太白ごま油は、ごまを原料に作るごま油の一種です。スーパーなどで一般的に販売されていますが、普通のごま油と何が違うのだろう?疑問に思ったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事では太白ごま油の製造方法や使い方、栄養素、代用品など詳しく解説します。
太白ごま油(たいはくごまあぶら)は、ごまを原料に作るごま油の一種です。
ごまには大別して「黒ごま」と「白ごま」があります。太白ごま油の色から白ごまを使っていると思われがちですが黒ごまを使って作られていることもあり、多くは白ごまと黒ごまをミックスして使われています。
太白ごま油の製造方法はメーカーによって異なりますが、選別したごまから「圧搾式製法(あっさくしきせいほう)」または「抽出製法」により油を抽出した後、精製し抽出したごま油の色味や香りを取り除きます。精製したら、ろ過して精製したごま油内の不純物を取り除き、瓶やペットボトルに充填して完成します。
圧搾式製法は、化学溶剤を使わずに圧力だけで油を抽出します。中でも「玉締め圧搾法」と呼ばれる圧搾式製法は、機械でゆっくりと手間をかけ自然に近いかたちで抽出するため栄養価が非常に高くなります。
抽出製法は、ヘキサンなどの溶剤を溶かしてごまから油を抽出します。
太白ごま油は生のごまから油を抽出し、さらに精製・ろ過しているため色は透明に近く、ごま特有の香りやクセがなくすっきりとした味が特徴です。その他の食材の風味や味を邪魔することがないので、幅広く使うことができます。
また、原料でごまには「ゴマリグナン」という抗酸化作用がある成分が多く含まれているためサラダ油などと比較して劣化しにくいという性質があります。
さらに、太白ごま油は植物由来の油であるため動物由来の油とは異なりノンコレステロールです。揚げ物や炒め物に使うことでカロリーを低くすることができます。
太白ごま油は、マルホン胡麻油など食用油や界面活性剤の製造・販売を行っている「竹本油脂株式会社」が大正時代に料理人からの要望をうけて商品化したものです。
「太白」には古代中国における金星の呼び名で、品質とおいしさに磨きをかけて作られたごま油を光り輝く金星にちなんで「太白ごま油」と名付けたそうです。
出典:竹本油脂株式会社
「ごま油」と「太白ごま油」は製造方法が異なり、色や風味などに違いがあります。
太白ごま油は生のごまから油を抽出しているのに対して、ごま油はごまを焙煎してから油を抽出しています。抽出後の製造工程は太白ごま油と同じです。焙煎しているごま油は大別して「焙煎ごま油」と「低温焙煎ごま油」の2種類あります。
焙煎ごま油は、高温でごまを焙煎してから油を抽出しています。濃い茶褐色で、ごま特有の香りと風味が強い特徴があります。
低温焙煎ごま油は、低温でじっくりと焙煎してから油を抽出しています。焙煎ごま油と比較して透明感のある琥珀色で、ナッツのような優しい香りと甘みがあるのが特徴です。
太白ごま油と太香ごま油の違いはこちらの記事をご覧ください。
太白ごま油は、唐揚げなどの揚げ物を作るときの揚げ油として使うことができます。
ごま油ではごま特有の風味が強くなりますが、太白ごま油はごま特有の香りや風味がしないため食材の味を邪魔することなくカラっと揚がり、サラダ油で揚げるよりも栄養価を高めることができます。
また、揚げ物に使われるサラダ油などの一般的な油は高温で加熱すると空気中の酸素と反応し酸化してしまい劣化してしまうため、繰り返し使うと嫌な匂いを発生することが多いのですが、太白ごま油は酸化しにくいため揚げ油として繰り返し使っても嫌な匂いが発生しません。
ただし、揚げ物をするためには大量の油が必要です。サラダ油などと比較して太白ごま油は高価であるため、サラダ油と合わせて使っても良いでしょう。
太白ごま油を使って野菜炒めなどの炒め物を作ることもできます。
ごま油を使って炒めものを作るとごまの風味と香ばしさが強く出ますが、太白ごま油を使うと食材の持ち味を邪魔することなく豊かなゴマのコクが出てスッキリとした味わいになります。
