かぼちゃの青臭さが気になったことがある方も多いのではないでしょうか。本記事ではかぼちゃが青臭い原因や青臭さを軽減する方法を紹介します。
かぼちゃが青臭い原因は下記の通りです。
かぼちゃに限らず、植物には様々な香気成分をもち、特有の青臭さを感じさせます。
植物の持つ香気成分は、その植物の成長過程や環境、さらには種類によって多岐にわたり、これらの成分は、植物が環境や害虫から身を守るための役割や、特定の昆虫を引き寄せるためのものとして発生していまます。
かぼちゃもその例外ではありません。かぼちゃの持つ香気成分に関しては専門的な資料が少なく情報は限られていますが、ヘキサノールやヘキセナール、ヘキサナールなどの化合物がその独特の青臭さの原因とされています。これらの成分はかぼちゃが持つ天然の風味や香りを形成しています。
小さなお子様など青臭さが苦手な方にとっては食べにくさを感じる原因になりますが、青臭いからといって食べられないというわけではありません。
上述したように、かぼちゃは元々青臭さがある野菜ですが、トマトやきゅうりなどのその他の野菜と比較するとそこまで強い青臭さはありません。しかし、未熟な状態のかぼちゃは特に青臭さを感じやすいです。
野菜といえば、収穫したての新鮮な状態が美味しいと思っている方も多いですが、完全に熟す前に収穫されていることが多いかぼちゃは、収穫してからある程度時間が経っているほうが青くささとなる香気成分が揮発し青臭さされます。また、果物が熟すと甘みが増すのと同様にかぼちゃも甘みが出て旨味も濃縮された美味しい状態となります。
未熟な状態のかぼちゃでも食べることはできますが、追熟させたほうが美味しく食べることができます。
かぼちゃは冷凍することで青くささが強くなってしまうこともあります。冷凍状態では、青臭さが閉じ込められて強くなりやすいためです。冷凍するとに青臭さが強調されてしまう現象は、冷凍食品を扱うメーカーなどでも頭を悩ませていることが多く、様々な工夫と技術で青臭さを軽減しています。
しかし、家庭でかぼちゃを冷凍した際にはやはり、青臭さが強くなってしまいやすいです。冷凍したかぼちゃの青臭さを軽減するには、正しく冷凍することが大切です。
かぼちゃに起こる「クリスタル症状」と呼ばれる生理現象が原因で青臭さが強くなることもあります。
クリスタル症状とは、かぼちゃの糖質やでん粉が結晶化する状態を指します。
この現象が起きる背景には、かぼちゃが成長する段階で十分な水分を供給されなかった場合や、保存時に適切な湿度や温度を保つことができずに乾燥してしまったときなどが考えられます。特に、長期間の高温や乾燥が続くと、かぼちゃの内部で糖質やでん粉が結晶として固まりやすくなります。
糖質やでん粉が結晶化しているだけなので食べることはできますが、青臭さが出るだけではなく食感が悪くなってしまうことがあります。
カビが生えてしまったことによる青臭さの可能性もゼロではありません。
カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。
白いふわふわとしたほこりのようなものがついている場合は白カビ、黒い斑点が集まり黒く変色しているように見える場合は黒カビ、青っぽい物体がついている場合は青カビが生えています。
カビを目視で確認できるときは、破棄しましょう。カビはカビ毒を発生させ、下痢や嘔吐などの中毒症状が出てしまうことがあります。
出典:かびとかび毒についての基礎的な情報(農林水産省)
未熟なかぼちゃは追熟させることで、青臭さを軽減することができます。追熟の方法はとても簡単で、かぼちゃを新聞紙に包んで常温に置いておくだけです。
丸ごとのかぼちゃを新聞紙に包みます。ヘタの部分を下にして包むと、かぼちゃの重みで新聞紙をとめることができます(ガムテープなどで貼り付けるとさらに◎)。かぼちゃが大きい場合は新聞紙を数枚使って全体をしっかり覆いましょう。
新聞紙で包んだら風通しのよい冷暗所で保存します。保存時はヘタが上になるようにして置きます。かぼちゃが畑で育っていた環境になるべく近づけてあげることで、余計なストレスがかからず鮮度を保って保存することが可能です。横にした状態で保存すると、元の状態に戻ろうとして余計なエネルギーを消費し、味が悪くなってしまいます。
