スーパーなどでも乾燥しいたけは販売されていますが、自宅で天日干しして乾燥させることもできます。本記事ではしいたけを天日干しするメリットや天日干しする方法などを紹介します。
しいたけを天日干しして乾燥させるメリットは下記の通りです。
しいたけは天日干しして乾燥させることで、ビタミンDの含有量が増えるメリットがあります。
しいたけにはビタミンDの前駆体であるエルゴステロールと呼ばれる成分が含まれており、日光(紫外線)にあたることでビタミンDに変化します。ビタミンDの量は生しいたけと比べて10倍以上も増えることがわかっています。
ビタミンDの働きには正常な骨格と歯の発育促進があります。また、小腸でのカルシウムとリンの腸管吸収を促進させ、血中カルシウム濃度を一定に調節することで、神経伝達や筋肉の収縮などを正常に行う働きもあります。実は天日干しして栄養価がアップするのは実はしいたけだけです!
また、天日干しして水分を飛ばすことにより100gあたりの栄養価が全体的に高まります。カサが減ることでたくさん食べられるので、その分栄養を豊富にとれるのもメリットです。
しいたけには、うま味成分のグルタミン酸が多く含まれています。生の状態でも旨味成分は含まれていますが、天日干しすることでグアニル酸と呼ばれる旨味成分が生成されることがわかっており、さらにしいたけの旨味が増します。
グルタミン酸とグアニル酸が多く生成された乾燥しいたけからは香り高い出汁をとることができ、料理に深みとコクをプラスすることができます。
しいたけは鮮度が落ちやすく、雑菌が増殖しやすいため常温だと1日〜2日、冷蔵でも7日〜10日ほどしか日持ちしませんが、乾燥させて水分を飛ばせば1ヶ月保存することが可能です。
天日干し以外の乾燥方法でも同様に1ヶ月保存可能ですが、ビタミンDや旨味成分が増えるのは天日干しだけです。そのため、乾燥させるなら天日干しがおすすめです。
スーパーなどで販売されている乾燥しいたけは、ただ日光に当てて乾燥させているわけではないため、自宅で天日干ししたしいたけとは少々異なります。
乾燥しいたけの製造方法は個々の生産者や地域によって異なる場合がありますが、ほとんどのメーカーが専用の乾燥機で乾燥させた後に天日干しをしています。そうすることで旨味をしっかりと引き出し、完全に水分を飛ばすことができるので長いものでは半年〜1年保存することが可能となります。
自宅で天日干しする場合は、そこまで完全に水分を飛ばせるわけではないので、やはり市販の乾燥しいたけと比較して味や風味は劣りますし、保存期間も短くなります。
そうはいっても、生の状態よりもビタミンDや旨味成分は増え、保存期間も長くなるので、やはり天日干しすることにはメリットがあるといえます。
しいたけを天日干しするメリットはおわかりいただけたでしょうか。続いて、しいたけを天日干しするときのポイントを紹介します。
しいたけは洗わずに天日干しして大丈夫です。
一般的に、しいたけは無農薬で菌床栽培(おがくずと栄養剤をあわせたもの)で栽培されるため、土や汚れがほぼついていません。
しいたけを洗ってから天日干ししてしまうと、水分がついてしまうことで乾燥に時間がかかってしまいます。乾燥に時間がかってしまうと乾燥する前に雑菌が増殖してしまい臭いがきつくなったり腐敗してしまうので、極力余計な水分をつけないようにしましょう。
しいたけを天日干しするときは、丸ごとの状態でもスライスしてからでも大丈夫ですが、薄くスライスしたほうが失敗しにくいメリットがあります。
上述したように乾燥するまでに時間がかかればかかるほど失敗するリスクがあるので、初めて天日干しに挑戦する場合や心配な方は、丸ごとよりも薄くスライスすることをおすすめします。
天日干しと聞くと屋外で日光に当てるイメージがある方が多いと思いますが、外に置いて置く場所がないという方や天候に合わせてしまったり出したりするのが面倒という方は、室内でも◎
