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ハンバーグのタネ作りでつなぎを入れる順番とは?混ぜ方で美味しさが変わる!

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ハンバーグのタネ作りでつなぎを入れる順番とは?混ぜ方で美味しさが変わる!

ハンバーグのタネを作る際、混ぜる順番などの決まりはあるのでしょうか。この記事では、ハンバーグ作りにおけるタネの正しい混ぜ方を解説します。

ハンバーグには混ぜる順番がある?

ハンバーグのタネを混ぜる順番があり、崩れにくくまとめることができます。

タネをしっかりまとめるために順番がある!

ハンバーグのタネを作る際、塩や卵、パン粉などのつなぎの材料を一気に入れて混ぜてしまいがちですが、ハンバーグのタネをしっかりとまとめて崩れにくくするには混ぜる順番を守ってタネをこねることが肝要です。

詳しい手順は後述の項目で紹介しますが、基本的にはひき肉と塩だけでしっかりこねてから卵を加えてさらに混ぜ、他の材料を入れるのが良いとされています。

一気に入れるとどうなる?

では、材料を一気に入れるとどうなってしまうのでしょうか。材料を一気に入れるとタネが混ぜにくくなってしまい、しっかりと具材が混ざりません。焼いている際にしっかりと混ざっていない部分から割れてしまい、肉汁が流れ出てしまうことでハンバーグが固くパサついた仕上がりになってしまいます。

また、塩や卵にはひき肉のたんぱく質の構造を強固にし、肉汁を内側にガードする効果を高める役割がありますが、他の具材と一緒に混ぜることでお肉にしっかりと混ざらず、この役割も不完全な状態となってしまい、ハンバーグが割れやすくなります。

ハンバーグのタネを混ぜる順番

塩、卵、他の材料の順で混ぜるのがおすすめです。

まずはひき肉と塩だけでこねる

ハンバーグを作る際、まずはひき肉と塩だけでこねる

タネをこねる際、まずはよく冷やしたひき肉と塩だけでこねましょう。塩の働きでひき肉から「アクチン」と「ミオシン」というタンパク質が溶け出し、くっつきあって網目状になるため、水分が抜け出すのを防ぎ、肉汁がハンバーグの中にしっかりと残って、ジューシーな仕上がりになります。

塩の量はひき肉に対して0.8~1%くらいがよいとされており、200gのひき肉に対して1.6~2g(小さじ3分の1程度)となります。塩コショウの場合は少し多めのひき肉に対して1~1.2%が適量となります。気持ち多めに入れるとよいでしょう。

次は卵を数回に分けて混ぜる

ひき肉と塩だけでこねてある程度粘りが出てきたら、卵を追加します。ハンバーグのタネに溶き卵を入れる場合、3回に分け入れると馴染みやすくなります。入れたらかき混ぜて馴染ませ、また入れて・・・という動作を繰り返しましょう。

卵のうち、卵白は塩とひき肉をこねることで作られる網目構造のたんぱく質(アクトミオシン)をより綿密にし、肉汁を流出しにくくする働きがあるので、先に卵を入れることでこの働きを高めることができます。また、卵とひき肉がよく馴染んで口当たりがまろやかになります。

残りは同時でもOK

ハンバーグのタネのつなぎの中で接着剤の役割があるのは、塩と卵だけです。この2つを順次投入し、しっかり粘り気を出すのが非常に重要です。

卵がよくなじんだら、パン粉や牛乳、玉ねぎなどの具材を追加していってください。塩と卵以降はどのような順番でも、同時でも構いません。

ハンバーグのタネに使うつなぎの役割

ハンバーグのタネのつなぎには塩や卵、パン粉、牛乳、玉ねぎを使うのが定番です。それぞれがお肉にいろいろな形で作用し、ハンバーグを美味しく仕上げてくれますが、塩だけで作るハンバーグもあるように、省略しても作ることができます。

