセがある香味野菜であるため料理の味を損ねてしまうことがあります。また、セロリが苦手という方も多いですが、セロリは調理をする前に30分程水に浸してから使うことでクセのある匂いや風味が軽減されます。また、加熱調理をすることでクセのある匂いや風味が軽減されますので、苦手な方は加熱調理をする際の玉ねぎの代用品として使うことをおすすめします。
大根も水分を多く含みシャキシャキとした食感が玉ねぎと似ている野菜です。もやしやセロリなどの野菜と同様に甘味を加えることはできませんがサラダを作るときの代用品として適しています。
また、加熱をすると柔らかくはなりますが煮物や肉じゃがなどを作るときの代用品にもなります。
玉ねぎ以外の硫化アリルが豊富な野菜を紹介します。
上述したようにネギも玉ねぎと同じく辛味成分である硫化アリルが豊富に含まれている野菜の一つです。
ネギには大別して根深ネギと青ネギの2種類があります。一般的に「長ネギ」と言われているのは根深ネギで、「白ネギ」とも言われます。上の部分は緑で下の部分が白くなっているのが特徴です。葉ネギは、細く緑色の部分が枝分かれしているのが特徴で、「青ネギ」とも呼ばれます。根深ネギと葉ネギのどちらにも硫化アリルが含まれていますが、根深ネギ(長ネギ)の硫化アリルの含有量は葉ねぎよりも多く、主に白い部分に多く含まれています。青ネギの方が辛味が少ないのはこのためです。
ニラのツンとした独特の香りも玉ねぎと同じく硫化アリルによるものです。ニラの硫化アリルは根本の白っぽい部分に多く、葉先の4倍もの硫化アリルが含まれています。
若干固いので切り落として使うという方も多いかと思いますが、根本も食べるようにすると良いでしょう。硫化アリルは、切ってから時間を置くと匂いがきつくなるため匂いが苦手という方は加熱したりする直前に切るのがおすすめです。
ニラは炒めものなどに使われることが多いですが、熱に弱い葉酸やビタミンCなどの栄養素も豊富に含まれているため、栄養素を余すことなく摂取したいという方はサラダやナムルなど生で食べると良いでしょう。
らっきょうも硫化アリルを豊富に含む野菜です。
らっきょうも実は成長時は長ネギのように地上で青い葉を伸ばし、主にらっきょうとして食べられているのは「鱗茎(りんけい)」と呼ばれる根の部分です。辛味成分である硫化アリルを豊富に含むため、そのまま食べると辛味が強く一般的には甘酢漬けにしたり醤油漬けにするなど漬物にして食べることが多いです。また、玉ねぎのようにみじん切りにしてタルタルソースを作るときに使うこともできます。
にんにくの匂いや辛味も玉ねぎと同じく硫化アリルによるものです。 硫化アリルはにんにくの細胞が壊れることでたくさん得られます。おろしたり刻んだりすることでより匂いがきつくなったり辛味が増すのはこのためです。
硫化アリルが体に良いといってもやはり気になるのは匂いですよね。にんにくを食べた後の口臭は食べた直後に感じられなくても翌日に感じることもあるほど強烈なものです。上述したように硫化アリルは揮発性の成分なので、匂いが気になる方は軽く加熱をしてから食べると良いでしょう。
玉ねぎと新玉ねぎ、紫玉ねぎはお互いに代用することが可能です。ただし、玉ねぎとは異なり新玉ねぎと紫玉ねぎは硫化アリルの含有量が少なく、生食に向いている玉ねぎであり水分量も多いため同じ「玉ねぎ」であってもまったく同じになるというわけではありません。
例えばサラダに使うときの新玉ねぎや紫玉ねぎを一般的な玉ねぎで代用する場合は、辛味を抑えるために水に浸けてから使う必要があります。反対に加熱調理をするときの玉ねぎを新玉ねぎや紫玉ねぎで代用する場合は、水分が多い分水分量に気をつける必要があります。ちなみに紫玉ねぎの紫色は加熱調理をしても他の食材に移ることはありませんが、紫玉ねぎ自体の色味が悪くなってしまうことがあります。
新玉ねぎは、温暖な地域で3~4月頃に出荷される早取りの玉ねぎのことを言います。一般的に食べられている玉ねぎは、春に収穫された玉ねぎを一度乾燥させて保存性を高めてから出荷されています。一方で新玉ねぎは収穫された後、乾燥させずに出荷されているという違いがあります。水分量が多いだけで栄養素は一般的な玉ねぎと同じです。
紫玉ねぎは、皮が赤紫色をしていて実は紫色と白色の層が交互に重なっている品種で、「赤玉ねぎ」や「レッドオニオン」ともいわれます。紫玉ねぎも硫化アリルの含有量が少なく辛味が少ないためサラダなど加熱をせずに食べることがほとんどです。
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