さつまいもは土から掘り出して根を食べますが、地上に出ている葉やつるはたべられないのか疑問に思ったことはありませんか?本記事ではさつまいもの葉っぱやつるは食べられるのかどうか解説します。
さつまいもは土に埋まっている根を掘り出して食べますが、地上には葉っぱがついたつるが出ています。
さつまいもは基本的に可食部となる根の部分のみが販売されていますが、さつまいもを家庭で育てたときに、葉っぱは食べられないのかな?と思ったことがある方も多いでしょう。
さつまいもの葉っぱは食べることができます!さつまいもの葉っぱには栄養が豊富に含まれていて、戦後食糧難だった自体には栄養価の高い食材として頻繁に食べられていました。
また、中国では現在でもさつまいもの葉は一般的に食べられています。中国語でさつまいもの葉は地瓜葉(ディーグワイエ)、番薯葉(ファンスゥイエ)と呼ばれています。
植物にの芽や葉を食べられるのか心配になる理由は、やはり天然毒素が含まれていることがあるためですよね。例えば、じゃがいもにはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれており、食べると下痢や嘔吐などの中毒症状が出てしまうことがあります。
そのため、根菜の葉や芽は食べられないと思っている方も多いようですが、さつまいもに天然毒素は含まれていませんので食べても人体に害はありません。
さつまいもの茎・葉も食べることができます!
さつまいもの茎とは、葉から伸びている部分です。厳密には「葉柄」と言います。茎は調理をするとシャキシャキとした食感を楽しむことができ、葉と一緒に調理をするのがおすすめです。
ちなみに葉柄がついている下の濃い紫色をした太い部分が本当のさつまいもの茎です。こちらは、食べることはできますが固く食べにくいので食べることは基本的にありません。
さつまいもの葉を食べられることはおわかりいただけたでしょうか。続いて、さつまいもの葉に含まれる栄養を紹介します。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
ビタミンEは強力な抗酸化作用があります。体内の脂質が酸化するのを抑え、老化の予防をしてくれます。ビタミンEは血液中の悪玉コレステロールの酸化を抑える働きがあり、酸化によって進行してしまう動脈硬化の予防に役立ちます。
さらにビタミンEは末梢血管の拡張させる働きがあるため、血行促進に繋がります。また副腎や卵巣の性ホルモンの分泌の調整にもビタミンEは関与しているので、生殖機能の維持にも役立ちます。
ビタミンB2は動物性食品に多いビタミンですが、植物性食品にもわずかに含まれています。ビタミンB2は脂質とたんぱく質の分解に働き、脂質の代謝を助けます。細胞の再生を助けて成長を促し、健康な肌や髪をつくり、目や口などの粘膜を守ります。
ビタミンB2が不足すると、脂質が体内に蓄積されやすくなるため、太りやすくなり、ニキビが増える原因のひとつになります。
鉄分はミネラル成分のひとつです。体に必要な栄養素で、成人のからだには約3〜5gの鉄が存在しています。
鉄は大きく分けて2種類あります。ひとつは機能鉄といって赤血球のヘモグロビンの材料となり、酸素を運びます。
もうひとつは貯蔵鉄といって肝臓や骨髄、筋肉などに蓄えられており、機能鉄が不足すると体内に放出されます。また、酵素の構成成分で、エネルギー代謝を助ける働きがあります。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。
カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。
さつまいもの葉にはアントシアニンというポリフェノールの一種も含まれています。
アントシアニンには、目の網膜にあるロドプシンの再結合を促進し、視覚機能の改善が期待できます。さらに、網膜の酸化防止や毛細血管の血行改善の働きにより、視力低下予防や眼精疲労の回復効果も期待できます。
また、ポリフェノールには強い抗酸化作用があります。他にもコレステロール値を下げる働きもあると言われています。
ちなみにアントシアニンは紫色の色素でもあります。さつまいもの皮が紫色をしているのは、アントシアニンが多く含まれているためです。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、さつまいもは不溶性食物繊維が2倍多く含まれています。
不溶性食物繊維は水に溶けずに水分を吸収すると膨らみます。その結果、腸が刺激されて、ぜん動運動が盛んになります。また、便のかさも増します。これらの働きによって、スムーズな排便が促されます。腸内環境も整います。
水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性を高めます。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇がゆるやかになります。また、水溶性食物繊維は、腸でのコレステロールの吸収を抑え、体外に排出する役割もあります。
さつまいもの葉の食べ方を紹介します。
さつまいもの葉を食べるときは、まず水洗いをして汚れを落としましょう。
土に埋まっている根の部分と比較して綺麗に見えますが、土汚れがついていたり、目に見えないチリなどもついています。土壌で育つ野菜は必ずといっていいほど土壌由来の細菌がついています。細菌の種類によっては下痢や嘔吐の症状が出てしまうことがあるので、洗い流した方が安心です。
