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たけのこの栄養と効能、効果的な食べ方を解説

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たけのこの栄養と効能、効果的な食べ方を解説

たけのこはそこまで栄養価は高くないと思われがちですが、実際は三大栄養素もそれなりに含み、さらにカリウムやマンガンなどのミネラルがとても豊富な野菜です。他にも食物繊維やビタミンB群などを含みます。

たけのこの三大栄養素

可食部100gあたり(生のたけのこ)

  • エネルギー...30kcal

  • 水分...89.9g

  • たんぱく質...3.5g

  • 炭水化物...5.5g

  • 脂質...0.2g

  • 食物繊維...3.3g

三大栄養素とは炭水化物・脂質・たんぱく質を指します。野菜には少ないたんぱく質や炭水化物(糖質)が主成分です。

たけのこは栄養がなく風味と食感を楽しむ旬の野菜だと思われがちですが、三大成分は玉ねぎやキャベツと同程度含まれています。

特にたんぱく質が豊富です。
例えば、かぼちゃのたんぱく質は100gあたりたった1.6g、なすは1.1gです。トマトやきゅうりなど水分量の多い野菜はそれ以下です。
たんぱく質とは、人の体の15〜20%を占めている成分です。人の体の60%は水分で出来ているので、水分を抜いた半分がたんぱく質でできているということになります。筋肉や臓器、爪や髪や肌などを作っていて人にとってとても重要な栄養素です。このたんぱく質はアミノ酸が結合してできています。詳しいアミノ酸については後述しています。

たけのこのビタミン

ビタミンB1

たけのこには、日本人が不足しがちなビタミンB1が含まれています。

ビタミンB1は糖質がエネルギーに変換されるのをサポートする栄養素です。不足すると、体のだるさや倦怠感、足のむくみ、動悸の症状、太りやすくなったりします。また、糖質は脳や神経系のエネルギー源なので、ビタミンB1には精神を安定させる作用があるといわれています。

昔、日本人の主食は精白米ではなく玄米で、その玄米にはビタミンB1が含まれていたために、意識していなくても摂取することができました。

しかし、昨今ではビタミンB1が豊富に含まれている米ぬかの部分が、精白米にする段階でほとんど取り除かれてしまいます。他にもお菓子やジュースなどの過剰摂取でビタミンB1は不足するとも言われているため、積極的に摂取したい栄養素です。

ビタミンB2

ビタミンB2は動物性食品に多いビタミンですが、植物性食品にもわずかに含まれています。ビタミンB2は脂質とたんぱく質の分解に働きます。ビタミンB1が糖質の代謝に作用するのに対し、ビタミンB2は特に脂質の代謝を助けます。そして細胞の再生を助けて成長を促し、健康な肌や髪をつくり、目や口などの粘膜を守ります。「発育のビタミン」とも呼ばれており、発育促進や健康に欠かせない栄養素です。

ビタミンB2が不足すると、脂質が体内に蓄積されやすくなるため、太りやすくなり、ニキビが増える原因のひとつになります。

また、ビタミンB2は「甲状腺ホルモン」が分泌されることで、体内で働けるようになります。甲状腺の機能が低下してしまうと、ビタミンB2を補充しても生かしきれないことがあります。

ビタミンB6

ビタミンB6はたんぱく質の代謝や再合成に関わり、エネルギーや筋肉、血液などを作るときに必要な栄養素です。健康な皮膚や髪、爪、血液、粘膜を作っています。そのためたんぱく質を多く摂る人ほど必要な栄養素となっています。

また、アミノ酸の代謝を促し、アドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質の合成を助けます。さらには血中のホモシステイン値を防ぎ、認知症のリスクを軽減します。
他にも、免疫機能を正常に保ちアレルギー症状を緩和する効果や月経前症候群を軽減する効果もあると言われています。

