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もやしの栄養は実はすごい?効能と効果的な食べ方を解説

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もやしの栄養は実はすごい?効能と効果的な食べ方を解説

栄養がないと思われがちなもやしですが、総合的に考えて「すごい」栄養のある野菜です。もやしの栄養と効能、効果的な食べ方を解説していきます。

そもそも「もやし」とは

「もやし」は植物名ではなく、豆や米、麦、野菜の種子を水にひたし、日光を遮断して発芽させた若芽の総称です。もやしは発芽させるという意味の「萌やす」が語源です。一般的にもやしと呼ばれているのはけつるあずきから作るブラックマッペと、緑豆から作る緑豆もやしを指し、大豆から作るもやしは豆もやしといわれています。

「スプラウト」は発芽野菜の総称で、もやしだけでなくかいわれ大根や豆苗なども属します。一般的にはブロッコリーやクレス、マスタードなどの種子を発芽させたものをスプラウトと呼びます。

もやしは水分が多く栄養がないと思われがちですが、水分量は他の野菜とさほど変わりません。抗酸化作用のあるビタミンCや、妊婦さんが積極的に摂取したい葉酸、整腸作用のある食物繊維などが含まれます。一度にたくさん食べられ、値段も安いので栄養学的に価値の高い野菜といえます。

もやしのビタミン・ミネラル類

ビタミンB1

日本人が不足しがちなビタミンB1がもやしには含まれています。

ビタミンB1は糖質がエネルギーに変換されるのをサポートする栄養素です。不足すると、体のだるさや倦怠感、足のむくみ、動悸の症状、太りやすくなったりします。また、糖質は脳や神経系のエネルギー源なので、ビタミンB1には精神を安定させる作用があるといわれています。

昔、日本人の主食は精白米ではなく玄米で、その玄米にはビタミンB1が含まれていたために、意識していなくても摂取することができました。しかし、昨今ではビタミンB1が豊富に含まれている米ぬかの部分が、精白米にする段階でほとんど取り除かれてしまいます。他にもお菓子やジュースなどの過剰摂取でビタミンB1は不足するとも言われているため、積極的に摂取したい栄養素です。

ビタミンB2

ビタミンB2は動物性食品に多いビタミンですが、植物性食品にもわずかに含まれています。ビタミンB2は脂質とたんぱく質の分解に働きます。ビタミンB1が糖質の代謝に作用するのに対し、ビタミンB2は特に脂質の代謝を助けます。そして細胞の再生を助けて成長を促し、健康な肌や髪つくり、目や口などの粘膜を守ります。「発育のビタミン」とも呼ばれており、発育促進や健康に欠かせない栄養素です。

ビタミンB2が不足すると、脂質が体内に蓄積されやすくなるため、太りやすくなり、ニキビが増える原因のひとつになります。

またビタミンB2は「甲状腺ホルモン」が分泌されることで、体内で働けるようになります。甲状腺の機能が低下してしまうと、ビタミンB2を補充しても生かしきれないことがあります。

葉酸

葉酸はほうれん草の葉っぱから発見されたビタミンB群のひとつで、ビタミンB12と一緒に正常な赤血球をつくるのに必要な栄養素で「造血ビタミン」とも言われいます。赤血球は約4ヶ月で生まれ変わり体内では常に新しい赤血球が作られています。

また、たんぱく質や核酸の合成を助け、細胞の新生や増殖に深く関わっています。細胞分裂が活発な胎児期に必須の栄養素で、特に妊婦の方は葉酸を十分に摂ることでおなかの赤ちゃんの発達異常を防ぐ効果があるといわれています。葉酸は水に溶けやすく、熱や光にも弱い性質があるので、茹でたり水洗いすることで含有量が減ってしまいます。そのため葉酸が含まれた野菜や果実は加熱せずに生野菜サラダや生搾りジュースで効率よく摂ることをおすすめします。

ビタミンC

もやしは発芽するときに豆にはもともと含まれていないビタミンCを生成します。

ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。

さらにビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
さらには抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。

多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。また喫煙者はビタミンCの消費が激しいので、一般成人の2倍は摂ることをおすすめします。

カリウム

カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。また心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。

カルシウム

体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨も新陳代謝を繰り返しており、古い骨を壊しては新しい骨をつくり、なんと1年間で20〜30%が新しい骨に生まれ変わっています。この骨の代謝にカルシウムは深く関わり骨の健康を保っています。
そのためカルシウムが不足すると、骨が弱くなり、やがて骨粗鬆症を招きます。ビタミンKがカルシウムの吸収を助けるので、一緒に摂取することで骨粗しょう症の予防も期待できます。

