さつまいもは優しい甘みがある野菜ですが、食べてみたら苦かった経験がある方も多いのではないでしょうか。本記事ではさつまいもが苦い原因や対処法などを紹介します。
さつまいもが苦い原因は下記の通りです。
さつまいもに苦味・えぐみを感じるのはさつまいもに苦味成分が含まれているためです。
さつまいもに含まれている主な苦味成分は下記の通りです。これらは、苦味・えぐみを感じさせ料理の味を落とす「アク(灰汁)」となる成分です。
ヤラピン
クロロゲン酸
タンニン
ヤラピンはさつまいもにしか含まれていない成分で、さつまいもをカットすると出てくる白い乳液のような液体の正体です。ヤラピン酸とラムノース及びフコース、グルコースなどの糖類が組みあわさった物質で、触るとベタベタとすることがあります。ヤラピンは糖類が組み合わさった物質ですが、苦味があります。
クロロゲン酸とタンニンはポリフェノールの一種です。ポリフェノールとは植物がもつ苦味・えぐみを感じさせる成分の総称で、構造の違いによって様々な種類があります。
さつまいもの端っこが苦くて食べにくいと感じたことがある方も多いのではないでしょうか。さつまいもの端が苦い原因も苦味成分です。
さつまいもの苦味成分の一つであるヤラピンは皮や端の部分に多く含まれています。そのため、端の部分を食べたときに特に苦味を感じやすいのです。
ヤラピンは熱に強く、加熱調理をしても揮発したり分解されることはありません。そのため、さつまいもはじっくり火を通すと甘みが増しますが、焼き芋などにしても端は強い苦味を感じることがあります。
日本で栽培されている野菜の多くは栽培中の害虫の被害や病気などを防止したり、スムーズに成長するために薬剤が使われています。苦味を強く感じると「農薬の味なのでは?」と思う方も多いようですが、農薬による味への影響はないとされています。
日本で使われている農薬は、国に認められたもののみです。残留性が高く人体影響を及ぼすものや環境に影響を与えるほど毒性が強い農薬は、販売が禁止されていますし、使用が認められている農薬に関しても使用できる作物や時期、量などの使用基準が定められています。そのため、農薬が使われているからといって神経質になる必要はありませんが、心配な方はホタテ貝やホッキ貝を原料に作られたパウダーを使って残留農薬を落とすのがおすすめです。
さつまいもが苦い原因はおわかりいただけたでしょうか。続いて、苦いさつまいもは食べても問題ないのか解説します。
上記で紹介したように、さつまいもの苦味となるのはヤラピンやクロロゲン酸、タンニンです。これらの成分は人体に害を及ぼす成分ではないので食べても問題ありません。
ヤラピンには胃の粘膜を保護したり、便を柔らかくし便秘を予防・改善する効果があります。クロロゲン酸は抗酸化作用の他、脂肪の吸収を抑える効果があるといわれています。タンニンはタンパク質を変性させ、組織や血管を縮める収れん作用があり、肌をひきしめる効果が期待できます。
このように、さつまいもの苦味成分には人体にとって嬉しい効果があり、むしろ栄養価が高いといえます。
強い苦味に注意しなければいけない野菜もあります。例えば、じゃがいもは舌がピリピリしたり飲み込めないほど強い苦味を感じる場合は、ソラニンやチャコニンといった天然毒素が多く含まれているため注意しなければいけません。きゅうりやズッキーニなどのウリ科の野菜も同様に、強い苦味がある場合中毒症状が出る可能性があります。
一方、さつまいもの場合は天然毒素は含まれていません。そのため、苦味が強いさつまいもを食べてしまったとしても心配する必要はありません。
出典:知識があれば怖くない!天然毒素(農林水産省)
さつまいもに苦味があっても問題なく食べられるとは言っても、やはり食べにくいですよね。苦味・えぐみを軽減しさつまいもを美味しく食べる方法を紹介します。
まず、苦味を感じやすい部分をカットしましょう。苦味が強い部分は下記の通りです。
さつまいもの端っこ
表面についている黒い密のような液体
上述したように、さつまいもの端っこにはヤラピンが多く含まれているので苦味を軽減したい場合はカットしましょう。さつまいもの端は食物繊維が多く含まれていて、固くて食べにくい部分でもあります。特に小さなお子様が食べる場合はカットして調理をするのが良いでしょう。
表面に黒い密のようなベタベタとする液体がついている場合も、取り除いておきます。これは、さつまいもに傷がついたことで中から出てきてしまったヤラピンです。ヤラピンが表面に出てきて空気中の酸素に触れた結果、酸化し黒く変色して固まっています。そのまま食べることができますが、苦味を軽減したい場合は取り除いておきましょう。
さつまいもの苦味成分は皮付近に多く含まれているので皮を厚めにカットすることでも苦味を軽減することができます。
ただし、さつまいもの皮には食物繊維なども多く含まれているため捨てるのは勿体ないです。皮もきんぴらにするなど別で調理をして食べると栄養を無駄にしてしまうことがありません。