太白ごま油は、香りが少なくうま味が強いためオイル漬けにも適しています。例えば、煮詰めた牡蠣など食材を保存容器に移してから、たっぷりと太白ごま油を入れて2日〜1週間ほど漬け込むだけで簡単にオイル漬けを作ることができます。
太白ごま油はドレッシングとしても使うことができます。
野菜にかけるだけでコクと甘みをプラスすることが出来ます。太白ごま油をそのままかけるだけでも良いのですが、レモン汁などを加えても乳化性が良いため失敗することなくお好みのドレッシングを作ることができます。
ごま油といえば炒め物などの料理に使うことが多いですが、バターの代用品としてクッキーやケーキ、マフィン、カステラなどの焼き菓子やフォッカチャなどのパンを作ることもできます。
固形で使うときに常温に戻したり溶かす必要があるバターに対して、太白ごま油は液体油脂であるため溶かす下準備不要で使いやすいという利点があります。また、焼き上がりは油っぽくなりにくく、時間がたってもふわふわしっとりとした状態を保つことができます。
太白ごま油は食用としてだけではなく、マッサージオイルやヘアオイルとして使うこともできます。
ごま油は毒出しをするものの中でもっとも優れているといわれており、ごま油には抗酸化作用をもつゴマグリナンなど様々な成分が含まれているため、老化防止や疲労回復、美容若返り、精神の安定といった効果が期待できます。一般的な焙煎ごま油でも良いのですが、マッサージやヘアオイルには特に匂いの少ない太白ごま油が適しています。
マッサージオイルとして使う場合は、人肌に温めて暖かい場所で全身マッサージし、その後15分程時間をおいてシャワーを浴びたり半身浴をします。一度太白胡麻油を温めることでサラサラとした状態になるため身体への浸透性がアップします。
ヘアオイルとして使う場合は、手にたっぷりの太白ごま油を取って地肌と髪に塗り、もむようにマッサージしたら頭をタオルで巻いて10分~30分程度置いてシャンプーで洗いながします。太白ごま油に含まれているゴマグリナンなどの成分が、地肌を柔らかく整えて抜け毛や薄毛の改善することができる他、頭皮マッサージをすることでシャンプーでは落としきれない毛穴の汚れや老廃物の排出を促進することができます。
太白ごま油は、スキンケアとしても使うことができます。太白ごま油を使うことで、毛穴につまった不純物を浮かせて肌を綺麗にすることができる他、高い保湿効果が期待できます。
目の周りなど皮膚の薄い場所は、あまり力を入れず優しくマッサージすることが浸透率を上げるのがポイントです。
ただし、あくまでも食用に作られているものであるため、肌に合わないなど異常が見られる場合はすぐに使用を中止してください。
オリーブオイルなど他の油と比較してベタベタしたり味や香りがないの太白ごま油は、口腔のケアにも適しています。うがいをするときに使っても良いですし、舌苔が気になるときは舌に塗ってしばらくおいてから舌ブラシを使うと舌苔が取れやすくなり、保湿剤にもなります。
太白ごま油の栄養成分やカロリーは、文部科学省の食品成分データーベースなどにも記載がないため不明ですが、原料は焙煎ごま油などと同じであるため、焙煎ごま油とほぼ同じであると考えられます。
焙煎ごま油100gに含まれる栄養成分は下記の通りです。
たんぱく質…0g
脂質…100g
炭水化物…0g
ビタミンE…0.4mg
ビタミンK…5μg
ナイアシン…0.1mg
カルシム…1mg
リン…1mg
鉄…0.1mg
セレン…1μg
クロム…1μg
オレイン酸…37000mg
リノール酸…41000mg
α-リノレン酸…310mg
焙煎ごま油や太白ごま油の主成分は、不飽和脂肪酸であるオレイン酸とリノール酸で、たんぱく質や炭水化物は含まれていませんが、ビタミン類やミネラル類、ゴマリグナンなどの栄養素を含んでいます。
100gあたりのカロリーは921kcalで、糖質量は0です。油脂ですので、100gあたりのカロリーが高いです。栄養価が高いといっても大量に摂取してしまうと太ってしまう原因になりますが、太白ごま油を料理に使うのは、だいたい小さじ1〜大さじ1杯程度です。小さじ1(4g)は37kcal、大さじ1(12g)は111kcalですので、神経質になる必要はないでしょう。
