ハンバーグ作りにはなぜ合い挽き肉が使われるのでしょうか。本記事では、ハンバーグに合い挽き肉が使われる理由や、1種類のお肉のみで作るハンバーグの特徴などを解説します。
ハンバーグは牛肉と豚肉の合い挽き肉を使いますが、牛肉と豚肉を組み合わせる理由はいくつかあります。
海外でハンバーグは牛肉だけを使用して作られており、日本でも当初は牛肉のみで作られていました。
しかし、日本では牛肉が高価であるため、コスト削減のために安価な豚ひき肉を混ぜるレシピが一般家庭に浸透しました。
さらに、牛肉だけではハンバーグが硬めの仕上がりになりやすいため、柔らかさを加えるために豚肉を混ぜることも理由の一つです。
豚肉は牛肉よりも脂肪分が多く、それによってハンバーグの食感がより柔らかくなります。豚肉の脂肪分はハンバーグにジューシーさを与え、より食べ応えのある味わいを楽しむことができます。
また、牛肉と豚肉の脂の融点(脂が溶ける温度)の違いも合い挽き肉を使う理由の1つとされています。
牛肉の脂の融点が40~50℃なのに対し、豚肉は30~40℃と少し低めで、人間の体温と同じくらいです。そのため、牛肉の脂は口の中に残りやすいですが、豚肉の脂は口に入れたときに脂がサッと溶けます。合い挽き肉でハンバーグを作ることでハンバーグが冷めてしまっても美味しさが長持ちします。
合い挽き肉でハンバーグを作ることで牛肉と豚肉の栄養をそれぞれ摂取できます。牛肉と豚肉のどちらもタンパク質を豊富に含んでいますが、他の栄養面では違いがあります。
牛肉には吸収率の高い鉄分である「ヘム鉄」も含まれており、貧血予防に効果的で、豚肉にはビタミンB群が多く含まれており、特にビタミンB1が豊富に含まれているので、エネルギー代謝を助け、疲労回復の効果が期待できます。
ハンバーグに使う牛肉と豚肉の合い挽き肉は、牛:豚=7:3もしくは6:4の割合で混ぜて使うのが一般的となっています。スーパーなどで売られている合い挽き肉もこの割合で売られている場合が多いです。もちろん、牛肉と豚肉のひき肉をそれぞれ購入して好みの割合で混ぜることもできます。
固めで食べ応えのあるハンバーグが好きな方は前者を、柔らかくジューシーなハンバーグが好きな方を後者を選ぶと良いでしょう。
個人の好みによっては牛肉だけまたは豚肉だけでハンバーグを作ることもあります。
上記の通り、元々ハンバーグは牛肉だけで作るレシピであり、現在でも海外では牛肉100%で作るのが主流で、マクドナルドのハンバーガーに挟まっているパティも牛肉100%です。
牛肉だけを使用することで、しっかりとした牛肉の味わいを楽しむことができます。ただし、牛肉は脂肪分が少ないことから合い挽き肉で作るよりも固めの仕上がりとなり、好みが分かれるところでもあります。
一方で、後から入れられるようになった豚肉だけで作るハンバーグのレシピも存在します。豚肉のさっぱりと優しい風味を好む方におすすめで、より柔らかくジューシーなハンバーグを作り上げることができます。豚ひき肉は牛ひき肉よりも安価でお財布にも優しいハンバーグが作れます。
ただし、豚肉だけで作る場合、脂肪分の多さから臭みが気になりやすく、タネがべちゃっとしてまとまりづらいため、焼いている際も崩れやすいのが難点です。臭み消しをしっかりと行い、パン粉などの水分が少ない素材を多めにしてタネを作るのがおすすめです。
また、合い挽き肉で作るよりもこってりとしたテイストに仕上がるので、こちらもやはり好みが分かれるところです。
ハンバーグは牛ひき肉と鶏ひき肉を混ぜて作られることもありましたが、鶏ひき肉があっさりとした食感のため、ハンバーグもあっさりとした仕上がりになってしまうため、作られることは少なくなりました。鶏ひき肉を丸めて焼いたものは、ハンバーグとは違った料理、いわゆる「つくね」として食べられています。
ただし、鶏ひき肉はそのあっさりさとヘルシーさでハンバーグ作りに使われることもあり、豆腐ハンバーグでは豆腐と鶏ひき肉でヘルシーに仕上げるレシピも多くあります。
ハンバーグに使う基本的なひき肉の量はどのくらいでしょうか。
ハンバーグに使うひき肉の量は一人前あたり100~150gが一般的な量です。少ないと感じるかもしれませんが、ここにつなぎの材料が加わります。もちろん好みに合わせて使う量を変えることができ、お肉を減らしてつなぎを多めにしてかさ増しすることもできます。
