しいたけは傷みやすい食材なので、日持ちさせたい場合には冷凍保存することが多いかと思いますが、冷凍する前に洗うべきかどうか迷ったことはありませんか?本記事ではしいたけを冷凍するときに洗うべきかどうか紹介します。しいたけを美味しく冷凍するコツなども紹介しますので参考にしてください。
冷凍保存するしいたけは、洗わずに冷凍して大丈夫です。そもそも、しいたけは調理をするときも水洗い不要の食材です。
例えば、じゃがいもなどの土壌で育つ野菜は水洗い必須です。これは、綺麗に見えても土壌由来の細菌が必ずといっていいほどついているためです。そのため、土壌で育つ野菜は水洗いして土汚れや泥汚れ、細菌を綺麗に落とす必要があります。
一方しいたけの場合は、主に原木栽培と菌床栽培の2つの方法で栽培されます。
原木栽培では、しいたけの菌糸を植えつけた木の原木(げんぼく)にしいたけを栽培します。しいたけは木の中の栄養を利用して成長し、木の表面にきのこが現れます。この方法では、しいたけが直接土に触れることはありません。
菌床栽培では、しいたけの菌糸を培地(菌床)に接種して栽培します。培地は通常、稲わらや木くずなどの有機物で作られます。しいたけは培地の中で栄養を摂取し、きのことして成長します。菌床栽培でもしいたけは土に直接触れることはありません。
また、スーパーなどで販売されているしいたけは、虫食いやカビ、汚れなどの不良品を取り除くために慎重に選別されており、しいたけの表面に付着している樹皮や小石などの異物も取り除かれます。
しいたけは栽培後に清潔な状態で市場に出荷されているので、洗わず調理したり保存しても衛生面上問題がないといえます。
多くの野菜は冷凍すると食感となる繊維が壊れてしまい、解凍されたときに水分が出てしまうのでグニャっとした柔らかい食感になってしまいますが、しいたけは冷凍しても食感がほとんど変わりません。
しかし、洗ってから冷凍すると洗ったときについた水分も一緒に凍ってしまうため、調理をしたときに水っぽくなってしまいます。水っぽくなってしまうとしいたけの味や風味も薄くなってしまうので、洗わずに冷凍したほうが良いでしょう。
野菜を洗浄するのには、汚れや土壌由来の細菌を落とす以外にも、農薬を落とす目的があります。そのため、しいたけを洗わず調理をすることに抵抗がある方も多いかと思います。
しいたけの栽培において、農薬の使用は一般的にはほとんど行われません。なぜなら、しいたけは栽培過程で特に農薬の使用が必要ない独特の特性を持っているからです。
土壌で育つ野菜は成長を促したり、害虫や病気の被害から守るために農薬が使われています。
一方しいたけは、上述したように菌床や原木などの栽培基質の中で生育し、栄養を摂取します。これらの栽培基質は、事前に衛生的に処理され、しいたけの生育に適した状態に整えられます。そのため、しいたけの栽培過程では、外部からの害虫や病気の侵入が制御されるように配慮されており、農薬を使う必要がありません。
ただし、栽培地域や生産者によっては、一部の農薬が使用される場合もあります。それらの農薬は厳格な基準と規制に基づいて使用され安全性が確保されていますが、心配な方は日本産のしいたけを購入することをおすすめします。日本で栽培されているしいたけの多くは農薬を使わずに栽培されています。
洗わずに冷凍できるとはいっても、できるだけきれいな状態で冷凍したいという方もいらっしゃるかと思います。しいたけの汚れが気になるときの対処法を紹介します。
しいたけの汚れが気になるときは、濡らしたキッチンペーパーやふきんで優しく拭き取りましょう。
ただし、水分がしいたけに染み込みすぎないように注意し、固くしぼってしっかりと水気をとったキッチンペーパーやタオルで優しく拭き取ることが重要です。
水分が染み込んでしまったら、水分を拭き取って冷凍しましょう。
カサの裏についているゴミや汚れが気になる場合は、ポンポンポンとカサを優しく叩いて落とすと良いでしょう。叩くことでカサの裏に入り込んでいるゴミを落とすことができます。
そのまま加熱調理をする場合は、水でさっと洗い流しても良いのですが、冷凍する場合はやはり水っぽくなってしまうのを防ぐため叩き落とす程度に止めることをおすすめします。
上述したように、しいたけは鮮度が落ちるのが早い食材です。鮮度が落ちて傷んでくると、臭いがきつくなったり食感が悪くなってしまいます。
冷凍保存すれば常温や冷蔵で保存するよりも長期間保存することができますが、冷凍するからといって新鮮な状態に戻るわけではありません。そのため、すでに鮮度が落ちているしいたけを冷凍すると、やはりまずいと感じます。
冷凍保存するときは新鮮な状態のしいたけであることが大切です。
新鮮なしいたけの見分け方は下記の通りです。
カサに丸みがあり肉厚で、開いていない
カサの表面が茶褐色
カサの裏面が白く薄い膜を張っている
柄が太くて短い
ひだが細かくて白い
しいたけを冷凍するときは、石づきを切り落とし、軸とカサに切り分けます。丸ごと冷凍すると凍ったときに軸が固くなってしまいカットしづらくなるためです。
軸は捨ててしまう方もいらっしゃるかと思いますが、実は一番香りが強い部分で、美味しく食べられます。
軸はラップに包んでまとめ、冷凍保存袋にカサと一緒に入れ密封します。 軸の根元を掴み、反対の手でカサを掴んでくるっとひねることでも軸とカサを切り離すことができます。包丁まな板いらずで事前処理が楽に済みます。
冷凍する前に茹でたり蒸したりして加熱処理することを「ブランチング」といいます。活性酸素の働きを止めることで変色しづらい、食感や味が悪くなりづらい、解凍後加熱せずに使えるなどのメリットがあります。特に家庭用の冷凍庫では瞬間冷凍ができないので、一度下茹でしてから冷凍するのをおすすめします。
