ハンバーグを作る際、どうして牛乳を使うのでしょうか。この記事では、ハンバーグのタネに牛乳を入れる理由や、牛乳の使い方などを詳しく解説します。
牛乳には様々な役割があり、ハンバーグを美味しく仕上げるのに一役買っています。
ハンバーグのタネに牛乳を加えることで水分量を増やし、ハンバーグを柔らかくジューシーに仕上げることができます。乾燥していて水分を含みやすいパン粉と組み合わせることでタネの中により多くの水分を閉じ込めることができます。
ただし、つなぎという名前で使われるものの、牛乳には接着剤の役割はありません。入れすぎることでタネがゆるくなり、焼いたときにボロボロになる原因になります。入れる量には注意が必要です。
牛乳はお肉の臭み消しとしての役割も持ちます。牛乳に含まれるたんぱく質「カゼイン」が臭いを吸着する特性を持つため、牛乳を使ってお肉を洗うことでひき肉の臭いを取り除くことができます。ひき肉以外にも、つなぎに使われるパン粉やタマネギの独特な臭いを抑える役割もあります。
ひき肉の臭いがどうしても気になる場合に、牛乳でひき肉を洗う方法があります。臭いが強いレバーを牛乳で洗って漬け込んでおく方法はよく知られていますよね。
この方法では上記のカゼインの効果に加え、牛乳で洗うことで臭いの元である脂肪もいくらか落ちるため、臭いが落ちます。ただし、ひき肉の脂肪には旨味の成分もたくさん詰まっているので、旨味を落とすことにもなるのでおすすめはできません。
牛乳に含まれる乳糖によってお肉の保水力が高まるので、お肉の水分量が増えて柔らかくなる効果も期待できます。
また、牛乳は弱酸性の飲み物でもあるため、お肉が牛乳に漬かることで筋原線維たんぱく質が分解され、これによっても保水性がわずかに高まり、お肉が柔らかくなります。
牛乳の乳酸がお肉を柔らかくすると言われることもありますが、流通しているほとんどの牛乳は殺菌されて出荷されているので乳酸菌を含んでおらず、乳酸菌から発生する乳酸でお肉が柔らかくなることはありません。
一方、牛乳に乳酸菌などを加えて発酵させて造られるヨーグルトをタネに混ぜれば乳酸でお肉が柔らかくなります。ヨーグルトには臭み消しの効果もあり、牛乳の代用として使われることもあります。
海外では基本的にお肉だけで作られているハンバーグですが、なぜ日本において牛乳が使われるようになったのでしょうか。
ハンバーグに牛乳を使うようになったのは、乾燥パン粉を浸して柔らかくするためと言われています。元々水でふやかして戻していたのを、水では味気ないことから牛乳で戻していたようです。
現在の乾燥パン粉は技術が進んで牛乳に漬けなくてもある程度柔らかく、水分を多く含んだ生パン粉もあります。
では、海外で牛乳は使われているのでしょうか。海外ではハンバーグはもっぱらハンバーガーの中身として食べられていますが、海外でも、仕上がりを良くするために卵やパン粉がつなぎとして使われたり、かさ増しとして使われたりしています。しかし、いわゆるつなぎとしての役割やかさ増しにもならない牛乳が使われることはほとんどありません。
また、別の理由として考えられるのが、日本は霜降りを高級品とするように脂肪分のあるお肉が好まれますが、海外では基本的にお肉は赤身が好まれています。そのため、ハンバーグ作りにおいてもお肉を柔らかくする必要がないのでしょう。
量を間違えると失敗してしまうこともあるので要注意です。
標準的なつなぎの量はひき肉250〜300g(2~3人前)に対し、パン粉:大さじ4、牛乳:大さじ4〜5、卵1個とされています。パン粉と牛乳は同じ量で作られることが多いです。
パン粉と牛乳を少なめにすると固めに、多めにすると柔らかい仕上がりになります。好みに応じて調整してみましょう。
牛乳なしでハンバーグを作る場合、牛乳によるまろやかな味わいとコクがなくなります。タネの水分量も減るので、いわゆるもっちりと柔らかいハンバーグではなくなりますが、お肉本来の固さとワイルドな味わいのハンバーグになります。
ただし、固めのハンバーグが好みという方もおり、牛乳や、牛乳とセットで使われることの多いパン粉を使用せずにハンバーグを作る方もいます。
