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玉ねぎが苦い原因と対処法とは?苦くない切り方は?

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玉ねぎが苦い原因と対処法とは?苦くない切り方は?

玉ねぎが苦いと感じることがありますよね。玉ねぎが腐っているわけではなく、苦味成分である「硫化アリル」が原因だと考えられます。玉ねぎの苦みや辛みを抑えるためには、切り方を工夫する必要があります。切ってしまった玉ねぎの苦みも様々な方法で取ることが可能です。

生の玉ねぎが苦い・辛い原因

玉ねぎが苦い、辛いと感じる原因は、玉ねぎに含まれる硫化アリルという成分にあります。硫化アリルには様々な種類があり、玉ねぎにはアリシンが豊富に含まれています。

空気に触れることで硫化アリル類の一部がアリシンに変化します。アリシンは10分で活性がピークになり、15分以上経つと血糖値を抑えるジスルフィドになり、30分以上経つと血栓予防効果のあるトリスルフィドに変化します。

アリシンは刺激や辛み、苦味、催涙性成分ですが、いくつかのメリットもあります。

アリシンは糖の代謝を促し、エネルギーを生み出すビタミンB1と結びついて吸収を助けその効果を持続させる働きがあります。ビタミンB1には疲労回復や滋養強壮に効果があります。

また、アリシンはビタミンB1と協力して、血糖値を正常に保つインスリンを分泌し血糖値の上昇を抑え糖尿病を予防します。コレステロール値の上昇も抑えるので、高血圧をはじめとする生活習慣病予防の効果が期待されています。

さらに、アリシンには抗酸化作用あるので、その点でも生活習慣病予防に役立つとされています。

そして、アリシンは血液が固まりやすくなるのを防ぎ血栓が出来ないようにする効果もあり、脳梗塞や心筋梗塞の予防にも役立ちます。不規則な生活習慣などで血流の流れが悪くなり、血栓ができやすくなった身体にとても大事な成分です。

アリシンは強い殺菌力があるので風邪予防にも役立ち、またアリシンの香りが食欲増進と消化吸収上昇の効果があります。夏バテの時期におすすめです。

苦くならない玉ねぎの切り方・すりおろし方

苦味・辛み成分を含む玉ねぎですが、切り方やすりおろし方を工夫することで、辛みや苦味を軽減することが可能です。

繊維を断ち切るように切る

苦味成分である硫化アリルは、玉ねぎの繊維を断ち切るようにして切る(繊維に直角に切る)ことで揮発(蒸発)し苦味が軽減されます。

繊維に沿って半分に切ったら、切った玉ねぎを90度傾けて玉ねぎの繊維が横になるように置いてから切ります。

素早く切ると細胞が壊れ苦味が出やすいといわれているため、ゆっくり切るようにしましょう。

できるだけ薄くスライスする

玉ねぎを切る時に、できるだけ薄くスライスする方が硫化アリルが揮発しやすくなります。また、硫化アリルが残ったとしても、薄く切った方が体積が小さいため苦味を感じにくいためです。

さらに、薄くスライスした玉ねぎは調味料やほかの食材とよく絡んで苦味を感じにくくなります。

包丁でカットしにくい場合は、スライサーなどを使うのもおすすめです。

切れ味の良い包丁で切る

切れ味の良い包丁で玉ねぎを切ると、苦味や辛みが出にくいといわれています。

反対に切れ味の悪い包丁を使うと、苦味が出やすいだけでなく味が劣ったり、涙が出やすいといわれています。ちなみに、硫化アリル(アリシン)は冷えると発揮されなくなるので、涙が出にくくなります。

ゆっくりすりおろす

玉ねぎを切る時と同じように、すりおろす際もゆっくりとすりおろすことが大切です。素早くすりおろしてしまうと、苦味が出やすいといわれています。

力を入れすぎず優しく円を描くようにすりおろすことがポイントです。

包丁と同様に、おろし器の切れ味も重要です。できるだけ切れ味が良いものを選びましょう。

レンジで加熱してすりおろす

すりおろす前に、電子レンジで玉ねぎを加熱することで、苦味を抑えることが可能です。硫化アリルは加熱することでも蒸発します。

皮を剥いた玉ねぎの頭の部分だけを切り落とし、耐熱容器に入れます。ラップをふんわりとかけて電子レンジ600Wで30秒〜1分ほど加熱します。その後、おろし器で優しく円を描くようにしてすりおろします。

