舞茸を味噌汁に入れると汁が黒くなってしまうのが気になるという方は多いのではないでしょうか。本記事では舞茸の味噌汁が黒くなってしまう原因や舞茸の味噌汁を黒くしない方法などを紹介します。
味噌汁に舞茸を入れると汁が黒くなってしまう原因は、下記の通りです。
舞茸の煮汁が黒くなってしまう原因はポリフェノールが溶け出してしまうためです。
ポリフェノールとは植物などがもつ苦味・渋みを感じさせる化合物の総称です。構造の違いによって様々な種類があり、例えば紫色の色素となるアントシアニンなどがあります。舞茸に含まれているポリフェノールについては、詳しく記載された資料がないため不明ですが、黒色の色素となるポリフェノールが多く含まれているためであると考えられています。
ポリフェノールは水溶性であるため、茹でたり煮たりすると水に溶け出してしまうのです。また、炒めものをした際にも食材から出る水分などでポリフェノールが溶け出し、他の食材に色移りしてしまうこともあります。
味噌汁やスープが黒くなってしまったりすると、見た目が悪くなってしまうため食べられるのか不安になってしまう方も多いと思います。
見た目は毒々しくなってしまいますが、舞茸からポリフェノールが溶け出して煮汁が黒くなってしまったり、他の食材に色移りしてしまっても問題なく食べることができます。
黒く変色してしまう原因となるポリフェノールは、抗酸化作用などがあることで知られており、人体に害のある成分ではありません。
舞茸を入れることで黒くなってしまった汁には、ポリフェノール以外の栄養も含まれています。そのため黒くなってしまったからといって捨ててしまうのは非常にもったいないです。
黒くなった汁にに含まれている栄養は下記の通りです。
グルタミン酸は非必須アミノ酸のひとつです。グルタミン酸はアンモニアを解毒し、尿の排出を促進する効果や脳の機能を活性化する効果があります。神経伝達物質の材料となるセリンやエネルギー源として使われるアスパラギン酸など体内でアミノ酸を生成します。またリラックス作用のあるGABAの材料にもなります。
また、日本で最初に発見されたうま味物質として調味料などに活用されています。
プリンヌクレオチドの一つで、グアノシン一リン酸ともいい、GMPと略称されています。 生体内ではリボ核酸(RNA)の構成成分の一つとして非常に重要で、 またうま味調味料の一つとしても利用されています。
グルタミン酸と相乗効果で、うま味が倍増します。
舞茸には食物繊維が含まれています。食物繊維には大きくわけて不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がありますが、舞茸の場合は100gあたり不溶性食物繊維が2.4 g、水溶性食物繊維が0.3 g含まれています。
食物繊維は便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。
また、きのこ類にはβ-グルカンという食物繊維が豊富です。
カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。そのため、高血圧の予防になるミネラルの一つです。また心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。
主に野菜類に多く含まれていますが、きのこ類にも含まれています。
出典:日本食品標準成分表2020年版 八訂(文部科学省)
舞茸の味噌汁が黒くなってしまっても問題なく食べることはできますが、見た目が悪くなってしまうのはデメリットですよね。舞茸の味噌汁が黒くならない方法を紹介します。
舞茸を使ったときに汁が黒っぽくなってしまったり、他の食材に色移りしてしまうのを防ぎたい場合は、さっと湯通ししてから使うのが良いでしょう。
上述したように黒くなってしまう原因であるポリフェノールは、水溶性であるため、さっと湯通ししてあらかじめ落としておくことで調理時に黒くなってしまうのを防ぐことができます。
ただし、上述したようにポリフェノールには抗酸化作用などがあり体に良い成分であるため、落としてしまうのは勿体無いです。栄養価を下げたくない方には湯通しして使うことはおすすめできません。
舞茸を使って味噌汁やスープを作る場合、水から舞茸を入れると舞茸の旨味をしっかりと引き出すことができます。
しかし、水から入れることで舞茸に多く含まれるポリフェノールが水に溶け出すため、汁が黒くなることがあります。このことを気にしないのであれば、最初から舞茸を入れて美味しさを追求するのが良いでしょう。
