トマト缶は長期保存することができますし、カットしたりせずそのまま調理に使うことができるので、忙しい日常の料理にとても便利です。しかし、トマト缶を使うと酸っぱくなってしまうので苦手という方も多いです。本記事ではトマト缶の酸味を抑える方法などを紹介します。
トマト缶が酸っぱい原因は下記の通りです。
トマトの酸味はクエン酸によるものです。普段スーパーなどで購入して使っている一般的なトマトにももちろん含まれています。クエン酸といえば、梅干しや柑橘系などに多く含まれていることで知られている成分ですよね。
クエン酸は食べた物を体内でエネルギーに変えるときに必要な栄養素です。そのため疲労回復に効果的と言われています。筋肉痛の予防にも役立ちます。さらに代謝アップにもつながるので、ダイエット効果も期待できます。
また、カルシウムや鉄、マグネシウムなどの吸収しにくいミネラルを吸収しやすくする働きもあるので、吸収されにくいと言われるミネラルと一緒に摂取するといいでしょう。この効果をキレート効果と呼びます。
トマトには元々酸味となる成分が含まれていることはおわかりいただけたかと思います。続いて、特にトマト缶の酸味が強い理由を解説します。
一般的なトマト缶の酸味の強さは、トマトの種類とその製造過程によるものです。トマト缶に使用されているのは酸味が強く、かつジューシーな品種です。これはミートソースなど主に加熱調理をして使われることが多いためであると考えられます。
一方、スーパーや市場で一般的に購入できる生のトマトは、多くの品種がありますが、桃太郎など甘みが強くて酸味が控えめな品種が多いです。これは、生のトマトはサラダや生食として食べることが多いためです。
一口に「トマト缶」と言っても様々な種類があります。特に一般的に使われることが多いのは、カットトマトとホールトマトです。
カットトマトはその名の通り細かくカットしたトマトを缶詰にしており、ホールトマトはトマトをカットせずに丸ごと缶詰にしています。
カットトマトとホールトマトでも、使われているトマトの品種が異なるため酸味に違いがあります。
カットトマトは「ロマーノ」という丸い形をした品種のトマトが使われていることが多く、ロマーノは酸味が強いです。一方ホールトマトは「サンマルツァーノ」などの細長い形をしている品種のトマトを使っていることが多く、サンマルツァーノはロマーノよりも比較的酸味が弱く加熱すると甘みが増します。
そのため、酸味が苦手な方はホールトマトを使うのがおすすめです。
食材に酸味があるのは、腐敗のサインである場合もあります。
一般的にスーパーなどで販売されている生のトマトを想像して食べると酸味が強いため、腐敗しているのでは!?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、腐敗しているわけではありません。
トマト缶は加熱殺菌された状態で密閉されているため、未開封の状態であれば腐敗の原因となる雑菌が入ってしまったり空気中の酸素に触れて酸化し鮮度が落ちてしまうといったこともありません。
ただし、開封後は普通のトマトと同じように腐敗するので注意が必要です。開封してしばらく経っている状態で酸っぱい臭いがしたり、飲み込めないほど強い酸味がある場合は破棄しましょう。
トマト缶が酸っぱい理由はおわかりいただけたでしょうか。トマト缶の酸味を抑えて食べやすくする方法を紹介します。まずはトマト缶の酸味を抑える調理法の基本です。
トマト缶は製造の段階で加熱滅菌されて缶詰にされています。そのため、開封をしたらそのまま食べることも可能なのですが、酸味を抑えたい場合はじっくり時間をかけて煮込むなどしっかりと加熱しましょう。
トマトの酸味となっているクエン酸は加熱すると分解され、ある程度酸味を軽減することができます。また、トマト缶に使われている多くのトマトは加熱することで甘みが増して食べやすくなります。
中火〜弱火でじっくりと酸味を飛ばすように煮込むように調理をするのがおすすめです。
トマト缶に水を加えて調理するレシピの場合は、トマトを先に炒めるなど十分に加熱してから水を加えることが大切です。
クエン酸は上述したように加熱することによって分解する性質があるのですが、分解するのは175℃のときです。水の沸点は100℃なので先に水を加えてしまうと175℃まで上げることができず強い酸味が残ってしまいます。
そのため、トマト缶を加えて加熱し十分に加熱された後に水を加え、必要な濃度に調整することをおすすめします。
トマト缶の酸味は炒めることでも軽減されます。
炒めものにする場合など他の食材と一緒に炒める場合は、先に油を引いて熱したフライパンで他の食材を炒めておき、すでに高温になっている状態で混ぜるようにトマト缶を加えると◎
油をひいてすでに他の食材を炒めている状態のフライパンは高温になっているので、トマトの酸味が飛びやすいという利点があります。
ただし高温の状態のフライパンにトマトを入れてしまうと、ハネて火傷をしてしまうことがあるので注意しましょう。
調味料を加えてトマト缶の酸味を抑える方法もあります。トマト缶の酸味を抑えることができる調味料を紹介します。
砂糖を加えることで甘みが出るので、トマトの酸味を軽減することができます。
ただし、砂糖を入れすぎてしまうと甘さだけが目立ってしまい、トマトや他の食材の味がぼやけてしまうので入れすぎNGです。1缶につき小さじ1程度を目安に、味見をしながら調節していくと良いでしょう。
