本記事では胚芽押麦(はいがおしむぎ)のデメリットや食べ方のポイントなどを紹介します。
まずはじめに、胚芽押麦について紹介します。
胚芽押麦(はいがおしむぎ)とは、その名の通り胚芽を残した状態の押し麦です。
押し麦とは、大麦を蒸して平たく潰したものです。大麦はそのままだと硬く、吸収率も低いのですが、押し麦にすることで食べやすくなります。
胚芽押麦は、大麦の根である胚芽を残した状態で押し麦にすることで、胚芽に含まれている栄養素を摂取できるようになっているのが大きな特徴です。
胚芽大麦の栄養素やカロリーは文部科学省の日本食品標準成分表などにも記載がないため、参考に「株式会社はくばく」が製造・販売している胚芽押麦100gあたりに含まれている栄養素・カロリーを紹介します。
エネルギー…334kcal
たんぱく質…6.6g
脂質…1.6g
炭水化物…77.6g
糖質…69.1g
食物繊維…8.5g
食塩相当…0g
胚芽押麦と似ている「押し麦」と「もち麦」の違いを紹介します。
押し麦は、上述した通り大麦を平たく潰したものです。胚芽押麦との違いは、胚芽をとった状態で平たくしていることです。胚芽を残して平たくしている胚芽押麦のほうが栄養を豊富に含んでおり、特にビタミンEや不飽和酸が押し麦よりも多く含まれていることがわかっています。
もち麦は、粘り気の多い「もち性」の大麦の総称です。胚芽押麦には粘り気少ない「うるち性」が使われています。お米でいうところの「もち米」と「うるち米」の違いと同じで、もち麦はもちもちとした食感が特徴です。
胚芽大麦のデメリットや体に悪いと言われる理由を紹介します。
本記事は情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。
胚芽大麦は、栄養素が多く含まれている胚芽ごと平たく潰しているため栄養価が高いのが特徴ですが、栄養価が高い分カロリーも高くなるため食べすぎてしまうと栄養過多で肥満に繋がりやすいデメリットがあります。
上述したように100gあたりのカロリーは334kcalで糖質量は69.1gなので白米と同等です。そのため、白米をただ胚芽大麦に置き換えるだけではダイエットになりません。
胚芽押麦のみを過剰摂取することがないよう、バランスのとれた食事プランを立てることが重要です。
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、大麦にはどちらも含まれていることがわかっています。
水溶性食物繊維は摂りすぎるとお腹がゆるくなる場合があります。また、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまうこともあります。
不溶性食物繊維の一種であるセルロースが含まれています。その含有量はさつまいもの4倍です。不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘を引き起こす場合があります。
出典:
栄養学博士 新出真理 監修(2014)『第2版 くらしに役立つ栄養学』ナツメ社
胚芽大麦を食べることで、アレルギーの症状が出てしまうことがあります。
小麦アレルギーは、小麦に含まれているたんぱく質弾力に富むが伸びにくいグルテニンと、弾力は弱いが伸びやすいグリアジンの2種類のたんぱく質が、水分によって結びつくことで生成される「グリアジン」が原因で起こります。
大麦と小麦のたんぱく質の構造は異なるため、グリアジンは生成されませんが、小麦と似た分子構造のたんぱく質が含まれているため、人によってはアレルギー反応が出てしまうことがあります。
小麦アレルギーの方が食べる場合は、食べる前に専門医に必ず相談しましょう。
出典:小麦アレルギー(食物アレルギー研究会)
大麦は、私達が普段食べ慣れている白米とは味と食感が大きく異なります。
特に胚芽がついた状態で平たく潰している胚芽大麦はクセが強く、独特の食感があるため食べにくいと感じる方が多いです。
栄養価の高い胚芽大麦には、食べるメリットももちろんあります。
胚芽大麦には、食物繊維が豊富に含まれています。
過剰摂取するとお腹を壊してしまいますが、食物繊維は腸内の動きを促進し、便通を改善する助けとなります。
具体的には、腸内で水分を吸収して便を柔らかくし、排便を促進します。また、食物繊維が腸内の有益な細菌のエサとなり、腸内環境を整えることで、消化器官の健康をサポートしてくれます。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
胚芽大麦には、水溶性食物繊維の一種であるβ-グルカンが含まれています。
