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しめじは冷凍すると栄養はどうなる?正しい冷凍方法を解説

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しめじは冷凍すると栄養はどうなる?正しい冷凍方法を解説

しめじを冷凍すると1ヶ月程保存可能なので、長期で冷凍したいときには冷凍保存がおすすめです。本記事ではしめじを冷凍したときに栄養は減ってしまうのかどうか詳しく解説します。

しめじの主な栄養素と成分

生のしめじ可食部100gあたりに含まれている栄養素と成分は下記の通りです。

  • エネルギー...26kcal

  • 水分...91.1g

  • たんぱく質...2.7g

  • 炭水化物...4.8g

  • 脂質...0.5g

  • 食物繊維...3.0g

  • ビタミンB1…0.15mg

  • ビタミンB6…0.09mg

  • ビタミンB2…0.17mg

  • ビタミンD…0.5μg

  • カリウム…370mg

しめじには、食物繊維やビタミンB郡、Dなどのビタミン類やカリウムなどのミネラル類が含まれています。また、旨み成分を作りだすだけでなく、栄養成分であるグアニル酸やアスパラギン酸なども豊富に含まれています。

出典:日本食品標準成分表2020年版 八訂(文部科学省)

しめじの栄養は冷凍するとどうなる?

大きく栄養を損なうことはない

しめじは冷凍したからといって栄養を大きく失ってしまうことはありません。

基本的に野菜などの食材の鮮度が落ち、栄養価が落ちたり腐敗してしまうのは、空気に触れて酸化が進んだり、乾燥したりといった外的要因や食品に含まれる酵素や微生物の働きなどの内的要因によるものです。

冷凍庫などの低温の環境では、腐敗や食中毒の原因になるほとんどの菌類や微生物、酵素の分解作用が働くことはありませんので、外的要因である乾燥や酸化を防げれば鮮度が落ちたり栄養価が落ちてしまうことを防ぐことができます。

茹でてから冷凍する場合は、茹でることで水溶性の栄養素が流出してしまいますが、冷凍が原因で大きく栄養が流出してしまうことはないので安心してください。

旨味も増す

野菜など食材によっては、冷凍することで味が薄くなってしまうことがありますが、きのこを冷凍すると、水分が膨張することで細胞壁が破壊され、分解酵素が初めて作用します。これにより旨み成分を作りだすだけでなく、栄養成分であるグアニル酸やアスパラギン酸などが3〜4.5倍にアップすることがわかっています。

そのため、旨味を出したいのであればすぐに使う場合でも一度冷凍してから使うのがおすすめです。冷凍したしめじは、煮物や炊き込みご飯にピッタリです。

冷凍しめじはまずい?

食材によっては冷凍することで食感が柔らかくなってしまったりして、冷凍するとまずくなると言われることがあり、しめじも例外ではありません。

しめじに限らず食材に合わせた最適な冷凍方法で冷凍すれば、まずくなってしまうのを防ぐことができます。

また、冷凍したしめじを使うときは解凍方法も重要です。例えば、冷凍しめじをレンジで解凍してから使ってしまうと、水分がたくさんでてきてしまい水っぽくべちゃべちゃの状態になって風味や食感を大きく損なうことがあります。

また、冷凍庫に入っている食材や雑菌の匂いなどが移ってしまって臭みが出てしまい、まずいと感じることも多いです。

しめじを美味しく冷凍するコツ

しめじを美味しく冷凍するコツを紹介します。

鮮度が落ちないうちに冷凍

しめじなどのきのこ類は鮮度が落ちやすいです。鮮度が落ちてしまうとどうしても臭いがきつくなってしまったり変色してしまいます。すでに鮮度が落ちてしまっている状態で冷凍すると、解凍するときに臭くなってしまったり、変色してしまうのを防ぐのが難しいため、新鮮な状態で冷凍するのが望ましいです。