玉ねぎの苦みを取る方法

すでに切ってしまったり、すりおろした玉ねぎの苦味を取る方法をご紹介します。

そのまま放置する

苦みの原因である硫化アリル類は揮発性が高いので、空気にさらすだけでも抜けていきます。直接食べると栄養価は高いですが辛すぎて、水にさらすと味は和らぎますが栄養が抜けすぎてしまうので、中間の「空気にさらす」がベストです。

みじん切りなどお好みの切り方で切って10分ほど放置します。

水や酢水にさらす

切った玉ねぎを10分ほど水や酢水にさらすことで、苦味がやわらぎます。水にさらす時間は約10分程度です。それでも苦味が残っているようであれば、水に漬ける時間を延ばします。酢水の場合は、水300mlに対して酢を小さじ1杯入れます。

水に浸すだけでも硫化アリル(アリシン)は水に溶けます。酢を加えると、硫化アリル(アリシン)が溶けるだけでなく、さらに酢の酸味が加わり、苦味や辛みをやわらげることができます。

ただし水にさらすと硫化アリルだけでなく、玉ねぎに含まれる水溶性ビタミンなどの栄養成分も流れ出してしまいます。

塩もみする

玉ねぎを塩もみすることで玉ねぎの水分が出て、それと同時に硫化アリル(アリシン)も流れ出るので苦みが軽減します。

スライス玉ねぎをザルに入れて、塩を適量(小さじ1杯程度)を振ってよく揉み込み、10分ほど放置します。その後しっかりと水洗いをし水けをキッチンペーパーで取ります。

塩水につけておくのもOKです。15〜30分ほど塩水にさらしておきます。ただし上記でもご紹介したように、水に漬けると硫化アリル以外の栄養素も流出してしまいますので注意が必要です。

<塩もみすると水分が出るのはなぜ?>

異なる物質同士の細胞の成分濃度が違うと、成分が薄い方から濃い方へと水が移動して、両方の濃さを揃えようとする力が働く。これを「浸透圧」という。玉ねぎを塩でもむと、玉ねぎの水分に塩が溶け濃い塩水ができ玉ねぎの外側の塩分濃度が高くなるため、濃度を調整しようと浸透圧が働き、玉ねぎの内側から水分が出てくる。

砂糖でもむ

「塩もみ」ではなく「砂糖もみ」をすることでも、玉ねぎの苦みを軽減することができます。

塩もみする時と同じように、スライスした玉ねぎに適量の砂糖をまぶして揉み込み、10分ほど放置します。その後、水洗いをして水けを取ります。

塩もみするよりも味がまろやかになるといわれています。

加熱する

苦味・辛み成分である硫化アリル(アリシン)は熱に弱い性質があるため、加熱することで苦味や辛みを抑えることができます。

スライスしたりすりおろした玉ねぎをフライパンで加熱するか電子レンジを使って加熱します。注意点は、加熱時間を長くしすぎないことです。特に電子レンジを使用する場合は、30秒〜1分程度を目安に加熱しましょう。これ以上加熱してしまうと、玉ねぎの食感が変わってしまいます。

レモンやりんごなどの果物を加える

玉ねぎの苦みを、他の食材や調味料でマスキングするという方法もあります。


すりおろした玉ねぎに、レモン汁やすりおろしたリンゴ、にんじんなどを加えます。果物や野菜の甘み・酸味が加わることで苦みが和らぎ、フルーティーな風味に仕上がります。特に玉ねぎドレッシングなどを作る際におすすめです。

加熱調理後に苦い場合は再加熱する

すでに調理した玉ねぎにまだ苦みが残っている場合は、再度熱して苦みが軽減されるかどうかを確認してみましょう。

上述の通り硫化アリルは熱に弱い性質を持つため、加熱することで苦みや辛みが和らぎます。

ポテトサラダなどあまり加熱したくない料理の場合は、電子レンジで少し加熱してみるとよいでしょう。

冷凍保存する

冷凍保存した玉ねぎは苦みを感じにくいといわれています。玉ねぎを冷凍することで細胞壁が壊れ、苦み成分が早く飛び出しやすくなります。

玉ねぎを冷凍保存する場合、みじん切りか薄切りにしてラップに包んで一度冷凍します。使用する際は自然解凍するか、お急ぎの場合は電子レンジで加熱してから調理しましょう。

