さつまいもをカットしたときに切り口が赤やピンクになっていて食べられるのか不安になったことはありませんか?本記事では、さつまいもの切り口が赤やピンクになる原因や食べられるのかどうかを解説します。
さつまいもの切り口が赤・ピンクの原因は下記の通りです。
一般的に販売されているさつまいもは、皮が赤紫色をしていて中は黄色みがかった白色をしていますが、さつまいもと一口に言っても様々な品種があり、切り口が赤色やピンク色っぽいものもあります。
そのため、さつまいもを購入した際に切り口が赤やピンク色っぽい色をしていた場合はまず品種を確認しましょう。品種の特徴として元々赤やピンク色をしている場合は、もちろん問題なく食べることができます。
品種によってはオレンジ色に見えることもあります。
元々切り口が赤色やピンク、オレンジ色のさつまいもの品種については後ほど紹介いたします。
切り口が赤・ピンク色の品種ではなく、元々黄みがかった白色をしているさつまいもが赤色に変色してしまった場合はどうでしょうか。
カットした状態で保存していたり、正しく保存できていないとカビが生えてしまうことがあります。カビが生えてしまった場合は、変色している周りが溶け出していたりカビ臭いことが多いです。この場合はカビが生えていると考えて良いでしょう。
カビはカビ毒を発生させ食べると下痢や嘔吐などの症状がでる可能性があります。カビが生えている場合は残念ですが破棄しましょう。
ただし、さつまいもの場合は赤カビが生えることはまれなようです。さつまいもは白カビや黒カビ、青カビが生えることが多いです。
上述したように切り口が元々赤・ピンク色のさつまいもは食べても問題ありません。切り口が赤・ピンク・オレンジ色の品種を紹介します。
ちなみに、一般的な黄みがかった白色の切り口のさつまいもの品種は「紅あずま」や「紅はるか」です。
安納芋は甘みが強くねっとり系のさつまいもとして知られている品種です。
安納芋の断面は赤っぽい色をしていて、見る人によってはオレンジ色に見えます。加熱するときれいな黄色になるので生の状態の安納芋の断面を見たことがないという方も多いでしょう。
安納芋の断面の色合いはβ‐カロテンによるものです。β‐カロテンはにんじんに多く含まれていることで知られている成分です。
紅娘は「てんとうむし」と読むことができますが、さつまいもの品種は「べにむすめ」と読みます。
紅娘もカットすると断面が赤っぽい色をしていて、加熱すると濃いオレンジ色になります。
紅娘は「大栄愛娘」という品種の枝変わりで、大栄愛娘を育成中に発見された品種です。断面が赤っぽいことから紅娘と名付けられたのだと考えられます。
アヤコマチは、皮は濃い赤色をしていますが果肉はかぼちゃのようにオレンジ色をしているのが特徴の品種です。
大きさは中程度の芋で、果皮は濃い紅色をしていますが果肉はカボチャのように濃いオレンジ色をしています。さつまいもはカットしてから時間が経つと黒っぽく変色してしまうことがありますが、アヤコマチは変色しにくいため鮮やかな色を活かした料理に使うのがおすすめです。
ハヤトイモは皮が薄いオレンジ色で、断面は鮮やかなオレンジ色をしています。
大正時代にアメリカから導入された品種で、現在は鹿児島を中心に栽培されています。β‐カロテンの含有量が多く甘みが強いのが特徴で、別名を「にんじんイモ」「かぼちゃイモ」と言います。
切り口が赤・ピンク色の原因はおわかりいただけたでしょうか。続いて、切り口が赤いさつまいものように食べられるのか心配になってしまうさつまいもの変色について紹介します。
さつまいもの表面に黒い蜜のような液体がついていることがあります。一見傷んでいるように見えますが、傷んでいるわけでも腐敗しているわけでもないので食べることができます。
さつまいもの表面につく黒い液体の正体は、ヤラピンと呼ばれる成分です。さつまいもをカットしたときに出てくる白い液体がヤラピンです。
さつまいもに傷がつくなどの原因で、ヤラピンが外に出てきてしまい乾燥すると黒く固まり、表面に黒い液体がついているように見えます。
ヤラピンは整腸作用があるなど人体にとって良い影響を与える成分なので食べても問題はありません。ただし、土汚れなどが混じっている場合や固くなっている場合は、食感や味が気になるかもしれません。その際は取り除くことをおすすめします。
保存していたさつまいもをカットしたときに、断面に黒い斑点や黒ずみがあることがあります。一見黒カビが生えているように見えますが、低温障害による変色である可能性が高いです。
低温障害とは冷蔵保存に適さない食材を低温環境で保存する際に出る障害のことで、食材が変色したり腐敗が進みます。さつまいもの場合は5℃以下の環境で保存しておくと低温障害が起こりやすいので、冷蔵庫で保存していると黒く変色してしまいやすいです。