β‐グルカンには、水に溶けるとゼリー状になる性質があり、食べ物を包み込みゆっくり移動する働きがあります。
これにより、糖質の吸収が緩やかになり食後の急激な血糖値の上昇を抑える効果が期待でき、肥満や糖尿病、高血圧などの予防や改善に繋がると言われています。
胚芽押麦の胚芽には、不飽和脂肪酸が多く含まれています。
不飽和脂肪酸は脂肪酸の一種で、単不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分類されます。
単不飽和脂肪酸には、オレイン酸などが含まれ、一つの二重結合を持ちます。一方、多価不飽和脂肪酸には、リノール酸やα-リノレン酸などが含まれ、複数の二重結合を持ちます。
不飽和脂肪酸は、低い血中コレステロールを促進し、心血管疾患のリスクを低減すると言われています。
出典:e‐ヘルスネット(厚生労働省)
胚芽押麦には、大麦の胚芽部分が残されています。
この胚芽部分には、ビタミンやミネラル、食物繊維、抗酸化物質などの栄養素が豊富に含まれています。
これらの栄養素は、体内の代謝や免疫機能の維持に重要な役割を果たし、生活習慣病の予防や改善に役立つといわれています。
出典:生活習慣病の予防と食事(公益社団法人千葉県栄養士会)
胚芽大麦はダイエットに良いと言えます。
胚芽大麦には食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は腸内の排便を促進し、満腹感を与えることから、食事の満足度を高め、食べ過ぎを抑制する助けになります。
また、胚芽押麦は低GI食品です。GIが低い食品は、血糖値の急激な上昇を抑えるため、血糖値のコントロールやインスリンのバランスを助け、体脂肪の蓄積を抑制します。
さらに胚芽大麦にはビタミンやミネラル、抗酸化物質など、栄養素が豊富に含まれています。これらの栄養素は代謝をサポートし、エネルギーの効率的な利用を促進します。
ただし、ダイエットにおいて重要なのは単体の食品や成分だけでなく、バランスの取れた食事や適切な運動との組み合わせです。胚芽大麦を含む多様な食材を組み込んだバランスの良い食事を心掛け、適度な運動を行うことが大切です。
胚芽大麦を健康的に食べるポイントを紹介します。
胚芽大麦にはデメリットがあると言われていますが、多くは胚芽大麦を過剰摂取することによって起こります。そのため、適量を守ることが大切です。
1日の適切な摂取量は人によって異なりますが、およそ44g程度摂取すると、日本人の食物繊維不足を補うことができるといわれています。
様子を見ながら調節していきましょう。
出典:日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
1回の食事でご飯を食べる場合、茶碗1杯だと約250gです。そのため、胚芽大麦のみにしてしまうと摂取量が多すぎてお腹を壊してしまうことがあります。
胚芽大麦を食べるときは、白米に少量混ぜて炊くとちょうど良いのでおすすめです。白米だけではなく、もち麦や玄米などと一緒に炊いても◎
胚芽大麦の基本的な炊き方を紹介します。
胚芽押麦は炊飯器を使って炊くことができます。
例えば、白米2合分に胚芽大麦を混ぜて炊く場合は、白米2合に胚芽大麦を50g程度混ぜ合わせて、通常の2合分の水加減に100ml追加して炊飯モードで炊きます。
胚芽大麦は白米よりも水を多く吸うので、水をプラスするのがポイントです。
胚芽大麦の割合は少量からはじめ、慣れてきたら増やすなど工夫をしましょう。
胚芽大麦は茹でて食べることもできます。
茹でる場合は、鍋に水を入れて沸騰させたら押し麦を入れ、弱火で好みの硬さになるまで15分〜20分茹でます。
好みの硬さになったら、ザルに上げて軽く水洗いをしぬめりを落とし、水気を切って食べます。
胚芽大麦のおすすめのアレンジ方法を紹介します。
胚芽大麦をサラダに加えると、食物繊維やタンパク質、ビタミン、ミネラルを豊富に摂取できます。
胚芽大麦を茹でてから、クリスピーな野菜と一緒にドレッシングで和えると、サラダがより栄養豊富になり、食べ応えもでます。
胚芽大麦は、スープやシチューに入れると食感が良くなります。事前に茹でてから入れるか、スープやシチューが煮込まれる途中に加えると、ふんわりとした食感が楽しめます。
具材との相性も良いため、野菜や肉と一緒に煮込むのがおすすめです。
胚芽大麦を使ってピラフやリゾットを作ることもできます。
お米の代わりに胚芽大麦を使うと、食物繊維や栄養素を豊富に摂取できます。
他の具材と一緒に炒めて、おいしいピラフやリゾットを作ってみてください。
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