じゃがいもは、「畑のりんご」といわれるほど、ビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCは調理の過程で失われてしまうことが多い栄養素です。調理の仕方を工夫することで、ビタミンCの損失を最小限に抑えることが可能です。本記事では、じゃがいものビタミンCを守る調理法を詳しく解説します。
実は、じゃがいもはフランスでは「畑のりんご」といわれるほどビタミンCが豊富な野菜です。
100gあたりの含有量は28mgです。
100gあたりのビタミンCの含有量は下記の通りです。
パプリカ…170mg
ブロッコリー…140mg
かぼちゃ…43mg
トマト…15mg
きゅうり…14mg
野菜の中だと、パプリカが多く含まれています。
果物だと、
アセロラ(酸味種)…1700
レモン…100mg
りんご…6mg
のように、レモンにも多くのビタミンCが含まれていますが、じゃがいもはレモンよりも一度に多く食べることができるので、その分1度に多くのビタミンCを摂取することができます。
出典:日本食品標準成分表2020年版 八訂(文部科学省)
なんと新じゃがには、通常のじゃがいもの約4倍ものビタミンCが含まれていると言われています。ビタミンC以外の栄養素も、新じゃがの方が豊富です。
その理由は新じゃがは収穫後すぐに貯蔵されずに出荷するからです。新じゃがは春から夏にかけて収穫されるとすぐに店頭に並びます。そのため栄養素が減ることなく手元に渡るわけです。しかし通年流通しているじゃがいもは秋に収穫したあと貯蔵されてから出荷するので、その間に栄養素が減ってしまいます。ただデンプンが多く含まれています。
ビタミンCはよく加熱に弱いといわれますが、「ビタミンCが熱に弱いという説は嘘!」という意見も見受けられます。どちらが正しいのでしょうか?
ビタミンCの熱への耐性に関して意見が割れているのは、ビタミンCには2種類あるからです。実はビタミンCには「還元型ビタミンC」と「酸化型ビタミンC」というものがあり、2つを合わせてビタミンC(または「総ビタミンC」)と言われています。
熱に弱いのが酸化型ビタミンCです。還元型ビタミンCはほとんど分解されることはないのですが、酸化型ビタミンCは一度分解してしまうとビタミンCには戻ることができず、この分解反応が加熱することで早く進むので「ビタミンCは加熱に弱い」と言われます。厳密には酸化型ビタミンCは熱に弱い、ですね。
新鮮な野菜や果物に含まれるビタミンCは大部分が還元型なので、基本的にビタミンCが加熱によって壊れることはありません。
しかし、切ったりすりおろすことで還元型ビタミンCの一部が酸化型ビタミンCに変換されてしまうので(つまり酸化するということ)、やや加熱に弱くなってしまいます。また、野菜に含まれる「アスコルビン酸(ビタミンC)酸化酵素」の作用でも、還元型ビタミンCの一部が酸化型ビタミンCに変換され、やや熱に弱くなってしまいます。
野菜に含まれるビタミンC(還元型ビタミンC)は熱に弱い、というのは間違いであることがわかりましたが、そのように誤解される理由に、ビタミンCが水溶性であることが挙げられます。
ビタミンCは茹でたり、水にさらしたりすると、水に溶け出してしまいます。皮を剥いたり、切ることでビタミンCはより多く流失してしまいます。
そのためじゃがいものビタミンCを守りたいなら電子レンジで加熱するのがおすすめです。また、スープにして汁ごといただくなども、ビタミンCを無駄にしないおすすめの方法です。
ちなみに脂溶性のビタミンはA・D・E・Kで、それ以外は水溶性です。
じゃがいもにはビタミンC以外の水溶性の栄養素も含まれています。
じゃがいもに含まれている水溶性の栄養素には、例えばビタミンB6などのビタミンB群や、カリウムなどのミネラル類、水溶性食物繊維などがあります。
これらの栄養素は茹でると流出してしまうので、電子レンジで加熱することには栄養素を無駄なく摂取できるメリットがあります。
じゃがいもに含まれている栄養素についてはこちらの記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
電子レンジは、庫内に放出されるマイクロ波によって食材がもつ水分子が熱を持つようにエネルギーを与えて加熱していきます。そのため、水分量の多い食材は温まりやすく水分量の少ない食材は温まりにくいという性質があります。
じゃがいもは水分量が少ない野菜なので温まりにくく、水分量が多く温まりやすい食材と比較してパサパサになってしまったり、加熱ムラができて固い部分ができてしまうなど失敗してしまいやすいです。
また、じゃがいもの水分が蒸発してしまうことで、水分子に働きかけるエネルギーの行き場がなくなり爆発したり、場合によっては発火してしまう可能性もあるため注意が必要です。
失敗せずにじゃがいもを美味しくレンジで加熱する方法を下記で紹介します。
ポテトサラダやコロッケなどじゃがいもを加熱した後に潰す場合は、丸ごと加熱するのが良いです。
まず、じゃがいもを綺麗に洗います。レンジで加熱したら、皮は簡単に剥けるので、先に剥く必要はありませんが、泥汚れなどが残っていると加熱をした際に土臭くなってしまいます。
あまり汚れていない場合は軽く水洗いするだけで大丈夫です。土汚れがひどい場合は流水にさらしながらたわしや硬めのスポンジでこすると綺麗に落とすことができます。