低温障害は病気や腐敗ではなく生理障害の一つなので、食べても問題ありません。ただし、鮮度は落ちている状態です。食感や風味が悪くなっていることがあります。見た目も悪いので、気になるようであれば変色している部分はカットして取り除いて調理しましょう。
カットしたさつまいもをしばらく置いておくと、断面が黒っぽくなったり緑色っぽく変色してしまうことがあります。これも腐敗ではありません。
カットしてから時間が経つと断面が変色してしまうのは、ヤラピンが空気中の酸素に触れることによって酸化してしまうためです。さつまいもの種類によってはピンクやオレンジに変色することもあります。
味や栄養価に変化はないので変色してしまっても食べることはできますが、見た目は悪いので気になる場合はカットして調理しましょう。
酸化による変色はカットした後水にさらして空気に触れないようにすることで、防ぐことができます。ただし、水にさらすとビタミンCなどの水溶性の栄養素が流出してしまいます。なるべくカットしたらすぐに調理するようにしましょう。
さつまいもは加熱すると黒っぽく変色したり、緑色に変色してしまうことがあります。驚いてしまう方も多いと思いますが、これも腐敗が原因ではないので食べることができます。
さつまいもを加熱すると変色してしまうのは、さつまいもに含まれているポリフェノールの一種クロロゲン酸がアルカリ性のものと合わさることで化学反応を起こしてしまうためです。
例えばさつまいを天ぷらにするときには、天ぷら粉を使うと天ぷら粉に含まれているベーキングパウダーなどがアルカリ性であるため黒っぽくなったり緑色になってしまうことがあります。
さつまいもが変色してしまっても腐敗が原因でなければ問題なく食べることはできます。しかし、見た目が悪くなってしまうので変色するのは防ぎたいですよね。
さつまいもの変色を防ぐ方法は下記の通りです。
カットしたあとに断面が変色してしまうのは、水にさらしておくことで防ぐことができます。これは、水にさらしておくことで、空気中の酸素に触れることがなくなるためです。
ただし、水にさらしてしまうと水溶性の栄養素が流出してしまうことになります。さつまいもに含まれている水溶性の栄養素には例えばビタミンCやカリウムなどがあります。そのため、長時間水にさらしてしまうことがないように注意が必要です。長くても10分に留めましょう。
栄養を無駄にしたくない場合は、カット後すぐに調理をするのがベストです。
加熱することで化学反応を起こし、黒や緑、青に変色してしまうのは皮を厚めに剥いておくことで防ぐことができます。なぜなら、変色の原因となっているヤラピンは皮付近に多く含まれているためです。
しかし、皮にも多くの栄養が含まれているので捨ててしまうのは勿体ないです。変色は防ぎたいけど栄養はしっかりとりたい場合は、皮は別で調理しましょう。例えば、さつまいもの皮を使ってきんぴらを作るなど美味しく食べる方法は様々あります。
カビや低温障害、腐敗による変色は正しく保存しておくことである程度防ぐことができます。
さつまいもに限らず、野菜は保存環境が悪いとあっという間に鮮度が落ちて傷んでいってしまいます。購入したら野菜に合わせた正しい保存方法で保存しましょう。
正しく保存しておけば鮮度を保つことができるので、より長く美味しく食べることができます。
さつまいもの正しい保存方法は下記の通りです。保存期間の目安も記載しますので、参考にしてください。
常温で保存する場合は、土をとらずそのままの状態で保存します。土が湿っている場合は天日干しなどをして土を乾燥させてから保存します。
さつまいもを1本ずつ新聞紙で包み、かごやザル、段ボールなどに入れて風通しのよい冷暗所で保存します。
さつまいもは、収穫時も呼吸を続けており、呼吸熱や二酸化炭素の発生量が多いです。そのためラップやプラスチックの袋に入れて常温保存するのはNG。通気性のよい新聞紙(なければキッチンペーパー)がおすすめです。
20℃を超えると発芽しやすくなるため、室温が暖かくなる春や夏は常温以外の方法で保存するようにしましょう。また、使いかけのカットしたさつまいもは、季節問わず常に冷蔵もしくは冷凍保存するようにしましょう。
長期保存したい場合や、室温が高くなる季節は冷蔵保存がおすすめです。さつまいもを冷蔵で保存すると、約2ヶ月ほど日持ちします。丸ごと1本冷蔵する方法と、カットして冷蔵する方法がありますので、それぞれの手順を詳しくご紹介します。
さつまいもを丸ごと1本冷蔵保存する際は、1本ずつ新聞紙に包みます。ポリ袋に入れて軽く口を閉じ、野菜室で保存します。
保存温度が低すぎると低温障害が起きやすいので、温度が低すぎない野菜室での保存がおすすめです。
