保存していたエリンギにカビが生えてしまった経験はありませんか?本記事ではカビが生えてしまったエリンギは食べられるのかどうか解説します。カビとよく似た生理現象との違いも紹介しますので参考にしてください。
エリンギにカビが生えてしまった場合は、残念ですが破棄するのが無難です。
カビはカビ毒を発生させ、下痢や嘔吐などの中毒症状が出てしまう可能性があります。小さなお子様が食べる場合や高齢者の方が食べる場合など特に免疫力のない方が食べてしまうと大変危険です。
そのため、カビが生えてしまったエリンギは破棄しましょう。
表面だけなどカビが生えているのが一部である場合、カビが生えている部分を切り落とせば食べられるのでは?と思う方も多いでしょう。
じゃがいもなどの固い根菜は表面だけで中まで侵食していなければ、皮を厚めにカットすれば食べられるという方もいらっしゃいます。しかし、カビの胞子は目に見えないほど小さいので、見えない部分にも侵食してしまっている可能性があります。
お風呂に生える頑固なカビを思い出していただけるとわかりやすいでしょう。奥まで根を張ってしまっていると表面を切り落としても、完全には取り除けないのです。
エリンギは根菜のように固い食材ではないので、一部であっても破棄したほうが安全です。
「少し傷んでいても加熱すれば大丈夫でしょ」と考える方も多いかと思いますが、カビの菌は熱湯をかけるなどの加熱処理をしても安全に食べられるということはないので注意しましょう。
実際にはカビの菌も多くは熱に弱いといわれていますが、カビの種類によっては加熱をしても死滅しない場合があります。また、一旦カビが繁殖すると菌が死滅しても「カビ毒」を発生させることがあり、中毒症状を引き起こす可能性もあります。カビ毒は加熱で除去することはできません。
出典:カビとカビ毒についての基礎的な情報(農林水産省)
黒い斑点が集まり黒く変色しているように見える部分がある場合は、黒カビが生えています。
黒カビは、クラドスポリウム属の病原菌で、170種以上いるといわれています。その中でも代表的なクロカビは、クラドスポリウム・クラドスポリオイデスとクラドスポリウム・スフェロスパーマムです。黒カビも空気中に舞っていて、繁殖できる場所を見つけると一気に増えていきます。
多湿の場所を好み、食べ物以外でもお風呂のサッシやエアコンの内部などに多く見られます。
エリンギに青(緑)っぽい物体がついている場合は、青カビが生えている可能性が高いです。
青カビの原因はアオカビ属(ペニシリウム属)の病原菌です。アオカビ属(ペニシリウム属)には約300種類以上の菌があり、中にはゴルゴンゾーラなどのチーズの製造に用いられる青カビもあります。
アオカビ属(ペニシリウム属)は低温度でも極微量の栄養物に発育しカビ臭を放ちます。 ちなみに青カビは、みかんやレモンなどの柑橘系や食パンなどにも発生します。
エリンギにつく白いふわふわとしたホコリのような物体の正体は気中菌糸(きちゅうきんし)です。白カビが生えてしまったと多くの方が驚くと思いますが、白カビではありません。
そもそもエリンギなどのきのこ類は、菌糸と呼ばれる糸状の菌が集まってできている菌類の一種です。エリンギの一部が菌糸に戻ると白いフワフワとした気中菌糸になってエリンギのカサなどにつきます。つまり、エリンギの白いふわふわとしたホコリのような物体は、エリンギの一部なのです。
ちなみに、気中菌糸はしいたけやしめじなど、エリンギ以外のきのこ類にもつくことがあります。
エリンギについている気中菌糸は、上述したようにエリンギの一部なので食べても人体に害はありません。そのまま調理をすることが可能です。
加熱調理をすると気中菌糸は気にならなくなります。
そうはいっても見た目が気になる場合は、濡れた布巾やキッチンペーパーなどで優しく拭き取ってから調理をすると良いでしょう。水洗いしてしまうと旨味や水溶性の栄養素が流出してしまうので、拭き取る程度に留めてください。
また、濡らしてしまったエリンギは傷みやすいので注意が必要です。調理をする直前に拭き取り、すぐに加熱調理をしましょう。
カビが生えてしまう原因の一つは温度です。カビは20~30℃の温度で繁殖しやすくなります。特に夏場などの気温が高い季節は、直射日光の当たるような場所に保存しておくとカビが繁殖してしまう原因となります。
エリンギの貯蔵最適温度は2℃〜5℃です。温度高い場所での保存していると、カビが生えやすいだけではなくエリンギが痛み、腐敗してしまいます。特に夏場などの気温が高い季節はカビが生えてしまいやすいので、涼しい場所で保存しましょう。
