冷蔵庫で保存していたしいたけが茶色に変色してしまって、食べられるのかどうか判断に困ったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事ではしいたけが茶色に変色する原因や食べられるのかどうかを紹介します。
しいたけが茶色に変色する原因は下記の通りです。
新鮮なしいたけの傘の裏は白色をしていますが、茶色っぽく変色している部分があったり、茶色い斑点が出てくることがあります。これは、しいたけに含まれるフェノール性物質が酸化酵素の作用によって茶色い色素であるメラニンが生成されたためです。
しいたけは酸化酵素を含んでおり、切断面や傷が空気に触れることで酸化が進み、白→黄色→茶色→黒と変色します。これは一般的な現象であり、りんごやバナナなどの果物の切断面や傷部分が茶色く変色してくるのと同様のメカニズムです。
密閉されていない状態で保存しているなど、空気に触れる状態で保存している場合によく起こります。
傘の裏など一部に茶色く変色しているのではなく、断面や軸など全体的に茶色く変色してしまっている場合は腐敗している可能性が高いです。
特に全体的に濃い茶色になっていたり、黒っぽく見える状態の場合は要注意です。ここまで変色している場合は異臭がしたり、溶け出している箇所があるなどその他の腐敗のサインが見られることも多いです。
全体的に茶色く変色する以外の腐敗のサインについては後述しますので、そちらを参考にしてください。
しいたけから茶色い汁が出てきてしまっている場合も腐敗しています。腐敗が進み、溶け出していることが原因で茶色い汁が出ていると考えられます。
しいたけは呼吸をするので、袋に入れた状態で保存していたりすると蒸れて濡れてくることがあります。多少湿っていたり濡れている程度であれば問題ありませんが、完全に水分が出てきてしまっていて黒や茶色に色がついている場合は腐敗していると判断しましょう。
ただし、茹でたり煮たりして煮汁が茶色くなる分には問題ありません。これは、茹でたり煮たりすることでしいたけの色素となる成分が溶け出すことが原因で茶色くなっています。
乾燥しいたけの傘の裏などが茶色に変色することもあります。乾燥しいたけが茶色く変色するのも生のしいたけと同様に、酸化酵素の作用によってメラニンが生成されたためです。
市販の乾燥しいたけの場合、多くは電気乾燥によって短時間で完全に水分を飛ばしています。そのため、メラニンが生成されることはまれですが、家庭でしいたけを乾燥させるとなると、水分が飛ぶまでに時間がかかるため茶色く変色してしまうことがあります。
しいたけが茶色く変色してしまう原因はおわかりいただけたでしょうか。続いて、茶色く変色してしまったしいたけは食べられるのかどうか解説します。
酸化が原因で黄色〜茶色に変色してしまったしいたけは、腐敗しているわけではないので食べることができます。食べても人体に害はありません。
しかし、酸化して茶色く変色しているということは鮮度が落ちている状態です。異臭がしたり溶け出している部分があるなどの腐敗のサインが見られないかしっかりとチェックしてから判断してください。
食べられる状態であっても新鮮なしいたけと比較すると風味や味、食感は劣ります。また、そのままにしていると腐敗していってしまうので茶色く変色しはじめているのを発見した場合は早めに食べきりましょう。
表面や断面、軸など全体的に茶色く変色してしまっている場合は、腐敗しているので食べることはできません。
腐敗していても加熱をすれば食べられるのではないかと考える方も多いかと思いますが、しいたけに限らず腐敗してしまった食材は加熱しても安全に食べられるということはありません。加熱をすれば死滅する細菌もいますが、死滅しない細菌もいます。揚げ物にするなど高温で加熱したとしても食中毒の症状が表れる可能性があるので必ず破棄してください。
そもそも腐敗したしいたけは、味や食感も悪いので美味しく食べることはできませんので、勿体ないですが無理して食べる必要はないでしょう。
腐敗しているしいたけの特徴は下記の通りです。茶色く変色してしまったしいたけが食べられるのかどうか判断するときの参考にしてください。
腐ったしいたけの見た目の特徴は下記の通りです。
青・緑のカビが生えている
表面・軸・断面が全体的に黒・茶色に変色している
しいたけに青(緑)の付着物がある場合は、青カビが生えている可能性が高いです。カビはカビ毒を発生させ下痢や嘔吐などの中毒症状が出る可能性があるため、食べることはできません。破棄しましょう。
上述したように表面や軸、カットしたときの断面など全体的に濃い黒色に変色している場合も、腐敗している状態です。
腐ったしいたけの臭い・味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい臭い・味
アンモニア臭がする
カビ臭い
しいたけは独特の臭いがする食材ですが、酸っぱい臭いがする場合は腐敗しています。酸っぱい臭いがする原因はトリコデルマと呼ばれるカビ菌です。このカビ菌が増殖するとしいたけは腐敗し、酸っぱい臭いがします。酸っぱい臭いや味がするときは破棄しましょう。
また、しいたけは腐敗が進むとアンモニア臭がすることも多いです。あきらかに普段のしいたけとは異なる臭いがする場合は破棄するのが無難です。
さらに、カビ臭い場合も注意が必要です。目視ではカビが生えていることを確認できなくても、カビの菌は目に見えないほど小さいので、見えない部分にカビ菌が入り込んでしまっている可能性があります。カビを目視で確認できなくても、カビ臭い場合は破棄するのが良いでしょう。
腐ったしいたけの触感の特徴は下記の通りです。
ぬめりがある
はりがなく柔らかい
