ピーマンの肉詰め作りで一番起きやすい失敗が、タネとピーマンが剥がれてしまう失敗です。この記事では、タネとピーマンが剥がれてしまう原因や、剥がれにくく作る方法などを解説します。
ピーマンとタネが剥がれてしまう場合、タネやピーマンの下ごしらえ、焼き方など原因は様々です。
ピーマンの肉詰めを作る際にピーマンとタネが剥がれてしまう場合、タネに使っているひき肉が加熱によって縮んでいることが原因であることが多いです。
お肉のたんぱく質は加熱すると収縮する性質があります。タンパク質の収縮によって水分が抜けてタネの身縮みが起きてしまい、ピーマンとタネの間に隙間が生まれるため、剥がれてしまいます。
ピーマンの肉詰めはタネを詰める量が少ないと、ピーマンとお肉が剥がれてしまうことがあります。前述の通り、加熱によって収縮するひき肉を多く含むタネは加熱によって収縮するので、縮みにくくなる工夫をしても詰める量が少ないと剥がれてしまいます。
タネはピーマンかたこんもりとはみ出すくらいたっぷりと詰めることで、加熱後もボリュームを保つことができます。
ピーマンの肉詰めを行う際、タネがゆるいこともはがれる原因になります。タネがゆるい=タネの水分量が多いことを意味するので、加熱によって水分が抜けることでタネが小さくなりやすく、ピーマンから剥がれてしまいます。
また、タネがとてもゆるいと焼いている間にぽろぽろと崩れてしまう失敗も起きてしまうことがあります。
タネを作る際はタマネギを加熱してから加える、水分を吸収して膨らむパン粉を加える、牛乳などの水分を加えすぎないといった対策があります。
ピーマンが整った形をしている場合、美しい仕上がりになりますが、実は膨らんでいて形が良いピーマンの方が、逆に剥がれやすいことがあります。
形の良いピーマンは内側に凸凹が少なく、タネが引っかかりにくいので剥がれやすくなります。いびつな形のピーマンはタネを詰めるのが少し難しいですが、その分タネとの密着度が高くなるので、剥がれにくくなります。
加熱している間にピーマンが反ってしまい、タネとピーマンが剥がれてしまうことがあります。ピーマンは熱が加わることで柔らかくなり、特にピーマンを下にして焼いている間にどんどん反ってしまうことが多いです。
ピーマンは事前に下茹でや電子レンジで火を通しておくなどの下ごしらえをしておくことで反るのを防ぐことが出来ます。
ピーマンの肉詰めを焼きすぎることでもタネとピーマンは剥がれてしまいます。タネは加熱されることで身縮みしてしまいますが、加熱時間が長くなるほどに身縮みが起きやすくなるためです。
なお、火加減が強く温度が高くなりすぎても身縮みが起きやすくなり、焦げてしまう失敗も起きやすいです。ピーマンの肉詰めは中火で焼き目をつけ、弱火で蒸し焼きにするのがおすすめです。
ピーマンの切り方を工夫することで剥がれにくくなります。
ピーマンの肉詰めは縦半分に切ってタネを詰めるのが一般的ですが、平たくなるのでタネとピーマンのフィット感が悪く、焼いた時に剥がれてしまう失敗が起きやすいです。
ただし、メリットがあるのも事実で、この切り方は断面の面積が一番広く、フライパンに接する面積も広くなるので、詰めたタネに効率的に火を通すことが出来ます。生焼けや焼きすぎてお肉が硬くなる失敗が起きにくいです。
また、ピーマンの青臭さの成分を含む細胞は縦に並んでいますが、細胞が傷つけられるとニオイが発生するので、縦切りにすることで細胞が傷つけられにくくなり、臭いが気になりにくいです。
ピーマンの肉詰めはピーマンを縦半分にカットしてからタネを詰めて焼きますが、ヘタを残すことでタネがピーマンに収まりやすくなり、焼いたときにも形が崩れにくくなります。
また、ピーマンのヘタはカットして食べる方が多いと思いますが、実は食べることができ、カットせずに食べれば栄養価もアップします。皮とは異なるしっかりとした食感がありますが、加熱調理をすると柔らかくなります。
FILY:ピーマンのへたは食べられる?メリットは?美味しい食べ方を解説
ピーマンを食べる際に下ごしらえで捨てられがちな種とワタですが、そのまま使うとタネとよくくっつくので剥がれにくくなります。栄養もたっぷりになりますし、硬めの食感は加熱することで気になりにくくなり、タネはプチプチとした食感も楽しめます。
ただし、白いワタの部分があるとタネが入りにくくなってしまうので、軽く押して潰し、タネを入れやすくしておきましょう。
FILY:ピーマンの種・ワタは食べられる?メリットは?美味しい食べ方を解説
ピーマンを横半分に切ってタネを詰めることもできます。カップ状のピーマンにタネを詰めるため、縦半分に切るよりも剥がれる失敗が起きにくく、立てて置いて焼けば省スペースにもなってフライパンで一度にたくさん焼くことができます。
