しいたけから出汁を取るのって難しそうと思っている方も多いのではないでしょうか。時間はかかりますが、実はそんなに難しいことではありません。本記事ではしいたけの出汁の取り方を詳しく紹介します。
しいたけ出汁とは、干ししいたけを水につけて戻したときにでる汁のことをいいます。しいたけ出汁の特徴は下記の通りです。
生しいたけには、もともとグルタミン酸とよばれる旨味成分が含まれています。生しいたけを天日干しして乾燥させた干ししいたけは、日光に当たることによりグアニル酸と呼ばれる旨味成分も生成されています。
グルタミン酸とグアニル酸が多く生成された干ししいたけからは、香り高い出汁をとることができます。
旨味とは、料理をより美味しく感じさせる要因の一つです。干ししいたけからとった出汁を料理に使うことで料理に深みとコクをプラスすることができます。
しいたけの出汁には、しいたけを水につけて戻したときに流出した水溶性の栄養素が含まれています。
しいたけの水溶性の栄養素には、カリウムやエリタデニン、水溶性食物繊維などがあります。そのため、しいたけの出汁を料理に使うと旨味がプラスされて料理の味をよくすることができるだけではなく、栄養も摂取できるメリットがあります。
ちなみに干ししいたけ自体にはビタミンDが豊富に含まれています。これは、生の状態のしいたけにビタミンDの前駆体が含まれていて、日光に当たることでビタミンDが生成されるためです。干ししいたけのビタミンDのの含有量は生のしいたけの何と10倍!残念ながら、ビタミンDは水溶性の成分ではないので、しいたけの出汁にビタミンDはあまり含まれませんが、干ししいたけと出汁はどちらも栄養豊富なのでどちらも上手に活用しましょう。
しいたけの出汁を取るときに使われる干ししいたけには様々な種類があります。一般的にスーパーなどで販売されている干ししいたけの種類は、どんこ(冬茄)・こうしん(香信)です。
どんこは、カサが開き切る前に収穫したしいたけを乾燥させたもので、肉厚でしっかりとした食感が特徴です。出汁の味がとても良く、中でも天白冬茄(てんぱくどんこ)は高級品です。
こうしんは、カサが開いた状態で収穫したしいたけを乾燥させたものです。肉薄でどんこのような歯ごたえはありませんが、値段も安価で日常的に料理の出汁として使われることが多いです。火の通りが早いため、炊き込みご飯や炒めものなどにも使われます。
しいたけの出汁についておわかりいただけたでしょうか。続いて、しいたけの出汁を取るときのポイントを紹介します。
生のしいたけは、一般的に無農薬で菌床栽培(おがくずと栄養剤をあわせたもの)で栽培されるため、土や汚れがほぼついていません。そのため水洗い不要です。
干ししいたけは、自然の中で外気に触れて作られていることが多いため、ほこりや小さな木片などがついていることがあります。そのため、ごしごし洗う必要はありませんが、軽く水洗いしてから出汁を取ると良いでしょう。
しいたけの出汁を取る際は、水につけるのが正解です。5℃くらいの冷水につけるのが一番おすすめです。
しいたけの出汁には旨味成分であるグアニル酸が含まれていると紹介しましたが、実はこのグアニル酸は干ししいたけを水につけたときに出る戻し汁にはほとんど含まれていません。
グアニル酸を生成するには、グアニル酸になる前駆体である「リボ核酸」が「リボ核酸分解酵素」によって分解されることでグアニル酸になります。そのため、旨味成分を最大限に引き出すためには、前駆体であるリボ核酸をしっかりと抽出しておく必要があります。このリボ核酸が最大限に抽出される水温が5℃です。
お湯につけるなど高温で出汁をとろうとすると、味が苦くなることに加えてリボ核酸が抽出されないので旨味が減ってしまいます。水につけて出汁をとるようにしましょう。
干ししいたけはたっぷりの水につける必要があります。目安としては干ししいたけ10g(3枚程度)に対して200ccです。
水の量が少なすぎてしまうと、水もどりが悪くなってしまい美味しい出汁を取ることができません。
しっかりとしいたけが浸かる深めのボウルやタッパー、ジッパー付きビニール袋にたっぷりの水と干ししいたけを入れて出汁をとりましょう。
干ししいたけを水につけて出る戻し汁を出汁として使う場合は、加熱することが大切です。
上述したように旨味成分であるグアニル酸を作るためには、リボ核酸分解酵素がリボ核酸を分解する必要があります。このリボ核酸分解酵素が最も働くのが60℃〜70℃の温度です。
リボ核酸分解酵素がリボ核酸を分解しないことにはグアニル酸はできませんので、単にしいたけを水につけて出た汁を使うだけでは十分に旨味はでません。
出汁として使う場合は、干ししいたけを水につけて出た戻し汁を加熱しましょう。
それでは、しいたけの出汁の取り方を紹介します。
上述したように、原木栽培の干ししたけにはチリ汚れや木くずなどがついていることがあるので、さっと水洗いします。軽く流すだけで大丈夫です。
菌床栽培のしいたけの場合は根本におがくずがついていることがあるので、綺麗に見えてもさっと洗い流しておくと安心です。
干ししいたけがしっかりとつかる容器にたっぷりの水と干ししいたけを入れます。水の量は上記でもご紹介しましたが、干ししいたけ10g(3枚程度)に対して200ccが目安量です。
干ししいたけを水につけたら冷蔵庫に入れましょう。上述したようにしっかりと出汁をとるには5℃の冷水がベストです。冷蔵庫に入れてじっくりと時間をかけて抽出すると美味しい出汁がとれます。
