唐揚げを柔らかくする方法でブライン液に漬け込む方法がありますが、いったいどのような方法なのでしょうか。この記事では、鶏肉をブライン液に漬け込む方法や、鶏肉を柔らかくする他の方法やポイントなどについて解説します。
鶏肉を柔らかくする下ごしらえでは、ブライン液と呼ばれる液体を使うのが人気です。
唐揚げ用の鶏肉の下ごしらえには、鶏むね肉を柔らかくするのによく使われる、砂糖と塩と水を混ぜた「ブライン液」に漬け込む方法が人気です。お肉の筋肉を構成するたんぱく質が塩によって分解され、水分が入り込むことでお肉の保水性が上がってお肉が柔らかくなります。
また、砂糖は水分子と結合しやすく、砂糖水となってお肉の繊維に入り込むことで保水効果が高まり、お肉がジューシーに仕上がります。ブライン液の適度な塩加減はお肉の下味としての役割も果たします。
基本的な作り方は、水200mlに対し、塩と砂糖をそれぞれ10gです。お肉とブライン液を保存袋などに入れ、冷蔵庫で1~2時間漬け込みましょう。じっくり漬け込みたい方は一晩寝かせてみても良いでしょう。
鶏肉を柔らかくする方法では、料理酒に漬け込むことが多いです。お肉のPH値が酸性に傾き、柔らかくなるほか、臭みも取れ、うまみ成分を閉じこめる効果もあります。
ボウルなどに入れた鶏肉に塩をふり、軽くもみます。次に料理酒をふりかけたら、ラップをかけて冷蔵庫で30分〜1時間ほど寝かせます。この時、醤油も少し入れて軽く下味をつけることでしっかりとした味わいにもなります。
すりおろしたにんにくや生姜のすりおろしに漬け込むのもおすすめです。どちらもタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)を含み、お肉を柔らかくする効果があります。料理酒と一緒に使うことも多いです。
にんにくと生姜のどちらにもアリシンというお肉の臭みを気にならなくさせる成分が含まれており、鶏肉に混ぜて漬け込むことで臭み消しにもなります。
また、生姜はピリッとした風味を生かして唐揚げを少しさっぱりとしたテイストに変化させ、にんにくはうまみ成分のグルタミン酸が豊富で、お肉の旨味を引き出してくれます。
焼き肉のたれに漬けこむことでもお肉のPH値が酸性に傾き、お肉が柔らかくなります。下味をつける効果とお肉の臭み消しの効果もあります。漬け込む時間は30分程度がおすすめです。
ただし、たくさんの量を使ってしまったり、漬け込む時間が長いと味のバランスがおかしくなってしまったり、味が濃くなってしまったりするので要注意です。焼き肉のたれは少量を隠し味として入れるのもおすすめです。
鶏肉の下ごしらえでテレビで紹介されて話題になっているのが、スポーツドリンクを隠し味に使う方法です。調理前にスポーツドリンクを水や鶏がらスープと15分漬けておくだけで鶏肉がジューシーになります。
糖分を含むスポーツドリンクの高い保水性によって鶏肉の中に水分が多く含まれた状態になり、鶏がらの塩分が肉の表面を硬くします。これらによって火を通した時にたっぷり含まれた水分が逃げにくくなるので、ジューシーな仕上がりになります。
漬け込み以外にも様々な方法でお肉を柔らかく仕上げることが出来ます。
唐揚げは鶏もも肉または鶏むね肉で作りますが、それぞれで味わいが異なり、カロリーなどの違いもあります。
鶏もも肉は脂肪が多いので柔らかく、コクがあってジューシーな味わいが楽しめます。ただし、カロリーが高く、脂質も多めなのでダイエット中の方はむね肉を選ぶか、皮の部分を切り取って調理しましょう。また、ジューシーな分、冷めて水分が飛んでもパサパサ感が気になりにくいので、お弁当に入れるから揚げはもも肉で作るのがおすすめです。
鶏むね肉はもも肉よりも脂肪が少なく赤身部分が多いので、さっぱりとした味わいが楽しめます。カロリーも低く、脂質も少なめなのでヘルシー志向の方はこちらがおすすめです。ただし、さっぱりとした味わいは言い換えるとパサパサとした食感でもあるので、パサパサ感が苦手な方はもも肉を選びましょう。
下味をつける前に鶏肉の皮と赤身にフォークを刺して穴を空けておくことで、加熱によって起こる焼き縮みを穏やかにし、固い食感になるのを抑えることが出来ます。
