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もやしをレンジ調理すると栄養が守れる?ビタミンCは熱に弱い?

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もやしをレンジ調理すると栄養が守れる?ビタミンCは熱に弱い?

もやしはレンジで加熱すると水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができるのでおすすめです。本記事ではもやしをレンジで加熱したときの栄養についてや、レンジで加熱する方法などを紹介します。

もやしの栄養・成分

もやしは水分量が多い野菜なので「栄養がない」と思っている方も多いようですが、そんなことはありません。まずはじめに、もやしの栄養・成分を紹介します。

水溶性の栄養素が多く含まれている

もやしにはビタミンC・B1、葉酸、カリウムなどの水溶性の成分が含まれています。

ビタミンC

ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。

ビタミンB1

ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える酵素の働きを促す役割を果たし、糖質の分解をサポートするので体を元気にします。また、糖質は脳や神経系のエネルギー源ですから、イライラを抑える作用もあります。

葉酸

葉酸はほうれん草の葉っぱから発見されたビタミンB群のひとつで、ビタミンB12と一緒に正常な赤血球をつくるのに必要な栄養素で造血ビタミンとも言われています。また、たんぱく質や核酸の合成を助け、細胞の新生や増殖に深く関わっています。細胞分裂が活発な胎児期に必須の栄養素で、特に妊婦の方は葉酸を十分に摂ることでおなかの赤ちゃんの発達異常を防ぐ効果があるといわれています。

カリウム

カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。

種類によって栄養素は違う?

一口に「もやし」といっても様々な種類がありますよね。一般的にスーパーなどで販売されていることが多いもやしは下記の通りです。

  • 緑豆を発芽させた「緑豆もやし」

  • 大豆を発芽させた「大豆もやし(豆もやし)」

  • 黒豆を発芽させた「黒豆もやし(ブラックマッペ)」

種類によって、栄養素の入っている割合は変わってきます。ほとんどの栄養素が大豆もやし、緑豆もやし、グラックマッペもやしのどれにも入っています。

たとえば大豆もやしには、トリプトファン、リジンなどが多く含まれています。リジンは大豆もやし100gに160mg含まれていますが、緑豆もやしには半分の81mg、ブラックマッペもやしにはさらに半分の43mgしか含まれていません。また、大豆もやしにはビタミンKも多く含まれていますが、緑豆もやしにはほとんど含まれておりません。全体のバランスを見ても、大豆もやしが1番栄養価が高くなっています。

ビタミンCは加熱に弱い?

ビタミンCはよく加熱に弱いといわれますが、「ビタミンCが熱に弱いという説は嘘!」という意見も見受けられます。どちらが正しいのでしょうか?

ビタミンCの熱への耐性に関して意見が割れているのは、ビタミンCには2種類あるからです。実はビタミンCには「還元型ビタミンC」と「酸化型ビタミンC」というものがあり、2つを合わせてビタミンC(または「総ビタミンC」)と言われています。

熱に弱いのが酸化型ビタミンCです。還元型ビタミンCはほとんど分解されることはないのですが、酸化型ビタミンCは一度分解してしまうとビタミンCには戻ることができず、この分解反応が加熱することで早く進むので「ビタミンCは加熱に弱い」と言われます。厳密には酸化型ビタミンCは熱に弱い、ですね。

新鮮な野菜や果物に含まれるビタミンCは大部分が還元型なので、基本的にビタミンCが加熱によって壊れることはありません。

しかし、切ったりすりおろすことで還元型ビタミンCの一部が酸化型ビタミンCに変換されてしまうので(つまり酸化するということ)、やや加熱に弱くなってしまいます。また、野菜に含まれる「アスコルビン酸(ビタミンC)酸化酵素」の作用でも、還元型ビタミンCの一部が酸化型ビタミンCに変換され、やや熱に弱くなってしまいます。

もやしはレンジで加熱すると栄養が減る?

もやしに様々な栄養が含まれていることがおわかりいただけたかと思います。レンジで加熱すると栄養は減ってしまうのでしょうか。解説します。

栄養を守って加熱するならレンジ!

レンジでのもやしの加熱は、栄養素が若干減少する可能性があります。これは、加熱処理によって一部のビタミンや酵素が破壊されることが原因です。しかし、大幅に栄養を残ってしまうわけではありません。

上述したように、もやしにはビタミンCなどの水溶性の栄養が多く含まれていますが、水やお湯を使って加熱すると大きく流出してしまいます。レンジであれば茹でるよりも水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができます。

そのため、できるだけ栄養を無駄にせずもやしを食べたい場合はレンジ加熱がおすすめです。

水っぽくならないメリットも

もやしはもともと水分が多い野菜です。茹でると水分を吸って水っぽくなってしまうことが多いですが、レンジでの加熱は水を使わないので水っぽくならず、もやしの風味や食感が残りやすいです。

