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岩塩って体に悪い?健康的?普通の塩との違いも解説

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岩塩って体に悪い?健康的?普通の塩との違いも解説

本記事では、岩塩が体に悪いと言われる理由を紹介します。

岩塩について

岩塩

まずはじめに、岩塩について紹介します。

長い月日をかけて結晶化してできた塩

岩塩とは、海底だった場所が地殻変動で隆起し、海水を閉じ込めた状態の陸になった場所や、砂漠地帯にある塩分を多く含む湖などの水分が長い年月をかけて蒸発し、塩が結晶化したものです。

世界一標高の高い山々であるヒマラヤ山脈から取れる岩塩をヒマラヤ岩塩、アンデス山中標高3,700mにあるウユニ湖周辺から切り出した岩塩をアンデス岩塩といいます。

様々な岩塩がある

岩塩は結晶の格子欠陥や成分の含有量などの作用により、淡紅色(たんこうしょく)といわれるうす紅色をしたものの他、紫色や黒色、黄色などの様々な色があります。

中でも淡紅色の「ピンク岩塩」が多く販売されています。

岩塩の成分

岩塩は天然の塩であるため含まれている成分や含有量には変動があります。

参考までにピンク岩塩(ヒマラヤ岩塩)100gあたりに含まれている目安は下記の通りです。

  • 塩化ナトリウム…39.1g

  • カルシウム…274mg

  • マグネシウム…211mg

  • 鉄…8.83mg

  • マンガン…0.19mg

  • 銅…0.02mg

一般的に食卓で使う塩と比較して塩辛さを感じる塩化ナトリウムの含有量が少なく、マグネシウムやカルシウム、カリウムが豊富に含まれています。

普通の塩との違い

普段食卓で使っている普通の塩(食卓塩)と岩塩は、どちらも塩気を出す調味料として使うことができますが、明確な違いがあります。

普通の塩は海塩

普段食卓で使っている塩は、岩塩ではなく海塩(かいえん)です。

海塩は簡単にいえば海水を原料に作られる塩です。製法には海水を火にかけて水分を蒸発させる方法や、組み上げた海水を天日干しにして水分を蒸発させる方法(天日塩)などがあります。

出典:食用塩公正取引協議会

粒子の大きさや味が異なる

普通の塩は色や粒子の大きさ、味などが岩塩とは異なります。

普通の塩は、白いです。粒子が非常に細かいため水に溶けやすく、料理の下味などに使うのにも適しています。

普通の塩は、製造の過程で塩化ナトリウム以外のミネラル分がほとんど除去されているため100%近くを塩化ナトリウムが占めています。そのため岩塩と比較して塩分の濃度が高く、塩辛さがあるのが特徴です。

岩塩が体に悪いと言われている理由

岩塩

それでは、岩塩が体に悪いと言われている理由を紹介します。

本記事は情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。

塩分過多

岩塩は一般的に食卓で使われている塩よりも塩化ナトリウムの割合が少ないため、塩味が弱い傾向にあります。

そのため、塩味を出そうと沢山の量を使ってしまい塩分過多に繋がりやすいです。

むくみや血圧上昇

塩分を過剰に摂取しすぎてしまうと、体内の水分バランスが乱れ、浮腫(むくみ)が起こる可能性があります。塩分は体内の水分を保持する力を高めるため、過剰摂取すると体内の水分が増え、特に下半身や顔、手足などに浮腫が出てしまいます。

また、塩分摂取は血圧を上昇させ、高血圧を引き起こす可能性があります。高血圧は心臓や血管に負担をかけ、心血管疾患や脳卒中などのリスクを増加させることが知られています。

そのため、岩塩の摂取量には注意しましょう。

出典:塩分の過剰摂取と高血圧の関係(J‐stage)

亜硝酸塩

岩塩には、亜鉛硝酸塩と呼ばれる発がん性物質が含まれているといわれることがあります。

厳密にいえば、岩塩に含まれているのは「硝酸塩」で、人体に害はありません。

ただし、硝酸塩は食肉中で「亜硝酸塩」になる性質があります。亜硝酸塩は食品の色を安定させる働きがあります。そのため岩塩を使って作られたハムやソーセージの色や風味が良くなるため古くから、ハムやソーセージを作るときには岩塩が使われることが多いです。

