太白胡麻油と太香胡麻油は、どちらもごまから抽出した植物油です。本記事では太白胡麻油と太香胡麻油の違いを詳しく解説します。
太白胡麻油(たいはくごまあぶら)と太香胡麻油(たいこうごまあぶら)は、食用油などの製造・販売を行っている竹本油脂株式会社が登録商標している製品です。
どちらもごまから抽出した植物油の一種ですが、製造方法が異なります。
太白胡麻油は、選別した生の状態のごまに圧力をかけて油を抽出しています。
これを圧搾式製法といいます。圧搾式製法は化学溶剤を使わずに圧力だけで油を抽出するのが大きな特徴で、中でも「玉締め圧搾法」と呼ばれる圧搾式製法は、機械でゆっくりと手間をかけ自然に近いかたちで抽出するため栄養価が非常に高くなります。
生のごまから抽出した油はアクやエグミ、青臭さなどの成分を取り除くため脱色・脱臭を行い、さらに不純物を取り除くために約2週間かけて丁寧にろ過・静置を3回繰り返した後に瓶に充填されて販売されます。
「太白胡麻油」の「太白」は古代中国における金星の呼び名で、品質とおいしさに磨きをかけて作られた最高品質のごま油を光り輝く金星にちなんで「太白胡麻油」と名付けたそうです。
太香胡麻油は選別したごまを軽く焙煎した後、太白胡麻油と同じく圧搾式製法により油を抽出しています。
焙煎したごまから抽出された油は、不純物を取り除くために約2週間をかけて丁寧にろ過・静置を3回繰り返した後、瓶に充填され販売されます。
圧搾式製法によってごまから油を抽出しているという点は太白胡麻油と同じですが、ごまを焙煎していることや、脱色・脱臭を行っていないという点が異なります。
一般的に「ごま油」や「焙煎ごま油」「低温焙煎ごま油」などの製品名で販売されているごま油も、太香胡麻油と同様に焙煎したごまから抽出していますが、抽出方法は圧搾式製法ではなく抽出製法であることもあります。抽出製法は、ヘキサンなどの溶剤を溶かしてごまから油を抽出する方法です。
「太香胡麻油」と名付けられた由来は不明です。
出典:竹本油脂株式会社
太白ごま油は生のごまから油を抽出した後脱色・脱臭し、さらに精製・ろ過しているため色は透明に近く、ごま特有の香りやクセがなくすっきりとした味が特徴です。
その他の食材の風味や味を邪魔することがないので、幅広く使うことができます。
太香胡麻油は一度焙煎したごまから油を抽出しているため、色は黄金色です。軽く煎っているだけなので一般的に「焙煎ごま油」として販売されているごま油ほど濃い茶色ではありません。
ごま特有の香りやクセがない太白胡麻油に対して、太香胡麻油はごま特有の上品な香り立ちがするのが大きな特徴です。
ごま特有の香りがない太白胡麻油は、料理をはじめ食用以外にも幅広く使えます。
太白胡麻油はごま特有の香りや風味がしないため、食材の味を邪魔することなくカラっと揚がり、サラダ油で揚げるよりも栄養価を高めることができます。
また、揚げ油として使われることが多いサラダ油などの一般的な油は、高温で加熱すると空気中の酸素と反応し酸化してしまい劣化してしまうため繰り返し使うと嫌な匂いを発生することが多いのですが、太白胡麻油は酸化しにくいため揚げ油として繰り返し使っても嫌な匂いが発生しません。
ただし、揚げ物をするためには大量の油が必要です。サラダ油などと比較して太白胡麻油は高価であるため、サラダ油と合わせて使っても良いでしょう。
太白胡麻油は、ドレッシングとして野菜にかけるとコクと甘みをプラスすることが出来ます。太白胡麻油をそのままかけるだけでも良いのですが、乳化性が良いためレモン汁などを加えても失敗することなくお好みのドレッシングを作ることができます。
太白胡麻油は、香りが少なくうま味が強いためオイル漬けにも適しています。例えば、煮詰めた牡蠣など食材を保存容器に移してから、たっぷりと太白胡麻油を入れて2日〜1週間ほど漬け込むだけで簡単にオイル漬けを作ることができます。
太白胡麻油は、バターと同様にクッキーやケーキ、マフィン、カステラなどの焼き菓子やフォッカチャなどのパンを作ることもできます。