ただし、大きく作りすぎてしまうと焼いた際に火が通りにくくなり、生焼けになる原因となるので要注意です。大きくする場合はできるだけ平べったくすると中まで火を通しやすくなります。
標準的なつなぎの量はひき肉250〜300g(2~3人前)に対し、パン粉:大さじ4、牛乳:大さじ4〜5、卵1個とされています。パン粉と牛乳は同じ量で作られることが多いです。また、玉ねぎは1/2個使われることが多いです。
つなぎの量はお好みで変えることができ、他の野菜やキノコ類を加えてかさ増しと栄養価アップさせることもできます。ただし、入れすぎるとお肉の味わいが薄まるほか、タネの水分が増えてタネがまとまりづらくなってしまうので注意しましょう。
傷みやすいひき肉を上手に保存するポイントを解説します。
ハンバーグの主な材料である牛肉や豚肉は、病原性の細菌や、E型肝炎ウイルスなどの人に害を与えるウイルスや寄生虫に感染している場合があります。
その中でもひき肉は切り落とし肉などと比べて脂が多く、空気に触れる部分が多いので細菌の繁殖などの劣化が進むのが早いとされています。そもそも、ひき肉にされる元のお肉自体の鮮度が良くないともいわれます。
ひき肉は購入したら早めに使った方がよく、しっかり火を通して調理をする必要があります。
パックにも表示がある通り、ひき肉は大体購入から1~2日以内に使いきった方が良いとされています。場合によっては買った翌日には色が変わり始めることもあるので、出来るだけ早く使いましょう。
ひき肉からドリップが出ていた場合は劣化がかなり進んでいるサインです。期限を問わず早めに使いましょう。
スーパーなどで買ったひき肉は白トレイにラップをかけられた状態であることが多いですが、そのままの状態では空気に触れる面積が多いでの傷むのが早まってしまいます。その日のうちに使わない場合は保存方法を変えましょう。
パックからひき肉を取り出し、ラップでぴったりと包みましょう。この時、なるべく平たくすると冷凍の場合は解凍の際に便利です。
ラップに包んだひき肉をさらにポリ袋などの保存用の袋に入れます。冷蔵庫の中でもドアの開け閉めによる温度変化を受けにくく、低温がキープされやすいチルド室に入れましょう。
数日以内に使わない場合は冷凍庫の奥の方に入れましょう。金属トレーを持っている方は、金属トレーに載せて冷凍させるとスピーディーに冷凍できます。素早く冷凍させることで、お肉を解凍するときに出やすい水分やうまみ成分を含んだ「ドリップ」の流出を抑えることもできます。この方法であれば2週間程度は保存可能です。
腐ったひき肉の見た目は黒っぽく変色してることが多いです。また、鼻をつくようなおかしな臭いがしている場合は腐っている可能性が非常に高いので、食べずに処分しましょう。
見た目や匂いで判断が難しい時は手で触って感触を確かめるとわかりやすいです。ベタベタとした粘り気がでていない場合は問題ありませんが、糸を引いていたり、ぬめりがあるような状態はかなり傷んでいます。特に湿度と気温の高い梅雨の時期などは傷みやすいので、要注意です。
タネの作り方や焼き方にひと工夫加えることでハンバーグを美味しく仕上げることができます。
ひき肉はこねる直前まで冷蔵庫に入れておきましょう。ハンバーグのタネは温度が上がることでひき肉の脂肪が溶けてタネがゆるくなるほか、焼いた時に肉汁が流れ出て固い仕上がりになってしまいます。
また、タネをこねる際に室温が高いとタネの温度が高くなり、タネがゆるくなってしまうこともあります。夏場は冷房をつけ、冬場は暖房を切ってタネをこねるのがおすすめです。
タネをこねる際、まずはよく冷やしたひき肉と塩だけでこねましょう。塩の働きでひき肉から「アクチン」と「ミオシン」というタンパク質が溶け出し、くっつきあって網目状になるため、水分が抜け出すのを防ぎ、肉汁がハンバーグの中にしっかりと残って、ジューシーな仕上がりになります。
塩の量はひき肉に対して0.8~1%くらいがよいとされており、200gのひき肉に対して1.6~2g(小さじ3分の1程度)となります。塩コショウの場合は少し多めのひき肉に対して1~1.2%が適量となります。気持ち多めに入れるとよいでしょう。
ひき肉と塩だけでこねてある程度粘りが出てきたら、卵やパン粉、牛乳などのつなぎ具材を追加してください。