残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉などに広く存在し大切な情報の伝達を行っています。それによって血液中のカルシウム濃度が常に一定に保たれています。機能カルシウムはこの細胞内外の濃度の差を利用して、血液の凝固や酵素の活性化、ホルモンや神経伝達物質の放出をしています。さらには神経の興奮を抑え精神を安定させたり、筋肉を収縮させたりする働きもあり、筋肉のなめらかな動きをサポートしています。そのため、カルシウム不足でこむら返りを起こすことがあります。

鉄は赤血球のヘモグロビンの材料となり、酸素を運びます。このヘモグロビンですが、ヘムという赤い色素とグロビンというたんぱく質から成っており、赤血球が赤い色をしているのはこのヘモグロビンの色です。肺に取り込まれた酸素は、このヘモグロビンと結合して心臓に送られ、そこから全身へと運ばれていきます。そして、ヘモグロビンは酸素が届け終わると二酸化炭素と結びつき、また心臓を経て肺に戻っていきます。鉄を材料としたヘモグロビンは、体内でとても重要な役割をしているのです。

そのため、鉄が不足するといわゆる「貧血」になってしまうことがあります。また、鉄が不足するとヘモグロビンが作れなくなるため、体内が酸欠状態になってしまいます。そうすると様々な不調が出てきしまいます。特に脳は多くの酸素が必要で酸欠に弱いため自律神経のバランスが乱れたり、代謝が悪くなったりします。

鉄は吸収率が低いと言われていますが、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率をアップできます。もやしにはそもそもビタミンCが含まれていますので、鉄を摂取するうえでとても効率の良い野菜となります。

アスパラギン酸

アスパラギン酸は非必須アミノ酸のひとつで、その名の通りアスパラガスから発見されたアミノ酸です。もやしには、アスパラガスよりも多くアスパラギン酸が含まれています。

アスパラギン酸は酸味を含むうま味成分で、日本人が古くから重宝している醤油や味噌などの発酵調味料のうま味の正体だと言われています。

アスパラギン酸はうま味成分としてだけでなく、人の体調を整える働きもあります。疲労回復効果があることから医薬品や栄養ドリンクにも使われています。アスパラギン酸はカリウムやマグネシウムを細胞に取り込みやすくし、クエン酸回路を円滑に回すことで乳酸をエネルギーに変換して、疲労回復の働きをしています。さらには人間の体液のバランスを整えたり、アンモニアを解毒して肝臓の負担を減らす働きもあります。

また、新陳代謝を活発にし角質の水分を保持してくれるので、肌の保湿効果もあります。そのため化粧品にも使われています。

アミラーゼ

発芽時に糖質を分解する消化酵素アミラーゼも生成されます。アミラーゼはでんぷん(糖質)を分解する酵素の総称で、ジアスターゼとも呼ばれます。胃腸の働きを助けて消化吸収をうながすため、胃もたれや胸焼け、食欲不振などの改善に役立つといわれています。

食物繊維

食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、もやしの食物繊維はほとんどが不溶性食物繊維です。水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。

食物繊維は便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。

もやしの三大栄養素

大豆もやし100gあたり

  • エネルギー...29kcal

  • 水分...91g

  • たんぱく質...3.7g

  • 炭水化物...2.3g

  • 脂質...1.5g

  • 食物繊維...2.3g

もやし100gあたりの糖質は(炭水化物から食物繊維を引いた値)0gです。

もやしは、発芽や成長をしながら種子本来の栄養素以外の栄養素が生成されるという特殊な野菜です。

豆の部分にはタンパク質が豊富に含まれています。

もやしの栄養に関するQ&A

栄養がないといわれる理由は?

もやしは栄養がないと言われてしまうのは、90%以上が水分である点が大きいでしょう。ほとんどが水分ですので、必然的に食べても摂取できる栄養素は少なくなってしまいます。

しかし、ほとんどの野菜は90%以上が水分なので、もやしが特別「水ばかりの野菜」というわけではありません。

さらに、もやしにも水分以外は栄養成分がしっかりと含まれています。人間の体にとって重要な栄養素が多く含まれており、たくさん食べても太らず、さらには安く手に入れられることができますので、栄養学的に価値の高い野菜のひとつです。

種類によって栄養素は違う?

種類によって、栄養素の入っている割合は変わってきます。ほとんどの栄養素が大豆もやし、緑豆もやし、グラックマッペもやしのどれにも入っています。

たとえば大豆もやしには、トリプトファン、リジンなどが多く含まれています。リジンは大豆もやし100gに160mg含まれていますが、緑豆もやしには半分の81mg、ブラックマッペもやしにはさらに半分の43mgしか含まれていません。また、大豆もやしにはビタミンKも多く含まれていますが、緑豆もやしにはほとんど含まれておりません。

全体のバランスを見ても、大豆もやしが1番栄養価が高くなっています。

ダイエットに向いてる?

