3〜5月が旬のたけのこ。旬の時期のたけのこは香りや歯ごたえは最高のごちそうです。水煮になっているたけのこは便利ですが、生から下茹でして食べるたけのこは格別。ひと手間を惜しまずに、旬の味覚を楽しみましょう。
たけのこはアクやえぐみの多い野菜であるためです。アクやえぐみを取り除くのは味のためだけではなく、健康のためでもあります。
たけのこのアクの原因はシュウ酸とホモゲンチジン酸です。シュウ酸はたけのこが生長して竹になるとなくなる物質です。ほうれん草にも多く入っていることで有名です。結石の原因になるので摂り過ぎに十分注意する必要があります。ホモゲンチジン酸は体に害はないとされています。
たけのこの下ごしらえで米ぬかと赤唐辛子を入れるのは、先達の英知の結晶といえます。
シュウ酸は水溶性です。ほうれん草など柔らかい葉物は単体で茹でるだけでシュウ酸が水中に溶け出しますが、たけのこは硬い皮に覆われています。米ぬかの酵素は、たけのこの皮の繊維を柔らかくする働きがあり、シュウ酸が水中に溶けやすくなると言われています。酵素は加熱すると働きが弱くなるので、たけのこの下茹では水から茹でていきます。米ぬかを入れるとシュウ酸の溶け出しは7〜8倍に増え、残存量は1/2になるといわれています。他にも、アルカリ性の米ぬかはたけのこの酸化を防ぐ、アクの成分を吸着するなどの効用もあるといわれています。
また、米ぬかにはカルシウムも含まれます。シュウ酸はカルシウムと結合する性質があり、その結果水中に溶け出たシュウ酸が不溶化し、たけのこの中に二度と戻らなくなります。
ホモゲンチジン酸はアミノ酸の一種チロシンからなり、難水溶性です。水に溶けないことはないですが、なかなか溶けない厄介な物質です。皮の繊維を柔らかくする、水の温度をあげる、長く水につけることで溶解度を上げます。たけのこの下茹でにかなり長い時間がかかるのは、このホモゲンチジン酸が原因です。
赤唐辛子は辛味成分であるカプサイシンが、苦味やえぐみを感じづらくする作用があります。そのため、必須ではありません。
たけのこは皮付きのままゆでます。 皮の中に含まれている亜硫酸塩がたけのこの酸化を防ぎ、繊維を柔らかくするといわれています。
米ぬかがないときは、米の研ぎ汁、お米で代用することができます。どれも元はお米なので、同じ酵素をもちます。
それ以外では重曹を入れる場合もあります。重曹はアルカリ性なので、同じく繊維を柔らかくする効果があります。ただし、重曹特有の臭いが風味を損ねる可能性があるので注意しましょう。また、重曹は食品添加物の一種ですので、ケミカルアレルギーがある方は使用を避けましょう。
赤唐辛子はなくても問題ありませんが、あるとより苦味が気になりません。
下ごしらえとは直接関係ありませんが、たけのこは部位によって硬さと厚みが違うので特徴を活かした料理法が理想的です。
最も柔らかい穂先部分はお吸い物や和え物に、中央部は煮物や炊き込みご飯、木の芽和え、やや硬くて歯ざわり感の強い根元は炒め物や天ぷらなどとして料理できます。
まず、たけのこの皮を茎の方から2〜3枚剥きます。
剥いたら、たけのこはよく洗い土を落とします。たけのこの根元のぶつぶつが付いている部分は切り落とします。
次に、穂先を斜めに切り落としていきます。斜めに切ることで切り口の表面積が大きくなり、えぐみが抜けやすくなります。
そして、皮に縦に長く、ギリギリ身まで切らないように切り込みを入れます。上半分は皮が重なっているので深めに包丁を入れるのがポイントです。こうすることで、火を通りやすくなり、茹でたあとに皮が剥きやすくなります。
たけのこ(皮つきで1本約250g)2〜3本を鍋に入れ、かぶるくらいの水を注ぎ、米ぬか1/4カップと赤唐辛子1本を加えて強火にかけます。
沸騰したら中火(吹きこぼれない程度の火加減)にし、落し蓋をして1〜2時間ほど茹でます。途中水が減ったら水を加えます。浮いてくるので落し蓋をして絶えず水に浸かっている状態を保ちます。
竹串を使って、茹で具合を確認しましょう。このとき、根元に挿して竹串の入り具合を見ます。すーっと竹串が入れば茹で上がりです。そのまま茹で汁の中で冷まします。そうすることで、茹で汁に出たうまみがたけのこに戻ります。体に害のあるシュウ酸はカルシウムと結合して戻りにくくなっているので心配無用です。
茹でたたけのこが冷めたら、ぬかを洗い流して切り込みを入れた箇所から指を入れて皮を剥きます。
この写真のように、皮を剥くとたけのこの身が出てきます。大きいたけのこも皮が多く、可食部は意外と小さいのが特徴です。
さらに、穂先のまわりの柔らかい皮(姫皮)は食べられるので丁寧に剥がします。
皮を剥がしたたけのこはボウルに入れて、たっぷりの水で1〜2時間さらします。
最後に根元の黒い部分は苦味があるので、薄く削ぎます。
たけのこの下ごしらえは鍋で茹でるが一般的ですが、オーブンを使って簡単に火を通す方法もあります。
皮付きのまま洗い水けをとったら、オーブンの天板におきます。200℃で予熱し、30〜40分加熱します。
オーブンで下ごしらえした後は、根本を竹串などで刺してやわらかくなったか確認しましょう。そのまま冷まして、皮を剥きます。
茹でると二日かかる下ごしらえが、オーブンなら小一時間で済んでしまいます。オーブンで蒸し焼きにする方法は多少えぐみが残りますが、濃い味と香りが楽しめます。摂り過ぎなければそこまで心配する必要はありませんが、シュウ酸を避けたい方は茹でるようにしましょう。油を使った料理で使えばさらにえぐみが気にならなくなるので、揚げ物などにおすすめです。汁物や炊き込みご飯、煮物などには茹でたたけのこを使うのがおすすめです。
下茹でしたたけのこがすっぽり浸かるくらいの水を入れて密閉し、冷蔵庫で1週間ほど保存できます。水がにごらないように毎日水を取り替えるようにしましょう。大きな鍋でまとめて下茹ですれば、一度に食べきらなくても保存できます。
たけのこの冷凍保存の方法はこちらの記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Most Popular
中が茶色いじゃがいもは食べられる?空洞や輪になってる場合は?
食品事典
大根は中身が茶色に変色しても食べられる?原因と対処法を解説
食品事典
麻婆豆腐が辛い時に甘くする方法。おすすめの調味料や食品は?
食品事典
ハンバーグが固くなる原因と柔らかく作るコツを徹底解説
食品事典
スカスカなかぶは食べてOK?スが入る原因は?
食品事典
トマト缶は一缶でトマト何個分?サイズ別に解説
食品事典
冬におすすめの天ぷら具材36品。冬野菜や冬が旬の魚介類を紹介
食品事典
舞茸の茹で時間は何分?正しい茹で方&下処理を解説
食品事典
里芋は生で食べられる?生食のメリットと注意点を解説。
食品事典
エリンギが水っぽい...食べられる?濡れてる原因と対処法は?
食品事典