ビタミンB2と一緒に摂取すると効果アップが期待できますので、ビタミンB2を多く含む卵や納豆、肉や魚などの動物性の食品と一緒に摂るといいでしょう。

ビタミンE

ビタミンEは抗酸化作用があります。体内の脂質が酸化するのを抑え、老化の予防をしてくれます。ビタミンEは血液中の悪玉コレステロールの酸化を抑える働きがあり、酸化によって進行してしまう動脈硬化の予防に役立ちます。さらにビタミンEは末梢血管の拡張させる働きがあるため、血行促進に繋がります。また副腎や卵巣の性ホルモンの分泌の調整にもビタミンEは関与しているので、生殖機能の維持にも役立ちます。

たけのこのミネラル

たけのこは特にミネラルが豊富で、様々なミネラルがバランスよく含まれています。

カリウム

カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。そのため、高血圧の予防になるミネラルの一つです。また心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。

またカリウムは水に溶けやすい性質がありますが、たけのこのカリウムは茹でてもあまり減らないのが特徴です。

マンガン

マンガンは各組織にまんべんなく存在している栄養素です。酵素の成分になり、骨の成長に関与したり抗酸化作用を発揮します。食事からの吸収率は1〜5%程度と低いです。また、鉄と似た経路で体内に吸収・利用されるため、食事に鉄の含有量が多い場合、マンガンの吸収率が下がってしまいます。基本的に様々な野菜や豆、穀類、海藻など植物性食品に含まれているため、日頃の食事で植物性のものを食べていれば不足することはありません。

セレニウム(セレン)

セレニウムはセレンとも呼ばれているミネラルで、肝臓や腎臓に存在しています。セレニウムは、活性酸素を分解する働きのあるグルタチオンペルオキシダーゼという酵素の生成に不可欠です。活性酸素は細胞の老化を進めてしまうため、セレニウムは老化予防に大事な成分です。またセレニウムは酵素の成分として甲状腺ホルモンの代謝やビタミンCの代謝にも関与していおり、健康に不可欠です。基本的にはレバーなどの肉類や魚介など動物性食品に含まれています。

亜鉛

亜鉛は主に皮膚や骨、肝臓、筋肉、眼球などに含まれています。亜鉛はほとんどがたんぱく質と結合した形で存在しており、酵素の構成成分として重要な役割を果たしています。たとえばたんぱく質やホルモンの合成、さらにはDNAの複製などにも深く関与し、細胞が新しくつくり替えられるときに不可欠のミネラルです。傷の治りを早くしたり、血糖値を下げるインスリンの材料になるなどの働きがあります。亜鉛が不足すると細胞の生成が滞るので、皮膚や骨の発育が遅れ、子供では成長障害を起こすこともあります。

さらに、味覚や嗅覚を正常に保つ役割もあります。さらには生殖機能にも深く関与し、男性ホルモンや女性ホルモンの生成に関わっていて、亜鉛が不足すると妊娠しにくくなると言われています。

また、加工食品には亜鉛の吸収を妨げる添加物が多く含まれているので、気をつけましょう。さらに亜鉛には毒性があり1日2g以上の大量摂取をすると急性中毒を起こすことがあります。

ヨード(ヨウ素)

ヨードは別名ヨウ素で、甲状腺ホルモンの主成分です。甲状腺ホルモンは、エネルギー代謝にも関わり新陳代謝を促します。
また、たんぱく質の合成にも関与しており、胎児や子どもの発育を促進させる働きがあり、とても大事なミネラルです。主に海藻や魚介に豊富で肉類は野菜にはあまり含まれませんが、たけのこに含まれています。

鉄は赤血球のヘモグロビンの材料となり、酸素を運びます。このヘモグロビンですが、ヘムという赤い色素とグロビンというたんぱく質から成っており、赤血球が赤い色をしているのはこのヘモグロビンの色です。肺に取り込まれた酸素は、このヘモグロビンと結合して心臓に送られ、そこから全身へと運ばれていきます。そして、ヘモグロビンは酸素が届け終わると二酸化炭素と結びつき、また心臓を経て肺に戻っていきます。鉄を材料としたヘモグロビンは、体内でとても重要な役割をしているのです。