常温保存することでゆっくりと追熟が進み甘みが増します。甘みが増すのは、かぼちゃのでんぷんが糖質に変わるため。甘みとともに栄養価も増します。スーパーなどに並んでいるかぼちゃはすでに追熟が進んでいますが、ご家庭で収穫したかぼちゃは、すぐ食べるのではなく数ヶ月ほど追熟させてから食べるようにしましょう。皮の色がオレンジがかってきたら完熟のサインです。
かぼちゃの種やわたは食べることができます。しかし、かぼちゃの中で最も傷みやすい部分なので、保存するときは、必ずわたと種はとりましょう。
わたは保存しておくことができないので、食べるのであればすぐに調理をして食べてください。かぼちゃのわたはホットケーキの生地に混ぜて焼いて食べたり、カレーの隠し味として使うことができます。
種は、耐熱皿に広げてふんわりとラップをし、600Wの電子レンジで4〜5分ほど加熱します。種が割れたら中身を取り出し、クッキーやスープの具材として使用します。そのまま食べるのも◎。加熱した種は大変熱くなっているので、やけどに注意してください。
冷凍保存には直接冷凍する(ダイレクトフリージング)という方法がありますが、家庭用冷凍庫では急速凍結(瞬間冷凍)ができないため、味や風味、食感、色が悪くなることが多いです。特にかぼちゃのように水分量の多い野菜はこの傾向が顕著です。緩慢冷凍(徐々に冷凍すること)する過程で身の中に氷結晶ができ、開け閉めで冷凍庫内の温度が上がったときに、それが水蒸気となり身がスカスカになってしまいます。
そのため、加熱してから冷凍することをおすすめします。冷凍する前に茹でたり蒸気をあてたりと必要最低限の加熱処理を行うことを「ブランチング」といいます。
かぼちゃ以外の野菜でも使える方法で、加熱して野菜の持っている酵素を不活性化させることにより変色を防いだり、組織を軟化させることにより冷凍によって組織が破壊され食感を損なわれるのを防ぐことができます。また、食品表面に付着している微生物の殺菌にもなります。
茹でても良いのですが、どうしても水分を含んでしまうのでレンジでの加熱をおすすめします。
出典:冷凍食品Q&A冷凍食品の基礎知識(日本冷凍食品協会)
カットして加熱したかぼちゃを保存袋に入れたらしっかり空気を抜いて密閉します。
空気を抜いて密閉してしまうことで、かぼちゃが酸化して劣化してしまうのを防ぐことができます。また、冷蔵庫の臭い移りもしないので、かぼちゃそのものの風味や味を損ねてしまうことがありません。
かぼちゃに限らず、野菜を冷凍する場合は急速冷凍をしたほうが旨みをぎゅっと閉じ込めることができます。冷蔵庫に急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。
金属トレイは温度の伝達が早いため、急速冷凍と同じ効果を得ることができます。
また、冷凍庫の扉付近は開け閉めによる温度変化の影響を受けやすいため、できるだけ温度変化の少ない扉付近を避けた場所に置いたほうが早く冷凍することができます
クリスタル症状は上述したように、かぼちゃの糖質やでん粉が結晶化してしまう整理症状です。そのまま食べても人体に害はありませんが、青臭さや苦味、食感の悪さなどが気になる場合は、でん粉が結晶化し白くなっている部分をカットしてから調理してください。
特に皮の下が白く変色してしまっている場合は、青臭さや苦味を強く感じやすいと言われているので、取り除いてから調理をしたほうが食べやすいでしょう。
青臭いかぼちゃにおすすめの調理法を紹介します。
青臭さとなる成分は主に皮の部分に多く含まれています。そのため、青くささが気になる部分は皮を剥いて調理しましょう。
ただし、皮にも栄養素が含まれているのですべて剥いてしまうのは勿体ないです。また煮物などに使う場合は皮を剥いてしまうと煮崩れしやすくなってしまうデメリットもあります。
そのため、全てむくのではなくところどころ剥いて調理するのがおすすめです。かぼちゃの皮はピーラーを使うと簡単に剥くことができます。