玉ねぎには苦くない品種もある

玉ねぎには様々な品種があります。元々苦みが少ない品種がいくつかありますのでご紹介します。

新玉ねぎ

新玉ねぎとは、春に収穫された玉ねぎを、乾燥(貯蔵)せずすぐに出荷される玉ねぎのことを指し、美味しく食べられる時期は3月〜5月頃といわれています。

乾燥させないため水分を多く含み、みずみずしい食感を楽しむことができます。新玉ねぎには苦み、辛み成分であるアリシン(硫化アリル)が元々少ないため、普通の玉ねぎよりも甘みを感じます。水分量が多いため、長期保存には向いていません。

紫玉ねぎ(赤玉ねぎ)

主にサラダやマリネなど生食で食べられる紫玉ねぎ(赤玉ねぎ)は、一般的な玉ねぎと比べて苦みや辛み、刺激臭が少ないです。水分量も多いため、みずみずしい食感を楽しむこともできます。

紫玉ねぎ(赤玉ねぎ)は生でそのまま食べるのがおすすめですが、加熱しても食べることは可能です。ただし、赤玉ねぎに含まれるアントシアニンは熱に弱いといわれており、加熱することで鮮やかな色が抜けてしまい見た目が悪くなってしまいます。

紫玉ねぎ(赤玉ねぎ)を加熱して食べる場合、色移りが気にならないカレーなどにおすすめです。実際、インドでは紫玉ねぎ(赤玉ねぎ)が主流で、カレーにもよく使用されているそうです。

白玉ねぎ

白玉ねぎは、辛みを抑えるように品種改良されたもので春先に出回る玉ねぎです。辛みが少なくみずみずしい食感が特徴で、生食に適しています。

水分量が多いため、赤玉ねぎや新玉ねぎと同様に、貯蔵性は低いです。

サラダたまねぎ

サラダ玉ねぎは、7月下旬〜8月下旬のみに出荷される期間限定の玉ねぎです。黄玉ねぎに比べて水分が多く、苦みが少ないため、生食に適しています。

サラダに最適なことから「サラダ玉ねぎ(略してサラタマ)」と名付けられました。

ペコロス(小玉ねぎ)

ペコロスは「小玉ねぎ」ともいい、普通の玉ねぎを小さく栽培・収穫したものです。黄玉ねぎを密植して直径3〜4cmほどで収穫したものです。

普通の玉ねぎよりも苦みが少なく、煮崩れしにくいので、丸ごと煮込み料理やピクルスなどに使われます。

赤いペコロスもあります。

腐った玉ねぎの見分け方

新鮮な玉ねぎでも苦くて辛いものが多いですが、下記の特徴がある玉ねぎは腐っている可能性が高いので、食べずに処分するようにしましょう。

異臭がする

玉ねぎは元々ツンとする強い香りが特徴的ですが、腐敗が進んでいる玉ねぎはさらに臭いが強くなります。ガスのような臭いや、卵が腐った時のような臭いがする場合は玉ねぎが腐っている可能性が高いので、食べずに廃棄する方がよいでしょう。

茶色に変色している


玉ねぎを切ると一部だけが茶色く変色していることがあります。この場合は玉ねぎが腐っているため、変色している部分をしっかりと取り除いてから食べるようにしましょう。変色の範囲が広い場合は、食べずに廃棄しましょう。

触るとブヨブヨする

玉ねぎは本来固い野菜ですが、腐敗が進むと実がブヨブヨと柔らかくなってしまいます。玉ねぎは上部の中心部から傷み始めることが多いため、手で軽く触ってみて柔らかさを感じたら腐っている可能性が高いです。

玉ねぎを切ってみて一部のみがブヨブヨと柔らかくなっている場合は、その部分を取り除けば食べることができます。

玉ねぎ全体が柔らかく凹むような玉ねぎを食べるのは避けましょう。

茶色い汁が出ている

玉ねぎから茶色い汁が出ている場合、かなり腐敗が進んでいますので、食べずに廃棄しましょう。

白い汁が出る場合は腐っているわけではありませんので、食べることが可能です。

切ったら実がスカスカ

玉ねぎを切ったら、実が乾燥してスカスカになっていることがあります。この場合は腐っているというわけではありませんが、水分量がかなり減っていて食感や味が劣っていますので、食べずに廃棄する方がよいでしょう。

酸味を感じる

玉ねぎが腐っている場合は見た目や臭いなどで気づくことがほとんどです。腐っていることに気づかずに万が一食べてしまった場合、酸味を感じることが多いようです。

味が少しでも変だなと思ったときは、それ以上食べるのをやめて処分するようにしましょう。