豆腐を滑らかにする裏ごしの作業はどのように行うのが良いのでしょうか。この記事では、裏ごしに必要な道具や裏ごしの方法、裏ごしした豆腐の使い道などについて解説します。
そもそも裏ごしとはどのような作業なのでしょうか。
裏ごしとは、裏ごし器などの細かい網目を持つ調理器具に食材を押し込み、食材のダマをなくし、食感をきめ細かく滑らかにする下ごしらえのことです。
裏ごしによって食感が滑らかになるだけでなく、素材の持つ風味も強くなり、料理の出来が良くなる効果もあります。また、細かくすることで消化しやすくなるので、離乳食や介護食を作る際にも食材を裏ごしすることが多いです。
豆腐以外にはジャガイモやサツマイモなどのイモ類やカボチャなどの野菜が裏ごしして調理に使われています。
裏ごしした食材は離乳食や介護職以外ではポタージュスープや、プリン・スイートポテトといったデザート作りに使われます。和食でもおせち料理として人気の栗きんとんは栗を裏ごしして作ります。
しっかりと下ごしらえをしてから裏ごしすると水っぽくならずに仕上げられます。
豆腐を裏ごしする前に、まずは余分な水分を抜く「水切り」をしましょう。
豆腐は水分を多く含んでいるので、事前に水分を抜く「水切り」をしっかり行わないと豆腐の水分が出て料理の味が薄まり、イマイチ味が決まらない原因になってしまいます。また、豆腐の内側に含まれている水分が適度に抜けることで崩れにくくなり、味がしっかりと染み込みます。
料理前に20分程度ザルに出しておくだけでもある程度水分が抜けます。より多くの水分を抜きたい場合は、キッチンペーパーに包んで重しをのせて冷蔵庫に置いておく、塩水に漬けておく、湯通しする、電子レンジで軽く温めるといった方法がおすすめです。
水切りの方法は後述の項目で紹介します。
裏ごしですが、以下の道具を使用します。
裏ごし器(茶漉し、金属製のザルでもOK)
ボウル(または裏ごししたものを入れたい器、お皿)
木べらまたはしゃもじ(スプーンでもOK)
手順は下記のとおりです。
以上です。ボウルを使った裏ごしの作業が力が入れづらいという方は、濡れた布巾の上に裏ごし器より少し小さいお皿を置き、その上に裏ごし器をのせて裏ごしすると良いでしょう。
裏ごしの作業が面倒だと感じる方はミキサーを使ってみても良いでしょう。裏ごしを手作業で行うほどではありませんが、ある程度滑らかになります。
ミキサーを使うと洗うのが大変ですが、豆腐は比較的落ちやすくベトベトにもならないのでお手入れも簡単です。
裏ごしした豆腐の特徴や使い道を解説します。
裏ごしした豆腐はとても滑らかな舌触りになります。つぶされて細かくなることで大豆の風味も強くなりますが、安い豆腐を使うと青臭さが気になってしまうこともあります。
流通している豆腐はしっかりとした食感の木綿豆腐とつるつるとしている絹ごし豆腐の2つがほとんどですが、より滑らかな仕上がりにしたいという方は絹ごし豆腐を選んでみましょう。
裏ごしした豆腐は離乳食や白和え、デザート作りなどに使われています。
白和えは裏ごしをせずに作ることもできますが、裏ごしすることで豆腐が滑らかな食感になり、野菜ともよく絡むようになり、一体感が生まれます。また、豆腐の柔らかい甘みなどの風味も際立つので、美味しさもアップします。
デザートでは牛乳や卵、チョコレートなどと混ぜてプリンやテリーヌ、ブラウニーを作るレシピもあります。
また、ほかにもホワイトソースつくりや豆腐ハンバーグのタネに使うこともできます。料理の仕上がりが良くなるので、時間がある方はぜひ試してみてください。
裏ごしの作業は大変なので一度に大量に裏ごししておいて冷凍保存しておきたいと思いますよね。しかし、豆腐は冷凍(解凍)することで水分がたくさん抜けてしまい、ぼそぼそとした食感になってしまいます。
せっかく裏ごしした豆腐も冷凍することでぼそぼそとしてしまい、滑らかさは失われてしまうので、冷凍はあまりおすすめできません。
水切りは、①ザルを使う、②キッチンペーパーを使う、③湯通しする、④電子レンジを使う、という4通りの方法が基本です。
一番水分が抜けるのが④の電子レンジを使う方法で、他の方法では水分が抜ける順に②キッチンペーパーを使う方法、③湯通し、①ザルを使う、となります。各方法について解説します。
一番簡単なのがザルを使う方法です。豆腐をザルに上げ、10~20分放置するだけである程度水分を抜くことができます。
