栄養価の高いグリーンピースですが、食べ過ぎるとどんな症状が懸念されるのか、解説していきます。1日どのくらいを目安に摂取すればよいかも紹介します。この記事は管理栄養士が監修しています。
グリーンピースには「レクチン」というタンパク質が含まれています。
生のままでグリーンピースを食べると、レクチンが体内に入り、下痢、嘔吐といった消化器症状を引き起こし、食中毒になる恐れがあります。大量に食べればそのリスクが上がります。
茹でたり炒めたりする調理法でしっかり火を通すと、レクチンが体内に影響することはないとされています。
出典:厚生労働省|白インゲン豆の摂取による健康被害事例について
グリーンピースには食物繊維が含まれています。食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、便秘・下痢の改善や腸内環境を整える際に、この2つのバランスが重要となります。
グリーンピースは大半が不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になりえます。
どのくらい摂取すると過剰摂取になるかの明確な数値はありませんが、摂取目標量については後述しています。
出典:
栄養学博士 新出真理 監修(2014)『第2版 くらしに役立つ栄養学』ナツメ社
グリーンピースは、糖質が多い野菜に分類されます。糖質が多い理由は豆類特有のでんぷんが多く含まれるためです。
グリーンピースの可食部100gのエネルギー量(カロリー)は76kcalで糖質は7.6gです。じゃがいもは59kcalで糖質8.4gですが、それよりもカロリーは高いです。グリーンピースは素揚げをすると、エネルギー量375kcalで糖質39.2gとなりさらにアップします。
特に揚げたグリーンピースは、食べ過ぎると肥満の原因となりますので注意が必要です。
出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)
グリーンピースに限った話ではありませんが、一つの食品のみを大量摂取すれば栄養が偏ります。
グリーンピースは免疫力アップや美肌効果が期待できるビタミンCや、抗酸化作用のあるβ-カロテン、腸内環境を整える食物繊維、人間に欠かせないエネルギー源であるタンパク質などが豊富に含まれます。ミネラル類もバランスよく豊富に含まれています。
しかし、グリーンピースにも含まれていない栄養素があります。例えば、ビタミンDやB12です。ビタミンDは骨の形成を助け、ビタミンB12は赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります。ビタミンDは、肉類や卵に多く含まれています。また、ビタミンB12はレバーや牡蠣、あさりやしじみなどの魚介類、海苔をはじめとする藻類に多く含まれています
また、同じ栄養素でも様々な食材から摂った方がよいとされているので、一つの食材だけを食べることは推奨されません。
出典:農林水産省「食事バランスガイド」
特定のビタミンはたくさん摂ると過剰症になってしまう場合があります。
ビタミンAは過剰摂取によって頭痛や筋肉痛、皮膚の乾燥や脱毛などの症状が現れます。しかし、野菜に含まれるβ-カロテンは必要量のみビタミンAに変換されるので心配いりません。
ビタミンCは大量摂取すると、吐き気や下痢、腹痛などが生じることがありますが、通常の食事でビタミンC過剰症になることは基本的にありません。ビタミン過剰症はサプリメントの過剰摂取などから引き起こることが多いです。
ビタミンKに関してはどのくらいの量で過剰症を発症するか、という研究報告は十分にされていないのが現状で、耐用上限量は設定されていません。しかし、食物からの摂取では尋常ではない量を食べない限り過剰症にはならないので、心配ありません。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。
塩や醤油、味噌を多く使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
グリーンピースの摂取目安量は定められていませんが、厚生労働省が発表している各栄養素などの摂取目標量などを基準に目安を把握することはできます。各栄養素も上限量は定められていないことが多いので、推奨量を目安に食べる量を決めるのがよいでしょう。
大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
グリーンピースは、緑黄色野菜に分類されます。他の緑黄色野菜と合算して、120g程度を食べるのを目安にするとよいでしょう。他の緑黄色野菜を食べることを考慮すると1日50g程度が無難といえます。
一般的な料理に使われるグリーンピースの量は、メニューにもよりますが1人分で50g程度です。
Filyで紹介しているグリーンピースごはんやカリコログリーンピースは、どちらも2人前で100g使用しています。
出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)
厚生労働省が発表してる日本人の食事摂取基準(2020年版)における、18〜64歳の食物繊維の1日あたりの摂取目標量は女性が18g以上、男性が21g以上です。キャベツなら2玉以上分の食物繊維です。
グリーンピース50gに含まれる食物繊維は3〜4gです(茹でるとやや増加します)。グリーンピースを50g食べると、1日に摂りたい食物繊維の20%程は摂取できることになります。残りは他の食材から摂るとよいでしょう。
食物繊維を多く含む食材には、玄米やとうもろこしなどの穀類、グリーンピースをはじめとした豆類、ごぼうやれんこんなどの根菜類、モロヘイヤなどがあります。
出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)
最後に、グリーンピースに豊富に含まれる栄養素・成分を解説します。
グリーンピースの栄養素の中で突出しているのは食物繊維で、野菜の中ではトップクラスです。適量摂取すれば体によい効果があります。日本人は食物繊維が不足している人が多いといわれています。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、グリーンピースの食物繊維は不溶性食物繊維です。水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させます。
また食物繊維は血糖値の上昇をゆるやかにしたり、コレステロールの吸収を抑制する働きがあります。
ただし、上述したように過剰摂取すると不溶性食物繊維は便秘を促すことがありますので注意しましょう。
グリーンピースはたんぱく質が豊富なのも特徴です。例えば、かぼちゃのたんぱく質は100gあたりたった1.6g、なすは1.1gです。トマトやきゅうりなど水分量の多い野菜はそれ以下です。
たんぱく質とはアミノ酸がいくつも繋がったもので、骨や筋肉、臓器など身体の主成分となります。また酵素やホルモンにもなり、体内の代謝や生体反応の調整に不可欠な成分です。
β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換されます。皮膚や喉など全身の粘膜を健康に保ち、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐことで免疫力をアップします。また、抗酸化作用もあるので、アンチエイジング効果や生活習慣病の予防効果が期待できます。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目や視力低下の抑制効果、他にも皮膚の健康維持に関与していることから乾燥肌やニキビ肌の改善など美肌効果も期待できます。
日本人が不足しがちなビタミンB1がグリーンピースには豊富に含まれています。
糖質がエネルギーに変わるときには酵素が働きますが、その酵素の働きを促す補酵素の役割を果たすのがビタミンB1です。糖質の分解をサポートし、体を元気にします。
また、糖質は脳や神経系のエネルギー源ですから、イライラを抑える作用もあります。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
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