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ジェラートとアイスクリームの違い|製法や成分が違う?

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ジェラートとアイスクリームの違い|製法や成分が違う?

ジェラートとアイスクリームはどちらも乳製品などの原料を凍らせて作る冷たい菓子です。ジェラートとアイスクリームの違いは何なのだろうと疑問に思ったことがある方も多いかと思います。本記事はジェラートとアイスクリームの違いを解説します。

ジェラートとアイスクリーム同じもの?

ジェラートはイタリア語で「凍った」という意味があり、イタリアではジェラートを含むアイスクリームやジェラートなどの冷菓全般を指します。アイスクリームも広い意味ではジェラートと同じように冷菓全般を指す言葉で、言葉の意味としてはジェラートとアイスクリームは同じものです。

しかし、日本では凍った菓子について食品衛生法に基づく厚生労働省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)で、乳固形分などの分量によって下記の通り分類されるためジェラートとアイスクリームは分類が異なります。

  • アイスクリーム...乳固形分を15%以上含み、うち乳脂肪分が8.0%以上のもの。

  • アイスミルク...乳固形分10.0%以上含み、うち乳脂肪分が3.0%以上のもの。

  • ラクトアイス...乳固形分3.0%以上含むもの。

  • 氷菓...乳固形分3%未満のもの。

ジェラートの脂肪分は4%〜5%であり、日本の定義ではアイスミルクに該当します。それぞれに異なる特徴をもちます。

出典:一般社団法人日本乳牛協会

ジェラートとは

ジェラートとは、イタリアのフィレンツェ発祥の冷菓です。

イタリアはジェラートの他にもグラニータと呼ばれる氷菓発祥の地としても有名です。ジェラートはグラニータと同じくイタリアの住む人にとって夏には欠かせないもので、「ジェラテリア」と呼ばれるジェラート専門店が多く立ち並んでいます。

日本ではデザートとして食べられることが多いですが、ブリオッシュと呼ばれるパンにジェラートを挟んで朝食に食べることもあります。

原料・製造方法

ジェラートは、基本的に牛乳などの乳製品をベースに果物やコーヒー、チョコレート、ピスタチオ、野菜など材料を加えて作り、本場イタリアのジェラテリアでは、基本的に店舗で製造したものを販売しています。

ジェラートは、原材料を混ぜ合わせた後高機能ミキサーに入れて、空気を混ぜ込みながら撹拌(かくはん)し冷却するという方法で作られます。

上述したように乳固形分を4%〜5%含み、アイスミルクに分類されます。ただし、日本のアイスミルクには濃厚な味わいに近づけるためにヤシ油や菜種油などの植物油を加えていることが多いのに対して、ジェラートは植物油脂を加えることがないという違いがあります。(ピスタチオなどのナッツ類は、風味づけの目的で使われています)

また、場合によっては乳製品を入れないこともあるため「アイスミルク」ではなく「氷菓」に分類される場合もあります。

ジェラートは乳固形分の含有量が少ないため、アイスクリームと比較してさっぱりとしているのが特徴です。さっぱりとしていながらも、しっかりとしたミルクの自然な美味しさが活かされており原材料の風味を楽しむことができます。

空気の含有量(オーバーラン)

ジェラートやアイスクリームは製造過程で材料を撹拌する際に空気が含まれ、空気の含有量のことを「オーバーラン」といいます。

ジェラートのオーバーランは20~40%でアイスクリームと比較して少ないのが特徴です。そのため密度が高くなり濃厚でねっとりとした形状になります。

温度

空気の含有量が少ないジェラートは、だいたい-8℃~-10℃が食べごろの温度となり、店舗で購入する場合もアイスクリームと比較して高めの温度で保管され柔らかい状態で提供されます。

カップなどに入ったコチコチに冷凍された状態で購入した場合は、冷凍庫から取り出した後柔らかくしてから食べるのがおすすめです。

カロリー

ジェラートのカロリーは、フレーバーによっても異なりますが、最もオーソドックスなバニラ(100g)は約184kcalで糖質量は約24gとなります。

アイスクリームと比較して乳固形分が少ない分カロリーは少なくなりますが、チョコレートやキャラメルなどフレーバーによっては200kcalを超えるものもあるため、ダイエット中の方はカロリーが低く糖質量の少ないフレーバーを選ぶと良いでしょう。

アイスクリームとは

アイスクリームとは、牛乳や乳製品などを凍らせて作る冷菓です。

アイスクリームの原形は、冬に採取した雪や氷を保管していた貯蔵庫の雪や氷に蜜や果汁や果肉などを混ぜて作った冷たい飲み物だといわれています。これがシャーベットの元となり、イタリアで広く広まった後、フランスなどでも食べられるようになり、次第に乳成分を原料に作るアイスクリームに発展していきました。

原料・製造方法

アイスクリームは、牛乳や生クリームなどの乳製品に鶏卵や砂糖などの糖類、乳化安定剤を加えて作ります。

メーカーによって製造方法は異なりますが、基本的には牛乳などの乳製品に鶏卵や砂糖などの糖類、乳化安定剤を混ぜ合わせたベースミックスを約60℃に加熱し、均質機と呼ばれる物質を均一にする機械にいれて脂肪を分散させます。その後殺菌し、冷却した後に香料を加えて再び冷却し、冷凍します。冷凍は空気を入れながら撹拌する第一段階と、カップやコーンに充填したあと低温に凍結させる二段階です。

上述したように日本では乳固形分などの含有量によって、「アイスクリーム」「アイスミルク」「ラクトアイス」「氷菓」に分類され、アイスクリームは乳固形分15%以上、うち乳脂肪が8.0%含まれるように製造されています。

アイスクリームはジェラートと比較して乳固形を多く含むため、乳製品特有のコクと風味をしっかりと感じるまろやかで濃厚な味わいが特徴です。

空気の含有量(オーバーラン)

アイスクリームのオーバーランは60~100%です。つまり、アイスクリームの半分以上は空気であるということです。例えば、1Lの原材料に対してオーバーランが100%であれば完成したアイスクリームは2Lになります。

アイスクリームは空気を多く含むため、ジェラートと比較するとふわっと軽い口当たりでなめらかな形状になります。

温度

アイスクリームはジェラートとは異なり、-18℃以下の温度保管した固めの状態で提供されます。

しかしアイスクリームも実際は-8℃~-14℃のほどよく柔らかくなった状態が最も滑らかさを感じられる食べる温度とされています。固い状態でも食べることができますが、冷たさのほうが勝ってしまうため美味しく味わうには少し溶かしてから食べるのがおすすめです。

アイスクリームをあえて-18℃以下の温度保管した固めの状態で販売する理由としては、空気の含有量が多いという点があげられます。空気の含有量が多いアイスクリームは一度溶けてしまうと空気が抜けてしまいアイスクリームの特有の滑らかさが失われてしまいます。そのためちょっとした温度変化などで溶けてしまうと美味しさが半減されます。また、乳固形分を多く含むため食中毒などの観点からもあえて低温で販売しているものと考えられます。

カロリー

アイスクリームのカロリーはフレーバーやメーカーによっても異なりますが、バニラ(100g)で約200kcalで糖質量約20gとなります。ジェラートと同様にチョコレートやキャラメルなどフレーバーによってはもっとカロリーが高くなり糖質量も多くなります。

乳固形分を多く含むアイスクリームは、ジェラートと比較してカロリーも高くなり糖質量も多くなります。製品によっては糖質量が30gを超えるものもあります。これはご飯お茶碗いっぱい分食べるものと変わらない量です。ダイエット中の方は注意しましょう。