家庭で一般的に使われる砂糖といえば上白糖(白砂糖)が多いですが、てんさい糖を使うのもおすすめです。てんさい糖を使うことで、コクをプラスすることができます。
てんさい糖はその名の通り甜菜(てんさい)という植物の根を原料に作られる砂糖です。上白糖とは異なり茶色い見た目をしていますが、てんさい糖を加えても料理の見た目を損ねてしまうことはありません。
はちみつを加えるのもおすすめです。はちみつを加えることで、酸味が強いトマト缶もまろやかな味わいになります。
はちみつを加える場合は砂糖よりも少量で甘みが強いですので、入れすぎないように注意しましょう。少しずつ味を見ながら量を調節することが大切です。
入れすぎなければはちみつの風味が強くなってしまったり、とろみが出てしまうといったことはありません。トマトの味を上手く引き立てることができるのでおすすめです。
バターを加えるとまろやかな風味になり、酸味を軽減することができます。
バターを使うときはオリーブオイルなどの油を一緒に使うと、バターが乳化されよりまろやかな味わいに仕上げることができます。油分には温度を上げてクエン酸を分解するメリットも。
ただし、どうしても油っぽくなってしまうのが難点です。スープにしたい場合など料理によっては合わないことがあるので注意が必要です。
クリームチーズを加えると、トマト缶の酸味がやわらぎクリーミーな味わいを楽しむことができます。
クリームチーズは乳製品なので、酸性のトマトソースに対して中和作用を持ちます。酸味の強いトマト缶にクリームチーズを加えると味のバランスが整います。また、クリームチーズはリッチな味わいと滑らかな舌触りを持っています。これにより、トマトソースにコクやクリーミーな風味を加え、酸味をやわらげる効果が期待できます。
ただし、クリームチーズを入れると白っぽくなってしまいます。ミネストローネにする場合など、クリームチーズを入れると見た目が大きく変わってしまいます。見た目を損ねたくない場合は、他の調味料で酸味を抑えるのが良いでしょう。
酸性の状態にアルカリ性の重曹を加えると、中和され酸味を抑えることができます。
重曹を加えるときは、トマト缶を一度加熱したあと少々の重曹を入れて混ぜます。重曹の性質上泡立ってしまうので驚く方も多いと思いますが、混ぜ続けると泡は消え、酸味も軽減されます。
ただし、重曹は入れすぎると苦味が出てしまうデメリットがあります。少量の重曹で十分なので入れすぎてしまわないように注意しましょう。
また、重曹には食用のものと掃除などに使う非食用のものがあります。調理に使うときは非食用のものは決して使わず、食用の重曹を使ってください。食用の重曹はスーパーの片栗粉などが置かれている粉物のコーナーに置かれていることが多いですよ。
料理別におすすめの酸味を軽減する方法を紹介します。
トマト缶といえばトマトソースに使われることが多いですよね。トマトソースを作りたいときに酸味を軽減するポイントは、下記の通りです。
しっかりと加熱する
砂糖やはちみつを加える
トマトソースを作るときはさっと加熱してしまいがちですが、しっかりと時間をかけて加熱することが大切です。まず、オリーブオイルをひいて熱したフライパンや鍋にトマト缶を入れたら、水分が飛ぶまでしっかりと加熱します。そこから、ケチャップなどの調味料を加えて煮込むと酸味が和らぎます。
上記で紹介したように砂糖やはちみつを加えても◎
ミネストローネなどのスープや鍋を作りたいときに酸味を軽減するポイントは下記の通りです。
トマト缶を加熱してから水を加える
砂糖やはちみつ、クリームチーズを加える
スープを作る場合も酸味を抑えたい場合は、予めオリーブオイルで炒めるなどしっかり加熱してから水を加えるのがおすすめです。上述したように水と一緒に入れて加熱し始めてしまうと、酸味がうまく飛びません。
また、ミネストローネなどのスープは砂糖やはちみつ、クリームチーズとの相性良し◎これらの調味料やクリームチーズを加えるとよりまろやかでコクのある味わいを楽しむことができます。
トマトチキン煮込みや、トマト缶を使ったロールキャベツを作るときの酸味を軽減するポイントは下記の通りです。
弱火〜中火でじっくりことこと
水を加えるときは水が後
砂糖やはちみつを加える
トマトチキン煮込みなどの煮込み料理は、じっくりことこと煮込むのが酸味を飛ばすポイントです。火が強すぎると煮詰まりすぎてしまうので、弱火〜中火で時間をかけて煮込んでいきましょう。
煮込む場合も、水を加えるときはトマト缶が加熱されてからにしてください。
カレーにトマト缶を加えるときの酸味を抑えるポイントは下記の通りです。
しっかりと炒めて加熱
水は後から加える
バターやオリーブオイル、牛乳を加える
カレーにトマト缶を入れるときは、他の食材を炒めた後にトマト缶を入れてしっかり炒めておきます。しっかりと炒めることで酸味を軽減することができます。トマト缶と水を一緒に入れてしまいがちですが、やはり水と同じタイミングでトマト缶を入れてしまうのはNGです。炒めた後に水を入れてください。
カレーの場合はバターとオリーブオイル、牛乳を加えるとまろやかな味わいのカレーに仕上げることができるのでおすすめです。
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