さつまいもを加熱調理したら青く変色してしまったり、切り口がすでに青い、洗ったら水が青くなった経験はありませんか?本記事ではさつまいもが青く変色したり洗った水や茹で汁が青くなる原因を解説します。
さつまいもが青く変色する原因は下記の通りです。
さつまいもを加熱調理したときに、断面に青い輪ができたり全体的に青っぽく変色してしまうのは、さつまいもに含まれているクロロゲン酸と呼ばれる成分が化学反応を起こしたためです。
クロロゲン酸とはポリフェノールの一種で、アルカリ性に反応すると青色や緑色に変色する性質があります。緑色の輪ができるのは、皮付近にクロロゲン酸が多く含まれているためです。
例えば、さつまいもを天ぷらにする場合は天ぷら粉にベーキングパウダーなどのアルカリ性の成分が含まれているため、青っぽくなったり緑色に変色してしまうことが多いです。また、普段家庭で使われる事が多い食卓塩も弱アルカリ性であるため、まれに反応して変色してしまうことがあるようです。
出典:食品って色が変わるの?(堺市衛生研究所)
さつまいもを加熱調理したときに青っぽく変色してしまうのはよくあることなのですが、まれにカットしたときにすでに切り口が青っぽく変色してしまっていることがあります。
詳しく記載された資料などがないため、科学的根拠はありませんが、さつまいもの中にはクロロゲン酸の他にアンモニアが微量に含まれているため、冷蔵庫で保存しているなど冷気に触れることが原因で化学反応が起こり変色していると言われています。
さつまいもを洗ったときの水や茹で汁が青くなってしまうことがあります。これは、さつまいもに含まれているアントシアニンが原因で起こる現象です。
アントシアニンはポリフェノールの一種です。ポリフェノールとは植物がもつ苦味・えぐみを感じさせる成分の総称で構造の違いによって様々な種類があります。アントシアニンは紫色の色素で、さつまいもの表面が紫色をしているのはアントシアニンによるものです。
アントシアニンは水溶性の成分であるため、水にさらすと溶け出します。そのため、ボウルに水をためてさつまいもを洗ったり、茹でるとアントシアニンが溶け出し青い汁になるのです。
さつまいもの表面や中に青いふわふわとした付着物がある場合は、青カビが生えています。
青カビなどのカビの胞子は普段ほこりと一緒に舞っていて、栄養源を見つけると根を張り一気に増殖していってしまいます。特に水気を拭き取らずに放置したり、高温多湿の場所に置いているなど保存環境が悪いことが原因でカビが生えてしまうことが多いです。
ちなみにさつまいもには青カビだけではなく、白カビや黒カビが生えてしまうこともあります。
さつまいもが青く変色してしまったり、洗ったときの水や茹で汁が青くなってしまう原因はおわかりいただけたでしょうか。続いて、青く変色したさつまいもは食べられるのかどうか解説します。
調理後に緑色に変色してしまったさつまいもは、青カビが生えているように見えるため食べられないと思われがちですが、食べても問題ありません!
