さつまいもを調理しようと思ったら変色していて食べられるのか不安になったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事では、さつまいもが変色する原因や食べられるのかどうか、変色を防ぐ方法などを紹介します。
さつまいもが変色してしまう主な原因は下記の通りです。
さつまいもの表面や断面に白いふわふわとしたほこりのようなものがついている場合は白カビ、黒い斑点が集まっていて黒く変色しているように見える場合は黒カビ、青緑色の物体がついている場合は青カビが生えています。
カビの胞子は普段ほこりと一緒に舞っていて、栄養源となるものを見つけると一気に増えていきます。水気がついた状態で放置したり、高温多湿の場所に置いているなど保存環境が悪いと特にカビが生えてしまいやすいので注意が必要です。
さつまいもの表面に黒い密のような液体がついていることがあります。一見傷んでいるように見えますが、傷んでいるわけでも腐敗しているわけでもないので食べることができます。
さつまいもの表面につく黒い液体の正体は、ヤラピンと呼ばれる成分です。さつまいもをカットしたときに出てくる白い液体がヤラピンです。さつまいもに傷がつくなどの原因で、ヤラピンが外に出てきてしまい乾燥すると黒く固まると、表面に黒い液体がついているように見えます。
ヤラピンは整腸作用があるなど人体にとって良い影響を与える成分なので食べても問題はありません。
ただし、土汚れなどが混じっている場合や固くなっている場合は、食感や味が気になるかもしれません。その際は取り除いて調理することをおすすめします。
保存していたさつまいもをカットしたときに、断面い黒い斑点や黒ずみがあることがあります。一見黒カビが生えているようにみえますが、低温障害による変色である可能性が高いです。
低温障害とは冷蔵保存に適さない食材を低温環境で保存する際に出る障害のことで、食材が変色したり腐敗が進みます。さつまいもの場合は5℃以下の環境で保存しておくと低温障害が起こりやすいので、冷蔵庫で保存していると黒く変色してしまいやすいです。
低温障害は病気や腐敗ではなく生理障害の一つなので、食べても問題ありません。ただし、鮮度は落ちている状態です。食感や風味が悪くなっていることがあります。
カットしたさつまいもをしばらく置いておくと、断面が黒っぽくなったり緑色っぽく変色してしまうことがあります。これも腐敗ではありません。
カットしてから時間が経つと断面が変色してしまうのは、ヤラピンが空気中の酸素に触れることによって酸化してしまうためです。さつまいもの種類によってはピンクやオレンジに変色することもあります。
さつまいもは加熱すると黒っぽく変色したり、緑色に変色してしまうことがあります。驚いてしまう方も多いと思いますが、これも腐敗が原因ではないので食べることができます。
さつまいもを加熱すると変色してしまうのは、さつまいもに含まれているポリフェノールの一種クロロゲン酸がアルカリ性のものと合わさることで化学反応を起こしてしまうためです。
例えばさつまいを天ぷらにするときには、天ぷら粉を使うと天ぷら粉に含まれているベーキングパウダーなどがアルカリ性であるため黒や緑色、青色になってしまうことがあります。
さつまいものの表面や実など全体的に茶色くなっていたり黒く変色している場合は腐敗している可能性が高いです。腐敗している場合は、当たり前ですが食べることはできません。
全体的に腐敗している場合は、異臭がしたりぬめりがあるなどその他の腐敗のサインも見られることが多いので腐敗している場合は最もわかりやすいと言えるでしょう。
一般的にスーパーなどで販売されていることが多い紅あずまなどは、皮が赤紫色をして中が黄色っぽい色をしています。しかし、「さつまいも」と一口に言っても様々な品種があります。
例えば紫イモは、その名の通り断面が鮮やかな紫色をしています。この紫色はアントシアニンというポリフェノールの色です。抗酸化作用などがあります。紫芋はスーパーなどでも販売されているため、見たことがある方も多いでしょう。
また、外皮は白っぽく中身は薄い黄色をしている「いずみイモ」や皮が薄い茶色で加熱するとオレンジ色になる「隼人イモ(ニンジンイモ)」、皮も中身も白っぽい「黄金千貫」、皮が白っぽく中は紫色の「種子島むらさき色」などもあります。
一度変色してしまったさつまいもの色は戻せるのでしょうか。解説します。
上記で紹介したように、さつまいもは変色してしまったからといって必ずしも食べられないわけではありません。しかし、変色してしまうとどうしても見た目が悪くなってしまうため「元の色に戻せないか」と考える方も多いでしょう。
れんこんやごぼうなど、変色してしまってもある程度色を戻すことができる野菜もありますが、変色したさつまいもは残念ながら元に戻すことはできません。
カビが生えているなど腐敗が原因で変色してしまっている以外は食べることができるので、変色部分が気にならないように調理して食べると良いでしょう。