ゴマリグナンは、セサミンやセサモリン、セサミノール、セサモールといった成分の総称です。太白ごま油などのごま油のなかに約0.5~1%含まれているといわれています。ゴマグリナンには高い抗酸化作用があり、体内の活性酸素を取り除くことができるため、心血管疾患や生活習慣病の予防にも繋がるといわれています。
また、ゴマリグナンの中のセサミンは肝臓を守り、機能を高めます。さらにアルコールが分解される途中でつくられる毒素やアセトアルデヒドの生成もおさえるので悪酔いや二日酔いを防ぐ効果も期待できます。
ビタミンEは、美容効果の強い栄養素です。ビタミンEにも強い抗酸化力があり、シミやシワといった見た目の老化だけでなく血管などの体の内側の老化も防いでくれます。そのため若返りのビタミンとも呼ばれています。また、血液の流れを促進する作用もあるため、血行が良くなり冷え性の改善の効果も期待できます。
リノール酸は、植物油に多く含まれている 不飽和脂肪酸の一種で、体内で作ることができない必須脂肪酸のオメガ6(n-6)系の脂肪酸です。
リノール酸には血中コレステロールを低下させる作用があり、心臓病予防に繋がるといわれています。
太白ごま油は、イオンや業務スーパー、西友などの一般的なスーパーやコストコなどで購入することができます。サラダ油やごま油が陳列されている場所に置かれていることが多いです。
ただし焙煎ごま油ほど「必ず置いている」というわけではありませんので、店舗に確認してみてください。Amazonや楽天などのネット通販でも購入することができるので、近くに取り扱っている店舗がないという方はネット通販の利用がおすすめです。
「製菓用太白ごま油」という商品名で販売されていることもありますが、こちらは製菓用に使えることを明確にするための商品名であり、中身は太白ごま油と同じです。
太白ごま油の値段はメーカーによっても異なりますが、竹本油脂株式会社が製造・販売している「マルホン太白ごま油」は、450g994円、九鬼産業株式会社が製造・販売している「九鬼太白純正胡麻油」は600g945円で販売されています。コストコでは1650gで1850円と、大容量で安く購入できるため人気があります。
太白ごま油の賞味期限は製造メーカーによっても異なりますが、製造日から1年程です。
未開封・開封後どちらの場合も、直射日光の当たる場所や高温多湿の場所を避けた冷暗所で保存することができます。開封後は空気に触れることで酸化してしまい、どんどん劣化してしまうためしっかりと蓋をしめできるだけ早めに使い切りましょう。
基本的に4℃以下になると、白い沈殿物が発生したり固まってしまうため冷蔵庫での保存はおすすめできません。夏場など気温が高い季節は、温度6~8℃の野菜室に入れておくと良いでしょう。万が一沈殿物が発生したり固まってしまった場合は、軽く湯煎すると元の状態に戻ります。
大容量の太白ごま油を購入し長期で保存したい場合は「キュアリング」と呼ばれる加熱処理を行うことで長持ちします。キュアリングは、まず鍋にごま油を入れて90℃になるまで弱火で熱し、90℃になったら火を止めて予熱で100℃~110℃まであげます。温度が上がったら瓶などに移して蓋をします。高温になりすぎるとごま油の有効成分に影響が出てしまうため、しっかりと温度を計りながら行うことが大切です。
瓶ごと湯煎するだけでもキュアリングできますが、瓶ごと行う場合は加熱により中身が溢れてしまうことがあるため50cc程減らしてから加熱しましょう。
サラダ油は、太白ごま油とは原料が異なるため風味や栄養価に違いができますが、食用として使う場合は太白ごま油の代用品になります。ただし、マッサージオイルやヘアオイルなど食用以外に使うのには向いていません。なぜなら、太白ごま油とは異なり不純物が含まれているものが多いためです。
サラダ油は油菜や綿実、大豆、ごま、サフラワー、ひまわり、とうもろこしなどから抽出した植物油の一種です。