また、牛乳を使わない場合、ナツメグなどの臭み消しを使っていて臭みが気にならない場合は問題ありませんが、なんとなくお肉の臭みが気になる場合は、他の食材を使って臭みを軽減しましょう。
ポピュラーな代用品では料理酒やにんにく、しょうがなどがあります。臭み消し以外にも旨味の追加などの様々なメリットがあるので、臭みがそこまで気にならない場合でも追加してみてもよいでしょう。
牛乳は入れすぎるとタネの水分量が多くなってまとまりがなくなってしまい、焼いた時に崩れやすくなってしまいます。
牛乳の入れすぎでタネがゆるくなってしまうのもハンバーグ作りではよくある失敗の1つなので、牛乳を使わないことで失敗する可能性を下げることができます。
ハンバーグのタネに牛乳を使うことには様々なメリットがありますが、使わなくても美味しく作ることができます。お肉が好きな方は牛乳を使わない方が好みな味になるかもしれません。
ただし、使うひき肉の質が悪かったり、鮮度が低かったりする場合には臭みも強く出てしまうので注意しましょう。また、パン粉は使う場合、タネがパサついてしまい、まとまりが悪くなって焼いた時に崩れやすくなります。
パン粉を使う場合には下記の項目で紹介する牛乳以外の代用品を使うと良いでしょう。
ハンバーグのつなぎに使う乾燥パン粉は、牛乳に漬けておいてからタネに混ぜた方が良いとされています。なぜなら、この作業によってパン粉が水分を含み、しっとりすることでハンバーグがふんわり仕上がるためです。
ただし、現代の乾燥パン粉は昔と比べるとある程度の水分量があるので、漬け込む必要はないという意見もあります。
ちなみに、パン粉は水分量が14%以下のものを「乾燥パン粉」、14%以上のものを「生パン粉」と区別しています。乾燥パン粉は水分量が少なく粒が細かいので、ハンバーグなどのタネに混ぜることで水分をしっかり含んでお肉とよく馴染みやすくなります。一方、生パン粉は粒が粗く、水分量が多いので揚げるとサクサクになるため、揚げ物作りでよく使われています。
なお、生パン粉は水分量を多く含んでおり、元々しっとりしているので基本的に牛乳に漬ける必要はありません。ただし、生パン粉も牛乳に漬けると柔らかくなります。開封してから日数が経っている生パン粉は乾燥が進んでしまっているので、牛乳に漬けた方が良い場合もあります。
ハンバーグのタネをこねる際、具材を全て入れて一気に混ぜるのではなく、まずはよく冷やしたひき肉と塩だけでこねましょう。塩の働きでひき肉から「アクチン」と「ミオシン」というタンパク質が溶け出し、くっつきあって網目状になるため、肉の粘り気が増えて肉同士がくっついた状態になります。これによって焼いたときに肉汁(肉の脂や水分、旨味成分)が出るのを防ぎ、肉汁がハンバーグの中にしっかりと残って、ジューシーな仕上がりになります。
塩の量はひき肉に対して0.8~1%くらいがよいとされており、200gのひき肉に対して1.6~2g(小さじ3分の1程度)となります。塩コショウの場合は少し多めのひき肉に対して1~1.2%が適量となります。
ひき肉と塩だけでこねてある程度粘りが出るまでこねましょう。粘りが出たらまず卵を加えて混ぜ、パン粉、牛乳などのつなぎ具材を追加してください。
ハンバーグにのタネに水分を与え、柔らかくする役割の材料で代用可能です。ただし、いずれも入れすぎるとタネがゆるくなるので要注意です。
豆腐をタネに混ぜることで、豆腐の水分とタンパク質でふっくらと柔らかいハンバーグが作れます。豆腐を繋ぎに使う場合、パン粉や牛乳といったつなぎの代わりとなるため、他のつなぎを使う必要がなくなり、カサ増しの効果もあります。ただし、入れすぎるとタネがゆるくなったり、肉より豆腐の味が強くなってしまうので、少量だけ入れるようにしましょう。
絹豆腐は水分が多いので崩れやすく、べちゃっとした仕上がりになってしまうので、木綿豆腐がおすすめです。豆腐を使う場合、ひき肉がバラバラになりやすいので、タネに加える前にしっかりと水気を切り、粘りが出るまでしっかりと捏ねましょう。