一方で、汁が黒くなってしまうのが気になる場合は、最後に舞茸を加えて最短時間で火を通す方法がおすすめです。舞茸は火が通りやすいため、最後に入れても十分に火を通すことができます。見た目の美しさと味わいを両立させるために、シチュエーションに応じて適切な加え方を選ぶと良いでしょう。
舞茸を味噌汁にしたときに、黒っぽくなってしまうのが気になる場合は赤だしを使うのもおすすめです。
一般的に家庭で味噌汁を作るときに使われることが多いのは、「米みそ」に分類される大豆・米・塩・水を原料に作られた薄茶色をしている味噌です。
赤だしは蒸し大豆と大豆に麹を付けた「豆こうじ」を使用し長期間熟成された「豆みそ」に分類される赤茶色をした味噌です。
赤だしを使うことで味噌汁自体が赤茶色になるので、舞茸の黒い色素が溶け出して黒くなってしまっても気になりにくいです。
どうしても色移りが気になる場面もあるかと思います。特にお客様のおもてなし料理として作りたい場合などは見た目が悪くなるのは避けたいですよね。
そんなときは、白舞茸を使うのも一つの手です。白舞茸とは、その名と通り白色をしている舞茸の品種で、一般的に販売されて食べられている舞茸とは異なりアクが少なく色落ちすることがありません。そのため、白舞茸を使えば見た目を美しく仕上げることができます。
白い見た目から栄養がなさそに思えますが、含まれている栄養は舞茸とほぼ同じです。白舞茸を使ったからといって栄養価が下がってしまうこともないので、ぜひ利用してみてください。
最後に、舞茸の味噌汁を美味しく作るポイントを紹介します。
舞茸に限らず鮮度が落ちている食材は味や風味、食感、風味が鮮度が高いものと比較して劣ります。また、上述したように異臭を放ってしまうこともあるため、新鮮な舞茸を使うことが大切です。
新鮮な舞茸の特徴は下記の通りです。
肉厚で茶色が濃くカサが密集している
ハリや弾力がある
軸の断面が真っ白
柄がしっかりしている
一株にまとまっているもの
触るとパリッと折れそうなもの
基本的にスーパーなどで購入した舞茸は、水洗い不要です。
洗ってしまうと旨味成分が流れ出ていってしまうデメリットもあるので、そのまま使いましょう。水洗いせずに使うことでカリウムなどの水溶性の栄養素の流出も防げるので栄養面的にも多きなメリットがあります。
例えば、じゃがいもなどの土壌で育つ野菜は水洗い必須です。これは、綺麗に見えても土壌由来の細菌が必ずといっていいほどついているためです。土壌で育つ野菜は水洗いして土汚れや泥汚れ、細菌を綺麗に落とす必要があります。
一方、市販の舞茸は菌床栽培(きんしょうさいばい)という、木材に米ぬかなどの栄養を混ぜて高温殺菌した菌床にきのこの種菌を植え付けて培養する栽培方法が用いられています。この方法だと清潔な環境で舞茸を育てることができるため、洗わないで大丈夫なのです。
舞茸に含まれている旨味成分をしっかりと活かすためには、沸騰させないことが大切なポイントです。
舞茸を含めたきのこ類の旨味成分は、60〜70℃あたりで急増するといわれています。沸騰させてしまうことで一気に60℃〜70℃を過ぎてしまうと、旨味をうまく出すことができません。
60〜70℃の温度をゆっくり通過するよう、沸騰しない程度の火加減で1分〜2分ほど加熱していきましょう。舞茸などのきのこ類は生食できないためしっかりと火を通す必要がありますが、火が通りにくい食材ではないので1分〜2分程度茹でるのがちょうど良いでしょう。
そもそも味噌汁は沸騰させてしまうと味噌の風味が飛んで美味しくなくなってしまいます。沸騰させないように常に注意してください。
舞茸特有の匂いが気になる場合は、バターで一度炒めてから味噌汁にするのがおすすめです。
バターには濃厚な風味があり、舞茸の匂いをマイルドにして食べやすくしてくれます。ベーコンなども一緒に炒めて具だくさんの味噌汁にしてもOKです。
バターで炒めてから味噌汁にすると、舞茸の匂いも軽減されますし、味噌汁にバターのコクと風味が加わって普段の味噌汁とは異なる味わいを楽しむことができます。
味噌ラーメンにバターをトッピングするのが人気のように、味噌とバターの相性は抜群です。
ごま油を使って舞茸を炒めてから、味噌汁にするのも良いでしょう。
ごま油の風味と舞茸の風味がマッチし、舞茸特有の香りを楽しみながら食べることができます。
ただし、炒める場合は過度に加熱しないよう注意が必要です。加熱しすぎると焦げてしまったり舞茸の風味を軽減してしまうことになるため、程よい加熱時間を保ちましょう。
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