新鮮なしめじの特徴は下記の通りです。

  • カサに丸みがありハリがある

  • カサが小さめ

  • カサが密集していて重みがある

  • 軸が太く、短い

  • 色が濃すぎない

すでに鮮度が落ちてしまっているしめじは、冷凍しても新鮮な状態に戻せるわけではありません。できるだけ早めに使い切ってしまいましょう。

冷凍前に洗わない

冷凍する前に一度洗ったほうが良いのではと思う方もいらっしゃると思いますが、水洗いするのはNGです。

水洗いしてしまうと、余計な水分まで一緒に凍ってしまうことになります。余計な水分も一緒に凍ってしまうと解凍されたときにべちゃっとしたり水っぽくなってしまい、食感や風味が悪くなってしまいます。また旨味成分の流出にも繋がります。

そもそもしめじなどのきのこ類の多くは、洗わずに調理をしても衛生面上問題ありません。しめじの場合は、水洗いをすることで苦味を感じやすくなってしまうことがわかっているので、水洗いは避けるのがベストです。

汚れが気になる場合は、キッチンペーパーで優しく拭き取る程度に留めましょう。

石づきを取ってバラバラにする

しめじを冷凍するときは、石づきを取ってバラバラにします。

丸ごと冷凍してしまうと、くっついた状態で凍ってしまい、細胞の損傷が大きくなるため臭いがきつくなってしまいますし、食感が悪くなってしまいます。また、丸ごとの状態だと調理をするときに、どうしても一度解凍しなければいけなくなってしまうため、水っぽくなったり風味が悪くなる原因になります。

手間はかかりますが、石づきを取ってバラバラにしてから冷凍するようにしましょう。

しめじ特有の臭いを軽減したいなら加熱してから冷凍

冷凍保存には直接冷凍する(ダイレクトフリージング)という方法がありますが、家庭用冷凍庫では急速凍結(瞬間冷凍)ができないため、味や食感、色が悪くなることが多いです。また、緩慢冷凍(徐々に冷凍すること)する過程で身の中に氷結晶ができ、開け閉めで冷凍庫内の温度が上がったときに、それが水蒸気となり身がスカスカになってしまいます。

一方、加熱してから冷凍する方法(ブランチング)は、加熱して野菜の持っている酵素を不活性化させることにより変色を防いだり、組織を軟化させることにより冷凍によって組織が破壊され食感を損なわれるのを防ぐことができます。また、食品表面に付着している微生物の殺菌にもなります。

しめじの場合は、上述したように冷凍保存するときに水分を含んでしまうと、食感が悪くなったり旨味成分が流出してしまったりするため生の状態で冷凍するのが望ましいです。しかし、細胞が破壊されると臭いがきつくなってしまうため、臭いを軽減したい場合は一度加熱してから冷凍するのが良いしょう。

加熱してから冷凍する場合は茹でても良いのですが、どうしても水分を含んでしまいますし、水溶性の栄養素や旨味成分が流出してしまうためレンジでの加熱をおすすめします。
出典:冷凍食品Q&A冷凍食品の基礎知識(日本冷凍食品協会)

水分をしっかり拭き取る

しめじの水分をしっかり拭き取る

茹でたりレンジで加熱してから冷凍する場合は、保存袋に入れる前にしっかりと水分を拭き取ります。

上述しているように余計な水分がついていると、食べるときに水っぽくなってしまったり、食感がべちゃっとしてしまって美味しくなくなってしまいます。

キッチンペーパーなどでしっかり水分を拭き取ってから保存袋に入れることが大切です。

保存袋に入れたら空気を抜いて密閉

しめじを保存袋に入れたら空気を抜いて密閉する

バラバラにしたしめじを保存袋に入れたらしっかり空気を抜いて密閉します。

空気を抜いて密閉することで、空気中の酸素に触れて酸化して劣化してしまうのを防ぐことができます。また、冷蔵庫の臭い移りもしないので、しめじそのものの風味や味を損ねてしまうことがありません。

金属トレイの上に置く

しめじを冷凍する際は金属トレイの上に乗せるのがおすすめ

しめじに限らず、野菜を冷凍する場合は急速冷凍をしたほうが旨みをぎゅっと閉じ込めることができます。冷蔵庫に急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。