ハンバーグのタネをこねすぎてしまうと脂が溶けて肉汁が少なくなるので、ハンバーグが固くなってしまいます。ただし、こねることで具材が良く混ざる以外にも、肉の粘り気が増えて肉同士がくっついた状態になり、焼いたときに肉汁が出るのを防ぐ役割もあるのでよくこねるようにしましょう。目安は白っぽくなっていて、粘り気があり、肉を突いてみた時にボウルが浮くくらいです。
ハンバーグをこねる際はこねすぎにも注意ですが、手が温かいと脂肪が溶けやすいため、手を冷やしてからこねると良いでしょう。手ではなくすりこぎ棒や木べら、割り箸などを使っても良いでしょう。こだわる方は牛乳の代わりに氷を使ったり、タネの入ったボウルを氷水の入った大きなボウルで冷やしながらこねたりしているようです。
タネをこね終わった後、寝かせることで水分と油分がなじみ、タネが柔らかくなるだけでなく、お肉が熟成して旨味が増します。ただし、タネを常温で寝かせたり、長時間寝かせたりしてしまうと、雑菌が繁殖する原因となります。冷蔵庫で1~2時間程度寝かせるようにしましょう。また、なるべく空気に触れないようにするため、ラップをかけて寝かせましょう。
なお、空気を抜いて成型した後に寝かせるとひびが入って割れやすくなってしまうので、必ず成型前に寝かせましょう。
タネを混ぜ終わってから空気を抜いて成型しますが、この作業が十分でないとハンバーグが割れやすくなってしまい、割れて肉汁が出て固くなってしまうので要注意です。
ハンバーグの空気を抜く作業はよく「両手でキャッチボールをするようにしながら」と言われます。しかし、この方法ではよくわからないという方も多いでしょう。分かりやすく簡単な方法は、利き手に載せたタネを、利き手ではない方の手を受け皿にして、3~4回軽く打ち付ける方法です。この時、手にサラダ油を薄く塗っておくと、ミンチ内の水分が蒸発するのを防ぎながら成形することができます。
ただし、この作業をやりすぎるとハンバーグが固めの仕上がりになってしまうので要注意です。
ハンバーグのサイズを大きくしてしまうと、焼く前の空気抜きの作業で空気を抜くのが難しくなるほか、火の通りが悪くなり、崩れやすくなってしまいます。真ん中まで火が通りにくく、生焼きになる可能性も高まります。
ハンバーグのサイズは手のひらに収まる程度に収めましょう。厚さは1.5~2cm程度が一般的なサイズです。
ハンバーグの厚い中央部分は火が通りにくいので、生焼けを防ぎ、調理時間を短くするために真ん中をへこませましょう。
ただし、最近はへこませる必要についての議論もあり、へこんだ部分に焼き目がつけられない、蒸し焼きにすれば中までしっかり火が通るといった理由からへこませる必要がないと言われることもあります。典型的なハンバーグのような形ではなく、薄めに作ることでへこませるのを省く方法もあります。
ハンバーグを焼く際、しっかり火を通すために弱火で長時間焼いている方が多いのではないでしょうか。長時間焼くことでハンバーグから肉汁が出すぎてしまい、ハンバーグが固くなってしまいます。
ハンバーグを焼く際は、まずは中火で表面を焼き、裏返したら弱火にし、中までじっくりと火を通しましょう。強火で焼くと焦げやすく、ハンバーグの外側ばかり焼けてしまって中心部は生焼けになってしまうことが多く、野菜に含まれる栄養素が分解されてしまったり、肉汁の水分と一緒に流れ出てしまったりします。基本的に中火以下で調理しましょう。
中火で焼き目を付けてハンバーグをひっくり返した後、フタをして弱火で加熱することで水分の蒸発を防ぎ、蒸し焼きにすることができるので、焼いている面以外にも熱を通すことができ、焼きムラを防ぐとともに、時短調理となります。
フタがない時はアルミホイルをフライパンを覆うサイズに成形して上から被せることで蓋代わりにできます。この時、フライパンが熱いのでフライパンに触ってやけどしないように注意しましょう。
アルミホイルを使って包み焼きにするのもおすすめです。熱がハンバーグに均等に伝わり、焼きムラを防ぐことができます。アルミホイルには遠赤外線効果という食材の内側に熱を伝えやすくする効果もあるので、生焼け防止にぴったりの調理方法です。付け合わせのブロッコリーやニンジンなどの野菜も一緒に包んで焼けば時短調理にもなります。
フタをして蒸し焼きにする際、少量の料理酒(小さじ1~)を加え、弱火で蒸し焼きにすることでハンバーグに旨味を加え、ふっくらと仕上げることができます。
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