味付けのためだと思われがちな塩ですが、ハンバーグのタネにおいては最も重要な役割を果たし、塩なしでハンバーグが作られることはほとんどありません。

前述の通り、塩の働きでひき肉からンパク質が溶け出し、くっつきあって網目状になるため、水分が抜け出すのを防ぎ、肉汁がハンバーグの中にしっかりと残って、ジューシーな仕上がりになります。また、熱が加わると肉のタンパク質を固まらせる作用もあるので、ハンバーグを焼いている過程で肉同士がより結着します。

卵は塩に次いでつなぎとして重要な役割を持ちます。卵のタンパク質は、熱を加えると固まる性質(凝固力)があります。これによって火を通した際にハンバーグの結着力が高まり、崩れにくくなります。

前述の通り卵白には塩とひき肉をこねることで作られる網目構造のたんぱく質(アクトミオシン)をより綿密にし、肉汁を流出しにくくする働きがあるほか、黄身はタネの水分と油分が混ざり合うようになる乳化剤して働きます。なお、タネの段階では生卵特有の粘りがタネをまとめる役割もあります。

その他にも、風味をよくする、柔らかく仕上げるといった役割もあります。

パン粉

ハンバーグのタネにパン粉や潰したパンを加えることで、パン粉がタネの水分をしっかり保持し、ハンバーグをふっくらと柔らかく仕上げることができます。また、焼いている際にも肉汁を吸い込むことでハンバーグをジューシーに仕上げる効果があります。

また、パン粉の原材料である小麦粉由来の「グルテン」もハンバーグを崩れにくくするつなぎとしての役割に一役買っています
グルテンは、小麦粉に含まれるグルテニンとグリアジンという2つのたんぱく質が水に反応して結合することで形成されます。詳しく説明すると、バネのような細長い形をしたグルテニンが互いに絡み合い、その網目の部分に粒状をしたグリアジンが入り込むことで形成されています。

グルテンは生地に粘りと張力を与えます。そのため、ゆるいハンバーグのタネに小麦粉を加えることで、タネの中の水分に反応して生まれるグルテンが粘りを生み出し、タネがしっかりとまとまるので、崩れにくくなります。

パン粉以外では焼き麩や高野豆腐、生おから、米パン粉といった材料でも代用ができます。

牛乳

タネに少量の牛乳を加えると、お肉の臭み消しになるほか、水分量を増やして柔らかさをアップさせることができます。また、牛乳にはお肉の繊維を壊して柔らかくする効果もあります。

牛乳には接着剤の役割はありません。その意味において、牛乳は厳密には「つなぎ」ではありません。逆に入れすぎることでタネがゆるくなり、焼いたときにボロボロになる原因になります。

玉ねぎ

玉ねぎはハンバーグに混ぜる野菜の定番ですが、牛乳同様につなぎとしての接着剤の役割はなく、むしろその水分量の多さがタネを水っぽくしてしまい、ハンバーグの失敗の原因になることもあります。

玉ねぎを使うことでひき肉の臭み消しになるほか、かさ増しにもなり、ハンバーグの栄養価アップや食感の違いを生み出します。また、炒めたものを使うことでコクや旨味もプラスできます。

玉ねぎの代わりに他の野菜やきのこ類を使ってハンバーグを作ることもあります。玉ねぎを使ったうえでさらに野菜などを加えることでかさ増しや栄養価アップの効果を得ることもできます。

ハンバーグのタネづくりにおける他の論点

タネを混ぜる順番以外にもハンバーグのタネづくりには様々な論点があります。

パン粉は牛乳に漬けておく?

ハンバーグのつなぎに使う乾燥パン粉は、牛乳に漬けておいてからタネに混ぜた方が良いとされています。なぜなら、この作業によってパン粉が水分を含み、しっとりすることでハンバーグがふんわり仕上がるためです。

ただし、現代の乾燥パン粉は昔と比べるとある程度の水分量があるので、漬け込む必要はないという意見もあります。

ちなみに、パン粉は水分量が14%以下のものを「乾燥パン粉」、14%以上のものを「生パン粉」と区別しています。乾燥パン粉は水分量が少なく粒が細かいので、ハンバーグなどのタネに混ぜることで水分をしっかり含んでお肉とよく馴染みやすくなります。一方、生パン粉は粒が粗く、水分量が多いので揚げるとサクサクになるため、揚げ物作りでよく使われています。

なお、生パン粉は水分量を多く含んでおり、元々しっとりしているので基本的に牛乳に漬ける必要はありません。ただし、生パン粉も牛乳に漬けると柔らかくなります。開封してから日数が経っている生パン粉は乾燥が進んでしまっているので、牛乳に漬けた方が良い場合もあります。

玉ねぎは炒める?炒めない?