そのため、鉄が不足するといわゆる「貧血」になってしまうことがあります。また、鉄が不足するとヘモグロビンが作れなくなるため、体内が酸欠状態になってしまいます。そうすると様々な不調が出てきしまいます。特に脳は多くの酸素が必要で酸欠に弱いため自律神経のバランスが乱れたり、代謝が悪くなったりします。他にも鉄が欠乏して貧血になると、酸素が不足し細胞の働きが落ちてエネルギーの産生が悪くなります。エネルギーの産生には鉄が大きく関わっているので、とても大事な栄養素となります。

また、ヘモグロビンには筋肉の働きで生じる老廃物を回収する働きがありますが、鉄が不足すると乳酸などの疲労物質が回収できず溜まってしまい、酸素不足と疲労物質のダブルパンチで疲れやすくなります。

鉄は吸収率が低いと言われていますが、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率をアップできます。

たけのこの他の栄養素

たけのこはたんぱく質が比較的豊富です。たんぱく質は様々なアミノ酸で構成されており、どれも旨み成分でもあります。

グルタミン酸

たんぱく質に含まれるアミノ酸は、グルタミン酸とアスパラギン酸です。グルタミン酸は体内で合成することが出来る非必須アミノ酸の一種で日本で最初に発見されたうま味物質です。
グルタミン酸は、脳の機能にダメージを与えるアンモニアを解毒してそれらを含む尿の排出を促進する効果があります。

また、グルタミン酸は興奮系の神経伝達物質として働き脳機能を活性化させるので、認知症予防の効果や、記憶力や学習能力を高める効果があると言われています。血圧を下げる効果があることもわかっています。

アスパラギン酸

アスパラギン酸は非必須アミノ酸のひとつで、その名の通りアスパラガスから発見されたアミノ酸です。アスパラギン酸は酸味を含むうま味成分で、日本人が古くから重宝している醤油や味噌などの発酵調味料のうま味の正体だと言われています。

また、アスパラギン酸はうま味成分としてだけでなく、人の体調を整える働きもあります。疲労回復効果があることから医薬品や栄養ドリンクにも使われています。アスパラギン酸はカリウムやマグネシウムを細胞に取り込みやすくし、クエン酸回路を円滑に回すことで乳酸をエネルギーに変換して、疲労回復の働きをしています。さらには人間の体液のバランスを整えたり、アンモニアを解毒して肝臓の負担を減らす働きもあります。
また新陳代謝を活発にし、角質の水分を保持してくれるので、肌の保湿効果もあります。そのため化粧品にも使われています。

チロシン

チロシンは、神経伝達物質の原料となる非必須アミノ酸の一種で、チーズから発見された成分です。苦味を感じる成分として、果物に多く含まれています。

チロシンにはうつ状態を改善する効果があります。チロシンには代謝や自律神経の調整を行う甲状腺ホルモンの材料にもなるため、脳を緊張状態にして集中力を高めます。逆に不足するとうつ状態を引き起こすこともあります。また髪の毛や皮膚の黒色色素であるメラニンの材料にもなるため、チロシンが不足すると白髪の原因にもなります。ただメラニンは人を紫外線から守る働きがありますが、増えすぎるとシミやそばかすが濃くなる原因にもなります。

さらにチロシンはストレスや疲労を緩和する働きがあり、慢性疲労症候群を改善する効果があります。

ロイシン

ロイシンは、ほとんどがたんぱく質に含まれている必須アミノ酸の一種で、主に筋肉の維持や増加に繋がるたんぱく質同化作用が強くなっています。ロイシンはたんぱく質の生成・分解を調整することで筋肉を維持しています。さらに栄養素によるたんぱく質の合成促進に深く関わっていると言われいます。そのため1日の必要量が必須アミノ酸の中では1番多くなっていますが、幅広い食品に含まれているため制限アミノ酸(必要量に対して充足率の低いアミノ酸)には当てはまりません。

筋肉を強化し、失わせないようにする性質があります。さらにインスリンの分泌を増加させる作用もあり、インスリンの分泌を促すことで、運動をする際の持久力や瞬発力を高めます。また運動後の筋肉の成長や修復、強化する効果もあるため、トレーニングする人にとってかなり重要な成分です。

食物繊維

食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、たけのこの食物繊維のほとんどが不溶性食物繊維です。

不溶性食物繊維は水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。

便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。他にも免疫やうつ病、脳とも関連があることが近年の研究で明らかになってきています。

また、食物繊維はお腹の中で膨らむため満足感が高く、先に食べることで他の食事の食べ過ぎを抑えることができます。

たけのこの栄養に関連するQ&A

えぐみの原因は?

