じゃがいもには様々な種類がありますが、コロッケにはどの品種が良いのでしょうか。この記事では品種の違いによるコロッケの味わいの違いや、おすすめの品種などを解説します。
じゃがいもの種類によって味わいは変わります。また、じゃがいも以外で作ることもできます。
コロッケ作りにはホクホクとした食感が楽しめる、「男爵」という種類のじゃがいもが使われることが多いです。
アメリカ原産で、現在日本での生産量1位の男爵は、でん粉量が多いため粉質でザラっとした口当たりですが、調味料の味が染み込みやすく、加熱するとホクホクした食感が楽しむことができます。
メークインとは異なり糖分が少なくたんぱくな味ですが、どんな味付けにもよく合いその他の食材とも相性が良いです。ほくほくとしたじゃがいもが好みという方は男爵がおすすめですが、煮崩れしやすいので煮込む際は要注意です。
ちなみに、男爵はほくほくとした食感を活かして、コロッケ以外では蒸してじゃがバターとして食べることが多いです。
男爵以外では俵(たわら)のような楕円形が特徴的な見た目の、イギリス原産の「メークイン」という品種が使われることもあります。メークインは煮物やカレーなどの煮込み料理に使われることが多いです。
メークインはでんぷん量が男爵などと比較して少なく、しっとりとしていて固めの食感ですが、滑らかな口当たりが楽しむことができます。しっかりしている分煮込む際も崩れにくいですが、味が染み込みにくくもあります。
また、メークインは糖分が収穫直後から男爵などそのほかの品種より多いためほんのりとした甘味が感じられ、この甘味は低温で貯蔵することで更に増します。
じゃがいも以外ではサツマイモや里芋でもコロッケを作ることができます。
サツマイモはじゃがいも以上にホクホクとしていてタネがまとまりにくいですが、よりホクホクとしていて甘みがあるテイストに仕上がります。
里芋は粘度があるので潰しにくく、タネが柔らかくなりやすいですが、甘みがありつつも柔らかい食感でしっとりとした舌触りのコロッケに仕上がります。
ほくほくとした食感が楽しめるじゃがいもの品種を紹介します。
男爵いもに見た目がよく似ていて、芽の部分がほんのりと赤いじゃがいもです。果肉は明るい黄色で、ホクホク感のあるじゃがいもです。別名「栗じゃが」ともよばれます。
キタアカリはビタミンC含量が多く、貯蔵後は甘みが増すと言われています。ホクホク感を存分に楽しめるじゃがバターやフライドポテト、サラダなどに適しています。
インカのめざめは流通量が少なく、幻のじゃがいもといわれることもありますが、旬の時期にはスーパーなどで見かけることのある品種です。
鮮やかな黄色の果肉で比較的小ぶりです。糖度が高く、栗やナッツに似た甘い風味を持っており、別名「アンデスの栗ジャガ」とも呼ばれます。
ホクホクとした食感ながらも煮崩れしにくく、シチューやカレー、肉じゃがなどの煮物や揚げ物に適しています。
サッシーはフランスから導入された品種です。見た目は男爵いもに似ていますが、表皮の色が男爵いもよりも薄く、黄色みが強いのが特徴です。強いうまみがあり、栗に似た風味がします。
もともとポテトチップスに加工すために品種改良されたこともあり、油との相性がとても良いので、フライドポテトに適しています。揚げるとより鮮やかな黄色になります。また、ウロコ状の特徴的な皮はパリパリと香ばしくなり、中はよりホクホクになります。
アンデスレッドは、男爵いものように丸くゴツゴツしたじゃがいもです。表皮はアントシアニン由来の薄く赤い色をしています。さつまいものような甘みがあり、ホクホクとした食感がします。