さつまいもはカットしてから冷蔵保存することも可能です。さつまいもの表皮についている汚れをしっかりと水洗いし、乱切りなどお好みの大きさにカットします。密閉容器にさつまいもを入れ、かぶるくらいの水を入れてフタをし、冷蔵庫で保存します。水は毎日取り替えるのがベストです。
カットしたさつまいもは傷みやすいので、2〜3日を目安に食べ切るようにしましょう。調理時は水を切ってそのまま調理に使用します。
さつまいもは冷凍保存も◎。冷凍することで甘みが増します。繊維が多いため、丸ごと冷凍はNG。薄めにカットしてから冷凍します。さつまいもを冷凍保存する場合、約1ヶ月ほど日持ちします。
さつまいもは生のまま冷凍することができます。
水洗いしたさつまいもを輪切りにします。さつまいもの皮には栄養があるので、皮ごと切ってOK。カットしたさつまいもを10分ほど水にさらしてアク抜きをします。キッチンペーパーなどでしっかりと水けを拭き取り、冷凍用保存袋に重ならないように平らに並べ、空気を抜いて密封し冷凍室へ。
生のまま冷凍したさつまいもは凍ったまま炒め物や煮物、汁物、炊き込みご飯などに使用します。茹でてサラダなどにしても美味しくいただけます。
輪切り以外にもいちょう切りやスティック状など、使いやすい大きさにカットしてから冷凍保存するのも◎。
加熱してから冷凍保存をすれば、調理時間が短縮できます。
輪切りにしたさつまいもに火を通します。たっぷりのお湯で茹でるか、蒸す、もしくは電子レンジで加熱する方法があります。さつまいもにはビタミンCが含まれており、ビタミンCは加熱することで壊れやすいとされている成分ですが、さつまいものビタミンCは一緒に含まれているでんぷんによって保護されているため、加熱しても壊れにくいと言われています。
竹串などを刺して火が通っていることを確認したら、粗熱を取って冷凍用保存袋に重ならないように平らに入れ、空気を抜いて密封し冷凍室で保存します。
凍ったまま調理に使用したり、電子レンジなどで解凍しそのまま食べることもできます。
マッシュ状(ペースト状)にして冷凍しておくのもおすすめです。
さつまいもの皮を剥き、適当な大きさに切って蒸します(電子レンジで加熱したり、茹でてもOK)。さつまいもが熱いうちにマッシャーなどを使ってつぶします。粗熱が取れたら冷凍用保存袋に平らになるように入れ、空気を抜いて密封し、冷凍室で保存します。
冷凍したマッシュ状(ペースト状)のさつまいもは、前日に冷蔵庫に移して自然解凍するか、もしくは電子レンジで解凍します。サラダやスープ、スイートポテトなどにおすすめです。
その他にも、天日干しやオーブンで加熱して水分を飛ばして乾燥保存することもできます。さつまいもの保存方法については、こちらの記事で詳しく解説しているのでご覧ください。
さつまいもは上記で紹介したように、変色していても腐敗しているとは限りません。しかし、下記のような特徴がある場合は腐敗しているので破棄しましょう。
腐ったさつまいもの見た目の特徴は下記の通りです。
シワシワで変色している
溶け出している
表面がシワシワになっている場合は水分が抜けてしまっている状態です。水分が抜けているだけであれば食べることができますが、変色しはじめているようであれば腐敗しているので食べられません。
また、溶け出している部分がある場合も腐敗がかなり進んでいる状態なので破棄してください。
腐ったさつまいもの臭い・味は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
発酵臭
生ゴミ臭
カビ臭い
さつまいもは若干の土臭さはあるものの、そこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味、発酵臭、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
さつまいもに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いや発酵臭がしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」と呼ばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
ぶよぶよになっていて柔らかい
ぬるぬるしていて糸を引く
新鮮な状態のさつまいもは、生のままだと表面にハリがあり固いですが、腐敗するとぶよぶよとした柔らかい触感になります。指で押すと簡単に凹んでしまうぐらい柔らかくなっている場合は破棄しましょう。
また、ぬるぬるしていて糸を引く場合は雑菌が増殖している状態です。この場合も腐敗しているので食べることはできません。
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