現在では、亜硝酸塩は色を鮮やかにする添加物として使われることもあります。

亜鉛硝酸塩はアミノ酸と反応すると発がん性のあるニトロソアミンと呼ばれる成分を作りだすと言われています。

まだまだ解明されていない部分が多いのが現状ですので、適量を守り過剰に摂取しないことが大切です。

出典:ニトロソアミン類とは(厚生労働省)

マグネシウムが少ない

岩塩は一般的な塩の栄養成分と比較して、マグネシウムの含有量が少ないため、「健康的ではないのでは」と思う方も多いです。

実際にマグネシウムの含有量を比較すると、海塩のマグネシウムの含有量は岩塩の10倍〜30倍といわれています(製品にもよります)

マグネシウムの含有量は海塩よりは少ないものの、製品によってそれぞれ異なるので気になる方は購入する際にマグネシウムの含有量をチェックしましょう。

岩塩の色は着色料?

岩塩には様々な種類があり、ピンクや黒、オレンジ色っぽい色があります。

一般的な塩といえば白色なので、塩を着色していると思われる方もいらっしゃいますが、岩塩の色は色付けしているわけではありません。

岩塩の色は天然のものです。例えばピンク岩塩は鉄分の多い土壌で結晶化したものであり、この鉄分が色素となっています。鉄分の含有量によって薄いピンクから赤茶色のものまで様々な色味があり、深い赤色のものを「レッドソルト」といいます。その他にもローズソルトなどの商品名で販売されていることがあります。

偽物がある?

岩塩は、溶解採掘法(ようかいさいこうほう)または乾式採掘法(かんしきさいこうほう)で製造されています。

溶解採掘法は、岩塩層に水を注入して岩塩を溶かし塩水として抽出して不純物を取り除き、煮詰めて塩を取り出します。不純物をしっかりと取り除くことができるため、食用として利用する岩塩は溶解採掘法によって製造されていることが多いですが、人工的に手が加えられているため栄養価が落ちるという欠点があります。

乾式採掘法は、岩塩層から直接塊の状態で岩塩を採掘します。溶解採掘法とは異なり人工的に手が加えられていないため栄養素をそのまま残すことができますが、不純物が多いという欠点があります。料理の風味づけ程度に使われることはありますが、食用というよりはバスソルトやルームランプといった非食用として使われることが多いです。

偽物というわけではありませんが、溶解採掘法の岩塩は栄養価が落ちているため、「偽物」と言われることがあります。

輸入商品の懸念

岩塩は日本では採れる場所がないため、基本的に海外から輸入されたものです。そのため、輸入商品に対して抵抗がある方も多いです。

しかし、食品の安全性は食品衛生法によって輸入食品でも国産品でもまったく同じ基準(残留農薬、食品 添加物、微生物など)が適用されています。そのため、輸入食品においても安心して食べることができます。

出典:輸入食品は安全なの? -消費者として知っておきたいこと-(厚生労働省)

アルペンザルツは体に悪い?

岩塩といえば、アルペンザルツを思い浮かべる方も多いかと思います。

「アルペンザルツ」は、SKWイーストアジア株式会社が輸入販売を行っている岩塩です。アルペンザルツは体に悪いのかどうか解説します。

出典:アルペンザルツ(SKWイーストアジア株式会)

製造方法

アルプス山脈から採取された天然の岩塩で、科学的な処理が行われていないのが特徴です。

そのため、ミネラルが豊富に含まれており、岩塩そのものの風味や味わいが残っているのが特徴で、料理の味をうまく引き立ててくれます。

食品添加物の有無

アルペンザルツは、漂白剤や食品添加物不使用です。できるだけ、ケミカルなものを口に入れたくないという方にもぴったりです。

ただし、オーガニック認証を受けているわけではないので健康面を考えて気になるという方はオーガニック認証を得ている岩塩の購入をおすすめします。

岩塩を健康的に使うポイント

岩塩は体に悪い成分が入っているわけではありませんが、過剰摂取は塩分過多などに繋がり健康リスクが高まります。そのため、過剰摂取しないよう注意することが大切です。

1日10g以下に留める

岩塩の1日の摂取量の目安は、10g以下に留めるのが望ましいです。

厚生労働省が出している日本人の食事摂取基準では、塩は成人男性の場合7.5g未満、女性の場合は6.5g未満としています。

上述したように一般的な塩よりも塩味は強く感じませんが、一般的な塩に準じて10g以下に抑えましょう。

出典:日本人の食事摂取基準(厚生労働省)