豆乳は牛乳の代わりにハンバーグ作りに使われています。牛乳よりも低糖質・低脂質であり、タンパク質を多く含むことから肉汁を逃さず中に留めてくれる効果が高いとされ、豆乳を好んで使う人も多いです。
使う量は牛乳と同量です。
スープやあんにとろみをつける目的でもよく使用される片栗粉は、水分を加えて加熱すると粘り気が出て、ひき肉を固めてくれる作用があります。片栗粉を使用したハンバーグは、冷めてもモチモチとした食感が残りやすいです。
片栗粉は、水溶きで使うことで牛乳の代用という位置づけで使われることが多いですが、タネを固めて水分を保持する役割もあるので、卵やパン粉の代用としての役割も果たしてくれます。
また、加熱前にハンバーグの外側をコーティングしておくことで、加熱時に中の肉汁を閉じ込められる上に、表面が焦げにくくなって舌触りが良くなり、ソースが絡みやすくもなります。これは小麦粉でも代用できます。
生クリームも牛乳の代わりに使われることのある材料です。牛乳よりも水分量が少なく、ふんわりと柔らかい食感を楽しむことができます。牛乳よりも脂肪分が多くカロリーが高い生クリームは、濃厚でコクのある味わいになります。
使う量は牛乳と同量です。ただし、牛乳よりもカロリーが高く、ハンバーグのカロリーも高くなってしまうでしょう。
料理酒やワインといったアルコール類も牛乳の代わりに使うことができます。他の料理でも使われるように、お肉の臭み消しとしての役割もあり、お肉が柔らかくもなります。特にワインはクエン酸が豊富に含まれているので、臭み消しとして強い効果を発揮します。
使う量はハンバーグ1人前(ひき肉150g)あたり大さじ1です。アルコール感が苦手な方は、混ぜる前に軽く電子レンジで温めてアルコールを飛ばすといいです。温める時間は大さじ1杯なら600Wで1分程度です。
牛乳の代わりに氷を使うことでタネの温度を下げながらこねることができ、肉汁の元になる脂が溶けるのを防ぐことでハンバーグがジューシーに仕上がり、プロの味に近づくと人気です。
焼く際にも氷を入れることでハンバーグを蒸し焼きにでき、しっとりとしながらも肉汁がたっぷりのハンバーグになります。
牛乳の代わりに干しシイタケの戻し汁を使うこともできます。ひき肉との相性も良く、ハンバーグにコク深い旨味をプラスできます。シイタケには、ビタミンDや食物繊維などの栄養が豊富に含まれています。
戻したシイタケはみじん切りにしてタネに加えてください。シャキシャキとした食感が楽しめます。シイタケが苦手なお子さんもハンバーグに入っていると食べられるかもしれませんね。
卵と牛乳の代わりにヨーグルトをタネに混ぜると、酸味や水分が加わり、ハンバーグがやわらかく仕上がります。他の料理でも使われている通り、お肉の匂い消しとしての役割もあります。
使う量はハンバーグ2人前当たり50gです。
ハンバーグのタネに長芋のすりおろしを混ぜると、その粘りでふわふわな食感に仕上がります。ひき肉をこねる際にパン粉の代わりにすれば、つなぎの役割も果たすので、卵も不要となります。
入れすぎると水分が多くなってタネが緩くなってしまい、ハンバーグを焼いた時に割れてしまうので、少しずつ加えて調整しましょう。
タネの作り方や焼き方にひと工夫加えることでハンバーグを美味しく仕上げることができます。
ひき肉はこねる直前まで冷蔵庫に入れておきましょう。ハンバーグのタネは温度が上がることでひき肉の脂肪が溶けてタネがゆるくなるほか、焼いた時に肉汁が流れ出て固い仕上がりになってしまいます。
また、タネをこねる際に室温が高いとタネの温度が高くなり、タネがゆるくなってしまうこともあります。夏場は冷房をつけ、冬場は暖房を切ってタネをこねるのがおすすめです。
ハンバーグのタネをこねすぎてしまうと脂が溶けて肉汁が少なくなるので、ハンバーグが固くなってしまいます。ただし、こねることで具材が良く混ざる以外にも、肉の粘り気が増えて肉同士がくっついた状態になり、焼いたときに肉汁が出るのを防ぐ役割もあるのでよくこねるようにしましょう。目安は白っぽくなっていて、粘り気があり、肉を突いてみた時にボウルが浮くくらいです。