調理後すぐはホクホクとした食感ですが、時間が経つとしっとりとしたなめらかな舌触りになります。ただし、煮崩れしやすいため肉じゃがなどの煮物やカレー・シチューにはやや不向きで、ポテトサラダやコロッケ、ジャーマンポテトなどに適しています。
やや縦長で扁球形をなしている形は男爵いもに似ていますが、男爵いもよりも芽が浅く、皮が剥きやすいのが特徴です。皮の色と芽は赤く、果肉はやや黄色です。
比較的新しい品種で、食感や煮崩れ具合は男爵いもに似ており、ポテトサラダやフライドポテトなどに適しています。
メークインに似たねっとりとした食感で、煮込んでも崩れにくい品種を紹介します。
とうやは、球形〜長球形で比較的サイズが大きい品種です。果肉は黄色く、なめらかな食感が特徴的です。その上品な味わいから「黄爵(こうしゃく)」という別名と漢字があてられたとも言われています。
表面は凸凹が少ないので、皮が剥きやすいです。また、メークイン同様デンプン量が少ないので、ほくほくとした感じは控えめですが、煮崩れが起きにくいです。
インカのひとみは、小さめの長楕円形をしています。表皮の色は淡い赤色で、果肉は黄色く加熱調理をするとより色の濃い橙黄色になります。
味や食感はインカのめざめによく似ており、煮崩れもしにくいですが、甘みがとても強く、栗のような甘さと例えられることがあります。
ノーザンルビーは、形や大きさがメークインと似ている品種です。アントシアニンを含み、「ルビー」という名前の通り皮は赤く、果肉はピンクです。
加熱しても崩れにくいほか、果肉の色が落ちないので、料理が変わった色合いに仕上がります。ピンク色のポテトチップスやポタージュが作られることが多いです。
シェリーはフランス原産の長楕円形をしたじゃがいもです。さつまいものように表皮が赤く。果肉の色は淡い黄色です。芽が浅くツルッとしていて皮が剝きやすいです。
収穫後は芽が出にくいため貯蔵に適しており、長期間に渡って保存することができます。煮崩れしにくいため、肉じゃがはもちろん、シチューやカレーなどの煮込み料理に適した品種です。
楕円形で赤い表皮と黄色の果肉が特徴的な品種です。形が似ていることから「紅メークイン」や「レッドメークイン」、「紅じゃがいも」などとも呼ばれています。
男爵やメークインとは異なる、サツマイモに近いようなコクと優しい甘みが特徴的です。煮崩れや黒変もしにくく、シチューやカレーなどに適しています。また、ポタージュスープにもおすすめです。
ほくほくとした食感が楽しめつつも煮崩れも起きにくい、バランスの取れた特徴を持つじゃがいもを紹介します。
マチルダはスウェーデン原産のじゃがいもで、皮に特徴的なウロコ状のざらつきがあり、果肉は白いです。食感や口当たりは天候に左右されやすく、栽培された年の気温が低めだとホクホクとした食感になり、気温が高めだとねっとりした口当たりになります。
煮崩れしにくく、煮物や揚げ物など幅広い使い方ができます。
メークインと同じように長卵形をなしており、皮も果肉も紫色な品種です。紫色は、アントシアニンという色素によるもので、加熱しても果肉の紫色がしっかりと残ります。
ホクホクとしつつもしっとりさも感じられ、男爵とメークインの中間とも言われます。やや煮崩れしやすいため、ポタージュスープやポテトサラダなどに適しています。煮物に使うと色移りが起きることもあるので、肉じゃがなどの煮物には不向きとされています。
シンシアもシェリーやサッシーと同様にフランスから導入された品種です。卵形で芽が浅く、果肉は淡黄色です。長く貯蔵することができ、貯蔵によって甘みも増します。
ホクホクさとしっとり感のバランスが良いですが、ほかのじゃがいもとは一味違う滑らかさな口当たりが特徴的です。煮崩れしにくく、煮た後に黒くなりにくいため、シチューやカレーなどの煮物やコロッケなどに適してしますが、還元糖が高めなので、揚げ物には適していません。
