にんにくは様々な料理に幅広く使えますが、にんにくを切らしてしまっているときなどに代用品として使える野菜はあるのでしょうか。本記事ではにんにくの代用品になるものを紹介します。
にんにくと言えば、辛味と香りが強いのが特徴の野菜です。にんにくの辛味と香りは肉や魚の生臭さを軽減する効果がある他、食欲増進にも繋がり、薬味として使われたり様々な料理に幅広く使われます。
にんにくの辛味や香りの元になっているのは「アリシン」と呼ばれる成分です。にんにくのアリシンは、にんにくに含まれているアイリンと呼ばれる成分が、加水分解酵素であるアリイナーゼと結びつくことで分解され生成されます。また、にんにくにはアリルジスルフィド類(メチルアリルジスルフィド、ジアリルトリスルフィドなど)も含まれており、これらもにんにくの辛味や匂いの元となります。
にんにくの他にもアリシンが含まれている野菜は多くあり、これらの野菜はにんにくの代用品になります。
にんにくの芽は、にんにくの一部であるため同じ香りや風味が最もにんにくに近い食材であると言えます。特ににんにく風味の炒めものにしたいときなどは、にんにくの辛味や風味の代用になるだけではなくシャキシャキとした食感もプラスすることもできます。
にんにくの芽はにんにくの「花茎(かけい)」の部分を開花後に収穫したもので、別名「茎にんにく」とも呼ばれます。古くから中国料理でよく利用されており、食品としては緑黄色野菜に分類されます。
普段「にんにく」として食べているのは、鱗茎(りんけい)と呼ばれる養分を蓄えて肥大し球状になった白い部分です。にんにくは、収穫から時間が経つと自然と発芽葉が生えてきて、成長するとさらに花をつける花茎ができます。
しょうがもにんにくと同様に、特有の辛味や香りがあるのが特徴の野菜であるため、肉や魚の生臭さを軽減させたり食欲増進させたいときの代用品になります。ただし、厳密に言えば、にんにくがもつ辛味や匂いの成分としょうがの辛味や匂いの成分は異なるものなので、風味や味わいが変わってしまいます。
生姜が持つ辛味の元になっているのは「ショウガオール」です。ショウガオールは、しょうがに含まれている
「シンゲロール」と呼ばれる成分を加熱・乾燥させることで生成される辛味成分です。
匂いの元になっているのはジンゲロンと呼ばれるしょうがの独自成分です。匂い成分の一つですが、辛みはありません。胃液の分泌を促進させ、消化吸収をサポートする効果があります。また、強い殺菌作用もあるので、食中毒の予防に効果的です。夏バテに有効であると言われており、さらには発展途上国の乳児の大腸菌性下痢にも有効であると報告されています。
ネギには、にんにくと同じくアリシンが含まれているので、にんにくと似たような香りや辛味がありにんにくの代用品になります。
ネギには大別して根深ネギと青ネギの2種類があります。一般的に「長ネギ」と言われているのは根深ネギで、「白ネギ」とも言われます。上の部分は緑で下の部分が白くなっているのが特徴です。葉ネギは、細く緑色の部分が枝分かれしているのが特徴で、「青ネギ」とも呼ばれます。根深ネギと葉ネギのどちらにもアリシンが含まれていますが、根深ネギ(長ネギ)のアリシンの含有量は葉ねぎよりも多く、主に白い部分に多く含まれています。青ネギの方が辛味が少ないのはこのためです。
薬味として使う場合など、にんにくのようなピリっとした辛味を味わいたい場合は長ネギの白い部分で代用すると良いです。
ニラの辛味やツンとした匂いの元になっているのも、にんにくと同じくアリシンです。にんにくと全く同じになるわけではありませんが、料理ににんにくのようなアクセントやパンチがほしい時に細かく刻んで使ったり、炒め物に使うのにおすすめです。
よりにんにくの味に近づけたいという場合には「根ニラ」がおすすめです。根ニラは、ニラの青芽が地上に数センチ出た頃に収穫し、長く伸びた根を食べる根菜で、にんにくと非常によく似た香りをもちます。一般的なスーパーなどではなかなか販売されていませんが、手に入った際はにんにくの代用品として使ってみると良いでしょう。
玉ねぎのピリっとした辛味やツンと鼻につく匂いの元になっているのも、にんにくと同じくアリシンです。にんにくほどの辛味や匂いはありませんが、にんにくの代用品になります。
にんにくのような香りや辛味がほしいときは、繊維にそって切るようにすると良いです。玉ねぎの繊維を断ち切るようにして切る(繊維に直角に切る)と、アリシンが揮発し香りや辛味が軽減されてしまいます。
また、新玉ねぎは玉ねぎよりもアリシンの含有量が少ないです。にんにくの代用品にするのであれば一般的に販売されて使われている「黄たまねぎ」を使うと良いでしょう。
のびるは英名「wild garlic(野生のにんにく)」というように、香りがにんにくと似ていて、玉ねぎやニラに似た風味をもちます。みじん切りにして料理に加えると、にんにくのような香りと風味をつけることができます。
のびるはユリ科ネギ属の多年生草本で、畑や土手などに生えていることが多いです。にんにくと同じように白い鱗茎ができて、葉も食用にすることができます。ただし、時間が経つにつれて辛味が強くなり香りが悪くなるという特徴があるので、収穫したら早めに使いましょう。
黒にんにくは白にんにくの代用品になります。例えば、餃子を作るときの代用品として黒にんにくを刻んで入れたりすることができます。ただし、一般的に調理に使われることが多い白いにんにくとは風味などが異なるため、全く同じ味になるというわけではありません。
黒にんにくとは、その名の通り色が黒いのが特徴のにんにくで、白にんにくを特別な方法で熟成させて作られています。熟成させた黒にんにくのにおいは白にんにくと比較して弱く、実(鱗片)はドライフルーツのような甘みがあります。