また、繊維の一部が切れることによってもお肉が柔らかくなる効果も期待でき、穴を空けることで下味が入りやすくもなります。
唐揚げに使う衣は片栗粉または小麦粉が主流ですが、それぞれで違った味わいが楽しめます。
小麦粉は比較的しっとりとした仕上がりになりやすく、身の部分の柔らかさやジューシーさが際立つ仕上がりになります。カリカリ感も捨てがたいという方は片栗粉とブレンドしてみるのもおすすめです。
片栗粉を使う場合、比較的固めでカリカリの衣に仕上がります。見た目も白っぽい仕上がりになり、竜田揚げに似た見た目となります。冷めても美味しいので、お弁当向きとも言えます。より粒子の細かいコーンスターチを使うとカリカリ感が強くなります。
この2つ以外にも米粉やおからパウダーや、砕いたコーンフレークを使うレシピもあります。また、市販の唐揚げ粉を使えば調味料などを混ぜ合わせる必要がなく、簡単に作ることが出来ます。
他の揚げ物で使う卵は唐揚げの基本的なレシピでは使いませんが、衣の材料として使うことで衣が付きやすくなって厚みが増し、食べ応えのある仕上がりになるほか、ふんわりとした仕上がりになります。
また、衣がしっかりする分、水分が抜け出しにくくなり、ジューシーに仕上げやすくなるといった効果も期待できます。卵のタンパク質が壁となってお肉の水分が外に出にくくなるので、時間が経ってもジューシーさがキープされやすいです。
卵を使う場合はよく溶いて使いましょう。よく溶かないと絡まり方にムラが生じてしまい、そのあとにつける小麦粉などがダマになってしまい、衣がしっかりつきません。また、衣が厚くなる分カロリーや糖質量も増えるので要注意です。
鶏肉を揚げる際、油の温度が高かったり、揚げる時間が長かったりするとタンパク質が収縮してしまい、お肉が固くなってしまいます。
鶏肉を揚げる際の油の温度は160~180℃が基本です。温度が低いとなかなか火が通らず揚げる時間が長くなってしまい、油っぽいべちゃべちゃな仕上がりになってしまいます。ただし、温度が高いと焦げやすく、衣がきつね色になっても中までしっかり火が通っていないことが多いため、最適な温度で焼く必要があります。
揚げ時間は、まず2~3分触らずに揚げ、裏返して2分程度揚げるのが基本です。しっかり火を通すには余熱も活用しましょう。バットに上げてから5分程度放置するのがおすすめです。
唐揚げを失敗しにくくする下ごしらえでのポイントについて解説します。
鶏肉の表面には身から出た水分や、加工から時間が経つと出やすいドリップと呼ばれる赤い液体が出て濡れていることがあります。これらの液体はキッチンペーパーでしっかり拭きとってから臭み消しや下味をつける作業をしましょう。
ちなみに、鶏肉は水やお湯で洗うのはNGです。お肉を洗うことでうまみ成分が落ちてしまうことに加え、水っぽくなってしまいます。また、洗う際にキッチンのシンクに雑菌が飛び散ってしまうので、不衛生な状態をそのままにしてしまうと菌が増殖してしまい、とても危険です。お酒や調味料を使った臭み消しの方法がおすすめです。
表面の水分を拭き取らないと水っぽくなってしまい、下味が染み込みにくくなります。また、ドリップは臭みの原因でもあるので、臭み消しの効果が弱くなってしまいます。
鶏肉の余分な皮や脂肪、筋は臭みやしつこさの原因となるので、しっかり取り除きましょう。特に鶏もも肉は脂肪分が多いので劣化が進みやすく、脂肪の塊の部分は臭みの原因となっていることが多いため、切り取ることで臭みを抑えることができます。黄色く変色している部分は必ず取り除きましょう。
ただし、お肉のうまみは脂肪に集中しているため、取り除きすぎると旨味も減ってしまいます。取り除くのは必要最低限にとどめましょう。
唐揚げ用の鶏肉はサイズをそろえてカットしましょう。サイズがバラバラだと火の通りの差もバラバラになってしまい、大きいものは生焼けになりやすく、小さいものは火が通りすぎてかたい仕上がりになってしまいます。
唐揚げはもも肉1枚なら6~8等分くらいにカットすることが多いです。
唐揚げは下味用の調味料に漬け込み、よく揉み込んだら冷蔵庫に入れて寝かせましょう。お肉にしっかり味が染み込み、美味しく仕上がります。