ただし、フライパンに接する部分の面積が小さく、タネも厚みのある形状になるので、やや火が通りにくいです。生焼けにならないよう注意しましょう。
メディアなどで紹介されて人気の切り方が、ピーマンを斜めに切る方法です。横から斜めに包丁を入れ、上側(ヘタ側)と下側に分け、それぞれにタネを詰め込む方法です。縦半分に切る方法と横半分に切る方法の両方のメリットを持つ切り方です。
縦半分にするよりもすっぽりとタネを入れることができ、剥がれる失敗が起きにくく、横半分に切るよりもタネに火が通しやすいです。また、見た目も少しおしゃれになります。
ピーマンをカットせず、ヘタをくり抜いてタネを詰めるのもSNS等で人気です。肉汁が流れ出にくくなり、ジューシーで旨味たっぷりな仕上がりになります。
また、この方法ではタネをピーマンに詰めるのが少し難しいですが、お菓子作りで使う搾り袋を使えば手を汚さずにしっかり詰めることが出来ます。
ただし、注意すべき点として、タネに火が通りにくいので、火を通す時間は長めにする必要があるので気を付けましょう。
タネとピーマンが剥がれにくくなる、下ごしらえでのちょっとしたひと工夫を紹介します。
ピーマンを事前に温めておくと柔らかくなってタネを詰めやすくなります。電子レンジ(500~600W)で2分温めるか、1分~1分半程度下茹でをして軽く火を通しておきましょう。
また、温めることでしんなりするのでフライパンで加熱時に反って剥がれることが起きにくくなります。ピーマンから苦みや青臭さが抜け、甘みが出るという嬉しい効果もあるので、時間がある方は是非温めてみてください。
温めるのがめんどくさいという方はピーマンの皮の部分に何度かフォークを刺して穴を開けておきましょう。こうすることでピーマンが加熱されたときに反りにくくなるので、タネとピーマンが剥がれる失敗が起きにくくなります。
ただし、穴を開けすぎてしまったり、大きな穴が開いてしまったりするとそこからタネの肉汁が出てしまい、旨味が流れ出てしまうのでやりすぎには注意しましょう。
ピーマンの肉詰めを作る際、ピーマンにそのままタネを詰めてしまうと剥がれやすいですが、ピーマンの内側に小麦粉をまぶしておくことで、加熱によってタネから出る水分と小麦粉が反応して糊のような役目をするので、タネとピーマンが剥がれにくくなります。
ただし、つけすぎてしまうとタネとの接触面がサラサラになってしまい、逆にはがれやすくなってしまうので、軽く振りかける程度にしましょう。小麦粉以外にも片栗粉や米粉でも代用が可能です。
タネの下ごしらえでも注意が必要です。
タネにパン粉を混ぜることでタネの焼き縮みが起きにくくなり、タネがピーマンから剥がれにくくなります。
乾燥していて吸水性の高いパン粉は、加熱とともにお肉から発生する水分を吸い込みます。また、水分を吸い込んだパン粉はふっくらと柔らかい食感になるので、タネ全体も柔らかくなり、ジューシーさも生まれます。
パン粉以外にも小麦粉や米粉、片栗粉、お麩、おからといった吸水性の高い食品でも大丈夫です。お麩を加える際はフードプロセッサーなどで細かく砕いてから加えましょう。
タネにはひき肉やつなぎ以外にも玉ねぎを使いますが、玉ねぎは水分量が多く、加熱すると水分が多く出るので、タネの身縮みを招き、タネとピーマンが剥がれる原因になりやすいです。心配な方は電子レンジで2~3分温めて水分を飛ばしてから使いましょう。
なお、温めた玉ねぎはそのまま混ぜるとひき肉の脂肪を溶かしてしまい、逆にタネがゆるくなってしまったり、旨味が少なく固い仕上がりになったりしてしまうので、必ず冷ましてから混ぜましょう。
また、牛乳などの水分を入れすぎてしまうことでもタネがゆるくなるので要注意です。
正しい焼き方で失敗する可能性を減らしましょう。
ピーマンの肉詰めを焼く際、まずはお肉を下にして中火で焼きましょう。お肉にしっかり焼き目をつけることで肉汁が流れ出にくくなり、ジューシーな仕上がりになります。
最初からピーマンを下にして焼いてしまうと、お肉に火が通って固まる前にピーマンに火が通りすぎてピーマンがしんなりして反ってしまうので、タネと剥がれてしまう失敗が起きやすいです。お肉側から焼いてしっかり焼き目が付いたらひっくり返し、ピーマン側を下にして焼きましょう。
ちなみに、ピーマン側を焼かずにお肉側だけ焼くことでも仕上げることが出来ます。ピーマンが反ってタネと剥がれる失敗が起きにくくなりますが、ピーマンに火が通りにくいので硬い仕上がりになりやすく、焼き目をつけて香ばしくすることもできないので、あまりおすすめできません。
お肉の表面やピーマンとの接触部分をチーズやパン粉で固めて焼くことで、剥がれにくくして焼くことが出来ます。