室内でも日光に当たる場所に置いておけば、外で天日干ししているのと同様にビタミンDの含有量は増えますし、しっかりと乾燥させることができるので長持ちさせることができます。
意外と手軽に天日干しすることができるので、場所がないという方は室内でぜひ挑戦してみてください。
雨が降っていなければ外に出していても良いのですが、曇りの日に外で天日干しをしておくメリットはないといえます。
日光が出ていない曇りの日に外に出していても、水分はなかなか蒸発しないので乾燥に時間がかかります。特に曇りの日が続いている状態で何日も外にだしていると、カビが生えてしまう原因にもなってしまいます。
突然雨が降って濡れてしまっても大変なので、面倒ですが天気を見て曇りの日は室内に入れるようにしたほうが良いでしょう。
自宅で天日干ししたしいたけは、臭くなってしまうことがあります。臭いと感じさせる原因となるのは、しいたけに含まれているレンチオニンと呼ばれる成分です。
レンチオニンはしいたけ特有の香り成分で、硫黄を吸収する性質があります。しいたけから硫黄の臭いはしませんが、硫黄を吸収した結果、硫黄化合物の臭いを発生させます。硫黄化合物といえば「おならの臭い」「腐ったたまごの臭い」などと表現されることが多い悪臭成分ですよね。乾燥するのに時間がかかってしまうとレンチオニンが硫黄成分を吸収してしまい、臭いがきつくなると考えられます。
この場合は食べられないのでは?と思う方が多いと思いますが、調理をするとたいていは臭いが気にならなくなるので大丈夫です。
ただし、酸っぱい匂いやアンモニア臭がするときは注意が必要です。酸っぱい匂いやアンモニア臭がする場合は腐敗しています。乾燥するのに時間がかかってしまうと腐敗して異臭を放つことがあるので、この場合は残念ですが破棄しましょう。
しいたけは通年市場に出回っている野菜で、もちろん通年しいたけを天日干しすることができますが、おすすめは晩秋〜冬の時期です。
天日干しで重要視されるのは、短時間で乾燥させることです。湿度の高い季節は乾燥させるのに時間がかかってしまい雑菌が増殖したり、カビてしまうことがあります。そのため、空気が乾燥している寒い季節に乾燥させるのがおすすめです。
基本的なしいたけを天日干しする方法を紹介します。
上述したようにしいたけは洗わずに天日干しするのがベストです。
気になる汚れがついている場合は、湿らせたキッチンペーパーや布などでやさしく拭き取って置きましょう。強く擦ってしまうと傷がついて傷んでしまうので、優しく拭き取ってください。
汚れを拭き取ったら、石づきと軸を取ります。
しいたけの石づきとは、根本にある黒く固い部分を指します。石づきは固く味も良くないので包丁でカットして破棄しましょう。
石づきをカットしたら、カサと軸を切り離します。軸は石づきの上からカサまで伸びる棒のような部分を指します。
しいたけの軸は手でも簡単に取ることができます。手で取るときは、軸の根元を掴み反対の手でカサを掴んでくるっとひねります。そうすると、軸とカサを切り離すことができます。
軸は一緒に乾燥させて食べることができますが、カットして天日干しする場合は軸とカサは切り離してカサの部分を薄くスライスしていきましょう。
丸ごと乾燥させる場合は、石づきのみをとって軸はついたまま天日干しして大丈夫です。
下処理が終わったら、ザルの上にしいたけ同士が重ならないように並べます。
ザルがない場合は平たいお皿などで代用可能です。ただし、その場合は全体的に効率よく乾かすのが難しいため、頻繁にひっくり返すようにしましょう。
丸ごと天日干しする場合は、しいたけのカサの内側を上に向けて並べます。
ザルにしいたけを並べたら、日光の当たる風通しの良い場所に置いて干します。
薄くスライスしている場合は丸ごと天日干しさせるのと比較して、水分が蒸発するのが早いので1日〜2日でカラカラになります。