しいたけの栄養成分の流出を最小限に抑えるため、茹で時間は短くします。しっかりと粗熱が取れてから冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いて密封し冷凍室へ。
下味をつけてから冷凍するのも、調理をするときに楽なのでおすすめです。
お好みの大きさにカットししんなりするまで炒めます。しょうゆ・みりん・砂糖をそれぞれ少々加え味付けをします。塩こしょうで味付けをするのも◎。 しっかりと冷ましてから、平らになるように冷凍用保存袋に入れ密封し冷凍室へ。
しいたけを保存袋に入れたら、しっかりと空気を抜いて密閉することを心がけましょう。
空気は熱伝導率が低く、凍るまでに時間を要してしまいます。また、空気により酸化が進みやすくなり、しいたけが傷んでしまう原因となります。空気が入らないようにしっかりと口を閉じるのがポイントです。
また、しっかりと密閉しておくことでしいたけに冷凍庫の臭いがついてしまって、風味が悪くなってしまうのを防ぐことができます。
しいたけに限らず、野菜を冷凍する場合は急速冷凍をしたほうが旨みをぎゅっと閉じ込めることができます。冷蔵庫に急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。
金属トレイは温度の伝達が早いため、急速冷凍と同じ効果を得ることができます。
また、冷凍庫の扉付近は開け閉めによる温度変化の影響を受けやすいため、できるだけ温度変化の少ない扉付近を避けた場所に置いたほうが早く冷凍することができます。
冷凍すれば永遠に保存できてしまうような気がしてしまいますが、どんなに長く保存しても1ヶ月を目安に食べきるようにしましょう。
冷凍しても長く保存していると鮮度は落ちてしまうので、味や食感はどんどん悪くなってしまいますし腐敗してしまいます。冷凍しているからといっていつまでも入れておかず、なるべく早く食べきることが大切です。
冷凍したしいたけから酸っぱい臭いや味がする場合は腐敗している状態なので、破棄しましょう。
しいたけに限らず、冷凍した食材は解凍方法に注意しないと調理をしたときに不味くなってしまうことがあります。そのため、美味しく食材を冷凍するためには冷凍方法だけではなく解凍方法も重要です。
冷凍しいたけの解凍方法は下記の通りです。
冷凍した食材はレンジ加熱などで解凍して使うことが多いかと思いますが、冷凍しいたけは解凍してしまうと水分が出てきてしまい水っぽくなってしまいます。
水っぽくなってしまうとしいたけの食感や風味も悪くなってしまいますし、料理全体の味も薄まってしまいますので、冷凍したしいたけは解凍せずにそのまま加熱調理するのがベストです。
そのため、冷凍庫から出したらそのまま調理できるようにカットしてから冷凍するのがおすすめです。
カサと軸をバラバラにして解凍した場合など、冷凍しいたけをカットしてから使う場合は、そのままではコチコチで包丁を入れることができません。
しかし、カットするために解凍する必要はありません。そのまま常温に1分〜2分置いておいてください。完全に解凍することなく簡単に包丁が入る程度に柔らかくなります。
水分が出てきてしまっていたら、キッチンペーパーなどで軽く拭き取ってから加熱調理しましょう。
最後に、冷凍したしいたけを美味しく食べることができるおすすめの調理法を紹介します。
冷凍しいたけは煮物にするのにおすすめです。
煮物は調理の過程で時間をかけて火を通すことで、しいたけの繊維に含まれる旨味成分や風味がしっかりと引き出されます。冷凍しいたけは凍った状態から加熱するため細胞壁が破壊され、内部の旨味成分がより容易に溶け出す特徴があります。
煮物の場合、しいたけを一緒に煮込むことで、しいたけの旨味が他の具材や出汁と絡み合い、相乗効果で深い味わいが生まれます。しいたけの風味も豊かに広がり柔らかく煮込まれた食感も楽しむことができます。
冷凍しいたけは炒めものにするのもおすすめです。
凍っているしいたけは加熱することで水分が出てきますが、炒めものであれば蒸発するのでしいたけの風味が凝縮されます。また、凍った状態から炒めることでしいたけの食感もしっかり残ります。
例えば、野菜や肉と一緒に炒めて炒め物や炒飯にすると良いでしょう。また、しいたけを主役にした炒めものもおすすめです。調味料や香辛料を適宜加えることで、より一層の美味しさを楽しむことができます。
炒めものは手軽で簡単な調理法ですので、おかずにあと一品何かほしいといった場面にも便利です。
冷凍しいたけは解凍せずに炊き込みご飯を作ることもできます。
冷凍しいたけを使うことで、しいたけの旨味や風味がご飯に広がります。また、凍ったまま炊くことでしいたけの食感もアクセントとなります。
しいたけの炊き込みご飯は、そのまま食べるだけでも美味しく楽しめますし、他の具材と組み合わせてバリエーションを増やすこともできます。例えば、鶏肉や椎茸の他の部位と一緒に炊き込んで、豪華な香りや味わいを楽しむことができます。
冷凍しいたけはスープなどの汁物にするのもおすすめです。
冷凍しいたけをスープに加えるとしいたけの旨味がスープ全体に広がり、風味豊かな味わいが生まれます。また、しいたけにはビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素も含まれていますので、スープを通じてその栄養を汁ごと摂取することができます。
しいたけを主役とした濃厚なキノコスープや、しいたけを加えて旨味を引き立てた野菜スープなど、様々なレシピがあるので、お好みの具材、味付けで楽しんでみてください。
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