どうしても変色している部分が気になる場合は、予め変色してしまっている部分をカットして調理しましょう。
特に低温障害で変色してしまっている場合は、食感や風味が悪くなっているためカットしてから調理するのがおすすめです。低温障害でも一部だけではなく全体的に黒く変色してしまっていて取り除くのも難しい場合は、美味しく食べることはできないので破棄してください。
白カビや黒カビが生えてしまっている場合は残念ですが破棄しましょう。さつまいもなどの固い野菜の場合は表面だけで中まで侵食していなければ、カビが生えている部分を取り除いて食べることができると言われていますが、見えない部分にもすでにカビが侵食している可能性もあります。
カビはカビ毒を発生させ、下痢や嘔吐などの症状が出ることもあります。カビ毒は加熱すれば大丈夫ということはないので、注意しましょう。
腐敗によって変色しているさつまいもはは当たり前ですが食べることができません。腐敗した食材には細菌が分布していることも多く、細菌の種類によっては下痢や嘔吐などの症状が出てしまうこともあります。腐敗している部分をカットして取り除いたり、加熱しても安全に食べられる保証はないので破棄しましょう。
腐敗している場合は変色以外にも異臭がしたり、溶け出している部分があるなどその他の腐敗のサインが見られることも多いです。腐敗しているさつまいもの特徴については後述しますのでそちらを参考にしてください。
出典:かびとかび毒について基礎的な情報(農林水産省)
さつまいもの変色を防ぐ方法は下記の通りです。
表面のヤラピンの変色は、流通過程で傷がついてしまうことが原因であることが多いため、購入時にすでに変色してしまっている状態であることが多いです。
すでに傷がついてしまっている場合変色を防ぐのは難しいですが、購入後は傷がつかないよう優しく扱うようにしましょう。
カットしたあとに断面が変色してしまうのは、水にさらしておくことで防ぐことができます。これは、水にさらしておくことで、空気中の酸素に触れることがなくなるためです。
ただし、水にさらしてしまうと水溶性の栄養素が流出してしまうことになります。さつまいもに含まれている水溶性の栄養素には例えばビタミンCやカリウムなどがあります。そのため、長時間水にさらしてしまうことがないように注意が必要です。長くても10分に留めましょう。
栄養を無駄にしたくない場合は、カット後すぐに調理をするのがベストです。
加熱することで化学反応を起こし、黒や緑、青に変色してしまうのは皮を厚めに剥いておくことで防ぐことができます。なぜなら、変色の原因となっているヤラピンは皮付近に多く含まれているためです。
しかし、皮にも多くの栄養が含まれているので捨ててしまうのは勿体ないです。変色は防ぎたいけど栄養はしっかりとりたい場合は、皮は別で調理しましょう。例えば、さつまいもの皮を使ってきんぴらを作るなど美味しく食べる方法は様々あります。
カビや低温障害、腐敗による変色は正しく保存しておくことである程度防ぐことができます。
さつまいもに限らず、野菜は保存環境が悪いとあっという間に鮮度が落ちて傷んでいってしまいます。購入したら野菜に合わせた正しい保存方法で保存しましょう。
正しく保存しておけば鮮度を保つことができるので、より長く美味しく食べることができます。
それでは、さつまいもの正しい保存方法を紹介します。保存期間の目安も合わせて紹介するので、参考にしてください。
常温で保存する場合は、土をとらずそのままの状態で保存します。土が湿っている場合は天日干しなどをして土を乾燥させてから保存します。
さつまいもを1本ずつ新聞紙で包み、かごやザル、段ボールなどに入れて風通しのよい冷暗所で保存します。
さつまいもは、収穫時も呼吸を続けており、呼吸熱や二酸化炭素の発生量が多いです。そのためラップやプラスチックの袋に入れて常温保存するのはNG。通気性のよい新聞紙(なければキッチンペーパー)がおすすめです。
20℃を超えると発芽しやすくなるため、室温が暖かくなる春や夏は常温以外の方法で保存するようにしましょう。また、使いかけのカットしたさつまいもは、季節問わず常に冷蔵もしくは冷凍保存するようにしましょう。
長期保存したい場合や、室温が高くなる季節は冷蔵保存がおすすめです。さつまいもを冷蔵で保存すると、約2ヶ月ほど日持ちします。丸ごと1本冷蔵する方法と、カットして冷蔵する方法がありますので、それぞれの手順を詳しくご紹介します。
さつまいもを丸ごと1本冷蔵保存する際は、1本ずつ新聞紙に包みます。ポリ袋に入れて軽く口を閉じ、野菜室で保存します。
保存温度が低すぎると低温障害が起きやすいので、温度が低すぎない野菜室での保存がおすすめです。
さつまいもはカットしてから冷蔵保存することも可能です。さつまいもの表皮についている汚れをしっかりと水洗いし、乱切りなどお好みの大きさにカットします。密閉容器にさつまいもを入れ、かぶるくらいの水を入れてフタをし、冷蔵庫で保存します。水は毎日取り替えるのがベストです。
