本記事では酸化した油を食べてしまったときの対処法や酸化した油の特徴、油の酸化を防ぐ方法などを紹介します。
まずはじめに、油の酸化とは何なのか紹介します。
油の酸化とは、油が空気中の酸素に触れてしまうことによって起こる油の劣化です。
油は不飽和脂肪酸を含むことが一般的であり、これらの不飽和脂肪酸が酸素と反応することで酸化が引き起こされます。
酸化が起きてた油は、鮮度が落ちている状態で、味や風味が損なわれていて、料理が美味しくなくなってしまうなど様々なデメリットがあります。
酸化は、油以外でも起こります。
例えば、りんごをカットした状態で置いておくと表面が茶色っぽく変色してしまうのも、空気中の酸素に触れたことによる酸化が原因です。
また、食べ物以外も釘などの鉄がサビてしまうのも酸化によって起こる現象の一つです。
酸化してしまったからといって腐敗しているとは限りませんが、傷んでしまっている状態であるといえます。
油の酸化についておわかりいただけたでしょうか。続いて、酸化した油を食べてしまうとどうなるのか紹介します。
本記事は情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。
油は酸化してしまうと、「過酸化脂質」と呼ばれる有害な物質が作り出されます。
酸化した油を使うとさらに酸化が進み、アルデヒドなどのカルボに化合物の割合が増えていってしまいます。
アルデヒドはアルコールを過剰に摂取したときに悪酔いしてしまう原因となる物質です。そのため、酸化した油を使って調理をした食材を食べると、胸焼けや胃もたれがするなど気分が悪くなってしまうことがあります。
出典:油脂の劣化と栄養価(J‐stage)
ツンとした鼻につくような臭いがあるほど酸化した油を使用した場合、腹痛や下痢、嘔吐といった食中毒の症状が出る場合もあります。
過去には実際に、インスタントラーメンの製造時に使われていた油が保存中に酸化してしまい、食中毒になってしまったという事例もあります。
出典:劣化油の毒性(J‐stage)
油が酸化すると作り出される過酸化脂質は、体内の脂質も酸化させていってしまい、細胞を傷つけ細胞内に様々な障害を起こします。
特に懸念されているのが、血管で血栓を作り動脈硬化の原因になってしまうことです。
酸化した油を摂取し続けることで肝障害や認知症を引き起こす原因になるとも言われているので、調理をするときは新鮮な油を使うのが望ましいです。
出典:動脈硬化と過酸化脂質に関する研究(J‐stage)
酸化している油で調理をした料理を食べてしまったときの対処法を紹介します。
酸化した油を使って調理をした料理を食べてしまった場合、臭いなどで胸焼けを起こすなど気分が悪くなることはあっても、油の成分が分解されれば症状は収まります。
下痢や嘔吐といった食中毒のような症状でなければ、様子を見ましょう。
酸化した油で調理をした料理を食べて、下痢や嘔吐といった食中毒のような症状が出てしまった場合は速やかに病院を受診してください。
症状が出た場合は、自己判断で市販の下痢止めなどの薬を飲むのはやめた方が良いとされています。自己判断で市販の薬を使うと、症状の原因である細菌やウイルスの排出を邪魔してしまい病状が悪化してしまうことがあります。
心配な方は少しでも怪しいなと感じる場合は、食べずに処分した方が安全です。
出典:食中毒かな?と思ったら(農林水産省)
酸化した油の特徴を紹介します。下記のような特徴がある油は酸化してしまっている可能性が高いので注意しましょう。
酸した油は、変色し色がどんどん濃くなっていきます。
油の種類によって色は異なりますが、基本的には透明感がなくなってきたら酸化している状態と考えて良いでしょう。
フライパンや鍋に注いだときに底が見えないほど色が濃くなってしまっている場合は、破棄するのが無難です。
ごま油やオリーブオイルなど、原料によって元から匂いがある油もありますが、一般的に炒め物や揚げ物など調理に使われることが多いサラダ油やキャノーラ油は、無味無臭です。
油から明らかに気分が悪くなるような油臭さを感じる場合は、酸化している状態です。
加熱するとさらに悪臭の原因となる物質が生成され、油酔いの原因となります。
出典:食用油脂の臭気成分(J‐stage)
新鮮な油はサラっとしていますが、酸化が進んで鮮度が落ちた油は、粘りがでてきてドロドロになります。
フライパンや鍋に入れるときに、あまりにドロっとしているのが気になる場合は使用せず新しい油を使いましょう。
酸化した油で揚げ物をすると、食材からでた水分が細かい気泡となり、いつまでも残ります。
揚げ物をしたときに、細かい気泡が気になる場合は、酸化している状態なので、新しい油と交換しましょう。
新鮮な油で揚げものをすると、気泡はすぐに消えて落ち着きます。
油の酸化は正しく保存しておくことで防げます。
上述したように、油の酸化の原因の多くは空気中の酸素に触れてしまい化学反応が起こることです。
そのため、開封後はしっかり蓋をし油が空気中の酸素に触れないようにすることが大切です。