変色の原因となっているクロロゲン酸は、上述したようにポリフェノールの一種でコーヒーに含まれていることでも知られています。クロロゲン酸は糖質の分解を緩やかにし、脂肪の蓄積を防ぎます。さらに、体内の脂肪燃焼を促進する効果があると言われています。人体に害がある成分ではないので食べても大丈夫です。
洗ったときの水や茹で汁が青くなってしまった場合も、食べて大丈夫です。
さつまいもなどの厚い野菜は表面にカビが生えていても中まで侵食していなければ、取り除いて食べることができるとも言われています。中まで青カビが生えてしまっている場合はNGですが、表面だけに青カビが生えている状態であれば皮は厚めにカットして調理しましょう。
しかし、カビの胞子は目に見えないほど小さいため、目視で確認できなくても繁殖してしまっていることがあります。カビはカビ毒を発生させ、下痢や嘔吐などの中毒症状がを引き起こす可能性があるため、心配な方や小さなお子様や高齢者が食べる場合は破棄が無難です。
カビ毒は加熱をすれば大丈夫ということはないので注意しましょう。
出典:かびとかび毒についての基礎的な情報(農林水産省)
上述したように加熱して青色に変色してしまっても、腐敗しているわけではないので食べることができます。しかし、変色してしまうとどうしても見た目が悪くなってしまうため「元の色に戻せないか」と考える方も多いでしょう。
れんこんやごぼうなど、変色してしまってもある程度色を戻すことができる野菜もありますが、変色したさつまいもは残念ながら元に戻すことはできません。
お客様にお出しする場合など見た目が気になる場合は変色してしまった箇所をカットすると良いでしょう。
化学反応によって青色に変色してしまったさつまいもは、食べられるとはいっても見た目が悪いのでまずいのでは?と思いますよね。
見た目はたしかにお世辞にも美味しいそうとは言えない見た目にはなってしまいますが、基本的に味は変色する前と変わらないことが多いです。そのため、問題なく食べることができます。
上述したように青色に変色してしまったからといって、極端に味が悪くなることはありません。しかし、苦味が気になる場合があります。これは、上述しているようにクロロゲン酸がポリフェノールの一種であるためです。
ポリフェノールはいわゆる苦味やえぐみを感じさせ料理の味を落とす「アク」となる成分なので、苦味を感じる方もいます。小さなお子様や苦味が苦手な方などは、変色している部分をカットして食べると良いでしょう。
加熱することで化学反応を起こし、青色に変色してしまうのは皮を厚めに剥いておくことで防ぐことができます。なぜなら、変色の原因となっているヤラピンは皮付近に多く含まれているためです。
しかし、皮にも多くの栄養が含まれているので捨ててしまうのは勿体ないです。変色は防ぎたいけど栄養はしっかりとりたい場合は、皮は別で調理しましょう。例えば、さつまいもの皮を使ってきんぴらを作るなど美味しく食べる方法は様々あります。
上述したようにクロロゲン酸などのポリフェノールは水溶性です。そのため、カットしたあとに水にさらしてクロロゲン酸を落としておくことでも、青色に変色してしまうのを防ぐことができます。
水に5分ほどさらし、水が濁ってきたら水を取り替えます。この作業を2回程繰り返すとアク抜きをすることができます。かき混ぜるとより早くアクを抜くことができるので、おすすめです。
ただし、水にさらすことでビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素が流出してしまうデメリットもあります。栄養の流出を最小限に抑えるためにも長時間水にさらしてしまわないように注意しましょう。
青カビによって緑色っぽく変色してしまうのは、正しく保存することで防ぐことができます。
さつまいもに限らず食材は正しく保存することで鮮度を保つことができ、より長く美味しく食べることができます。さつまいもを購入したら正しく保存しましょう。
さつまいもの正しい保存方法は下記の通りです。保存期間の目安も記載しますので、参考にしてください。
さつまいもは常温で保存するのが基本的です。さつまいもは常温でも1ヶ月ほど保存が効きます。
常温で保存する場合は、土をとらずそのままの状態で保存します。土が湿っている場合は天日干しなどをして土を乾燥させてから保存します。
さつまいもを1本ずつ新聞紙で包み、かごやザル、段ボールなどに入れて風通しのよい冷暗所で保存します。
さつまいもは、収穫時も呼吸を続けており、呼吸熱や二酸化炭素の発生量が多いです。そのためラップやプラスチックの袋に入れて常温保存するのはNG。通気性のよい新聞紙(なければキッチンペーパー)がおすすめです。
20℃を超えると発芽しやすくなるため、室温が暖かくなる春や夏は常温以外の方法で保存するようにしましょう。また、使いかけのカットしたさつまいもは、季節問わず常に冷蔵もしくは冷凍保存するようにしましょう。
長期保存したい場合や、室温が高くなる季節は冷蔵保存がおすすめです。さつまいもを冷蔵で保存すると、約2ヶ月ほど日持ちします。丸ごと1本冷蔵する方法と、カットして冷蔵する方法がありますので、それぞれの手順を詳しくご紹介します。