青臭いかぼちゃは下茹でをしておくと、茹でることで青臭さとなる香気成分が流出するので青臭さが軽減され食べやすくなります。
下茹でをするときには料理酒を一緒に入れておくと◎アルコールには蒸発する性質があり、アルコールが蒸発するときに青臭さとなる香気成分も出ていってくれます。
砂糖や塩をまぶすと浸透圧によって、かぼちゃに含まれている水分が出てきます。水分が出てくるのと同時に青臭さとなる成分も出すことができるので、青臭さが軽減されます。
例えば煮物にするときは、かぼちゃを茹でた後に調味料を加えで味付けをすることが多いですが、予め砂糖をまぶしてから煮込むと良いでしょう。
<浸透圧とは>
異なる物質同士の細胞の成分濃度が違うと、成分が薄い方から濃い方へと水が移動して、両方の濃さを揃えようとする力が働く。これを「浸透圧」という。例えば野菜に塩を揉み込むと野菜の水分に塩が溶け濃い塩水ができ野菜の外側の塩分濃度が高くなるため、濃度を調整しようと浸透圧が働き、野菜の内側から水分が出てくる。
かぼちゃに限らず、青臭さが気になる野菜は油を使って調理をすると、油が野菜をコーティングしてくれるため臭いが気にならなくなります。そのため、かぼちゃの青臭さが気になる場合は油で炒めるのがおすすめです。
かぼちゃは煮物にされることが多いですが、炒め物にしても美味しく食べることができますよ。また、かぼちゃは油で調理をするとβ-カロテンの吸収が高まるので栄養面的にも◎β‐カロテンは脂溶性なので、油を使って調理をしたほうがしっかり摂取することができます。
青臭さが気になるときは、濃いめの味付けにして食べるのも一つの手です。
例えばカレーにして食べれば、カレーのスパイスとしっかりとしたルーの味で青臭さをカバーできます。生姜やにんにくなどを使って調理をするのも効果的です。
厳密には青臭さとなる成分が消えるわけではありませんが、マスキング効果で青臭さが気にならなくなります。
青臭いかぼちゃはカビが生えていなければ食べることができますが、下記のような特徴があるかぼちゃは腐敗しているので食べることはできません。
腐ったかぼちゃの見た目の特徴は下記の通りです。
中が変色していてドロっとしている
溶け出している
全体的に黒・茶に変色している
カットしたときに中が濃い色に変色していて、ドロっとしているなど溶け出している箇所がある場合は腐敗が進んでいる状態なので破棄しましょう。
かぼちゃは変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に黒や茶色に変色してしまっている場合は腐敗しています。
腐ったかぼちゃの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
生ゴミ臭
カビ臭い
かぼちゃは多少の青臭さはあるものの、本来そこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
かぼちゃに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。心配な方は破棄するのが無難です。
腐ったかぼちゃの触感の特徴は下記の通りです。
指で押すと簡単に潰れるぐらい柔らかい
ぬるぬる・ベタベタする
糸を引いている
かぼちゃは熟していくにつれて柔らかくなりますが、新鮮であればある程度の固さはあります。指で押しただけで簡単に潰れてしまうなど、あまりに柔らかくなりすぎているようであれば腐敗している可能性が高いので破棄しましょう。
また、触ったときにぬるぬるしていたり、ベタベタする、糸を引くといった場合も腐敗が進んでいる状態です。雑菌が増殖している可能性が非常に高いので食べないようにしましょう。
最後に美味しいかぼちゃの特徴を紹介しますので、かぼちゃを購入するときの参考にしてください。
皮が濃い緑色をしている
皮がかたい
皮にツヤがある
ヘタの切り口が乾いていてくぼんでいる
形が左右対称
ずっしりと重い
種が詰まっていて色が濃い(カットかぼちゃの場合)
果肉のオレンジ色が濃い(カットかぼちゃの場合)
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