油をおしゃれなボトルなどに入れ替える方も多いですが、購入時のボトルのまま蓋をしておいたほうが酸化しにくいのでおすすめです。
日光や蛍光灯の光も油を酸化させる原因の一つです。
市販されている油は日光や蛍光灯の影響を受けないよう遮光瓶が使われていたり、フィルムで覆われた二重構造になっています。
保存時は直射日光や蛍光灯の光が当たらない冷暗所に保管しましょう。
高温も油を酸化させる原因になってしまいます。
油は揚げ物や炒め物をする際に使われることが多いので、コンロ付近においてしまいがちです。しかし、コンロ付近では温度が高すぎて酸化が進んでしまいます。
できるだけ温度が上がりにくい場所で保管してください。
油の酸化に関するQ&Aを紹介します。
揚げ物で使った大量の油などは、再利用する方が多いかと思います。
油の再利用は状態が良ければ2〜3回可能です。
ただし、揚げ物に使った油は加熱している時点で酸化が進んでいます。保存状態が悪い(酸素に触れる・光に当たるなど)とさらに酸化が進んでしまうので、使用後は正しく保存することが大切です。
使用の際は酸化が進みすぎていないかチェックして使える状態か判断しましょう。
油が酸化してしまった場合、再び使用できる状態に戻すことはできません。
そのため、使えない状態まで酸化が進んでしまった油は残念ですが破棄するしかありません。
もったいないですが、気分が悪くなったり場合によっては食中毒のような症状が出てしまうことがあるので破棄しましょう。
油などの油脂製品は、排水溝に流してしまうと排水管が詰まってしまう原因になります。また、そのまま川や海に流れ出てしまうと汚染に繋がりますので、適切に処理をする必要があります。
基本的には可燃ごみとして処分しますが、自治体によっては資源ごみとして回収している場合もあるので確認してみてください。
フライパンに1cmほどのサラダ油を入れて揚げ焼きにした場合など、それほど量が多くない場合は使ったフライパンに新聞紙を入れて油を吸わせて、可燃ごみとして処分しましょう。
たっぷり油を入れて揚げ物をした場合など、油の量が多いときは牛乳パックなどの紙パックの中に新聞紙やペーパーを入れて、油を流し込み、ガムテープなどで漏れないように蓋をしてから可燃ごみとして処分します。
気温の高い夏場などは自然発火を防ぐため、新聞紙やペーパーに水を少し含ませておきましょう。
紙パックが家にない場合は、ビニール袋に新聞紙やペーパーを入れて同様に油を流し込んで捨てることもできます。ビニール袋は二重にして漏れないようにしておくと安心です。
凝固剤を使って油を固めてからビニール袋などに入れて処分するという方法もあります。
凝固剤は一般的なスーパーをはじめドラックストア、100円均一でも手軽に購入することができるので用意しておくと便利です。使い方はメーカーによっても異なりますが、油がまだ熱いうちに投入して溶かすパターンが多いです。
凝固剤がない場合は、片栗粉で代用することも可能です。凝固剤のようにサラダ油の中に片栗粉を入れておくだけです。凝固剤を使うようにしっかりとは固まりませんが、ある程度固まり扱いやすくなります。
油の酸化が気になる方におすすめの、酸化しにくい油を紹介します。
米油は、米糠(こめぬか)を原料に作る植物油の一種です。「米糠油(こめぬかゆ・こめぬかあぶら)」ともいわれます。
米油にはトリエノールなど抗酸化作用がある成分が多く含まれるため、酸化しにくく傷みにくいというメリットがあります。
酸化することによる嫌な匂いもしないため、揚げ油として使った場合でも繰り返し使うことができます。
出典:米油の劣化特性評価(J−stage)
オリーブオイルは、モクセイ科の植物オリーブの果実から抽出した植物油の一種です。
緑色でサラッとしていて高温に強く加熱しても酸化しにくいという特徴があり、揚げ油として使ったり炒め物をするときに使うことができる他、レモンなどを加えてドレッシングとして使うことも可能です。
ごま油は焙煎したごまから抽出した植物油の一種で、酸化しにくい油の一つです。
大別して「焙煎ごま油」と「低温焙煎ごま油」の2種類あります。焙煎ごま油は、高温でごまを焙煎してから油を抽出しています。濃い茶褐色で、ごま特有の香りと風味が強いのが特徴です。一方低温焙煎ごま油は、低温でじっくりと焙煎してから油を抽出しています。焙煎ごま油と比較して透明感のある琥珀色で、ナッツのような優しい香りと甘みがあるのが特徴です。
ごま油はごま特有の香りや風味を活かし、中華料理や和食やときには洋食などを作るときに万能調味料として使われることが多いです。
太白胡麻油(たいはくごまあぶら)は、生の状態のごまを原料に作る植物油の一種です。
原料であるごまには「ゴマリグナン」という抗酸化作用がある成分が多く含まれているためサラダ油などと比較して劣化しにくいという性質があります。
クセがなく炒め物や揚げ物など幅広い用途で使うことができます。
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