25℃以上の温度では苦味が出てしまうので注意しましょう。
水につけた干ししいたけを冷蔵庫に入れたら、12時間〜24時間寝かせます。
上述したように、どんことこうしんでは厚さが異なります。肉厚などんこは長めに寝かせ、肉薄なこうしんはどんこよりも短めで大丈夫です。
乾燥していたしいたけがふっくらとして、水に色がついていたら出汁がとれているサインです。
冷蔵庫で寝かせたら、しいたけと戻し汁を鍋に移して加熱します。
はじめは中火で15分〜20分かけて80℃まであげます。鍋底に気泡がついてきたら、火を止めます。
沸騰させてしまうとグアニル酸を作るのに大切な役割を果たす酵素が失活してしまうので、絶対に沸騰させないようにしましょう。
しいたけと戻し汁を加熱したら、ボウルの上にキッチンペーパーを引いたザルを置いて、その上に出します。そうすると、干ししいたけについていた小さなゴミなどを取り除くことができます。
ザルで濾したら完了です。
出汁をとった干ししいたけももちろん食べることができるので、ぜひ料理に活用しましょう。
しいたけの出汁を取るのって意外と時間がかかるものです。前日に用意しておければ良いのですが、当日に使いたい!という場面もあるかと思います。そこで、できるだけ早く出汁を取る方法を紹介します。
一度干ししいたけをたっぷりの水を入れた容器に入れます。
水につけたらそのまま蓋をして冷蔵庫に入れて1時間ほど寝かせます。干ししいたけの大きさなどによっては1時間では完全に戻らないことがありますので、その場合は長めに水につけておきましょう。
1時間ほど水につけておいたら、一度水から取り出します。水は捨てないでください。
1時間ほどつけた干ししいたけは、柔らかくなっているので、包丁でスライスします。石づきの部分からも出汁はでるので、全てスライスしましょう。石づきの部分はカサの部分よりも固いので、切る際には注意しましょう。
しいたけをスライスしたら、つけていた水に再び入れます。
スライスすることで断面から出汁が出るので、丸ごとつけておくよりも早く出汁を取ることができます。
スライスしたしいたけを水に入れたら、再び冷蔵庫に入れて30分ほど寝かせます。
30分ほど冷蔵庫で寝かせたら、上記で紹介したように加熱します。
はじめは中火で15分〜20分かけて温度を80℃まであげます。鍋底に気泡がついてきたら、火を止めます。
沸騰させてしまうとグアニル酸を作るのに大切な役割を果たす酵素が失活してしまうので、絶対に沸騰させないようにしましょう。
ザルで濾して完了です。
ある程度時間がかかることには変わりはありませんが、1晩寝かせなくてもスライスすることである程度出汁を取ることはできるので時短になります。
しいたけからとった出汁の使い道は下記の通りです。
しいたけの出汁は煮物を作るときに使うことができます。
しいたけの出汁を入れるタイミングとしては、水を注ぐタイミングです。しいたけの出汁を入れて足りない分を水にすれば、深みのある煮物に仕上げることができます。
しいたけの出汁を入れることでアクが出ることがあるので、アクが浮いてきた場合はこまめに取り除きましょう。
しいたけの出汁は味噌汁やスープなどの汁物にも使うことができます。
しいたけの出汁を使うときは、水の変わりにしいたけの出汁を入れればOKです。しいたけの持つ豊かなうま味成分によって、味噌汁やスープなどの汁物にも深いコクと旨味をもたらします。
特に昆布にふくまれている旨味成分グルタミン酸と相性が良いので、汁物に使いたい場合は干ししいたけから出汁を取る際に昆布も一緒に浸しておくのがおすすめです。
そばやそうめんを食べるときは麺つゆを使うことが多いと思いますが、しいたけの出汁があれば麺つゆなしでも美味しいそばつゆやそうめんのつゆを作ることができます。
そばつゆにしたいときは、しいたけの出汁に醤油、みりん、昆布、カツオを加えてひと煮立ちさせます。
そうめんのつゆにしたいときは、しいたけの出汁に醤油とみりんを加えてひと煮立ちさせましょう。
しいたけの旨味がきいた美味しいつゆでぜひそばやそうめんを食べてみてください。
しいたけの出汁はとるのに時間がかかるので、多めにとっておいて保存しておくのも一つの手です。
しいたけの出汁の保存方法を紹介します。
しいたけの出汁はピッチャーなどの容器に入れて冷蔵保存すると3日ほど保存可能です。
しいたけの出汁を冷蔵保存する際には、以下のような点に気を付けると、より長期間、鮮度を保った状態で利用することができます。
まず、しいたけの出汁をピッチャーや密閉容器に移し替えて保存しましょう。この際、出来るだけ空気を取り除くことが大切です。空気に触れていると酸化が進んでしまい、味や香りが劣化してしまう可能性があります。
冷蔵保存する場合、3日ほどが目安とされていますが、食品の鮮度は個体差や保存状態によっても異なるため、なるべく早めに使うことをおすすめします。特に夏場などは温度が上昇しやすいため、できるだけ早めに使い切るように心掛けましょう。
長期保存したい場合は冷凍保存しましょう。
しいたけの出汁を氷キューブトレイに注いで凍らせ、必要な分だけ都度取り出して使用することで、鮮度を長期間保つことができます。
冷凍保存により、味や栄養成分の劣化を防ぐことができるので、便利な方法です。
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