かぼちゃは煮物にするなど加熱調理をして食べられることが多いですが、生食はできないの?と疑問に思ったことはありませんか?本記事ではかぼちゃは生食することができるのかどうかを解説します。
かぼちゃは煮物にするなど加熱調理をして食べることが多い野菜ですが、生食することができます。
もやしなどの加熱調理することを前提に販売されている野菜や、雑菌が増殖しやすいしいたけなどのきのこ類は食中毒の症状が出る可能性があるため、加熱調理をする必要があります。
かぼちゃの場合は、傷んでいたり腐敗した状態でなければ生食しても食中毒の心配はないため、生食可能です。
かぼちゃの中心には種とわたがありますが、種やわたも生で食べることができます。
ただし、かぼちゃの種・わたは実よりも傷みやすい部分なので注意が必要です。特に種・わたがついた状態でカットして保存しているとカビが生えやすいですし、あっという間に腐敗してしまいます。傷んでいる種・わたは生食に限らず食べることはできません。
上述したように、かぼちゃは生食することができる野菜です。
しかし、生のかぼちゃはとても固く食べにくいのがデメリット。特に皮は固いので、カットするのも大変ですよね。加熱せずに皮ごと食べてしまうとやはり固くて歯が立ちません。
生食する場合は皮は剥いて、薄切りにして食べるなど食べやすく工夫する必要があり、基本的には加熱調理をして食べる方が多いです。
かぼちゃには大別して「西洋かぼちゃ」「日本かぼちゃ」「ペポかぼちゃ」の3種類があります。
一般的にスーパーなどで販売されているのは西洋かぼちゃです。西洋かぼちゃにも様々な品種があり、それぞれ異なる特徴をもちますが、販売されているのは基本的に固く加熱料理向けものです。
そのため、かぼちゃは生食できないと思っていたり、かぼちゃを生食したことがないという方の方が圧倒的に多いと思いますが、実は生食に向いているかぼちゃがあります。
かぼちゃを生食してみたい!という方は、生食できるかぼちゃを選ぶのが良いでしょう。
生食できるかぼちゃの品種は下記の通りです。
コリンキーは一般的に販売されている西洋かぼちゃに分類されるものの、生食用に改良されているため、皮も実も柔らかく非常に食べやすい品種です。
サイズは500g~1kg程度と一般的なかぼちゃよりも小さく、鮮やかな黄色の見た目が特徴的です。
ほのかな甘味があり、クセのない味わいで水分量が多くさっぱりと食べられるので、サラダや浅漬けにして食べるのが人気です。もちろん炒めものなど加熱調理をすることも可能です。
鈴かぼちゃは、西洋かぼちゃの「栗かぼちゃ」という品種を未熟な状態で収穫したものです。そのため、見た目は一般的に販売されているかぼちゃととても似ていますが、サイズは500g程度と小さめなのが特徴です。
未熟な状態で収穫しているので、水分量が多く皮や実も柔らかいので生食するのに適しています。果肉は一般的なかぼちゃよりも明るい黄色をしていて、サラダにすると彩りも良くなります。
そうめんかぼちゃはペポかぼちゃに分類され「金糸瓜(きんしうり)」ともいいます。果肉が糸状になっているのが大きな特徴で、加熱するとそうめんのようになるので「そうめんかぼちゃ」と呼ばれています。
加熱してほぐして食べるのが一般的ですが、生食することも可能です。マリネなどの酢の物、おひたし、サラダなどにきゅうりのような感覚で調理すると歯ごたえを楽しめる一品に仕上がります。
かぼちゃを生食するメリットは下記の通りです。
かぼちゃの栄養素の含有量は品種によっても異なりますが、基本的にビタミンCやカリウムなど水溶性の栄養素が含まれています。
水溶性の栄養素は茹でたり煮たりすると流出してしまいます。また、高温で加熱することによって栄養素の一部が破壊されてしまうこともあります。そのため、かぼちゃに限らず野菜の栄養素を最も無駄にしない食べ方が生食とされています。
かぼちゃに含まれている栄養素については後述しますので、そちらを参考にしてください。
かぼちゃを生食することで、みずみずしくしっかりとした食感を楽しむことができるのもメリットの一つです。
野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁を作っています。かぼちゃに限らず野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。
かぼちゃを生食するときの歯ごたえは、しっかりと咀嚼することが満足感に繋がり、満腹感を長続きさせるため、ダイエット中の方にもおすすめです。
生のかぼちゃにはビタミン類をはじめミネラル類も豊富に含まれています。
なんといってもかぼちゃにはβ-カロテンが豊富です。にんじんにも多くのβ-カロテンが含まれていますが、かぼちゃは一度に量を食べやすいことから、栄養の供給源として理想的です。