長楕円体で、果肉は淡い黄色をなしています。食感は男爵いもとメークインの中間くらいと言われます。芽のくぼみが浅く、皮が剥きやすく、料理のしやすさでも人気があります。
揚げ物用に品種改良されて生み出された品種なので加熱しても変色しにくく、ポテトチップスやフライドポテトに最適な品種です。煮崩れも少ないため、煮物やカレー・シチューにも向いています。
十勝コガネは楕円形で、芽が少なく浅いのが特徴的なじゃがいもです。「コガネ」という名前の由来にもなった淡い黄色の果肉と、男爵に近いほくほくとした食感ながらも煮崩れしにくいという特徴を持ちます。
芽が出にくいので長く貯蔵することができます。また、貯蔵することででんぷんが糖化し甘みも増します。
水分をしっかり飛ばし、熱いうちに潰して成型しましょう。
コロッケの具材の大部分を占めるのがじゃがいもですが、中までしっかり火を通し、じゃがいもの水分をしっかり飛ばしてからマッシュすることでコロッケは崩れにくくなります。
じゃがいもの下ごしらえの方法はいくつかあり、鍋で茹でる、蒸す、電子レンジで温めるのが主な方法です。
電子レンジでじゃがいもを温めるのはとても簡単ですが、温めムラが起きやすく、水分をしっかり抜くことが難しいです。水分をしっかり抜きたい、失敗せずに仕上げたいという方は鍋で茹でるか蒸す方法で下ごしらえをしましょう。
また、電子レンジで温めると外側ばかりが温まって水分が抜けすぎてしまい、パサパサとした仕上がりになりやすいため、温めすぎには要注意です。また、電子レンジで温めると冷めるのも早く、冷めて水分が抜けてからマッシュしてもやはりパサパサになりやすいです。
じゃがいもは皮を剥かずに火を通す方法と皮を剥いてカットしてから火を通す方法があります。皮を剥かずに火を通せば栄養分や旨味を逃がさずに調理できますが、火を通すのに時間がかかり、じゃがいもが熱い状態で皮を剥かなくてはいけなくなります。
一方で皮を剥いてから火を通せば短い時間で火が通りますが、火を通している間に栄養分や旨味が逃げ出しやすく、火を通しすぎるとパサついた食感になりやすいです。どちらにもメリット・デメリットがあるので、自分好みのやり方で火を通すと良いでしょう。
ちなみに、ジャガイモを茹でた場合、茹でたら鍋の水を捨てて鍋に火をかけ、軽く転がしましょう。水分をしっかり抜くことができます。
じゃがいもの加熱方法はいくつかありますが、茹でて比較的低温を保ちながら温めるとじゃがいもの甘みが出やすくなります。
これは、じゃがいもに含まれるアミラーゼが30~50度の温度でデンプンをよく分解し、甘みの元となる麦芽糖(マルトース)を作るようになるためです。
甘みを引き出すためにはジャガイモを水から中火で茹で、沸騰したら弱めの中火に変えてぐつぐつと沸騰させないようにしましょう。かぼちゃを使う場合も同じように温めると甘みが増します。
コロッケに使うじゃがいもは下ごしらえをしてすぐの熱いうちに潰しましょう。熱いうちに潰すことで滑らかになり、揚げた後もホクホクとした食感に仕上げやすくなります。
冷めてからでは潰しにくくなってしまいます。じゃがいもの形が残ってしまうと表面を滑らかに成形するのが難しくなり、ひび割れやすくなるので、コロッケが崩れる原因となります。
じゃがいもはある程度形を残してマッシュすると風味が残りやすく、食べ応えも出ます。コロッケだけではなく、ポテトサラダなどのじゃがいもをマッシュして作る料理で風味をよくするコツの1つです。
ただし、残しすぎてしまうと上記の通りコロッケが崩れる原因となってしまいます。
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