また、表面がしっかり固まるので肉汁も流れ出にくくなり、ジューシーな仕上がりになります。パン粉を使えば小麦の旨味と香ばしさがたっぷりの仕上がりになり、チーズを使えばとろける食感とコクたっぷりに仕上がります。
そもそも焼く前にピーマンとタネがくっつかない場合は何が原因で、どのような対処法があるでしょうか。
ピーマンとタネがくっつきにくい場合、タネにひき肉だけ使っていませんか。ひき肉だけでは粘度が弱く、ピーマンと上手くくっつけることが出来ません。
つなぎにパン粉や卵、牛乳を混ぜ、玉ねぎのみじん切りも加えることでタネに程よい水分や粘りが生まれ、ピーマンとくっつきやすくなるので、適量を混ぜ込むようにしましょう。標準的なつなぎの量はひき肉150〜200g(2~3人前)に対し、パン粉:大さじ3、牛乳:大さじ2、卵1個程度、玉ねぎは1/4~1/2個が適量です。
また、タネは混ぜ込むほどに粘度が生まれるのでしっかり混ぜましょう。ただし、混ぜすぎると脂肪が溶けてしまい、焼き上がりが硬くなってしまうので気を付けましょう。目安は白っぽくなっていて、粘り気があり、肉を突いてみた時にボウルが浮くくらいです。
つなぎをしっかり混ぜていても粘度が弱くピーマンにくっつきにくい場合は、水分や卵を少し足すことで粘度が高まります。水分ならコクのある牛乳がおすすめです。
ただし、足しすぎるとタネがゆるくなりすぎてしまい、焼いた時に水分がたくさん抜けて身縮みが起き、ピーマンとタネが剥がれやすくなるので要注意です。
美味しく仕上げるための様々なコツについて解説します。
ピーマンの肉詰めに使うひき肉は牛肉と豚肉の合い挽き肉が一般的です。合い挽き肉は牛:豚=7:3もしくは6:4の割合で混ぜて使うのが一般的となっています。スーパーなどで売られている合い挽き肉もこの割合で売られている場合が多いです。もちろん、牛肉と豚肉のひき肉をそれぞれ購入して好みの割合で混ぜることもできます。
固めで食べ応えのあるお肉が好きな方は前者を、柔らかくジューシーなお肉が好きな方を後者を選ぶと良いでしょう。もちろん、牛肉や豚肉だけで作ることもできます。
牛肉だけを使用することで、固めでしっかりとした牛肉の味わいやコクを楽しむことができ、豚肉ならさっぱりと優しい風味でより柔らかくジューシーな味わいになります。
タネをこねる際、まずはよく冷やしたひき肉と塩だけでこねましょう。塩の働きでひき肉から「アクチン」と「ミオシン」というタンパク質が溶け出し、くっつきあって網目状になるため、水分が抜け出すのを防ぎ、肉汁がしっかりと残って、ジューシーな仕上がりになります。
塩の量はひき肉に対して0.8~1%くらいが良いとされており、200gのひき肉に対して1.6~2g(小さじ3分の1程度)となります。塩コショウの場合は少し多めのひき肉に対して1~1.2%が適量となります。気持ち多めに入れると良いでしょう。
ひき肉と塩だけでこねてある程度粘りが出てきたらパン粉や牛乳などの具材を追加してください。
ピーマンの肉詰めは、お肉とピーマンのそれぞれに焼き目が付いたら蓋をして弱火で蒸し焼きにしましょう。蒸し焼きにすることで包み込むように熱を通すことができ、焼きムラを防ぐとともにふっくらと仕上がりやすくなり、時短調理にもなります。
フタがない時はアルミホイルをフライパンを覆うサイズに成形して上から被せることで蓋代わりにできます。この時、フライパンが熱くなるほか、取り外すときにアルミホイルも熱くなっているので、触ってやけどしないように注意しましょう。
フタをして蒸し焼きにする際、少量の料理酒(小さじ1~)を加え、弱火で蒸し焼きにすることで旨味を加え、ふっくらと仕上げることができます。
ピーマンの肉詰めのソースは、焼いた後のフライパンで作るのがおすすめです。フライパンに染み出たお肉の肉汁の旨味を活かすことができ、洗い物も減らせるので一石二鳥です。
ただし、使うときは注意が必要で、フライパンに油が多すぎる場合にはざっと捨てましょう。ソースが脂っぽくなってしまいます。フライパンの表面にうっすら残っている程度で十分です。
あまり一般的ではありませんが、ピーマンの肉詰めはひき肉を炒めてからピーマンに詰めて焼く方法もあります。ピーマンと一緒に焼く際に身縮みが起きることもなく、生焼けになるといった失敗も起きないので、初めて作る方にもおすすめです。
ひき肉と玉ねぎを先に炒めたらボウルに上げ、追加で卵と粉チーズを混ぜてピーマンに詰めましょう。お肉側を下にして焼くことで卵と粉チーズが接着剤と蓋の役割をするので、焼いている際に上手くまとまります。
2回フライパンを使う必要はありますが、タネをこねる手間を省けるというメリットもあります。
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