ペコロスは「小玉ねぎ」ともいい、普通の玉ねぎを小さく栽培・収穫したものです。普通の玉ねぎよりも辛みが少なく、丸ごと煮込み料理やピクルスなどに使われます。赤いペコロスもあります。今回は、ペコロスと普通の玉ねぎとの違いについて詳しく解説していきます。
ペコロスと玉ねぎの最大の違いは球の大きさです。ペコロスは普通の玉ねぎと比較してサイズが小さく、別名「小玉ねぎ」や「プチオニオン」などとも呼ばれます。
普通の玉ねぎは、直径5〜12cmであることが多いです。大きい玉ねぎはずっしりと重く、300g程度ほどの重さがあります。
これに対しペコロスは、直径が3〜4cmとかなり小さいのが特徴です。片手に数個同時に持てるほどの大きさで、重さは1個15〜30g程度です。
基本的に、ペコロスと玉ねぎは同じ品種で栽培されることが多いです。
玉ねぎには様々な品種がありますが、その中でも最も流通している品種である黄玉ねぎを小さく収穫したのがペコロスです。
愛知県などではペコロス専用品種も使われています。また、アメリカ産とイタリア産の玉ねぎを掛け合わせて、新品種も開発されています。
玉ねぎの主な生産地は北海道です。北海道では、全国で採れる玉ねぎの内、約6割が北海道で生産されています。2021年の北海道の玉ねぎの収穫量は662,800トン(623,400トン)でした。北海道以外の生産地には、佐賀県(100,800トン)や兵庫県(100,200トン)、長崎県(32,600トン)、愛知県(26,900トン)などがあります。()内の数値は出荷量となります。
ペコロスの主な生産地は北海道と愛知県です。2012年のペコロスの出荷量は、北海道で146トン、愛知県で42トンでした。元々ペコロスの生産量の約7〜8割は愛知県知多市産でしたが、農家数の減少や、ペコロス自体の環境耐性の低下などが原因で生産量が低下しています。
出典:令和3年産指定野菜(春野菜、夏秋野菜等)の作付面積、 収穫量及び出荷量(農林水産省)
ペコロスと玉ねぎは、同じ品種で育てられることが多いということは上記でご紹介しましたね。ペコロスと玉ねぎでは、栽培方法が異なるのも大きな特徴です。
ペコロスは、黄玉ねぎを育てる時よりもさらに密植して栽培されます。密植とは、一定面積の土地に密に植えて育てることを指します。普通の玉ねぎは株間を10〜15cmにしますが、ペコロスは株間を3〜5cmと密度を高くして育てられます。したがって、ペコロスはプランター栽培やベランダ栽培など狭い場所でも育てやすいです。
また、ペコロスの栽培で使用する肥料は、普通の玉ねぎの栽培よりも少ない点もペコロスと玉ねぎ栽培方法の違いです。
ペコロスと玉ねぎの糖度が異なります。
ペコロスの糖度は11です。これはスイカの糖度と同じくらいで、それだけ甘みがあるということになります。
普通の玉ねぎの糖度は8〜9と、ペコロスよりも低いです。
ペコロスの旬は春〜夏または冬です。
北海道産のペコロスの旬は冬です。8月下旬〜翌年2月頃に収穫され3月頃まで出荷されます。愛知県産のペコロスの旬は春〜夏です。4〜6月頃に収穫され8月中旬頃まで出荷されます。
普通の玉ねぎの旬は春、もしくは秋です。
北海道産の玉ねぎの旬は春です。2月〜4月頃に種まきをし、8月〜10月頃に収穫をし9月〜翌年3月頃までに順次出荷されます。北海道以外の地域(兵庫県、佐賀県、愛知県など)産の玉ねぎの旬は秋です。4〜6月頃に収穫をし5月〜9月頃まで出荷されます。
上記で挙げた旬は出荷量が多い季節であり、ペコロス、玉ねぎはいずれも通年流通しています。したがって旬がないという見方もできます。
2021年のペコロスの1kgあたりの平均価格は652円でした。最も低価格だったのは4月(395円)で、高価格だったのは12月(1,131円)でした。これに対し、2021年の玉ねぎの1kgあたりの平均価格は113円でした。最も低価格だったのは4月(79円)で、高価格だったのは12月(182円)でした。1kgあたりの価格でみると、玉ねぎが圧倒的に安いのがわかります。
ペコロスの値段は、1袋100〜300円前後で、1kgあたり2,000円前後で販売されています。普通の玉ねぎは、品種や産地、栽培方法(有機など)により値段にばらつきがあり、1kgあたり500〜1,500円前後で販売されています。
玉ねぎはスーパーで常時販売されていますが、ペコロスは販売されていない場合もあるようです。
出典:類別・品目別検索(青果)東京都中央卸市場
ペコロスは形が小さいため煮崩れしにくいです。この性質を生かして丸ごとカレーやシチューなどの煮込み料理に使われます。また、肉料理の付け合わせとして用いたり、ピクルスやマリネなどでも使います。
玉ねぎは切り方によって煮崩れしやすくなりますが、ペコロスと同じように煮込み料理や炒め物、ピクルス、マリネなどで使われます。
スーパーなどでペコロスを購入する際は、下記のポイントに注目してみましょう。
皮がよく乾燥していて傷がなくツヤがある
上部が細く締まっている
直径3〜4cm程度
ずっしりとした重さがある
発芽していないもの
ペコロスは、普通の玉ねぎと同様に保存性が高い野菜です。
常温保存するのが基本です。直射日光が当たらない風通しの多い室温が低い場所(冷暗所)で、ネットで吊るして保存するのが理想的です。野菜用ネットがない場合は、洗濯ネットやストッキング、紙袋でも代用可能です。通気性の悪いビニール袋に入れるのはNGです。
温度が上がる夏は、冷蔵保存する方がよい場合があります。一つずつキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて軽く口を締めます。キッチンペーパーで寒さから守ります。キッチンペーパーが湿ったら、取り替えるようにします。ポリ袋の口は完全に締めず、通気性を保つようにします。
ペコロスとよく混同される野菜に「エシャロット」があります。ペコロスと同様、直径3cmぐらいのものが多いです。別名「ベルギーエシャロット」ともいいます。
エシャロットは玉ねぎの近縁種で、欧米や東南アジア地域で広く利用されています。ペコロスと比較すると紫やピンクがかった色をなしています。
エシャロットはイタリア料理やフランス料理に欠かせない野菜です。主材料というよりは香味野菜として使われることが一般的です。使い方ですが、みじん切りやすりおろしにしたエシャロットを炒めて、肉や魚などの臭味消しとして使ったり、ドレッシングやソースに入れたりします。
玉ねぎとにんにくの中間のような味で、甘みはありません。エシャロットがない場合は、玉ねぎとにんにくを7:3の割合で合わせて使うとよく似た風味になります。
エシャロットとよく混同される野菜に「エシャレット」があります。エシャレットは、生食用のらっきょうです。
らっきょうの一部の品種を軟白栽培(白く柔らかく育てること)し、若採りして葉つきのまま出荷されます。
エシャレットは和食の付け合わせやお酒のおつまみなどに用いられます。味噌や塩、マヨネーズなどと一緒に食すことで、さっぱりとした辛みや香りを味わうことができます。
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