固形で使うときに常温に戻したり溶かす必要があるバターに対して、太白胡麻油は液体油脂であるため溶かす下準備不要で使いやすいという利点があります。また、焼き上がりは油っぽくなりにくく時間がたってもふわふわしっとりとした状態を保つことができます。
乳製品アレルギーでバターが使えない方の代用品としてもおすすめです。
ごま油には抗酸化作用をもつゴマグリナンなど様々な成分が含まれているため、老化防止や疲労回復、美容若返り、精神の安定といった効果が期待でき、毒出しをするものの中でもっとも優れているといわれています。太香胡麻油などの焙煎ごま油でも良いのですが、マッサージやヘアオイルには特に匂いの少ない太白胡麻油が適しています。
例えば、マッサージオイルとして使う場合は、人肌に温めて暖かい場所で全身マッサージし、その後15分程時間をおいてシャワーを浴びたり半身浴をします。一度太白胡麻油を温めることでサラサラとした状態になるため身体への浸透性がアップします。マッサージオイル以外にもヘアオイルやスキンケア、口腔ケアにも使うことができます。
ただし、あくまでも食用に作られているものであるため肌に合わないなど異常が見られる場合はすぐに使用を中止してください。
太香胡麻油はごま特有の香りや風味を活かし、中華料理や和食やときには洋食などを作るときに万能調味料として使うことが多いです。
野菜炒めを作るときなどの炒め油として使うと、ごまの香ばしい風味が出てより美味しくなりますし、サラダ油よりも栄養価が高いため健康的です。中華料理はもちろんのこと、きんぴらごぼうなどの和食を作るときにも適しています。
太香胡麻油は風味や香りを引き立たせるために使うのはもちろん、和え物などの味付けにほんの少し加えることで、香ばしい香りが食欲をそそる一品にすることができます。
また、コクと風味のバランスが良く様々な調理方法に合うため、唐揚げを作るときなどの下ごしらえや隠し味として使われることも多いです。
その他、無限ごま油鍋など鍋やスープの味付けにも適しています。
太白胡麻油の栄養成分やカロリーは、文部科学省の食品成分データーベースなどにも記載がないため不明ですが、原料は焙煎したごまから抽出している太香胡麻油などと同じ「ごま」であるため、栄養成分やカロリーはほぼ同じであると考えられます。
焙煎ごま油100gに含まれる栄養成分は下記の通りです。
たんぱく質…0g
脂質…100g
炭水化物…0g
ビタミンE…0.4mg
ビタミンK…5μg
ナイアシン…0.1mg
カルシム…1mg
リン…1mg
鉄…0.1mg
セレン…1μg
クロム…1μg
オレイン酸…37000mg
リノール酸…41000mg
α-リノレン酸…310mg
太白胡麻油や太香胡麻油の主成分は、不飽和脂肪酸であるオレイン酸とリノール酸です。たんぱく質や炭水化物は含まれていませんが、ビタミン類やミネラル類、ゴマリグナンなどの栄養素を含んでいます。
100gあたりのカロリーは921kcalで、糖質量は0です。油脂ですので、100gあたりのカロリーが高いです。栄養価が高いといっても大量に摂取してしまうと太ってしまう原因になりますが、料理にごま油を料理に使うのはだいたい小さじ1〜大さじ1杯程度です。小さじ1(4g)は37kcal、大さじ1(12g)は111kcalですので、神経質になる必要はないでしょう。
太白胡麻油と太香胡麻油はどちらもごまを原料に作られている植物油であるため、お互いに代用可能です。
ただし、上述しているように太白胡麻油はコクを出すことができるものの、ごま特有の香りや風味やありませんので、香ばしさや風味を出すための味付けには不向きです。反対に、太白胡麻油を太香胡麻油で代用すると、ごま特有の香りが強く香ばしさが出るので料理の味を変えてしまうことがあります。
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