ハンバーグに玉ねぎを使う際、炒めてから使うのと生のまま使うのとではどちらが良いのでしょうか。

玉ねぎは細かいみじん切りにしてきつね色になるまで炒めておくことで、香ばしくなりコクがアップするほか、甘みも出て玉ねぎの独特な辛味が気にならなくもなります。タネとも良く馴染み、炒めることで余分な水分も飛ぶので、タネがゆるくなりにくくなります。

ただし、玉ねぎをみじん切りにして一度炒めるという下準備はなかなか大変です。手間だと感じる方は電子レンジを使うこともできます。炒める場合よりも芳ばしさやコクのアップは期待できませんが、時短になります。電子レンジで温めた場合、水分をよく切らないとタネが水っぽくなってします。

生のまま使えば、熱を加えるひと手間を減らすことができます。炒める場合よりもさっぱりとした仕上がりになり、焼いた後もシャキシャキ食感が残りやすくなります。玉ねぎの栄養は熱に弱いので生のまま使った方が栄養が多く摂取できるメリットも。

ただし、炒める場合はタマネギが縮みますが、生のままの場合は大きさがそのままなので、大きくカットしてしまうと焼いた際にハンバーグが崩れやすくなります。出来るだけ細かくみじん切りにしましょう。

すりおろしで使えばお肉としっかりと馴染み、タンパク質分解酵素の働きでハンバーグがふんわり柔らかくジューシーに仕上がります。
どちらにもメリット・デメリットがあるので、好みに合わせて決めてみましょう。

厚い中央部分をへこませる?

ハンバーグの厚い中央部分は火が通りにくいので、生焼けを防ぎ、調理時間を短くするために真ん中をへこませましょう

ただし、最近はへこませる必要についての議論もあり、へこんだ部分に焼き目がつけられない、蒸し焼きにすれば中までしっかり火が通るといった理由からへこませる必要がないと言われることもあります。典型的なハンバーグのような形ではなく、薄めに作ることでへこませるのを省く方法もあります。

空気抜きは必要?

ハンバーグのタネの空気を抜く

タネを混ぜ終わってから空気を抜いて成型しますが、この作業が十分でないとハンバーグが割れやすくなってしまい、割れて肉汁が出て固くなってしまうので要注意です。

しっかりこねていれば空気抜きは不要と言われることもありますが、しっかりこねているかどうかを判別するのは難しいので、可能であればやっておいた方が良いでしょう。

ハンバーグの空気を抜く作業はよく「両手でキャッチボールをするようにしながら」と言われます。しかし、この方法ではよくわからないという方も多いでしょう。分かりやすく簡単な方法は、利き手に載せたタネを、利き手ではない方の手を受け皿にして、3~4回軽く打ち付ける方法です。この時、手にサラダ油を薄く塗っておくと、ミンチ内の水分が蒸発するのを防ぎながら成形することができます。

ただし、この作業をやりすぎるとハンバーグが固めの仕上がりになってしまうので要注意です。

ハンバーグを美味しく作るコツ

タネの作り方や焼き方にひと工夫加えることでハンバーグを美味しく仕上げることができます。

こねる直前までひき肉は冷蔵庫に

ひき肉はこねる直前まで冷蔵庫に入れておきましょう。ハンバーグのタネは温度が上がることでひき肉の脂肪が溶けてタネがゆるくなるほか、焼いた時に肉汁が流れ出て固い仕上がりになってしまいます。