たけのこのえぐみの原因はシュウ酸とホモゲンチジン酸です。シュウ酸はたけのこが生長して竹になるとなくなる物質です。ほうれん草やチョコレートにも多く入っていることで有名です。結石の原因になるので摂り過ぎ十分注意する必要があります。ホモゲンチジン酸は体に害はないとされています。たけのこを茹でるとアクが出てきますよね、これがえぐみの正体です。

ホモゲンチジン酸はアミノ酸の一種チロシンからなり、難水溶性です。水に溶けないことはないですが、なかなか溶けない厄介な物質です。皮の繊維を柔らかくする、水の温度をあげる、長く水につけることで溶解度を上げます。たけのこの下茹でにかなり長い時間がかかるのは、このホモゲンチジン酸が原因です。

たけのこのアク抜きの方法はこちらで詳しく紹介しています。

妊婦さんは避けるべき?

妊婦さんだからといって特に避ける理由ありません。たけのこには胎児や子どもの発育を促進させる働きのあるヨードも含まれているので、その点は妊婦さんにおすすめです。ただし、上記のえぐみ成分をなるべく摂りたくない人は避けた方がいいでしょう。

水煮筍は栄養ない?

水煮のたけのこは、栄養がないわけではありません。ほとんどの栄養素は生のたけのことは変わりません。
ただし、カリウムは水溶性であるため、茹でたり水につけておくと成分が溶け出してしまいます。そのためたけのこ100gに含まれるカリウムは520mgもあったのが、水煮することで6分の1ほどになってしまいます。

よく噛むから脳に良い?

結論から言うと硬ければYESです。たけのこは食物繊維が多く、噛みごたえのあることがあります。食物繊維が豊富だとしっかり噛まないと飲み込みにくいですよね。そのためよく噛む習慣がつき、あごを発達させます。また、あごの動きが脳への血流を盛んにし、脳細胞の働きを活発にするので、良い影響があるでしょう。

たけのこの効果的な食べ合わせ

カルシウムと一緒に

シュウ酸はカルシウムと結びつくことで、シュウ酸カルシウムとなり便として排出されます。それによって体内にシュウ酸が残るのを防ぎます。

また、たけのこの下ごしらえ(アク抜き)に米ぬかを使うことがおおいのですが、これも米ぬかに含まれるカルシウムがシュウ酸と結合して、たけのこから溶け出たシュウ酸が不溶化してたけのこの中に二度と戻らなくなるという効果があります。

糖質と一緒に

チロシンは糖質と一緒に摂ると吸収率がアップします。なので、たけのこを食べるときは、ご飯をしっかり食べたり、食後にフルーツを食べるといいでしょう。チロシンにはうつ状態を改善したり、白髪予防にもなります。
たけのこご飯は、理にかなっていることがわかりますね。たけのこの栄養をより体内に吸収してくれます。

ビタミンAと一緒に

たけのこには亜鉛が含まれますが、ビタミンAはその亜鉛の吸収を高めてくれます。そして亜鉛はビタミンAの働きを助けるため、相乗効果が期待できます。
抗酸化作用の効果アップが期待でき、筋組織の修復にも効果的です。ビタミンAが豊富な食べ物には、レバーやほうれん草、人参などがあります。

たんぱく質と一緒に

亜鉛はたんぱく質と一緒に摂ることでも、吸収されやすくなります。動物性たんぱく質の摂取量が多くなると、亜鉛の吸収率も上がると言われています。

また、たけのこに含まれるビタミンB6は、たんぱく質の代謝と深く関わっています。そのためたんぱく質を摂取するときにはビタミンB6も必要となるので、食べ合わせが良いです。

動物性たんぱく質は、主に肉類に含まれています。