じゃがいもを綺麗に洗い、芽があれば取り除きましょう。じゃがいもの芽にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれており、そのまま食べてしまうと中毒症状を起こす可能性があります。
じゃがいもに芽があれば取り除きましょう。じゃがいもの芽にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれていますので、そのまま食べてしまうと中毒症状を起こす可能性があります。
じゃがいもの芽を取り除くには、包丁の刃元を芽に突き刺し、じゃがいもを回して取り除きます。
ピーラーを使う場合は、ピーラーの刃の横にある輪っかの部分を使って掘るようにして芽を取り除きます。ピーラーの種類によっては輪っかではなくスコップ状になっていることもあります。この場合も同様に掘るように芽を取り除きます。
じゃがいもの芽を取り除いたら、じゃがいもの表面に浅く切れ目を入れます。切れ目を入れることでさらに皮が剥きやすくなります。切れ目を入れなくても皮を剥くことはできますので、必須ではありません。
じゃがいもに切れ目を入れる際は、じゃがいもの中心部分に深さ1〜3mm程度の切り込みをぐるりと一周入れます。片手でじゃがいもを持ち、もう一方の手で包丁を持ち、じゃがいもを回しながら入れます。
じゃがいもを綺麗に洗い、芽をとったら1個ずつ濡れたままラップに包みます。濡れたままラップに包むことで水分が蒸発してパサパサになってしまったり爆発してしまうのを防ぐことができます。
複数個のじゃがいもをまとめてラップに包んでしまうと、熱が均一に伝わらなくなってしまうのでNGです。必ず1個ずつ包み、加熱も1個ずつ行うのが良いです。
湿らしたキッチンペーパーで包んでからラップをしても、水分が飛んでパサパサになってしまうことを防ぐことができるのでおすすめです。
じゃがいもをラップに包んだら、加熱します。
じゃがいもの加熱時間の目安は、じゃがいも1個(皮つき、約150g)につき600Wで3分程度です。竹串などを刺してみて硬いようであれば20秒ずつ追加で加熱していき、竹串などがすっと通るようになれば加熱完了です。
丸ごと加熱する場合は特に火が通りにくいので加熱時間を長めにしてしまいがちですが、少しずつ様子を見ながら加熱するようにしましょう。加熱のしすぎはパサパサになってしまったり、爆発する原因となります。
じゃがいもをレンジで加熱したら、ラップをしたまま数分置いて粗熱をとります。このとき布巾やキッチンペーパーなどに包んでおくと、余熱で中まで火が通りホクホクに仕上げることができます。
炒め物や煮物ならカットしてからレンジ加熱するのがおすすめです。
じゃがいもをしっかり水洗いし、芽を取り除きます。必要であれば皮を剥いて、料理に合わせてカットしていきます。切ってからレンジで加熱するじゃがいもは、ジャーマンポテトなどの炒めものや肉じゃがなどの料理に向いています。
肉じゃがなどの煮物にする場合は大きめに切っても良いですし、炒めものにする場合などは小さめの角切りにしても良いです。
大きさは均等になるようにしましょう。大きさがバラバラだと加熱ムラができる原因になります。
じゃがいもの皮を剥いて料理に合わせてカットしたら、ボウルに入れて水を小さじ1程度回し入れて、ふわっとラップをかけて電子レンジで温めます。
平たいお皿に広げておいても良いですが、熱の通り方にムラがでやすく外側に置いたじゃがいもが固くなってしまうといったこともあるので、ボウルがおすすめです。
加熱時間の目安としては1個(150g程度)につき600wで3分程度です。ボウルに入れる場合は2個分一緒に入れて6〜10分程度が目安となります。熱の通り方にムラがでてしまうため、2個以上はいれないほうが良いです。
カットしてあるじゃがいもは切り口から水分が蒸発してしまいやすいため、加熱しすぎてしまわないように注意が必要です。丸ごと加熱するときと同様に、少しずつ様子を見ながら追加で加熱していきましょう。
シリコンスチーマーなどレンジで使える蒸し器を使って加熱をするという方法もあります。
蒸し器を使うことで高温の水蒸気を利用して外側からじっくりと火を通すことができ、じゃがいもの水分も残りやすくほくほくとした食感になるため、じゃがバターを作りたいときなどにおすすめです。もちろんカットしたじゃがいもも◎。
蒸し器を使う場合は、皮付きのまま加熱する場合は汚れを落として芽を取り除き、蒸し器に入れて加熱します。加熱時間については蒸し器によっても異なりますので、取り扱い説明書に従って加熱してください。
電子レンジで加熱するだけで美味しいゆで野菜ができる二重構造になっています。じゃがいもの加熱時間の目安は約2分30秒です。じゃがいもだけでなく、大根や人参、かぼちゃ、ブロッコリーなど様々な野菜を蒸すことができます。
Most Popular
中が茶色いじゃがいもは食べられる?空洞や輪になってる場合は?
食品事典
大根は中身が茶色に変色しても食べられる?原因と対処法を解説
食品事典
ハンバーグが固くなる原因と柔らかく作るコツを徹底解説
食品事典
スカスカなかぶは食べてOK?スが入る原因は?
食品事典
麻婆豆腐が辛い時に甘くする方法。おすすめの調味料や食品は?
食品事典
冬におすすめの天ぷら具材36品。冬野菜や冬が旬の魚介類を紹介
食品事典
トマト缶は一缶でトマト何個分?サイズ別に解説
食品事典
エリンギが水っぽい...食べられる?濡れてる原因と対処法は?
食品事典
里芋は生で食べられる?生食のメリットと注意点を解説。
食品事典
舞茸の茹で時間は何分?正しい茹で方&下処理を解説
食品事典