日本で開発された油で、低温でも結晶化しないという大きな特徴があります。マヨネーズやドレッシングを作るときなどに使われることが多く、「サラダに使える油」という意味で日清オイリオが「日清サラダ油」という名前で販売したのが始まりです。現在は日本農林規格(JAS規格)が定めている基準を満たしているもののみが「サラダ油」と表示して販売することを許されています。
アマニ油は、ドレッシングとして使う場合の太白ごま油の代用品になります。ただし、原料が異なるため風味などに違いがでます。アマニ油は太白ごま油とは異なり、熱に弱いため加熱しすぎると主成分であるα‐リノレン酸が酸化してしまうため揚げ油の代用品には向いていません。
アマニ油は、アマ科の植物である亜麻(あま)の種子から抽出した植物油の一種です。
亜麻は寒冷地で育つ植物であるため世界総生産の約3分の1から半分がカナダで作られており、日本では北海道でのみ栽培されているため日本で販売されているアマニ油の多くはカナダ産のものです。
肝油のようなしっかりとしたコクがあるのが特徴で、卵や納豆・アボカドなど食材や、ひじきなどの海藻類、しょう油などによく合います。上述したように熱に弱いため開封後は冷蔵庫での保存がオススメです。
エゴマ油もドレッシングとして使う場合の太白ごま油の代用品になります。ただし、原料が異なるため風味などに違いがでます。エゴマ油も主成分がα‐リノレン酸であるため熱に弱く、加熱しすぎると酸化してまうため揚げ油の代用品には向いていません。
エゴマ油はシソ科の植物である荏胡麻(エゴマ)の種子から抽出した植物油の一種です。
名前に「ゴマ」と入っているため「ごま油の一種」と思われることが多いですが、別の種類の植物から抽出した油です。実は古くから使われていた油で、菜種油(なたねあぶら)が普及するまでは日本で植物油と言えばエゴマ油であり、灯火にもこれが主に用いられていたといわれています。
エゴマ油はサラサラとしていて無味無臭、独特の風味などはありません。エゴマ油もアマニ油と同じようにドレッシングとして使ったり、豆腐にかけたりして食べることが多いです。
オリーブオイルは太白ごま油の代用品になります。ただし、太白ごま油とは原料が異なるため風味などに違いがでます。オリーブオイルはほとんど香りや風味がしない太白ごま油とは異なり、オリーブの香りが濃厚なものも多いため料理によっては味が全く異なってしまうことがあるので注意が必要です。
オリーブオイルは、モクセイ科の植物オリーブの果実から抽出した植物油の一種です。
透明に近い太白ごま油とは異なり、緑色でサラッとしています。太白ごま油と同じように高温に強く、加熱しても酸化しにくいという特徴があり、揚げ油として使ったり炒め物をするときに使うことができる他、レモンなどを加えてドレッシングとして使うこともできます。
米油も太白ごま油の代用品として使うことができます。ただし、太白ごま油とは原料が異なるため風味などに違いがでます。
米油は、玄米を精米する際に取り除かれる米ぬかと米胚芽から抽出した植物油の一種です。
ビタミンB群を中心としたビタミン類やカルシウムなどのミネラルなどの栄養素を豊富に含んでいる他、オレイン酸とリノール酸が理想的なバランスで含まれていて、なかでもビタミンEの含有量が植物油の中で最も多いといわれています。
太白ごま油と同じく加熱しても酸化しにくく、揚げ油に適しています。米油を使って揚げ物をするとカラッと揚がり冷めても美味しさが長持ちする他、鍋につくゴミやべたつく油汚れが少ないという特徴があります。
ニオイや味のクセがほとんどなく軽くてサラッとしているので、ドレッシングやお菓子づくりにもピッタリです。
焼き菓子やパンを作るときの太白ごま油の代用品には、バターが適しています。ただし、原料が異なるため風味などに違いがでます。
バターは、牛乳に含まれている乳脂肪を練って固めた乳製品です。
太白ごま油のようにあっさりとした風味にはなりませんが、バターを使うことで香ばしい風味が強くなります。ただし、バターを代用品に使う場合は使用の前に常温に戻したり、溶かしておくなど下準備が必要なことが多いので注意してください。また、乳製品アレルギーがある場合は代用品として使うことができません。
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