β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換される成分のうちの一つで、その中でも最も活性が高くなっています。
β-カロテンには強い抗酸化作用があり、体内に発生した活性酸素を除去します。活性酸素は本来ウイルスと闘うなど健康維持に大切ですが、増えすぎると害を及ぼし、老化の促進などに繋がります。活性酸素はストレスや紫外線、不規則な生活習慣や加工食品、また喫煙などによって増加しすぎると言われています。
ビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目もあり、夜盲症の予防や視力低下の抑制があります。そのため、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぎ感染症を予防する効果が大きく、免疫力を高めます。また皮膚の健康維持に関与していることから、美肌効果もあります。皮膚の新陳代謝が高まることで、乾燥肌やニキビ肌の改善が考えられます。
日本人が不足しがちなビタミンB1がかぼちゃには含まれています。
ビタミンB1は糖質がエネルギーに変換されるのをサポートする栄養素です。不足すると、体のだるさや倦怠感、足のむくみ、動悸の症状、太りやすくなったりします。また、糖質は脳や神経系のエネルギー源なので、ビタミンB1には精神を安定させる作用があると言われています。
昔、日本人の主食は精白米ではなく玄米で、その玄米にはビタミンB1が含まれていたために、意識していなくても摂取することができました。しかし、昨今ではビタミンB1が豊富に含まれている米ぬかの部分が、精白米にする段階でほとんど取り除かれてしまいます。他にもお菓子やジュースなどの過剰摂取でビタミンB1は不足するとも言われているため、積極的に摂取したい栄養素です。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。
さらにビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
また抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。
多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。また喫煙者はビタミンCの消費が激しいので、一般成人の2倍は摂ることをおすすめします。
ビタミンEは抗酸化作用があります。体内の脂質が酸化するのを抑え、老化の予防をしてくれます。ビタミンEは血液中の悪玉コレステロールの酸化を抑える働きがあり、酸化によって進行してしまう動脈硬化の予防に役立ちます。さらにビタミンEは末梢血管の拡張させる働きがあるため、血行促進に繋がります。
また副腎や卵巣にも蓄えられる成分で、女性ホルモンや男性ホルモンなどを含むホルモンの代謝にビタミンEは関与しています。性ホルモンの生成や分泌の調整をする脳下垂体に働きかけ生殖機能の維持にも役立ちます。ビタミンEを十分に摂取することで、生理痛や月経前のイライラ、また生理不順などを改善する効果もあります。
カリウムは98%が細胞内液に存在します。細胞内液に存在するカリウムは、細胞外液にあるナトリウム(塩分)とお互いに作用しながら細胞の浸透圧を維持し、どちらかの水分量が多くならないように、適正な水分を保っています。つまり、カリウムには、余分なナトリウム(塩分)を体外へ排出を促す作用があります。また、腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。他にも心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。
さらにカリウムは心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。ただこの筋肉を正常に動かすためにもカリウムとナトリウムをバランスよく摂取することが大事になります。
野菜を生食するときは、やはり鮮度が大事です。傷みはじめているものは味や風味が悪くなっているため美味しく食べることができませんし、細菌が分布している可能性があり下痢や嘔吐などの症状が出ることもあります。
新鮮なかぼちゃには下記のような特徴がありますので、スーパーなどで購入する際にぜひ参考にしてください。
皮が濃い緑色をしている
皮がかたい
皮にツヤがある
ヘタの切り口が乾いていてくぼんでいる
形が左右対称
ずっしりと重い
種が詰まっていて色が濃い(カットかぼちゃの場合)
