さつまいもはレンジを使うと簡単に美味しく蒸すことができますが、食べきれなかったときに冷凍保存できないかと考えたことがある方は多いのではないでしょうか。レンジで蒸したさつまいもは冷凍保存可能です。本記事ではレンジで蒸したさつまいもの冷凍保存について解説します。
電子レンジで蒸したさつまいもを長期間保存したいとき、最適な方法は冷凍保存です。
一般的な家庭用の冷凍庫での冷凍は、商業用の急速凍結機器とは異なり、ゆっくりと冷凍するため、食材の味や食感、色が変わってしまうリスクがあります。これは「ダイレクトフリージング」と呼ばれる、直接食材を冷凍する方法に起因します。
しかし、既に加熱されたさつまいもを冷凍する場合、そのようなリスクは大きく減少します。なぜなら、加熱することで野菜が持つ酵素が不活性化され、変色を引き起こす要因が排除されるからです。さらに、加熱によって食材の組織が軟化し、冷凍時にその組織が破壊されて食感が悪くなるのを予防することができます。また、加熱は食材の表面に存在する微生物を殺す効果もあり、保存時の安全性も向上します。
結論として、電子レンジで既に蒸されたさつまいもは、その状態が冷凍保存に適しています。そのため、すぐに食べる予定がない場合は冷凍保存しておくのが良いでしょう。
蒸したさつまいもを冷凍した場合の保存期間の目安は1ヶ月です。
基本的に野菜などの食材の鮮度が落ち、栄養価が落ちたり腐敗してしまうのは、空気に触れて酸化が進んだり、乾燥したりといった外的要因や食品に含まれる酵素や微生物の働きなどの内的要因によるものです。
冷凍庫などの低温の環境では、腐敗や食中毒の原因になるほとんどの菌類や微生物、酵素の分解作用が働くことはありませんので、外的要因である乾燥や酸化を防げれば鮮度が落ちたり栄養価が落ちてしまうことを防ぐことができます。
しかし、永久に傷まない・腐敗しないというわけではもちろんありません。冷凍していても、長く保存していれば鮮度は落ちますし、腐敗してしまいます。1ヶ月を目安にできるだけ早めに食べきるようにしてください。
レンジで蒸したさつまいもを美味しく冷凍するコツを紹介します。
さつまいもを電子レンジで蒸す際、丸ごと蒸す方法もありますが、保存を考慮するとカットしてから加熱・冷凍する方が効率的です。
まず、カットすることで、一定のサイズに揃えたさつまいもの部分ごとに均一に加熱できるため、調理時間が短縮され、電子レンジの使用時間も節約できます。さらに、カットすることで内部まで熱が通りやすくなり、蒸し加熱が均一に行われるため、食べるときの食感も一定になります。
また、冷凍保存をする際、カットしてあるさつまいもは取り出しやすく、解凍時も均一に解凍することができます。丸ごと冷凍すると解凍時に中心部まで熱が通るのに時間がかかったり、部分的に冷たいままの部分ができてしまうことがあるので、カットして冷凍するとそのような問題を回避できます。
さらに、カットしたさつまいもは使用量に応じて必要な分だけ取り出して解凍・調理することができ、無駄が少なくなります。
電子レンジで蒸したさつまいもが水分を帯びている場合、保存の前にその水分をきちんと取り除くことが重要です。そのため、キッチンペーパーや布巾を使用して、さつまいもの表面の水分を丁寧に拭き取ることをおすすめします。
水分をそのままにして冷凍すると、余分な水が氷結晶として付着し、さつまいもを解凍したときに水っぽくなってしまい食感や風味が損なわれる可能性が高まります。特に、さつまいもは自然に甘みがあるので、その甘みや風味を最大限に楽しむためにも、余計な水分を取り除く工程は欠かせません。
冷凍保存する際には、さつまいもの風味を長持ちさせるためにも、手間を惜しまず水分をきちんと拭き取ることを心がけましょう。
レンジで蒸したさつまいも水分を拭き取ったら、1つずつラップで包みます。
さつまいもは空気中の酸素に触れるとポリフェノールやヤラピンと呼ばれる成分が酸化してしまい変色してしまったり、鮮度が落ちて風味が悪くなってしまいます。一つずつしっかりラップで包んでおくことで酸化を防ぐことができます。
また、一つずつ包むことで、さつまいも同士がくっついて氷結晶が形成されにくくなります。これにより、解凍時の食感の劣化を最小限に抑えることができます。
さらに、一つずつ分けて冷凍しておくことで、必要な分だけ簡単に取り出して解凍することができます。一度にまとめて冷凍してしまうと、必要な時に適量を取り出すのが難しくなる場合があります。
レンジで蒸したさつまいもを保存袋に入れたらしっかり空気を抜いて密閉します。
空気を抜いて密閉することで、さつまいもが酸化して劣化してしまうのを防ぐことができます。また、冷蔵庫の臭い移りもしないので、さつまいもそのものの風味や味を損ねてしまうことがありません。
さつまいもに限らず、野菜を冷凍する場合は急速冷凍をした方が旨みをぎゅっと閉じ込めることができます。冷蔵庫に急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。
金属トレイは温度の伝達が早いため、急速冷凍と同じ効果を得ることができます。
冷凍庫の扉付近は開け閉めによる温度変化の影響を受けやすいため、できるだけ温度変化の少ない扉付近を避けた場所に置いた方が早く冷凍することができます。