そのため、黒にんにくを白にんにくの代用品として使うとにんにく特有の臭いや辛味がないため「パンチが足りないな」と感じる方も多いですが、にんにくは使いたいけれど口が臭くなるのは嫌な方などにおすすめです。
黒にんにくと白にんにくの違いはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
にんにくはなくても、にんにく調味料なら家庭に常備しているという方も多いのではないでしょうか。にんにく調味料でも十分ににんにくの辛味や香りを出すことができるので、代用することが可能です。
にんにくチューブは、すりおろしたにんにくをベースに作られている調味料です。にんにくをベースに作られているため、すりおろしたにんにくを使ったときと似た味わいになります。にんにくチューブで代用するときは、小さじ1杯(3cm程度)でだいたい1片分になります。
ただし、にんにくチューブは、一見にんにくをすりおろしたものをチューブに入れているだけのように見えますが、実は生のにんにく100%というわけではありません。メーカーによって異なりますが基本的にはでんぷん、ソルビトール、調味料、香辛料なども含まれています。そのため、生のにんにくのすりおろしとは味わいが異なります。
にんにくチューブは様々なメーカーが製造を行っており、スーパーやコンビニなどで販売されています。特にすりおろしたにんにくを使いたいときには、生のにんにくをすりおろすといった手間をかけずに手軽に利用することができるのでおすすめです。
ガーリックチップは料理ににんにくの風味をつけたいときやパンチを効かせたいときの代用品にピッタリです。
ガーリックチップは皮を剥いたにんにくをスライスして油で揚げたものです。サラダのトッピングなどにもよく使われます。ただし、油で揚げている分香ばしさもプラスされているため、すりおろしたにんにくの代用品にするのには向いていません。
ガーリックパウダーは、にんにくを乾燥させて粉末状にし、塩などを加えた調味料です。原料はにんにくですので、もちろんにんにくの代用品になり、料理ににんにく風味の味付けをしたいときなどに使われることが多いです。
ガーリックパウダーも一般的なスーパーで手軽に購入することができ、皮を剥いたり刻んだりといった手間をかけることなくどんな料理にもにんにく風味に仕上げることができるので非常に便利です。ただし、生のにんにくよりも香りは劣ります。だからといって入れすぎると、ガーリックパウダーには塩が含まれてるぶん塩味が強くなってしまいますので注意しましょう。
ガーリック入りドレッシングも、にんにくの代用品として料理に加えるとにんにく風味に仕上げることができます。一般的に使われる事が多いイタリアンドレッシングや、和風ドレッシングなどガーリック入りのドレッシングはたくさんあります。
中にはにんにくとオイルをベースに作っている「にんにくドレッシング」もあります。家庭にガーリック入りのドレッングがある場合はぜひ試してみてください。
ただし、ドレッシングにはお酢などのさまざまな調味料が加えられています。酸味が強いためにんにく風味にしたくても、料理の味全体を損ねてしまうことがあります。ドレッシングを代用品にする場合は、パスタソースや炒めものなど酸味を飛ばせる調理法がおすすめです。また、ガーリックパウダーと同じように塩味もあるため塩加減を上手く調節しましょう。
一般的にはにんにくを使う料理で、にんにくがないときにどのように代用すればよいのか解説します。
唐揚げは、にんにくなしで美味しく作ることができます。
にんにくを入れなくても、生姜を入れれば鶏肉の生臭さを軽減し爽やかな風味を与え、食欲を増進させてくれます。生姜にもピリっとした辛味があるので、にんにくを入れないとパンチが足りないのでは...と心配な方はにんにくを入れない分気持ち多めに生姜を入れると良いでしょう。
また、黒胡椒をかけても良いです。
ペペロンチーノを作りたいときに、にんにくがない場合はにんにくチューブがおすすめです。分量は一人分の場合、大さじ1程度です。にんにくチューブを使っても簡単に本格的なペペロンチーノを作ることができます。
ペペロンチーノを食べたい!と思っても友人に会う約束をしているときなどは、食べるのをためらってしまいますよね。そんなときは、にんにくを入れなくても美味しいペペロンチーノを作ることができます。にんにくを入れない場合は、鷹の爪を多めに入れるなど辛めに仕上げるのがおすすめです。また、にんにくを使わない場合は、昆布だしなどの旨味を加えるとより美味しくなります。
アヒージョを作る時の代用品には玉ねぎや生姜、ノビルなどがおすすめです。
また、アヒージョもにんにくなしでも美味しく作ることができます。例えばエビなどを入れた海鮮アヒージョをにんにくなしで作る場合は、牛肉をベースに作られた調味料であるブイヨンを加えると、旨味とコクが出て美味しくなります。
餃子も実はにんにくなしで美味しく作れてしまいます。餃子の発祥の地である中国では、餃子ににんにくを入れて作りません。餃子に入れないと物足りなさを感じてしまうような気もしてしまいますが、餃子を入れないにんにくは素材の味をしっかりと楽しむことができます。
生姜焼きを作るときに生姜をきらしてしまっていたら、生姜と同じく肉の生臭さを軽減する効果があるにんにくで代用することができます。生姜焼きとはまた違った味わいにはなりますが、にんにくの香りが食欲をそそる一品になります。おかずとして最適なので、ぜひ試してみてください。
カレイの煮付けなど煮付けを作る際に生魚の臭みを軽減するために生姜が使われることが多いですが、生姜がないときはにんにくで代用することが可能です。
にんにくで代用するときは、刻んだにんにくを魚と一緒に煮立たせた調味料に入れて煮込みます。にんにく風味のいつもとは違った煮付けの味を楽しむことができます。
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