しいたけは、腐敗が進むとぬめりが出てきます。ぬめりが出ているということは、雑菌が増殖している可能性が高いので、食べてしまうと食中毒を引き起こす可能性があります。雑菌の全てが食中毒を引き起こすわけではありませんし、加熱をすれば死滅する場合もありますが、破棄するのが無難です。
また、張りがなく全体的に柔らかくなってしまっている場合も腐敗が進んでいる状態ですので破棄しましょう。
上述したように茶色く変色したしいたけは鮮度が落ちている状態なので、風味や食感が悪くなっています。そのため、ただ焼いて食べるなどしいたけそのものの味を楽しむ食べ方は不向きです。
茶色く変色したしいたけにおすすめの調理法は下記の通りです。
茶色く変色してしまったしいたけは、煮物にするのがおすすめです。煮物にすれば、調味料の色がしいたけ全体につくので変色も気になりません。
味付けは甘辛くするなど濃いめにすると、落ちてしまったしいたけの風味や味をカバーすることができるので美味しく食べることができます。
茶色っぽく変色しているのがどうしても気になる場合は、細かくカットしてひき肉に混ぜ込んでハンバーグなどにすると良いでしょう。
細かくカットして混ぜ込んでしまえば変色している部分は見えませんし、食感の悪さも気になりにくいです。ハンバーグの種の他にも、ひき肉と一緒に春巻きの具材にするのもおすすめです。
茶色く変色してしまったしいたけは、天ぷらなどの揚げ物にするのもおすすめです。衣をつけて揚げてしまえば変色している部分は見えなくなります。
また、カラっと揚げることで鮮度が落ちてしまったしいたけも美味しく食べることができます。
しいたけを茶色く変色させないためには、購入後正しく保存し鮮度を保つことが大切です。鮮度を保つことで変色を防ぎ長持ちさせるだけではなく、より長く美味しく食べることができます。
すぐに食べる場合のみ、常温保存が可能です。ただし、購入時のまま保存するのではなく、キッチンペーパーに包んでポリ袋に入れ、冷暗所で保存するようにしましょう。しいたけを常温で保存する場合の日持ちの目安は1〜2日です。
すぐに使わない場合は、常温以外の方法で保存するようにしましょう。
しいたけを1週間〜10日ほど保存したい場合は冷蔵保存がおすすめです。キッチンペーパーで包み湿気対策をしてから冷蔵室もしくは野菜室で保存します。
石づき(軸の先端部分)をつけたまま、2〜3個ずつキッチンペーパーで包みます。ポリ袋に入れ軽く口を閉じ、カサを下(軸を上)にして保存します。
しいたけを保存する際は、カサが下になるように置くのが基本です。カサを上にしてしまうと、カサの裏面(ひだ)についている胞子(細胞)が落ち、しなびたり黒ずんだりしてしまい傷みやすくなってしまいます。
しいたけは冷凍することで旨みが増します。細胞内の水分が膨張し、細胞壁が壊れるため、旨みや栄養分が溶け出し体内で吸収しやすくなります。冷凍したしいたけは1ヶ月程度日持ちします。長期保存しない場合(すぐに使う場合)でも冷凍保存はおすすめです。
石づきを切り落とし、軸とカサに切り分けて保存します。軸は捨ててしまう方もいらっしゃるかと思いますが、実は一番香りが強い部分で、美味しく食べられます。軸はラップに包んでまとめ、冷凍保存袋にカサと一緒に入れ密封します。
軸の根元を掴み、反対の手でカサを掴んでくるっとひねることでも軸とカサを切り離すことができます。包丁まな板いらずで事前処理が楽に済みます。
丸ごと冷凍したしいたけは、常温に1〜2分ほどおけば包丁で簡単に切れます。料理に合わせてカットし凍ったまま使用しましょう。解凍すると水分が抜けて食感が悪くなってしまいます。
軸の部分は冷凍すると食感が変わってしまいますが、薄く切ってスープや炊き込みご飯、炒め物などに使用するのがおすすめです。
お好みの大きさにカットしてから冷凍すると、調理の時すぐに使用することができて便利です。
石づきを切り落として、軸とカサを切り離し、それぞれお好みの大きさ(薄切りなど)にカットします。平らになるように冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いて密封し冷凍室へ。金属製バットの上で冷凍すれば短時間で凍らせることができます。
カットして冷凍したしいたけは解凍せず凍ったまま使用します。煮物や炒め物、炊き込みご飯などに◎。
冷凍する前に茹でたり蒸したりして加熱処理することを「ブランチング」といいます。活性酸素の働きを止めることで変色しづらい、食感や味が悪くなりづらい、解凍後加熱せずに使えるなどのメリットがあります。特に家庭用の冷凍庫では瞬間冷凍ができないので、一度下茹でしてから冷凍するのをおすすめします。
しいたけの栄養成分の流出を最小限に抑えるため、茹で時間は短くします。しっかりと粗熱が取れてから冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いて密封し冷凍室へ。
下茹でして冷凍したしいたけも、解凍せずに凍ったまま使用します。和え物などに使用する場合は、前日に冷蔵庫に移して自然解凍してから使用しましょう。
その他にも塩漬けやオイル漬けにして保存したり、天日干しやオーブンでしいたけの水分を抜いて乾燥保存することもできます。しいたけの保存方法についてはこちらの記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
当たり前ですが、新鮮なしいたけを購入し保存する方が保存性が高くなります。新鮮なしいたけの見分け方は下記の通りです。
カサに丸みがあり肉厚で、開いていない
カサの表面が茶褐色
カサの裏面が白く薄い膜を張っている
柄が太くて短い
ひだが細かくて白い
しいたけを購入するときの参考にしてください。
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