1. Fily
  2. Food
  3. Encyclopedia
  4. 芽キャベツと普通のキャベツの違い。栄養や味、食べ方を解説

芽キャベツと普通のキャベツの違い。栄養や味、食べ方を解説

公開日

更新日

芽キャベツと普通のキャベツの違い。栄養や味、食べ方を解説

芽キャベツはまさにキャベツを小さくしたような見た目をしているため、大きく生長したらキャベツになると思っている方も多いようですが、同じキャベツでも実は品種が異なります。本記事では芽キャベツとキャベツの違いについて詳しく解説します。

芽キャベツとキャベツの違い①品種

芽キャベツとキャベツはどちらもアブラナ科の植物です。芽キャベツは、キャベツを小さくしたような見た目をしているため、「キャベツを大きくなる前に収穫したもの」「キャベツを置いておいたら芽キャベツが生えてくる」などと思っている方も多いようですが、実は同じアブラナ科の植物ではあるものの別の品種の野菜です。

芽キャベツ

芽キャベツは、べルギー原産のアブラナ科の野菜でキャベツの変種です。日本には明治時代(1868年頃)に伝わったといわれています。別名「子持ちかんらん」や「ひめかんらん」ともいわれます。

キャベツ

キャベツもアブラナ科の植物です。上述したように芽キャベツの元になっているのはキャベツです。

栽培当初のキャベツは現在のような葉が密に詰まってボール状になる結球性ではなく、葉牡丹のような形をしていました。現在の形になったのは紀元初めごろで、イタリアで栽培されはじめたのが始まりです。

キャベツが日本に伝わったのは19世紀半ばの江戸末期です。明治時代に様々な品種が入ってきたことにより本格的に日本でも栽培が始まり、大正時代にトンカツにキャベツを添えるようになったのを皮切りに広く食べられるようになりました。

芽キャベツとキャベツの違い②結球する場所

芽キャベツ

芽キャベツは茎が長く伸び、茎の側面から伸びる「わき芽」と呼ばれる部分が結球します。

茎の側面からは一つではなくいくつも脇芽ができて結球するので、一つの株から50個ほど収穫することができます。わき芽は茎から切り取るように収穫され、一般的にはパック詰めや袋詰めにされて販売されますが、まれに茎がついている状態で販売されていることもあります。

キャベツ

キャベツは芽が伸び「頂芽」と呼ばれる部分が結球していき大きな塊となります。一つの株からいくつも採れる芽キャベツとは異なり、キャベツは1玉です。

トマトとミニトマトのように大きさが異なるだけだと思っている方も多いようですが、芽キャベツとキャベツは大きさだけではなく結球する場所が異なるのです。

芽キャベツとキャベツの違い③大きさ

芽キャベツ

芽キャベツの大きさは3cm~4cmで、重さは15g〜20g程です。まさに一口サイズ。大きさはキャベツよりも小さいものの、キャベツと同じようにしっかりと結球していて、カットしたときの断面もキャベツとそっくりです。

キャベツ

キャベツの大きさは品種によっても異なりますが、S・M・L・2L・3Lの5階級に分けられています。重さは平均のLサイズで1kgとなり、芽キャベツの60倍以上大きいです。

芽キャベツとキャベツの違い④味

芽キャベツ

芽キャベツは非常にアク(苦味やエグみを感じさせ料理の味を落としてしまう成分の総称)が強い野菜で、生で食べると苦味を強く感じます。

芽キャベツの見た目はキャベツと似ていますが、小さいキャベツだと思って食べてしまうと全く違う味に驚いてしまうでしょう。

キャベツ

苦味が強い芽キャベツに対して、キャベツはクセがなくみずみずしいシャキシャキとした食感を楽しむことができる野菜です。

ただし、キャベツにも苦味やエグみを感じさせる成分は芽キャベツと同じように含まれています。個体によっては苦味が強くなっていたり、生育環境が悪かったり鮮度が落ちたりすることで苦味が強くなることもあります。

芽キャベツとキャベツの違い⑤食べ方

芽キャベツ

芽キャベツは小さいため、丸ごと使ったり半分にカットして加熱調理をして食べます。キャベツのように葉を一枚一枚剥くようなことは基本的にありません。生の状態では固いため、サラダにする場合も茹でたりレンジで温めたりしてから使います。

また、上述したように芽キャベツは苦味が強い野菜ですが、芽キャベツのアクとなる成分はイソチオシアネートやポリフェノールなので、茹でたりレンジで加熱することでアク抜きをすることができます。スープや煮込み料理の場合はアク抜きをせずに使うこともありますが、アク抜きをしたほうが食べやすいでしょう。

芽キャベツは、煮込み料理や炒めもの、サラダなどどんな料理にも使えます。

キャベツ

キャベツは芽キャベツよりも大きいため、丸ごと食べるのではなくカットしてから食べます。芽キャベツとは異なり苦味が少ないため生で食べることが可能です。生で食べるとシャキシャキとした食感をより楽しむことができます。

キャベツは生で食べることが多いですが、芽キャベツと同じように煮込み料理や炒めものなどにも使えます。葉が大きいため、中に肉などの具材を挟んでロールキャベツを作ったりすることもできるのもキャベツの大きな特徴です。

芽キャベツとキャベツの違い⑤栄養素・成分

芽キャベツ

芽キャベツ100gに含まれる栄養素は下記の通りです。

  • たんぱく質…5.7g

  • 脂質…0.1g

  • 炭水化物…9.9g

  • ナトリウム…5mg

  • カリウム…610mg

  • カルシウム…37mg

  • マグネシウム…25mg

  • リン…73mg

  • 鉄…1.0g

  • 亜鉛…0.6mg

  • 銅…0.07mg

  • マンガン…0.29mg

  • β-カロテン…710μg

  • ビタミンE…0.6mg

  • ビタミンK…150μg

  • ビタミンB1…0.19g

  • ビタミンB2…0.23mg

  • ナイアシン…0.9mg

  • ビタミンB6…0.27mg

  • 葉酸…240μg

  • パントテン酸…0.76mg

  • ビタミンC…160mg

  • 食物繊維…5.5g

芽キャベツのカロリーは52kcalで、糖質量(炭水化物から食物繊維を引いた値)は4.4gです。

芽キャベツは大きさは小さいながらも栄養素の含有量はキャベツよりも多く、特にビタミンCや葉酸、カリウムが多く含まれています。

キャベツ

キャベツ100gあたりに含まれる栄養素は下記の通りです。

  • たんぱく質…1.3g

  • 脂質…0.2g

  • 炭水化物…5.2g

  • ナトリウム…5mg

  • カリウム…200mg

  • カルシウム…43mg

  • マグネシウム…14mg

  • リン…27mg

  • 鉄…0.3g

  • 亜鉛…0.2mg

  • 銅…0.02mg

  • マンガン…0.16mg

  • β-カロテン…49μg

  • ビタミンE…0.1mg

  • ビタミンK…78μg

  • ビタミンB1…0.04g

  • ビタミンB2…0.03mg

  • ナイアシン…0.4mg

  • ビタミンB6…0.11mg

  • 葉酸…78μg

  • パントテン酸…0.22mg

  • ビタミンC…41mg

  • 食物繊維…2.8g

キャベツのカロリーは21kcalで、糖質量は3.4gです。

栄養素の含有量は芽キャベツよりも劣るものの、カロリーは芽キャベツよりも低いです。

出典:日本食品標準成分表2020年版 八訂(文部科学省)