さつまいもを丸ごと1本冷蔵保存する際は、1本ずつ新聞紙に包みます。ポリ袋に入れて軽く口を閉じ、野菜室で保存します。
保存温度が低すぎると低温障害が起きやすいので、温度が低すぎない野菜室での保存がおすすめです。
さつまいもはカットしてから冷蔵保存することも可能です。さつまいもの表皮についている汚れをしっかりと水洗いし、乱切りなどお好みの大きさにカットします。密閉容器にさつまいもを入れ、かぶるくらいの水を入れてフタをし、冷蔵庫で保存します。水は毎日取り替えるのがベストです。
カットしたさつまいもは傷みやすいので、2〜3日を目安に食べ切るようにしましょう。調理時は水を切ってそのまま調理に使用します。
さつまいもは冷凍保存も◎。冷凍することで甘みが増します。繊維が多いため、丸ごと冷凍はNG。薄めにカットしてから冷凍します。さつまいもを冷凍保存する場合、約1ヶ月ほど日持ちします。
さつまいもは生のまま冷凍することができます。
水洗いしたさつまいもを輪切りにします。さつまいもの皮には栄養があるので、皮ごと切ってOK。カットしたさつまいもを10分ほど水にさらしてアク抜きをします。キッチンペーパーなどでしっかりと水けを拭き取り、冷凍用保存袋に重ならないように平らに並べ、空気を抜いて密封し冷凍室へ。
生のまま冷凍したさつまいもは凍ったまま炒め物や煮物、汁物、炊き込みご飯などに使用します。茹でてサラダなどにしても美味しくいただけます。
輪切り以外にもいちょう切りやスティック状など、使いやすい大きさにカットしてから冷凍保存するのも◎。
加熱してから冷凍保存をすれば、調理時間が短縮できます。
輪切りにしたさつまいもに火を通します。たっぷりのお湯で茹でるか、蒸す、もしくは電子レンジで加熱する方法があります。さつまいもにはビタミンCが含まれており、ビタミンCは加熱することで壊れやすいとされている成分ですが、さつまいものビタミンCは一緒に含まれているでんぷんによって保護されているため、加熱しても壊れにくいと言われています。
竹串などを刺して火が通っていることを確認したら、粗熱を取って冷凍用保存袋に重ならないように平らに入れ、空気を抜いて密封し冷凍室で保存します。
凍ったまま調理に使用したり、電子レンジなどで解凍しそのまま食べることもできます。
マッシュ状(ペースト状)にして冷凍しておくのもおすすめです。
さつまいもの皮を剥き、適当な大きさに切って蒸します(電子レンジで加熱したり、茹でてもOK)。さつまいもが熱いうちにマッシャーなどを使ってつぶします。粗熱が取れたら冷凍用保存袋に平らになるように入れ、空気を抜いて密封し、冷凍室で保存します。
冷凍したマッシュ状(ペースト状)のさつまいもは、前日に冷蔵庫に移して自然解凍するか、もしくは電子レンジで解凍します。サラダやスープ、スイートポテトなどにおすすめです。
その他にも、天日干しやオーブンで加熱して水分を飛ばして乾燥保存することもできます。さつまいもの保存方法については、こちらの記事で詳しく解説しているのでご覧ください。
さつまいもは上記で紹介したように、変色していても腐敗しているとは限りません。しかし、下記のような特徴がある場合は腐敗しているので破棄しましょう。
腐ったさつまいもの見た目の特徴は下記の通りです。
シワシワで変色している
溶け出している
表面がシワシワになっている場合は水分が抜けてしまっている状態です。水分が抜けているだけであれば食べることができますが、変色しはじめているようであれば腐敗しているので食べられません。
また、溶け出している部分がある場合も腐敗がかなり進んでいる状態なので破棄してください。
腐ったさつまいもの臭い・味は下記の通りです。
酸っぱい臭い・味
発酵臭
生ゴミ臭
カビ臭い
さつまいもは若干の土臭さはあるものの、そこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味、発酵臭、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
さつまいもに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いや発酵臭がしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」と呼ばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
ぶよぶよになっていて柔らかい
ぬるぬるしていて糸を引く
新鮮な状態のさつまいもは、生のままだと表面にハリがあり固いですが、腐敗するとぶよぶよとした柔らかい触感になります。指で押すと簡単に凹んでしまうぐらい柔らかくなっている場合は破棄しましょう。
また、ぬるぬるしていて糸を引く場合は雑菌が増殖している状態です。この場合も腐敗しているので食べることはできません。
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