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しめじは茹でると栄養は減る?無駄にしない茹で方は?

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しめじは茹でると栄養は減る?無駄にしない茹で方は?

しめじを茹でる際、しめじに含まれる栄養素には変化があるのでしょうか?本記事では、しめじに含まれる栄養素についてや、栄養素を無駄にしないおすすめの茹で方を詳しくご紹介しています。

しめじの栄養

しめじには、ビタミンB郡やD、カリウムなどのミネラル類などが含まれています。また、栄養成分であり旨味成分であるグルタミン酸やグアニル酸が含まれているのも特筆すべき点です。

ビタミンB1

日本人が不足しがちなビタミンB1がしめじには含まれています。

ビタミンB1は糖質をエネルギーにする(体を元気にする)ために欠かせないビタミンです。不足すると、体のだるさや倦怠感、足のむくみ、動悸の症状、太りやすくなったりします。また、糖質は脳や神経系のエネルギー源なので、ビタミンB1には精神を安定させる作用があると言われています。

昔、日本人の主食は精白米ではなく玄米で、その玄米にはビタミンB1が含まれていたために、意識していなくても摂取することができました。しかし、昨今ではビタミンB1が豊富に含まれている米ぬかの部分が、精白米にする段階でほとんど取り除かれてしまいます。他にもお菓子やジュースなどの過剰摂取でビタミンB1は不足するとも言われているため、積極的に摂取したい栄養素です。

ビタミンB2

ビタミンB2は動物性食品に多いビタミンですが、植物性食品にもわずかに含まれています。ビタミンB2は脂質とたんぱく質の分解に働きます。ビタミンB1が糖質の代謝に作用するのに対し、ビタミンB2は特に脂質の代謝を助けます。そして細胞の再生を助けて成長を促し、健康な肌や髪つくり、目や口などの粘膜を守ります。

ビタミンB6

ビタミンB6はたんぱく質の代謝や再合成に関わり、エネルギーや筋肉、血液などを作るときに必要な栄養素です。健康な皮膚や髪、爪、血液、粘膜を作っています。そのため、たんぱく質を多く摂る人ほど必要な栄養素となっています。

またアミノ酸の代謝を促し、アドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質の合成を助けます。さらには血中のホモシステイン値を防ぎ、認知症のリスクを軽減します。
他にも、免疫機能を正常に保ちアレルギー症状を緩和する効果や月経前症候群を軽減する効果もあると言われています。

ビタミンB2と一緒に摂取すると効果アップが期待できますので、ビタミンB2を多く含む卵や納豆、肉や魚などの動物性の食品と一緒に摂るといいでしょう。

ビタミンD(エルゴステロール)

しめじには、カルシウムやリンの吸収を促進させるビタミンDが含まれています。またカルシウムの骨への沈着を助けたり、筋力を強くする働きもあるため、骨や葉の形成や成長促進に不可欠な栄養素となっています。

また、きのこにはエルゴステロールという成分があり、紫外線に当たるとビタミンD2に変わります。

ちなみにしめじのビタミンDの含有量は、ぶなしめじは0.6マイクログラム、本しめじは4マイクログラムで、本しめじの方が多く含まれています。

カリウム

カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。そのため、高血圧の予防になるミネラルの一つです。また心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。

主に野菜類に多く含まれていますが、きのこ類の中ではしめじは豊富に含まれています。

グルタミン酸

グルタミン酸は非必須アミノ酸の一つです。グルタミン酸はアンモニアを解毒し、尿の排出を促進する効果や脳の機能を活性化する効果があります。神経伝達物質の材料となるセリンやエネルギー源として使われるアスパラギン酸など体内でアミノ酸を生成します。またリラックス作用のあるGABAの材料にもなります。

また、日本で最初に発見されたうま味物質として調味料などに活用されています。

グアニル酸

プリンヌクレオチドの一つで、グアノシン一リン酸とも言い、GMPと略称されています。 生体内ではリボ核酸(RNA)の構成成分の一つとして非常に重要で、 またうま味調味料の一つとしても利用されています。

グルタミン酸と相乗効果で、うま味が倍増します。

しめじの栄養は茹でると減る?

しめじに含まれている栄養についておわかりいただけたでしょうか。それでは、茹でるとしめじの栄養は変化するのか解説します。

水溶性の栄養素が減る

しめじを茹でると、水溶性の栄養素が流出してしまいます。例えば、しめじに含まれている水溶性の栄養素には上記で紹介したビタミンBやカリウムなどがあります。

これらの栄養素は、茹でるのはもちろんのこと水につけておくだけでも流出してしまいます。

しめじに限らず水溶性の栄養素を多く含む野菜は、茹でることで栄養価が下がってしまうので、栄養価を下げたくない方は茹でる以外の調理をするか、汁ごといただける味噌汁などにするのがおすすめです。

旨味成分も流出

栄養成分としてだけではなく旨味成分としても役立っているグルタミン酸とグアニル酸も、茹でれば茹でるだけ流出してしまい、味が薄くなってしまいます。

しめじは生食してしまうと食中毒の症状が出てしまう可能性があるため、しっかり火を通す必要がありますが、茹ですぎてしまうと水溶性の栄養素が流出してしまうだけではなく旨味が減ってしまうデメリットもあるのです。