さつまいもの苦味成分となっているクロロゲン酸やタンニンは、水溶性の成分です。そのため、水にさらしておくことで、苦味を軽減することができます。
水にさらしておけば、カット後に断面が空気中の酸素にふれて酸化し黒や茶色に変色してしまうのを防ぐことができるので、料理の見た目が綺麗に仕上がるメリットもあります。
ただし、水にさらしてしまうとクロロゲン酸やタンニン以外の水溶性の栄養も流出してしまうことになります。さつまいもに含まれている水溶性の栄養には例えばビタミンCやカリウムなどがあります。そのため、長時間水にさらしてしまうことがないように注意が必要です。長くても10分に留めましょう。
さつまいもをできるだけ丸ごと食べたいときは、じっくり加熱するのがポイントです。
さつまいもが甘くなるのは、β-アミラーゼという酵素がでんぷんを麦芽糖に変えるからです。
加熱する際に電子レンジを使うと時短にはなりますが、甘くなる前に火が通ってしまい甘くなりません。そのため、加熱する際はじっくりゆっくり加熱するのがおすすめです。
手間がかかりますが、やっぱり蒸し器やグリルでじっくり火を通して甘みを出すと美味しく食べることができます。
苦味が気になるときは、苦味が強い部分を切り落とし茹でてからポタージュにするのがおすすめです。じっくり加熱して甘みを引き出すのも良いですが、しっかり調理をしたほうが苦味をダイレクトに感じにくいです。
ポタージュにするときは、茹でたさつまいもをペースト状にしたら牛乳や豆乳で伸ばし、コンソメや塩コショウなどお好みで味付けをします。
牛乳や豆乳を加えてポタージュにすることで、苦味がカバーされ優しい甘みを楽しむことができます。
苦味が強いさつまいもは、甘みや塩味を引き立てる調理法が効果的です。醤油や砂糖を使って煮物にすることで、さつまいもの自然な甘みが引き立ち、苦味を中和することができます。
また、煮物にする際にアク抜きを行うことで不要な成分を取り除き、さらにしっかりと煮込むことで苦味が軽減されるだけでなく、さつまいもが柔らかくなり食べやすくなります。
スイートポテトにするなど、スイーツにしても◎
スイートポテトにする場合は皮を剥くので苦味が軽減されます。
また、さつまいもの持つ甘みと苦味が、砂糖やバター、卵と合わさって、リッチな風味のデザートに変身します。特に、苦味が強いさつまいもは、スイートポテトにすることでその特性が際立ち、独特の風味を楽しめるのでぜひ試してみてください。
さつまいもは苦味がある=腐敗ではありませんが、下記の特徴がある場合は腐敗しています。食べることはできませんので、破棄しましょう。
腐ったさつまいもの見た目の特徴は下記の通りです。
カビが生えている
全体的に黒く変色している
シワシワで変色している
溶け出している
さつまいもの表面や実に白いふわふわとしたほこりのようなものがついている場合は白カビ、黒い斑点ができていて、周りが溶けている場合は黒カビが生えています。表面のみにカビが生えていて、中まで侵食していなければ、カットして食べることができるといわれていますが、心配な方は破棄しましょう。カビはカビ毒を発生させ下痢や嘔吐などの中毒症状が起こる可能性があります。
表面がシワシワになっている場合は水分が抜けてしまっている状態です。水分が抜けているだけであれば食べることができますが、変色しはじめているようであれば腐敗しているので食べられません。 さつまいもは変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に黒く変色している場合は腐敗している状態です。また、溶け出している部分がある場合も腐敗がかなり進んでいる状態なので破棄してください。
腐ったさつまいもの臭い・味は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
発酵臭
生ゴミ臭
カビ臭い
さつまいもは若干の土臭さはあるものの、そこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味、発酵臭、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
さつまいもに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いや発酵臭がしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
ぶよぶよになっていて柔らかい
ぬるぬるしていて糸を引く
新鮮な状態のさつまいもは、生のままだと表面にハリがあり固いですが、腐敗するとぶよぶよとした柔らかい触感になります。指で押すと簡単に凹んでしまうぐらい柔らかくなっている場合は破棄しましょう。
また、ぬるぬるしていて糸を引く場合は雑菌が増殖している状態です。この場合も腐敗しているので食べることはできません。
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