丸ごとの場合は3日〜4日で乾燥させることができます。
一般的には完全にカラカラになるまで乾燥させることが多いですが、完全に水分が飛びきらない半乾燥の状態でも大丈夫です。
1時間ほど日光に当たるだけでもビタミンDの含有量が増えることがわかっているため、すぐに使いたい場合も1時間ほど日光に当ててから調理するのがおすすめです。
ただし、短時間ではやはり水分が蒸発しきれないので長持ちはしません。長持ちさせたい場合はしっかりと水分が蒸発するまで天日干しして乾燥させることが大切です。
天日干し以外のしいたけを乾燥させる方法を紹介します。
天日干しができない方はオーブンで水分を抜くこともできます。
鉄板の上にクッキングシートを敷き、その上にしいたけを並べます。100〜110度で20〜30分程度でゆっくり加熱します。
乾燥が足りないようであれば、さらに加熱しましょう。焦がしてしまわないように注意してください。
オーブンよりももっとお手軽なのがレンジで乾燥させる方法です。耐熱皿の上にキッチンペーパーを敷き、その上にしいたけを並べます。600Wで5〜8分ほど加熱します。
電子レンジでの乾燥は時短で便利ですが、焦げたり燃えたりする場合があるので、こまめに確認しながら乾燥させましょう。
乾燥させたしいたけは、密閉できる保存容器か保存袋に入れて直射日光が当たらない冷暗所で常温保存か、冷蔵保存します。
上述したように市販の乾燥しいたけのように長く風味を保てるわけではありません。しっかり乾燥させていても長く置いておけば変色してしまったり臭いがきつくなってくることがあるので、手作りの乾燥しいたけの場合は1ヶ月を目安に食べきりましょう。
最後に、乾燥させたしいたけの食べ方を紹介します。
天日干しした乾燥しいたけは、市販の乾燥しいたけ同様に水にひたして戻してから使います。
どれぐらい乾燥させているかにもよりますが、しっかりカサカサになるまで乾燥させている場合は10分〜15分ほどで柔らかい状態に戻ります。
柔らかい状態に戻ったら、様々な調理に幅広く使うことができます。
乾燥させたしいたけの場合は上述したように、旨味が増しているので煮物にして食べるのがおすすめです。
柔らかく戻したしいたけを、出汁や調味料と一緒に煮込むことで、しいたけの旨味が料理全体に広がります。煮物には様々なバリエーションがあり、味噌煮、醤油煮、甘辛煮など、好みやレシピに合わせて調理することができます。
また、炊き込みご飯にするのも良いでしょう。乾燥しいたけを炊き込みご飯に使うことで、お米に深い香りと旨味を加えることができます。柔らかく戻したしいたけを刻んで、ご飯と一緒に炊き上げると、しいたけの風味がご飯に移り、風味豊かな一品が完成します。炊き込みご飯には他の具材を加えることもでき、鶏肉や野菜と組み合わせてバリエーション豊かな味わいを楽しむことができます。
乾燥しいたけから戻した際の戻し汁は、うま味をふんだんに含んだ香り高い出汁として活用できます。しいたけの旨味が溶け出した戻し汁は、スープや味噌汁の出しとして使いましょう。
鍋料理の出汁として利用するのもおすすめです。
Most Popular
中が茶色いじゃがいもは食べられる?空洞や輪になってる場合は?
食品事典
大根は中身が茶色に変色しても食べられる?原因と対処法を解説
食品事典
スカスカなかぶは食べてOK?スが入る原因は?
食品事典
ハンバーグが固くなる原因と柔らかく作るコツを徹底解説
食品事典
麻婆豆腐が辛い時に甘くする方法。おすすめの調味料や食品は?
食品事典
トマト缶は一缶でトマト何個分?サイズ別に解説
食品事典
冬におすすめの天ぷら具材36品。冬野菜や冬が旬の魚介類を紹介
食品事典
エリンギが水っぽい...食べられる?濡れてる原因と対処法は?
食品事典
冷凍したじゃがいもが黒っぽく変色...食べてOK?原因と対処法を解説
食品事典
里芋は生で食べられる?生食のメリットと注意点を解説。
食品事典