茹でるのであれば、スープにするなど汁ごといただける料理にした方が、しめじの旨味をしっかり活かして美味しく食べることができるでしょう。

しめじの栄養を無駄にしない茹で方のポイント

しめじの栄養を無駄にしない茹で方のポイントは下記の通りです。

洗わない

しめじは洗わず、汚れはキッチンペーパーで拭き取る

基本的にスーパーなどで購入したしめじは、水洗い不要です。

例えば、じゃがいもなどの土壌で育つ野菜は水洗い必須です。これは、綺麗に見えても土壌由来の細菌が必ずといっていいほどついているためです。土壌で育つ野菜は水洗いして土汚れや泥汚れ、細菌を綺麗に落とす必要があります。

一方、市販のしめじは菌床栽培(きんしょうさいばい)という、木材に米ぬかなどの栄養を混ぜて高温殺菌した菌床にきのこの種菌を植え付けて培養する栽培方法が用いられています。この方法だと清潔な環境でしめじを育てることができるため、洗わないで大丈夫です。

水洗いすることで水溶性の栄養素や旨味成分が流出してしまうので、洗わずに加熱しましょう。

お湯から茹でる

野菜を茹でる際には、水から茹でる方法とお湯から茹でる方法があり、どちらを選ぶか迷うことがあるかもしれませんが、しめじの場合はお湯から茹でる方法が適しています。

しめじは、根菜などのように固く火が通りにくい野菜とは異なり、火が通るのが比較的早いです。そのため、お湯から茹でることで、しめじの風味や食感を保ちながら適切な火加減で調理することができます。

一方、固い野菜や根菜などは、水から茹でることで中までしっかり火を通すことができるため、適切な調理法です。しっかり火を通すことで食材の食べやすさや安全性を確保することができます。

茹ですぎない

しめじを鍋で茹でる場合の加熱時間の目安は1分〜2分です。

ただし、しめじの太さや量によっても加熱時間は異なります。様子を見ながら調節しましょう。

注意すべき点として、しめじを長く茹で過ぎると、水溶性の栄養素であるカリウムなどが茹で汁に流出してしまう可能性があります。また、過度に加熱すると食感が損なわれてしまうこともあるため、適切な加熱時間を守ることが重要です。

茹で時間の調整によって、しめじの美味しさや栄養を最大限に引き出すことができます。

しめじの茹で方

基本的なしめじの茹で方は下記の通りです。

石づきを取る

しめじの石づきを切り落とす

しめじをレンジで加熱するときは、まず石づきを取ります。

はじめに2等分〜4等分に手で分けてから包丁でカットする方法や、引っ張るようにして石づきからしめじを取っていく方法があります。

丸ごとの状態で包丁でカットしても良いのですが、食べられる部分までカットしてしまうので上記の方法がおすすめです。

バラバラにする

しめじを手でバラバラにする

しめじの石づきを取ったら、手でバラバラにします。

鍋に水を入れて沸騰させる

鍋に水を入れて沸騰させる

しめじの下処理が終わったら、鍋に水を入れて加熱します。

沸騰したらしめじを入れて1分〜2分茹でる

沸騰したらしめじを入れて1分〜2分茹でる

鍋に水を入れて加熱し、沸騰したらしめじを入れて1分〜2分加熱します。

しめじが太かったり、量が多い場合は長めに加熱しましょう。

ザルにあげて粗熱をとる

ザルにあげて粗熱をとる

しめじに火が通ったら、ザルにあげて粗熱を取って完了です。

栄養を無駄にしないしめじの加熱方法

しめじの栄養を無駄なく摂取したい場合は、茹でる以外の加熱方法がおすすめです。

レンジ

しめじを電子レンジで加熱し火を通す

レンジでの加熱は、お湯を使わないため水溶性の栄養の流出を抑えることができます。また、あっという間に加熱することができるので時短にも◎

レンジを使って加熱するときは、しめじの石づきをカットしバラバラにしたら、耐熱ボウルに入れてラップをし600Wのレンジの場合2分〜3分を目安に加熱します。

加熱時間はしめじの太さや量、レンジのワット数にもよるので様子を見ながら調節してください。レンジ加熱はレンジの構造上どうしても加熱ムラができやすいので、生焼けの状態で食べてしまわないよう注意が必要です。

しめじがみずみずしくプリっとしたら火が通っているサインですので、火が通ったら粗熱を取って完了です。

焼く・蒸す・蒸し焼きもおすす

しめじをフライパンで加熱し火を通す

しめじの栄養を守るのであれば加熱するときはレンジがおすすめですが、焼く・蒸す・蒸し焼きも水溶性の栄養の流出を防ぐことができます。

焼く・蒸す・蒸し焼きも茹でるのとは異なりたっぷりのお湯を使うわけではないので、水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができますし、水っぽくなってしまったり味が薄くなってしまうこともないのでしめじ旨味や風味をしっかり楽しめます。