カビは湿度70%以上で繁殖しやすくなります。
日本は比較的湿度が高い気候で、特に梅雨の時期などは食べ物の保存には十分に注意が必要です。多湿な環境にエリンギを放置しておくと、カビが生えてしまいます。
エリンギにカビが生えてしまったり、腐敗してしまうのを防ぐためには高温多湿の場所を避けて、保存することが大切です。
エリンギにカビを生やさないためには、正しく保存しておくことが大切です。エリンギの正しい保存方法は下記の通りです。
エリンギは冷蔵保存で約1週間ほど日持ちします。すぐに食べる場合は冷蔵保存をしましょう。
エリンギはパックごと保存してしまうのはNGです。
舞茸に水分がついている場合は、キッチンペーパーなどで拭き取り、キッチンペーパーで包んでポリ袋に入れ、口を軽く閉じ冷蔵庫へ。
キッチンペーパーに包むことでエリンギから出た余分な水分を吸い取り、鮮度を保ってくれます。
カット後に使い切れなかったエリンギも、キッチンペーペーに包んでからポリ袋に入れて冷蔵保存が望ましいです。
ただし、カットしたエリンギはカットした断面が空気中の酸素に触れることにより酸化してしまいやすいため丸ごとの状態より痛みやすいです。4日〜5日を目安にできるだけ早めに食べきりましょう。
冷凍することで旨み成分が作り出されるため、香りや旨みがより豊かになります。冷凍保存した舞茸は約1ヶ月ほど日持ちしますので、すぐに食べきれない場合は冷凍保存しましょう。
エリンギを冷凍するときは、石づきを切り落とし、食べやすい大きさにカットし冷凍用保存袋になるべく平らになるように入れます。空気を抜いてから密封し冷凍室で保存します。
解凍すると水分とともに水溶性成分や旨み成分が流れ出てしまうので、凍ったまま調理に使用します。
エリンギは乾燥させてから保存することもできます。完全に乾燥したら密封容器に入れて常温(または冷蔵)で保存します。乾燥させたエリンギは密閉容器に入れて常温もしくは冷蔵で約1ヶ月ほど保存することができます。水で戻して調理するのもOKですが、乾燥したまま味噌汁やスープに入れることで、エリンギの出汁が出て美味しくいただけます。
乾燥方法で一番おすすめなのは天日干しです。根元を切り落としてほぐしたしめじを重ならないようにザルに並べ、1〜2日ほど天日干しをします。
天日干しするのは、晴天の午前10時から午後3時までの時間帯がおすすめです。
完全に乾燥したら、密閉容器に移して保存しましょう。
天日干し以外にも、オーブンやレンジを使って乾燥させる方法もあります。
下記のような特徴があるエリンギは腐敗していますので破棄しましょう。
腐ったエリンギの見た目の特徴は下記の通りです。
溶け出している部分がある
軸が茶色・黒ずんでいる
全体的に変色している
溶け出している部分がある場合も腐敗が進行しています。エリンギに限らず食材は腐敗すると溶け出し形が崩れていきます。
エリンギは、腐敗すると白い軸が茶色く変色してきたり、黒ずんできます。軸が茶色や黒に変色している場合や、軸のみならず全体的に変色してしまっている場合は腐敗しているので破棄してください。
腐敗したエリンギの臭い・味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい臭い
生ゴミの臭い
カビ臭い
エリンギは独特のきのこ臭がありますが、そこまできつい臭いはしません。酸っぱい臭いや味がする場合は腐敗しています。
エリンギに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。
カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐敗したエリンギの触感の特徴は下記の通りです。
ぐにゃぐにゃで柔らかい
ぬめりがある
糸を引いている
新鮮なエリンギはぴんとしたハリがありますが、腐敗したエリンギは指で押すだけで簡単に潰れてしまうほとぐにゃぐにゃに柔らかくなります。
また、ぬめりがある場合も腐敗していると考えて良いでしょう。ぬめりが出ているのは、腐敗が進み雑菌が増殖してしまっているサインです。ひどくなると、糸を引くほど強い粘りが出ます。このような場合は洗い落としても安全に食べることはできませんので、破棄しましょう。
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