流水で十分に汚れは落ちます。
さつまいもの葉はそのまま調理してもOKですが、アクが強いので下茹でをするのがおすすめです。
アクとは苦味・えぐみを感じさせ、料理の味を落とす成分の総称です。さつまいもの葉のアクとなっているのは主にポリフェノール(アントシアニン)です。ポリフェノールは水溶性なので、茹でることでしっかりと落とすことができます。
ただし、茹ですぎてしまうとビタミンCなどの水溶性の栄養素も流出してしまうので茹ですぎないように注意しましょう。さっと湯がく程度で大丈夫です。
アク抜きは水にさらすだけでも大丈夫です。水にさらすだけでもある程度苦味は軽減することができます。しかし、下茹でするほどしっかりとは落ちないので、苦味が苦手な方は下茹ですることをおすすめします。
苦味があっても大丈夫な方は、アク抜きなしでも◎
茎も一緒に調理をする場合は、茎の筋を取ります。
筋を取るときは、茎の下の部分から包丁で剥くようにします。こうすると食べにくさの原因となる固い繊維が取れるので食べやすくなります。
ただし、上述したように茎の色が濃い紫色の部分は筋をとっても食べにくいのでカットして破棄が無難です。
さつまいもの葉におすすめの食べ方は下記の通りです。
さつまいもの葉の食べ方として人気なのは天ぷらです。
天ぷらにすると、大葉の天ぷらのように程よい苦味とサクッとした食感を楽しむことができます。天ぷらにするときはアク抜きをせずにそのまま衣をつけて揚げて大丈夫です。
茎も同様に天ぷらにすることが可能です。茎は火が通るのに時間がかかるので、葉と茎はバラバラにして別で揚げましょう。
さつまいもの葉は、他の野菜と一緒に炒めものにしても美味しく食べることができます。程よい苦味がクセになる一品に。
炒め過ぎてしまうとしなしなになってしまうので、さっと炒める程度にするのが良いでしょう。ベーコンと一緒に炒めるなどほうれん草と同じように様々な食材と一緒に美味しくいただくことができます。
苦味が気になる方は、おひたしにして食べるのがおすすめです。
さっと茹でてから醤油などの調味料を混ぜ合わせておひたしにすると、苦味が軽減されているので食べやすくなります。モロヘイヤのような粘りが出て、するするっと食べることができます。
ご飯のお供にもぴったりなのでぜひ試してみてください。
さつまいもの葉っぱはお味噌汁やスープにしても美味しいです。汁物であれば流れ出てしまうビタミンCなどの水溶性の栄養素も汁ごといただけるので栄養面的にも◎
苦味が気になる方はアク抜きをしてから、加えるのが良いでしょう。
さつまいもを家庭菜園で育てて葉や茎も一緒に食べたい場合は、苗づるを購入すれば自宅で育てることができます。
苗づるとは、じゃがいもや里芋でいう「種芋」です。じゃがいもや里芋は種芋を植えてそこから、新しいじゃがいもや里芋を育てますが、さつまいもの場合は根がない葉とつるの部分だけを植えます。これを苗づるといいます。
苗づるはだいたい4月下旬頃にホームセンターなどで販売されます。茎葉が太く、葉の色が濃くて厚みのあるものを選びましょう。
深さ10cmくらいの穴を掘り、苗づるを寝かせるように置いて土を被せます。土が乾燥しないよう水やりをしっかりして育てます。
さつまいもを収穫したらすぐに葉・茎は取ります。葉・茎をとったさつまいもはしっかり乾燥させてから保存しましょう。
さつまいもは収穫後も成長するので、購入したさつまいもから葉を育てることもできます。
さつまいもは20℃を超えると発芽しやすくなるので、葉を育てたい場合は温かい場所に置いておきます。発芽したら、さつまいもの栄養が取られてしまい、味も悪くなってしまうので、さつまいもから切り取って葉の部分だけを水耕栽培します。
芽が出ている部分から3cmくらい下をカットします。さつまいもの部分全体が水に浸かってしまうと腐ってしまうので、さつまいもの部分も多めにカットしておくのがポイントです。
カットしたら水を入れた容器に入れて、日光の当たる場所に置きます。家の中でも大丈夫ですが、温度が高くないと伸びないので日光が当たる温かい場所に置きましょう。水は毎日取り替えてください。
さつまいもは葉・茎は食べず実のみを食べることが多いですが、葉を食べるために改良された品種もあります。
葉を食べるために改良された品種には「すいおう」があります。すいおうは、さつまいもの葉・茎の苦味や青臭さが軽減されているので、おいしく食べることができます。
食物繊維やビタミン類、ミネラル類が多く含まれていて栄養価が高く、血糖値改善などの効果があるといわれ近年注目されています。
Most Popular
中が茶色いじゃがいもは食べられる?空洞や輪になってる場合は?
食品事典
大根は中身が茶色に変色しても食べられる?原因と対処法を解説
食品事典
スカスカなかぶは食べてOK?スが入る原因は?
食品事典
ハンバーグが固くなる原因と柔らかく作るコツを徹底解説
食品事典
麻婆豆腐が辛い時に甘くする方法。おすすめの調味料や食品は?
食品事典
トマト缶は一缶でトマト何個分?サイズ別に解説
食品事典
冬におすすめの天ぷら具材36品。冬野菜や冬が旬の魚介類を紹介
食品事典
エリンギが水っぽい...食べられる?濡れてる原因と対処法は?
食品事典
冷凍したじゃがいもが黒っぽく変色...食べてOK?原因と対処法を解説
食品事典
里芋は生で食べられる?生食のメリットと注意点を解説。
食品事典