本記事では、寒冷地で食べられている発酵食品「キビヤック」について紹介します。
まずはじめに、キビヤックについて紹介します。
キビヤックは、肉や内臓を抜いたアザラシの中に海鳥を詰めこみ、地中に埋めて作られる発酵食品です。
イヌイット民族やエスキモー民族、カラーリット民族といった主に寒冷地に住む人々に食べられていて、野菜などが育ちにくく栄養が取りにくい現地の人々にとって大切な栄養源です。海鳥をアザラシの中に入れて長期間発酵させることで、菌がビタミンを作り出し、また、そのまま食べることで栄養を丸ごと摂取できるようになっているのです。
近年ではインパクトのある作り方と食べ方で、ゲテモノ(風変わりな)料理として、現地に住む人々以外からも注目されています。
海鳥をアザラシの中に入れて土の中で発酵させているので、「生臭そう」など予想はつくかと思いますが、その臭いはなんと「世界で4番目に臭い」といわれるほど強烈なものです。
ちなみに、世界で3番目に臭いといわれているので、日本の「くさや」です。くさやは伊豆諸島で作られている魚の干物で、臭いが強烈であることでも有名です。そのくさやよりも臭いが強烈なのです。
見た目や臭いが強烈なキビヤックですが、どんな味がするのでしょうか。食べたことのある方の経験談を元に紹介します。
上述したように、キビヤックは発酵食品です。発酵食品といえば、チーズやヨーグルトなど普段から口にしている食材も多くありますよね。
キビヤックも発酵食品なので、チーズやヨーグルトのような濃厚さを感じられるのが特徴です。
臭いは強烈ですが、チーズやヨーグルトと同じ発酵食品だと考えると、想像しやすいです。
キビヤックは、簡単に言えば発酵させた鶏肉を食べる料理です。
味付けをすることなく発酵された鶏肉を食べるので、鶏肉そのものの味もしっかりと感じられます。普段食べている鶏肉よりも、濃厚な鶏肉の味がするのだとか。
キビヤックには塩味もあり、よく「塩辛」の塩味と似ているといわれています。ほのかに感じる塩味と濃厚な鶏肉の相性が良く、臭がきついわりに想像以上に食べやすい・美味しいという方が多いです。
キビヤックの作り方は下記のとおりです。
キビヤックを作るときは、まず海鳥を捕まえなければいけません。
海鳥は主にアパリアスという種類が使われていて、現地の方々は大きな網を使って数十匹〜数百羽捕まえています。
海鳥を捕まえたら、内蔵が傷んでしまうのを防ぐため、涼しい場所に1日程おいて冷やします。
キビヤックは、アザラシのお腹の中に海鳥を入れて発酵させるため、アザラシの内蔵やお肉を取り除いておく必要があります。
ちなみにアザラシから取り除いたお肉なども、貴重な栄養源としてしっかりと美味しくいただいています。
アザラシの内蔵や肉を取り除いたら、1日置いて冷やした海鳥を詰め込んでいきます。
つめこんだら、空気をしっかり抜いてお腹を縫い合わせて閉じます。
ハエがたかって卵を産んでしまうのを防ぐため、このときにハエ避けとしてアザラシの油などを塗ることもあります。
アザラシのお腹に海鳥をつめこんで縫い合わせたら、穴の中に入れて埋めます。
腐敗してしまうのを防ぐため、しっかりと日除けをします。また、このときキツネなどの野生動物に食べられてしまわないよう穴の上に石を積むなどして対策します。
穴に埋めたら数ヶ月〜数年置いて発酵させます。
衝撃的な作り方に驚いた方も多いと思いますが、完成したキビヤックの食べ方もカルチャーショックを受ける方が多いです。
まず、アザラシから発酵した海鳥を取り出したら、まず羽をむしり取ります。羽をむしり取るのは大変そうに思えますが、意外とするんと剥いている様子が見受けられます。
羽をすべてむしり取ったら、海鳥の肛門から内蔵をすすります。発酵して液状になった内蔵は上記で紹介したように濃厚な味わいを楽しめます。
内蔵だけではなく肉や皮も食べることが可能です。さらに、頭蓋骨は歯で割り、脳みそもすすって食べます。想像するとギョッとしてしまう方も多いかと思いますが、クセになる味わいを楽しめます。
日本でキビヤックを食べられる場所はあるのでしょうか。