ハンバーグをこねる際はこねすぎにも注意ですが、手が温かいと脂肪が溶けやすいため、手を冷やしてからこねると良いでしょう。手ではなくすりこぎ棒や木べら、割り箸などを使っても良いでしょう。こだわる方は牛乳の代わりに氷を使ったり、タネの入ったボウルを氷水の入った大きなボウルで冷やしながらこねたりしているようです。
タネをこね終わった後、寝かせることで水分と油分がなじみ、タネが柔らかくなるだけでなく、お肉が熟成して旨味が増します。ただし、タネを常温で寝かせたり、長時間寝かせたりしてしまうと、雑菌が繁殖する原因となります。冷蔵庫で1~2時間程度寝かせるようにしましょう。また、なるべく空気に触れないようにするため、ラップをかけて寝かせましょう。
なお、空気を抜いて成型した後に寝かせるとひびが入って割れやすくなってしまうので、必ず成型前に寝かせましょう。
タネを混ぜ終わってから空気を抜いて成型しますが、この作業が十分でないとハンバーグが割れやすくなってしまい、割れて肉汁が出て固くなってしまうので要注意です。
ハンバーグの空気を抜く作業はよく「両手でキャッチボールをするようにしながら」と言われます。しかし、この方法ではよくわからないという方も多いでしょう。分かりやすく簡単な方法は、利き手に載せたタネを、利き手ではない方の手を受け皿にして、3~4回軽く打ち付ける方法です。この時、手にサラダ油を薄く塗っておくと、ミンチ内の水分が蒸発するのを防ぎながら成形することができます。
ただし、この作業をやりすぎるとハンバーグが固めの仕上がりになってしまうので要注意です。
ハンバーグのサイズを大きくしてしまうと、焼く前の空気抜きの作業で空気を抜くのが難しくなるほか、火の通りが悪くなり、崩れやすくなってしまいます。真ん中まで火が通りにくく、生焼きになる可能性も高まります。
ハンバーグのサイズは手のひらに収まる程度に収めましょう。厚さは1.5~2cm程度が一般的なサイズです。
ハンバーグの厚い中央部分は火が通りにくいので、生焼けを防ぎ、調理時間を短くするために真ん中をへこませましょう。
ただし、最近はへこませる必要についての議論もあり、へこんだ部分に焼き目がつけられない、蒸し焼きにすれば中までしっかり火が通るといった理由からへこませる必要がないと言われることもあります。典型的なハンバーグのような形ではなく、薄めに作ることでへこませるのを省く方法もあります。
ハンバーグを焼く際、しっかり火を通すために弱火で長時間焼いている方が多いのではないでしょうか。長時間焼くことでハンバーグから肉汁が出すぎてしまい、ハンバーグが固くなってしまいます。
ハンバーグを焼く際は、まずは中火で表面を焼き、裏返したら弱火にし、中までじっくりと火を通しましょう。強火で焼くと焦げやすく、ハンバーグの外側ばかり焼けてしまって中心部は生焼けになってしまうことが多く、野菜に含まれる栄養素が分解されてしまったり、肉汁の水分と一緒に流れ出てしまったりします。基本的に中火以下で調理しましょう。
中火で焼き目を付けてハンバーグをひっくり返した後、フタをして弱火で加熱することで水分の蒸発を防ぎ、蒸し焼きにすることができるので、焼いている面以外にも熱を通すことができ、焼きムラを防ぐとともに、時短調理となります。
フタがない時はアルミホイルをフライパンを覆うサイズに成形して上から被せることで蓋代わりにできます。この時、フライパンが熱いのでフライパンに触ってやけどしないように注意しましょう。
アルミホイルを使って包み焼きにするのもおすすめです。熱がハンバーグに均等に伝わり、焼きムラを防ぐことができます。アルミホイルには遠赤外線効果という食材の内側に熱を伝えやすくする効果もあるので、生焼け防止にぴったりの調理方法です。付け合わせのブロッコリーやニンジンなどの野菜も一緒に包んで焼けば時短調理にもなります。
フタをして蒸し焼きにする際、少量の料理酒(小さじ1~)を加え、弱火で蒸し焼きにすることでハンバーグに旨味を加え、ふっくらと仕上げることができます。
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