マッシュ状(ペースト状)にして冷凍しておくのもおすすめです。
さつまいもの皮を剥き、適当な大きさに切って蒸したら、さつまいもが熱いうちにマッシャーなどを使ってつぶします。粗熱が取れたら冷凍用保存袋に平らになるように入れます。
マッシュにしてから冷凍したさつまいもは、サラダにしたりスイートポテトにするのに便利です。
レンジで蒸して冷凍したさつまいもを美味しく食べるためには、解凍方法も重要です。
レンジで蒸して冷凍したさつまいもは、冷蔵庫に移して自然解凍すると、水分が出て水っぽくなってしまうのを防ぐことができます。
常温に置いて自然解凍するのではなく、冷蔵庫に移して低温でゆっくり解凍するのがポイントです。前日に冷蔵庫に移しておくのが良いでしょう。
急ぎの場合は、電子レンジで解凍しても良いでしょう。ただし、電子レンジは一気に加熱することにより水分が出てしまいやすいので、レンジを使用する場合は解凍モードを利用しましょう。
加熱しすぎてしまうとパサパサになってしまう原因にもなるので、様子を見ながら適切なワット数と時間で加熱することが大切です。
煮物にしたい場合などは、解凍せずにそのまま加熱調理するのがベストです。
解凍してから使うこともできますが、全解凍してしまうと凍っていた水分が流れ出てしまい、食感や味が悪くなってしまいます。
そのため、冷凍したさつまいもを加熱調理するときは、解凍せずに直接料理しましょう。解凍せずにそのまま加熱調理することでビタミンCなどの水溶性の栄養素の流出も最小限に抑えることができます。
それではどんな料理におすすめなのが、次に紹介していきます。
レンジで蒸して冷凍したさつまいものおすすめの食べ方は下記の通りです。
レンジで蒸して冷凍したさつまいもは、解凍せずにそのまま煮物にすることができます。
蒸して冷凍されたさつまいもは、その加熱と冷凍のプロセスによって調味料を吸収しやすくなっています。そのため、煮物の際には、短時間でしっかりと味が染み込みます。また、さつまいもは柔らかくなるのに時間がかかりますが、予め蒸してあるさつまいもを使用することで時短になります。
レンジで蒸して冷凍したさつまいもは、味噌汁などの汁物に入れても美味しく食べることができます。汁物にすれば、冷凍することで損なわれてしまった食感もカバーすることができます。
汁物にすることで、流出してしまうビタミンCなどの水溶性の栄養素も一緒にいただくことができるので、栄養面的にも◎
レンジで蒸して冷凍したさつまいもは、繊維が壊れずに甘みが凝縮されており、そのままスイートポテトにするのもおすすめです。
蒸して冷凍したさつまいもは細胞壁の破壊が少ないため、凍った状態でも食感や風味が保たれています。マッシュにして冷凍したさつまいもでスイートポテトを作る場合は、前日に冷蔵庫に移して解凍しておきましょう。
冷凍したさつまいもは解凍せずにそのままミキサーに入れて撹拌すれば、スムージーを作ることができます。近年はスムージーの作り方も多様化しており、生の状態の野菜や果物をミキサーに入れて作ることも多いですが、本来スムージーは冷凍した野菜や果物をミキサーに入れて作ります。
そのため冷凍したさつまいもは解凍しなくても、そのままミキサーに入れればスムージーになります。果物などと一緒にスムージーにするとさらに飲みやすくなるのでおすすめです。栄養満点なので朝ごはんなどの置き換えにも良いでしょう。
レンジで蒸したさつまいもの冷凍以外の保存方法と保存期間を紹介します。
レンジで蒸したさつまいもは、タッパーなど密閉できる容器に入れて冷蔵保存することができます。保存期間の目安は2日〜3日です。
蒸したさつまいもは傷みやすいので、2日〜3日を目安に早めに食べきることが大切です。万が一、酸っぱい臭いがしたり糸を引くような場合は腐敗しているので食べないようにしましょう。
乾燥させたさつまいもは、密閉容器に入れて常温や冷蔵で1ヶ月ほど保存できます。
さつまいもは乾燥させることで、保存期間が伸びる(常温・冷蔵に比べて)、栄養価が高まる、甘みが増す、噛みごたえが増す(いつもとは違う食感が楽しめる)などのメリットがあります。安納芋や紅はるかなど、ねっとりとした品種が乾燥保存には適しています。
乾燥方法で一番おすすめなのは天日干しです。
蒸したさつまいもの皮を剥き、縦に薄く切ります。重ならないようにザルに並べ、約2〜3日ほど天日干しします。
天日干しするのは、晴天の午前10時から午後3時までの時間帯がおすすめです。
天日干しができない方はオーブンで水分を抜くこともできます。
天板の上にクッキングシートを敷き、蒸して薄切りにしたさつまいもを並べ、100〜110℃の低温で20〜30分ゆっくり加熱します。
乾燥が足りなければさらに加熱します。
レンジで乾燥させる方法はもっと簡単。蒸して薄切りにしたさつまいもをキッチンペーパーを敷いた耐熱皿の上に並べて、600Wで5〜8分程度加熱します。
電子レンジでの乾燥は時短で便利ですが、焦げたり燃えたりする場合があるので、こまめに確認しながら乾燥させましょう。
さつまいもの正しい保存方法の詳細はこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
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