お湯に溶かして使う

岩塩をそのまま使うと、全体に味がつきにくいため、つい多めに使ってしまい過剰摂取に繋がりやすいです。

そのため、岩塩を使っておにぎりを作りたいときなどは、岩塩をお湯に溶かし、お湯を手につけながらおにぎりを握るのがおすすめです。

カリウムと一緒に摂取する

岩塩をかけすぎてしまった場合など、塩分過多が気になる場合はカリウムを豊富に含む食材と一緒に摂取するのがおすすめです。

カリウムは塩分の過剰摂取による浮腫を抑制し、体内の水分バランスを調整するのに役立ちます。

カリウムを多く含む食材には、ほうれん草やじゃがいもなどのいも類、わかめやひじきなどの海藻類などがあります。

出典:e‐ヘルスネット(厚生労働省)

岩塩の基本的な使い方

岩塩

料理の味付け

岩塩は、料理の仕上げに味付けとしてふりかけて使うことが多いです。

粒子が粗く溶けにくいため下味付けには不向きです。料理の最後に使ったほうが岩塩の良さを活かすことができます。

岩塩は旨味が出すことができるため赤身肉のステーキや、焼き魚などの料理との相性がとても良いです。また、野菜にふりかけても素材そのものの味をしっかり引き立てます。その他にもフォッカッチャなどのパンや、果物にピンクソルトをふりかけると、程よい塩味がアクセントになるのでおすすめです。

てんぷらなどの揚げ物のつけ塩として使うことも多いです。

岩塩を味付けに使うことで旨味が増すだけではなく、栄養価も高めることができます。

ドレッシング

オリーブオイルなどのオイルに岩塩を入れればドレッシングにもなります。

普通の塩よりもまろやかなので、塩辛さが苦手な方や高血圧で塩分を控えたい方にもおすすめです。

岩塩には美容でも使える?

岩塩といえば塩なので、調味料として使われることが多いですが、美容にも使うことができます。

バスソルトとして使える

岩塩には食用だけではなく非食用もあり、バスソルトとして使われることも多いです。

バスソルトとは入浴時に浴槽に入れる塩のことです。水道水に含まれているカルキはたんぱく質を破壊する作用があり、髪や皮膚に悪影響を及ぼすともいわれています。岩塩にはカルキを除く働きがあるため、カルキによる髪や皮膚へのダメージを低減する効果が期待できます。

また、ミネラルが豊富に含まれているため汗の蒸発を防ぎ、保湿効果もあるといわれています。

さらに、バスソルトには様々な種類がありますが、岩塩は匂いがほとんどしないため匂いがきついものが苦手という方にもおすすめです。

ダイエット効果もある?

岩塩は塩分濃度が高ければ高いほど体温が上昇することがわかっています。

そのため、岩塩のバスソルトを使うと体が温められ、結構がよくなるため代謝がよくなり脂肪燃焼の効果が期待できます。

人気の岩塩を紹介

気高塩

気高塩は、雨が振らない場所で採れた岩塩です。雨に濡れてミネラルが流出することなく、たっぷり含まれています。

また、低温加工されているので酵素が生きています。

添加物不使用なのでケミカルなものを口に入れたくない方にもぴったりです。

シェフズチョイス ヒマラヤ

シェフズチョイス ヒマラヤは、オーストラリアの食品ブランドが製造・販売している岩塩です。

最深部の岩塩層から人力発掘した岩塩をBRC認証取得の衛生管理された施設で加工、パッキングして出荷されているため、品質と安全性が保証されています。

人工添加物も不使用です。

オーケーフルーツ岩塩 ヒマラヤピンク

オーケーフルーツ岩塩 ヒマラヤピンクは、パキスタンで採れた岩塩を塊のまま輸入し、日本で加工しています。

人工添加物不使用の100%天然の岩塩です。