現在日本では、キビヤックを食べられる店舗は存在していません。
理由としてまず挙げられるのは、原材料であるアザラシと海鳥の確保の難しさです。また、キビヤックが食べられている国とは異なり、日本は高温多湿なので単純に土の中に埋めて発酵させると腐敗してしまうという問題もあります。
そのため、日本で食べることはできないのが現状です。
近年では、実店舗で食べたり購入することができなくても、Amazonや楽天などのネット通販を利用すれば購入できることが多いですよね。
そのため、ネット通販であればキビヤックを手に入れることができるのではないかと考える方も多いのですが、残念ながらネット通販でも販売していません。
キビヤックを食べてみたい場合は、実際にキビヤックが食べられているカナダやグリーンランドに足を運ぶしかないでしょう。
現地であれば、本場のキビヤックを食べることができます。カナダやグリーンランドに旅行で行った際にチャレンジできそうであれば、チャレンジしてみてください。
現地の人たちは問題なく食べている料理ではありますが、海鳥を地中に埋めて発酵させ、さらにそれを加熱せずに食べるとなると、食中毒の懸念があるという方も多いでしょう。
キビヤックは地中に埋める際に寄生虫予防として、アザラシの油を塗るなど対策をすることも多いですが、100%防げるものではありません。
そのため、耐性のある現地の方が食べて問題なくても、耐性のない日本人が食べて食中毒の症状が出てしまう可能性は0ではありません。
どうしても食べてみたい方は、自己判断で体調の良いときに挑戦するのが良いでしょう。
最後にキビヤック以外のゲテモノ料理を紹介します。
シュールストレミングは、スウェーデン発祥の伝統的な発酵食品です。
塩漬けにしたニシンを発酵させたものを缶詰めにして販売しています。
「塩漬けにしたニシンを発酵させたもの」と聞いただけで普通の食材のように思えますが、臭いが強烈なのが特徴で、世界で1番臭いといわれています。そのため、開封時には十分な換気が必要であり、屋外での開封が推奨されています。
味は魚の風味が非常に濃厚であり、その風味は他の魚の缶詰とは異なります。一般的には、クラッカーやパンの上に乗せて食べるか、サンドイッチの具材として使用されることがあります。
臭豆腐(しゅうどうふ)は、台湾で広く食べられている伝統的な発酵食品の一つです。
豆腐を発酵させ、その後に特殊な調味料や塩、香辛料などを使って味付けをしており、特徴は、独特の強い臭いです。生ゴミのような臭いがするなどと言われていて、食べるのに勇気がいる1品です。
揚げてあることが多く、厚揚げのような見た目ですが、蒸したり煮たりする調理法もあります。一般的なトッピングには、ニラやガーリック、甘酢漬けの生姜などが使われます。
童子蛋(どうじたん)は、中国の伝統的な料理です。
直訳すると「童子の卵」となり、鶏卵を男児の尿で煮て作ったゆで卵です。
こちらも臭いがきついことで有名ですが、食べてみたら意外と美味しかったという人も多いです。
エスカモーレは、メキシコの料理です。
アリの卵を調理した料理で、見た目が衝撃的です。
一般的には、アリの卵を茹でてからガーリックやオニオン、コリアンダー、チリなどのスパイスと混ぜ合わせて、タコスやトルティーヤの具材として食べられます。
Most Popular
中が茶色いじゃがいもは食べられる?空洞や輪になってる場合は?
食品事典
大根は中身が茶色に変色しても食べられる?原因と対処法を解説
食品事典
スカスカなかぶは食べてOK?スが入る原因は?
食品事典
麻婆豆腐が辛い時に甘くする方法。おすすめの調味料や食品は?
食品事典
ハンバーグが固くなる原因と柔らかく作るコツを徹底解説
食品事典
冬におすすめの天ぷら具材36品。冬野菜や冬が旬の魚介類を紹介
食品事典
トマト缶は一缶でトマト何個分?サイズ別に解説
食品事典
冷凍したじゃがいもが黒っぽく変色...食べてOK?原因と対処法を解説
食品事典
エリンギが水っぽい...食べられる?濡れてる原因と対処法は?
食品事典
里芋は生で食べられる?生食のメリットと注意点を解説。
食品事典