カットしたさつまいもは傷みやすいので、2〜3日を目安に食べ切るようにしましょう。調理時は水を切ってそのまま調理に使用します。
さつまいもは冷凍保存も◎。冷凍することで甘みが増します。繊維が多いため、丸ごと冷凍はNG。薄めにカットしてから冷凍します。さつまいもを冷凍保存する場合、約1ヶ月ほど日持ちします。
さつまいもは生のまま冷凍することができます。
水洗いしたさつまいもを輪切りにします。さつまいもの皮には栄養があるので、皮ごと切ってOK。カットしたさつまいもを10分ほど水にさらしてアク抜きをします。キッチンペーパーなどでしっかりと水けを拭き取り、冷凍用保存袋に重ならないように平らに並べ、空気を抜いて密封し冷凍室へ。
生のまま冷凍したさつまいもは凍ったまま炒め物や煮物、汁物、炊き込みご飯などに使用します。茹でてサラダなどにしても美味しくいただけます。
輪切り以外にもいちょう切りやスティック状など、使いやすい大きさにカットしてから冷凍保存するのも◎。
加熱してから冷凍保存をすれば、調理時間が短縮できます。
輪切りにしたさつまいもに火を通します。たっぷりのお湯で茹でるか、蒸す、もしくは電子レンジで加熱する方法があります。さつまいもにはビタミンCが含まれており、ビタミンCは加熱することで壊れやすいとされている成分ですが、さつまいものビタミンCは一緒に含まれているでんぷんによって保護されているため、加熱しても壊れにくいと言われています。
竹串などを刺して火が通っていることを確認したら、粗熱を取って冷凍用保存袋に重ならないように平らに入れ、空気を抜いて密封し冷凍室で保存します。
凍ったまま調理に使用したり、電子レンジなどで解凍しそのまま食べることもできます。
マッシュ状(ペースト状)にして冷凍しておくのもおすすめです。
さつまいもの皮を剥き、適当な大きさに切って蒸します(電子レンジで加熱したり、茹でてもOK)。さつまいもが熱いうちにマッシャーなどを使ってつぶします。粗熱が取れたら冷凍用保存袋に平らになるように入れ、空気を抜いて密封し、冷凍室で保存します。
冷凍したマッシュ状(ペースト状)のさつまいもは、前日に冷蔵庫に移して自然解凍するか、もしくは電子レンジで解凍します。サラダやスープ、スイートポテトなどにおすすめです。
その他にも、天日干しやオーブンで加熱して水分を飛ばして乾燥保存することもできます。さつまいもの保存方法については、こちらの記事で詳しく解説しているのでご覧ください。
さつまいもは上記で紹介したように、変色していても腐敗しているとは限りません。しかし、下記のような特徴がある場合は腐敗しているので破棄しましょう。
腐ったさつまいもの見た目の特徴は下記の通りです。
シワシワで変色している
溶け出している
表面がシワシワになっている場合は水分が抜けてしまっている状態です。水分が抜けているだけであれば食べることができますが、変色しはじめているようであれば腐敗しているので食べられません。
また、溶け出している部分がある場合も腐敗がかなり進んでいる状態なので破棄してください。
腐ったさつまいもの臭い・味は下記の通りです。
酸っぱい臭い・味
発酵臭
生ゴミ臭
カビ臭い
さつまいもは若干の土臭さはあるものの、そこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味、発酵臭、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
さつまいもに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いや発酵臭がしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」と呼ばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
ぶよぶよになっていて柔らかい
ぬるぬるしていて糸を引く
新鮮な状態のさつまいもは、生のままだと表面にハリがあり固いですが、腐敗するとぶよぶよとした柔らかい触感になります。指で押すと簡単に凹んでしまうぐらい柔らかくなっている場合は破棄しましょう。
また、ぬるぬるしていて糸を引く場合は雑菌が増殖している状態です。この場合も腐敗しているので食べることはできません。
当たり前ですが、新鮮なさつまいもを購入する方が、より長くさつまいもの鮮度を保つことができます。新鮮なさつまいもには下記のような特徴があります。
ずっしりと重みがあり丸々としている
皮の色が均一で鮮やか
皮にハリとツヤがある
凹凸が少なくひげ根が生えていない
表面に傷や黒ずみがない
さつまいもを購入するときの参考にしてください。
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