寝かせる時間は5〜10分ほどでも構いませんが、よりしっかり味を染み込ませたい方は1~2時間、または一晩寝かせてみましょう。ただし、寝かせすぎは鶏肉内の雑菌の繁殖による劣化を招くのでほどほどにしましょう。
なお、鶏肉を冷やしておくことで揚げ油との温度差が大きくなり、カラッと仕上がりやすくなります。
唐揚げの衣(小麦粉、片栗粉)は揚げる直前にまぶしましょう。まぶしてから寝かせてしまうと鶏肉から出た水分でべちゃっとした仕上がりになりやすいです。
また、鶏肉の汁気を切ってから衣をまぶしましょう。汁気が残ったままだと衣がダマになりやすく、つき方にも差が出てしまうので、うまく衣が付きません。キッチンペーパーなどで表面をやさしく拭き取るのがおすすめです。
唐揚げを失敗しにくくする揚げ方のポイントについて解説します。
鶏肉を揚げる際はしっかり温度を確認してから揚げることで最適な時間で揚げることができ、油っぽい仕上がりになりません。
温度の確認は調理用の温度計を使うのが手っ取り早いですが、温度計が無い場合は、菜箸を油に入れてみましょう。細かい泡が箸全体にくっついてくる状態であれば揚げるのにちょうどよい温度(170℃)です。
なお、ポツポツと泡が箸につくくらいなら160℃程度で、少し大きめの泡も箸にくっつくようになれば180℃くらいです。
唐揚げは少ない油で調理する方法や、フライパンでの揚げ焼きが主流となりつつありますが、たっぷりの油で揚げると鍋の底にくっつく、火の通りが甘く生焼けになるといった失敗が起きにくいです。から揚げやかき揚げなどの大きな揚げ物は揚げ物用の鍋の半分くらいの深さがちょうどよい量とされています。
油をたっぷり使うことで鶏肉を入れた時の温度変化が少なくなり、均一に火を通せます。少ない油に材料をいっぱい入れると、急に温度が下がって火の通りが悪くなり、衣がべちゃっとした仕上がりになる原因となります。
唐揚げを一度にたくさん揚げてしまうと油の温度が一気に下がってしまい、上手く揚げることができず、仕上がりがイマイチになる原因になります。
鍋の大きさにもよりますが、一般的な20cm程度の揚げ物用の鍋であれば、鍋の半分くらいの5~6個が適量です。
鶏肉を油に入れたら衣が色づくまでは触ってはいけません。触った部分や鍋底にくっついてしまっていた衣が剥がれてしまいます。また、触ることで油の温度も変化してしまい、美味しく仕上がらなくなってしまいます。
鶏肉を鍋に入れてからは、中火のまま2分〜2分半は触らずに揚げましょう。油の表面に近い部分まで色が変わってきたら裏返すタイミングです。鍋の底にくっついていないか心配かもしれませんが、衣が色づくころにはくっついていた部分もペロッと剥がれるようになります。
唐揚げが中までしっかり火が通った状態になったかは、唐揚げを菜箸で持ち上げたときの振動で分かります。
鶏肉がきつね色になって油の泡や音が細かくなってきたら、菜箸で持ち上げてみましょう。箸を通して油が「ジジジジ…」と細かく沸騰しているような振動が手に伝わってくれば、中心まで火が通っているサインです。
二度揚げはとんかつや唐揚げなど、大きいサイズの揚げ物を作る時に用いられる調理手法の一つです。サイズが大きい揚げ物は、一度揚げただけでは外がサクサクで中まで火が通っている状態にするのが難しいため、二度揚げをします。
揚げ物は長時間揚げてしまうと焦げてしまったり、お肉が固くなってしまったりするので、揚げた後に余熱を利用して中までじっくり火を通しますが、時間の経過とともに水分が外に出るので、衣がしなしなになってしまいがちです。そこで再度短時間だけ揚げる二度揚げをすることで衣の水分を飛ばし、サクサクの状態に戻せます。
二度揚げの手順は下記のとおりです。
鶏肉を裏返して1分ほど経ったら、箸で持ち上げて数秒の間鶏肉を空気に触れさせて油に戻してみましょう。これによって余分な水分が蒸発し、二度揚げするようなサクサク感が得られます。
二度揚げは手間と時間がかかるので、一度揚げるだけで美味しく仕上げたいという方はぜひこの方法を試してみてください。
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