ザルがない場合は深めのお皿でも大丈夫です。豆腐はそのままでもカットした状態でもどちらでも構いません。ただし、この方法ではしっかり水分が抜けないので、よりしっかり水分を抜きたい方は後述の方法がおすすめです。
時間はかかりますが、より多くの水分を抜ける手軽な方法がキッチンペーパーを使う方法です。カットする前の豆腐をキッチンペーパーでくるんで20分放置するだけです。水分が抜けすぎることなく、程よく柔らかい食感が残ります。
より多くの水分を抜きたいという方は、バットを豆腐の上にのせ、バットの中に重しをのせて長時間(30~120分)放置しましょう。重しが重いほど、放置する時間が長いほどに水分が多く抜けます。長時間放置する場合は冷蔵庫に入れましょう。
手早く水分を抜きたい方は、キッチンペーパーを3重にしてパックから出した豆腐に巻き、それをパックに戻して押し込んで水分を抜くという方法があります。この方法は1回でも水分が抜けますが、何度か繰り返すとさらに豆腐から水分を抜くことができます。ただし、作業している間に豆腐がボロボロになってしまうこともあります。
やや手間はかかりますが、短い時間でさっと水切りができるのが湯通しの方法です。鍋で水を沸かし、カットした豆腐を2~3分茹で、ザルに上げて5分ほど放置するだけです。茹でる際にひとつまみの塩を入れるのがポイントです。
より水分を抜きたい方は長い時間置いておきましょう。なお、豆腐同士をくっつけて放置するとお互いの水分を求めてくっついてしまうので、少し離して置きましょう。温かいまま使えば煮込む時間を短くでき、豆腐を崩れにくく仕上げることができます。
湯通しの方法は短い時間で水分を抜けますが、一度湯通しする分、豆腐の風味が落ちやすいともいわれます。気になる方は別の方法を選びましょう。
小さなパックタイプの充填豆腐を使う方は、パックごと10分茹で、茹で終わったものをザルに上げるのがおすすめです。
キッチンペーパーで包んだ豆腐を電子レンジで2~3分加熱し、ザルで5分ほど放置するだけでも水切りができ、崩れにくくなります。
ただし、豆腐は電子レンジで温めると破裂する可能性があるので、必ず500W以下の低いワット数で様子を見ながら温めましょう。また、電子レンジを使うと水分が抜けすぎて中がスカスカになり、割れてしまうこともあるので、出来上がりを重視する方は他の方法を試しましょう。
また、豆腐は塩水につけることでも水分を抜くことができます。いわゆる「浸透圧」で豆腐の水分が塩水に移動するので水分が抜けます。
やり方は簡単で、水を張った鍋やボウルに豆腐を入れ、大さじ1程度の塩を入れ20分放置するだけです。ただし、水分が抜ける量は湯通しやキッチンペーパーを使う方法には劣ります。
他にも塩をまぶす方法がありますが、塩分過多になってしまうのでおすすめできません。
豆腐にはさまざまな種類があります。
木綿豆腐は、豆乳に凝固剤を加え、布を敷いた木綿豆腐用の型箱に流し込み、圧搾・成形した豆腐です。型箱に敷く布が木綿であり、豆腐の表面に特徴的な模様が付くことが名前の由来です。絹ごし豆腐よりも古くから造られており、普通豆腐とも呼ばれます。
圧縮して作っているため、しっかりとした食感と食べ応えがあります。絹ごし豆腐と比べるとタンパク質や鉄、カルシウムなどの栄養素が2~3割ほど多く含まれており、味わいも濃厚です。また、水分量が少ないため料理の際に型崩れしにくく、味も染み込みやすいです。
ただし、そのごわごわとした食感が苦手という声もあります。また、味が染み込みやすい分、麻婆豆腐では辛味も感じやすいです。
絹ごし豆腐は、木綿豆腐を作る時よりも濃い豆乳に凝固剤を加え、そのまま固めて作ったものです。江戸時代の中期にやわらかく舌触りの良い豆腐を求めて作り出されたと言われています。
木綿豆腐とは異なり、作る時に水分を抜かないため、ぷるんとした水分の多いやわらかい食感とつるっとした喉越しが人気です。栄養素は木綿豆腐よりも少ないものの、ビタミンB群などの水溶性ビタミンやマグネシウムなどが多く含まれています。
ただし、絹ごし豆腐は水分量が多く柔らかいため崩れやすく、味が染み込みにくいです。また、つるつるとしているため箸で食べにくいとよく言われます。
ソフト豆腐は、名前の通り柔らかい木綿豆腐として香川県で作られ始めました。その製造方法から見ても、木綿豆腐に近い特徴を持つ食品であり、実際、木綿豆腐の一種としても分類されます。京都では「嵯峨豆腐」と呼ばれています。
木綿豆腐と絹豆腐の中間と言われることの多い程よい固さを持っています。そのため食べやすく、多くの料理に適用できる万能な食材と言えるでしょう。