また、タネをこねる際に室温が高いとタネの温度が高くなり、タネがゆるくなってしまうこともあります。夏場は冷房をつけ、冬場は暖房を切ってタネをこねるのがおすすめです。

タネをこねすぎない

ハンバーグを美味しく作るにはタネをこねすぎない

ハンバーグのタネをこねすぎてしまうと脂が溶けて肉汁が少なくなるので、ハンバーグが固くなってしまいます。ただし、こねることで具材が良く混ざる以外にも、肉の粘り気が増えて肉同士がくっついた状態になり、焼いたときに肉汁が出るのを防ぐ役割もあるのでよくこねるようにしましょう。目安は白っぽくなっていて、粘り気があり、肉を突いてみた時にボウルが浮くくらいです。

ハンバーグをこねる際はこねすぎにも注意ですが、手が温かいと脂肪が溶けやすいため、手を冷やしてからこねると良いでしょう。手ではなくすりこぎ棒や木べら、割り箸などを使っても良いでしょう。こだわる方は牛乳の代わりに氷を使ったり、タネの入ったボウルを氷水の入った大きなボウルで冷やしながらこねたりしているようです。

タネを寝かせる

ハンバーグを美味しく作るにはタネを寝かせる

タネをこね終わった後、寝かせることで水分と油分がなじみ、タネが柔らかくなるだけでなく、お肉が熟成して旨味が増します。ただし、タネを常温で寝かせたり、長時間寝かせたりしてしまうと、雑菌が繁殖する原因となります。冷蔵庫で1~2時間程度寝かせるようにしましょう。また、なるべく空気に触れないようにするため、ラップをかけて寝かせましょう

なお、空気を抜いて成型した後に寝かせるとひびが入って割れやすくなってしまうので、必ず成型前に寝かせましょう

サイズを大きくしすぎない

ハンバーグを美味しく作るにはサイズを大きくしすぎない

ハンバーグのサイズを大きくしてしまうと、焼く前の空気抜きの作業で空気を抜くのが難しくなるほか、火の通りが悪くなり、崩れやすくなってしまいます。真ん中まで火が通りにくく、生焼きになる可能性も高まります。

ハンバーグのサイズは手のひらに収まる程度に収めましょう。厚さは1.5~2cm程度が一般的なサイズです。

焼きすぎない

ハンバーグを焼く際、しっかり火を通すために弱火で長時間焼いている方が多いのではないでしょうか。長時間焼くことでハンバーグから肉汁が出すぎてしまい、ハンバーグが固くなってしまいます

ハンバーグを焼く際は、まずは中火で表面を焼き、裏返したら弱火にし、中までじっくりと火を通しましょう。強火で焼くと焦げやすく、ハンバーグの外側ばかり焼けてしまって中心部は生焼けになってしまうことが多く、野菜に含まれる栄養素が分解されてしまったり、肉汁の水分と一緒に流れ出てしまったりします。基本的に中火以下で調理しましょう。

焼くときにフタを使って蒸し焼きにする

ハンバーグを美味しく作るには蓋を使って蒸し焼きにする

中火で焼き目を付けてハンバーグをひっくり返した後、フタをして弱火で加熱することで水分の蒸発を防ぎ、蒸し焼きにすることができるので、焼いている面以外にも熱を通すことができ、焼きムラを防ぐとともに、時短調理となります

フタがない時はアルミホイルをフライパンを覆うサイズに成形して上から被せることで蓋代わりにできます。この時、フライパンが熱いのでフライパンに触ってやけどしないように注意しましょう。

アルミホイルを使って包み焼きにするのもおすすめです。熱がハンバーグに均等に伝わり、焼きムラを防ぐことができます。アルミホイルには遠赤外線効果という食材の内側に熱を伝えやすくする効果もあるので、生焼け防止にぴったりの調理方法です。付け合わせのブロッコリーやニンジンなどの野菜も一緒に包んで焼けば時短調理にもなります。

フタをして蒸し焼きにする際、少量の料理酒(小さじ1~)を加え、弱火で蒸し焼きにすることでハンバーグに旨味を加え、ふっくらと仕上げることができます。