茹でたもやしの100gあたりのカロリーは、緑豆もやし12kcal、ブラックマッペ13kcal、大豆もやし34kcalで、ダイエットのことだけを考えると、緑豆もやしがいいでしょう。95%が水分で、100gあたりの糖質も1.3gと低くなっています。

腸内環境を整えてくれる食物繊維や、むくみの予防や解消となるカリウムも含まれているので、ぜひ食事にもやしを積極的に取り入れていきましょう。
ただ、1日の食事すべてをもやしにしてしまうと栄養素が偏ってしまいますので、バランスの良い食事を心がけましょう。

調理すると栄養素は変わる?

加熱したり茹でたりすることで減ってしまう栄養素はあります。
例えばカリウムは水に溶けやすい性質があり、茹でると葉菜類は50%以上が失われてしまいますが、ごぼうなどの根菜類は比較的損失が少なくなっています。さらにイヌリンなどの水溶性の食物繊維も水に溶けだしてしまいますが、熱には強いので、煮汁ごと食べられる料理や汁物がおすすめです。ごぼうに多く含まれるポリフェノールは熱に強く、加熱料理をしても損失はあまりしません。

逆にカルシウムと鉄は茹でると2倍になります。また、加熱することで消化がよくなるので、摂取できる栄養価が高まります。

部位による栄養の違いは?

豆が発芽し伸長する過程で、豆のもつカロリーは消費されます。その過程で大量に作られる栄養がビタミンCとアスパラギン酸で、栄養が多く集まっているのは豆と子葉の部分です。

また、食感が悪く取る人が多いヒゲ根ですが、食物繊維が多く、取ることでビタミンCの流失も増えてしまうので、栄養学的には取らないのがおすすめです。

保存すると栄養は減る?

もやしは袋のまま冷蔵庫で保存しても1日でビタミンCの30%が減少するという報告があります。水に浸けて冷蔵だと、ビタミンCは水溶性であるため3〜4日で8割も失ってしまいます。もやしは買ってきた日に使い切るのがベストです。

冷蔵保存する場合、もやしは低温を好むので、野菜室ではなくチルド室に入れます。チルド室を活用することで栄養を守りながら保存することができます。

さらに、冷蔵では3日で5割程失われるビタミンCが、冷凍なら1割程度しか失われません。ただし、冷凍すると食感が損なわれてしまうデメリットがあります。

もやしの効果的な食べ方・調理法

加熱調理は手早く

ビタミンCは熱に弱いので加熱料理をする際は手早くするようにしましょう。ただし、加熱するとかさが小さくなりたくさん食べられるメリットもあります。加熱方法としては、炒める・蒸す・レンジがおすすめです。

茹でる場合は、茹で時間を短くしましょう。水溶性の栄養素が水に溶け出してしまいます。もし茹でる場合はスープにして、流失したビタミンCも一緒に摂取できるようにするのがおすすめです。

価格が安くてたくさん食べられるのも嬉しい点ですので、栄養素をなるべく失わないように調理をしましょう。

たんぱく質と一緒に

ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。コラーゲンには肌に潤いをもたらす、丈夫な骨を形成する、丈夫な筋肉を形成する、関節の働きをよくするなど様々な効能があります。たんぱく質が豊富な食材には肉類や魚介類、卵、大豆などがあります。

ビタミンEと一緒に

ビタミンEはビタミンCと一緒に摂取すると、相加効果が得られます。ビタミンEには体内の脂質部分を活性酸素から守る抗酸化作用があります。このときにビタミンCがいることで、サビ取りをして疲れたビタミンEをもう一度復活させる効果があります。

また、もやしにはないβ-カロテンの野菜と組み合わせるのもよいでしょう。β-カロテンは必要な分だけ体内でビタミンAに変換されます。ビタミンA・C・Eはどれも抗酸化作用が強く、ビタミンエースといわれます。例えば、中華料理のレバニラ炒めなどは、栄養素の組み合わせがとても良い料理です。ニラにはβ-カロテン、もやしのビタミンC、レバーのビタミンEが一緒に摂取できます。

もやしのおすすめレシピ

最後にもやしのおすすめレシピを紹介します。

Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。

もやし卵炒め

超簡単もやしレシピ!ふわふわ卵とシャキシャキもやしの食感の違いをお楽しみください。もやしに含まれるビタミンCが卵のタンパク質がコラーゲンにします。さらに、ビタミンCは卵に含まれる鉄の吸収率をアップさせます。

もやし卵炒めのレシピ

もやしとニラのあんかけ丼

リーズナブルな食材でボリューミーなどんぶりに。やさしい味わいですがごま油がアクセントになり、ごはんが進みます。ニラでもやしにないβ-カロテンを補って。

もやしとニラのあんかけ丼のレシピ