カロリーは絹ごし豆腐と同じ100gあたり56kcalで、栄養素も絹ごし豆腐に近いですが、水にさらす分ビタミン類は木綿豆腐同様に少なめです。
プラスチックの容器に材料を直接流し込んで固める「充塡(じゅうてん)豆腐」と呼ばれるタイプの豆腐は、製造時に加熱・殺菌されてから空気や水に触れていない状態でパックされているのでとても衛生的で、2週間以上の長期間にわたって保存が可能です。スーパーなどで小さめのサイズで3個パックになっている製品をよく見かけますよね。
絹ごし豆腐に近いなめらかな食感と柔らかさで、材料も絹ごし豆腐と基本的に一緒なので、「充填絹ごし豆腐」という名称も使われています。
おぼろ豆腐は漢字で「朧豆腐」と表記し、「朧」には「物の姿がかすんで、はっきりしないさま」という意味があります。 おぼろ豆腐の完全に固まっておらずほろほろとした見た目を、霧がかかってはっきり見えない「おぼろ月夜」に例えて「おぼろ豆腐」といわれるようになったといわれています。
おぼろ豆腐はしっかりと固まる前にすくい上げているので、木綿豆腐や絹豆腐と比較してやわらかくとろけるような食感が特徴的です。木綿豆腐や絹豆腐とは異なり、製造工程が少なく水分や油分がそのまま残っているため大豆本来の風味や味を楽しむことができます。
高野豆腐は、鎌倉時代に和歌山県北部の高野山で誕生しました。「氷豆腐」や「凍り豆腐」(こおりどうふ)、「凍み豆腐」(しみどうふ)とも呼ばれています。これらの別名からも分かる通り、高野豆腐は特殊な製法によって作られています。
高野豆腐は、通常の豆腐とは異なる製造過程を経ています。豆腐を繰り返し凍結・解凍することにより、水分が徐々に抜け、豆腐が乾燥した状態になります。このプロセスにより、豆腐の栄養成分や旨味が濃縮されるとともに、特有の食感や風味が生まれます。
高野豆腐の特筆すべき点は、その保存性の高さです。通常の豆腐よりも乾燥しているため、賞味期限が長く、長期間保存することができます。
高野豆腐を使う際は、お湯で戻して使います。硬い状態の高野豆腐を熱湯に浸して戻すと、柔らかさが戻り、調理に適した状態になります。戻した高野豆腐は煮物や炒め物、鍋料理などのさまざまな料理に利用されます。高野豆腐独特の風味と食感が、料理に深みを加えるのに一役買っています。
堅豆腐は、日本で豆腐が作られ始めた初期の製法を踏襲して作られる、特別な種類の豆腐です。この伝統的な製法によって、堅豆腐は他の種類の豆腐とは異なる特徴を持ちます。
堅豆腐の製造には、濃度の高い豆乳や強力なにがりなどの独特な材料や、長時間重しをのせて水分を抜く手法が用いられます。この特徴的な製法により、堅豆腐は通常の豆腐よりも非常に固く、また乾燥した状態に仕上がります。その結果、長期間の保存が可能となります。
堅豆腐の代表的な製造地域としては、石川県や富山県が知られています。これらの地域では、古くから伝わる製法が守られ、堅豆腐が製造されてきました。
「胡麻豆腐」や「玉子豆腐」、そして「杏仁豆腐」はその名に「豆腐」を冠していますが、実際には大豆を原料としていない異なる食品です。これらの名前が「豆腐」と呼ばれる背景には、製法や食感、用途などの類似性があることが影響しています。
「胡麻豆腐(ごまどうふ)」は、精進料理の一種であり、奈良県および和歌山県の郷土料理として知られています。
ゴマと葛粉を主要な材料としており、大量生産も可能なことから、現在では全国のスーパーや食品店で手に入れることができます。
滑らかな食感と豊かな胡麻の風味が特徴であり、冷奴として食べられることが多く、料理に使われることはあまりありません。
「玉子豆腐」は、だし汁と鶏卵を混ぜ合わせ、四角い容器に入れて蒸し固めることで作られる食品です。
豆腐に似た滑らかな質感と優しい風味があり、和食の一部として親しまれています。スーパーなどでパックに入って売られていることも多く、冷奴として食べることがほとんどです。
「杏仁豆腐」は、アンズの種子の仁(さね)を粉砕し、白い汁を搾り取り、寒天で冷やし固めた中国発祥のデザートです。名前に「豆腐」が含まれているものの、やはり大豆とは無関係です。
滑らかでクリーミーな食感と、杏仁の風味が特徴であり、日本では果物と一緒にフルーツポンチ風にして食べられることも多いです。
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