金属トレイは温度の伝達が早いため、急速冷凍と同じ効果を得ることができます。

冷凍庫の扉付近は開け閉めによる温度変化の影響を受けやすいため、できるだけ温度変化の少ない扉付近を避けた場所に置いたほうが早く冷凍することができます。

遅くても1ヶ月以内に食べきる

冷凍すれば永遠に保存できてしまうような気がしてしまいますが、どんなに長く保存しても1ヶ月を目安に食べきるようにしましょう。

冷凍しても長く保存していると鮮度は落ちてしまうので、味や食感はどんどん悪くなってしまいます。冷凍しているからといっていつまでも入れておかず、なるべく早く食べきることが大切です。

冷凍しめじの解凍方法

冷凍しめじが臭くなってしまうのを防ぐためには冷凍方法も重要ですが、解凍方法も重要です。

冷凍した食材はレンジを使って解凍することも多いですが、レンジで一気に解凍してしまうとどうしても水分が出てきてしまい、水っぽくなってしまいますし、臭いがきつくなったり風味が損なわれてしまいます。旨味成分も流出してしまうため、レンジ以外の解凍方法がおすすめです。

解凍せずに加熱調理がベスト

冷凍しめじは解凍せずに加熱調理がベスト

しめじはそもそも生食することができません。生の状態で冷凍している場合、必ず加熱料理をする必要がありますが、冷凍しめじは解凍せずに加熱調理をしてOKです。

一度解凍してしまうと水っぽくなってしまったりするなどのデメリットがありますが、そのまま加熱してしまえば水っぽくならずふっくら仕上がりますし、旨味も風味も逃すことなく美味しく食べることができます。
解凍せずにそのまま炒めものにしたり、汁物にして食べるのがおすすめです。

解凍するなら自然解凍がおすすめ

冷凍しめじを解凍するなら自然解凍がおすすめ

解凍して使いたい場合は、冷蔵室に移して自然解凍が最もおすすめです。

冷蔵室に移し低温でゆっくり解凍していくことで、一気に解凍されて水分が沢山でてきてしまうのを防ぐことができます。時間はかかってしまいますが、前日の夜に冷蔵室に移しておけば、次の日に使うことができます。

茹でたしめじを冷凍し、マリネなどに使いたい場合は自然乾燥するのが良いでしょう。

冷凍しめじにおすすめの調理方法

冷凍しめじを解凍せずに使えるおすすめの調理法を紹介します。

おひたし

冷凍しめじは、おひたしにして食べることができます。

冷凍しめじを解凍せずに、鍋に適量の水を沸かし、沸騰したらしめじを入れ、約1分茹でます。茹でたら醤油などお好みの調味料で味付けをすれば簡単に美味しいおひたしを作ることができます。

冷凍しめじは調味料が染み込みやすいので、しっかり味がしみこんだ美味しいおひたしに仕上がります。

炒めもの

冷凍しめじは、オリーブオイルやバターを使って炒めものにしても美味しく食べられます。炒めることで苦味も軽減することができるので、苦味が気になる方は炒め物にするのがおすすめです。

炒めものであれば、解凍されて水分が出ても蒸発するので水っぽくなってしまう心配もありません。

汁物

冷凍しめじは、解凍せずにそのまま味噌汁やスープにしても良いでしょう。

冷凍しめじを味噌汁やスープに加えることで、旨味がプラスされて美味しく仕上げることができますし、流出してしまいがちな水溶性の栄養素も汁ごといただけるので栄養面的にも◎

栄養素を無駄なく摂取したい方は、汁物にしていただくのが最もおすすめです。

炊き込みご飯

上述したように、しめじは冷凍すると旨味成分であるグアニル酸やアスパラギン酸などが3〜4.5倍にアップします。しめじの旨味を最大限に活用するなら、炊き込みご飯がおすすめです。

炊飯器に研いだお米と水を入れたら、醤油やみりんなどの調味料を加え、お米の上に冷凍しめじを乗せて炊くだけで美味しい炊き込みご飯を作ることができます。

栄養も無駄なくご飯と一緒に食べることができるので、ぜひお試しください。しいたけやエリンギなど他のきのこも合わせて作っても美味しいのでおすすめです。