果肉のオレンジ色が濃い(カットかぼちゃの場合)
じゃがいもなどの土に埋まった状態で育つ根菜とは異なり、かぼちゃはそこまで汚れているようには見えません。しかし、生野菜には土壌に由来する細菌が必ずついているといっても過言ではありません。細菌の全てが食中毒に繋がるわけではありませんが、ボツリヌス菌やサルモネラ菌など食中毒の原因となる細菌もあります。
かぼちゃに限らず、野菜を生食する場合はしっかりと洗って細菌を落としておくことが大切です。洗って汚れを落とすことは、農薬を落とすことにも繋がります。
かぼちゃを洗うときは、流水で表面の汚れを綺麗に落とします。ぼこぼこしている部分には土汚れなどがたまりやすいので、たわしなどを使って優しくこすると良いでしょう。
ホタテ貝やホッキ貝を原料に作られたパウダーを使うと、残留農薬を落とすのに有効的です。特におすすめなのがホッキ貝です。ホッキ貝は他の貝殻と比較しても除菌効果が高いことが研究で立証されています。
ホッキ貝を高温で焼きパウダー状にしたものを水に溶かすことで、アルカリ水を作ることが出来ます。農薬は酸性であるためアルカリ水につけることで農薬が中和されて落としやすくなります。
ホタテ貝やホッキ貝のパウダーを溶かした水にかぼちゃを5分~10分漬けておくと水溶液が次第に濁ってきたり油が浮いてきたりします。目にみえて残留農薬が落ちていることがわかるので流水で洗い流したりするよりも安心できます。
これを使って水にさらすのが一番おすすめです。
かぼちゃに限らず、食べ過ぎは消化不良を起こし腹痛などの症状が起こる原因になります。
特にかぼちゃなどの根菜にはでん粉が多く含まれています。でん粉は加熱し糊化されることで吸収・消化されやすくなりますが、生の状態では吸収・消化されにくく消化不良になってしまうことがあります。消化機能が未熟な小さなお子様や高齢者の方は特に注意が必要です。
また、食物繊維も豊富に含まれています。不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、腸内環境を整える際に、この2つのバランスが重要となります。かぼちゃは不溶性食物繊維が3倍多く含まれています。
不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になります。ちなみに、水溶性食物繊維は摂りすぎると軟便や下痢に可能性があります。また、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまうことになりますので注意しましょう。
食物繊維の摂り過ぎは、単に気持ち悪くなったり、吐き気や腹痛が起こる場合もあります。
大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
かぼちゃは緑黄色野菜に分類されるので、他の緑黄色野菜と合わせて120g以上を目安にするということになります。緑黄色野菜にはほうれん草や人参、ピーマン、トマト、ほうれん草などがあります。他の緑黄色野菜も食べることを考えると、かぼちゃの1日の摂取量は50g程が目安になります。かぼちゃだと1口大サイズのものが2〜3個になります。
カロリーや食物繊維を基準に摂取目安量を考える方法もありますが、かぼちゃだけで1日分のカロリーや食物繊維を摂ることはないため、あまり参考になりません。
出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)
野菜の生食といえばやはりサラダですよね。生のかぼちゃを他の野菜と一緒にサラダにして食べるとしっかりと栄養を摂取することができるのでおすすめです。
かぼちゃにはビタミンCが含まれていますので、ぜひビタミンA・Eを含む食材と食べ合わせたいものです。ビタミンAが豊富に含まれる食材にはにんじんなどがあります。ビタミンEを豊富に含む食材にはアボカドやアーモンドなどがあります。
かぼちゃは生のままぬか漬けにすることができます。
かぼちゃに限らず、ぬか漬けにすると栄養価が高くなるので、おすすめです。なんとビタミンやカリウムが2倍に増えます。これはぬかに含まれる栄養素が野菜に浸透するためです。
ぬか漬けにしたかぼちゃは日持ちもするので、長く保存しておきたいときにもおすすめです。
ぬか漬けは作るのに手間がかかりますが、浅漬けは比較的短時間で簡単に作ることができます。
浅漬けにするときは、塩もみをして水分を抜くので、柔らかくなって小さなお子様でも食べやすくなります。塩もみして食べるだけでももちろんOK。美味しく食べることができます。
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