水っぽくなってしまうともやしの風味が損なわれるだけではなく、料理全体の味が薄まってしまうので、ナムルにするときなどはレンジで加熱をするのが良いでしょう。

栄養を守るもやしをレンジで加熱する方法

もやしを耐熱容器に入れる

もやしを耐熱容器に入れる

もやしを洗う場合は袋をあけたら耐熱容器へ入れて、洗う場合は洗ってから耐熱容器に入れます。
もやしを袋ごとレンジ加熱するのはNGです。

袋ごとレンジに入れて加熱すると、袋の中の水分が蒸気として発生し、内部の圧力が上昇します。この圧力が高まりすぎると、袋が破裂してしまうことがあります。破裂した袋から熱い蒸気や熱湯が飛び出し、火傷の危険性があるため、安全のためには袋ごとの加熱は避けるべきです。

また、もやしを袋ごとレンジで加熱すると、袋が溶けたり分解したりすることで、有害物質が発生することがあります。有害物質がもやしに混入すると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

ふんわりとラップをかけて加熱

もやしを入れた耐熱皿にふんわりとラップをかけてレンジで加熱する

耐熱容器に入れたら、ふんわりとラップをかけて加熱します。

加熱時間はもやしの量やレンジのワット数によって異なります。様子を見ながら用途やお好みの柔らかさになるまで加熱しましょう。

加熱時間を短めにしてシャキシャキの食感を残せば、サラダやラーメンなどのトッピング、炒め物にしたいときに便利です。食感を残すことでしっかりとした食べごたえがでます。

加熱時間を長めにしてしんなり柔らかくすると、ナムルなどの和え物にしたいときに便利です。しっかりと柔らかくすることで調味料もしっかりと染み込み美味しく食べることができます。

加熱時間の目安

500wのレンジでもやし一袋(200g)を加熱する場合の加熱時間の目安は、2分〜3分です。

シャキシャキとした食感を残したい場合は2分、しんなりと柔らかく仕上げたい場合は3分を目安に加熱すると良いでしょう。

600wのレンジでもやし一袋を加熱する場合の加熱時間の目安は1分40秒〜2分40秒です。

シャキシャキとした食感を残したい場合は1分40秒、しんなりと柔らかく仕上げたい場合は2分40秒を目安に加熱しましょう。

水けをしっかり切る

電子レンジで加熱したもやしの水分をザルにあげて切る

加熱をしたらラップをとりはずし、ザルなどにあけてしっかりと水けをきります。

しっかりと水をきっておかないと、料理全体が水っぽくなったり味が薄くなってしまうので注意しましょう。ただし、スープに入れる場合などは水気をきらずにそのまま使っても大丈夫です。

もやしをレンジで美味しく加熱するポイント

臭いが気になる場合は洗う

もやしをザルに入れて洗う

もやしは、トマトなど土壌で栽培されている野菜とは異なり、水耕栽培されています。そのため、もやしに土壌由来の細菌がついていることはほとんどありません。品質管理が徹底されており、栽培場所や生産工程で衛生管理が行き届いているため、安全に食べることができます。さらに、もやしは出荷前には清潔な水で洗浄されることが一般的です。この洗浄工程によって、もやしの表面についた不純物や異物が除去されているため「水洗い不要」と記載されていることが多いです。

しかし、購入してそのままの包装で冷蔵庫にいれて保存していると、もやしは袋の中で呼吸をしているので袋にもやし特有の青臭さがこもって臭いがきつくなることがあります。この場合は一度水洗いしてから加熱しましょう。青臭さを軽減することができます。

また、水分が出てきて雑菌臭がすることも。腐敗していなければ食べても問題ありませんが、衛生面上洗い流してから加熱したほうが安心ですし、洗うと臭いも軽減されます。ただし、洗っても酸っぱい匂いがするなど異臭がする場合は腐敗している可能性が高いので、この場合は残念ですが破棄しましょう。

ラップはしなくても良い?

もやしは水分量が多い野菜ですので、ラップをせずに加熱しても大丈夫です。しかし、ラップをして加熱することをおすすめします。

ラップをすると、もやしの水分を閉じ込めた状態で加熱されます。これにより、もやしの内部から蒸気が発生し、より均一に加熱することができます。

また、ラップを使用することでもやしの風味や水分が逃げにくくなります。もやしは短時間で加熱するため、風味や水分を保ちながらしっかりと火を通すことが重要です。ラップを使用したほうがもやしの風味や食感そのままにより美味しく仕上げることができます。

加熱後は水にさらす?

加熱後に水にさらして粗熱を取る食材もありますが、もやしの場合は水にさらさなくて大丈夫です。

水にさらしてしまうと、もやしが水っぽくなってしまいます。そのため、水分量が多いもやしは水にさらさずにザルにあげて水気をとりって粗熱をとりましょう。

水にさらすと水溶性の栄養素が流出してしまうデメリットもあるので、栄養面においても水にさらさないのがベストといえます。

もやしの栄養を無駄にしない加熱方法

茹でるが最も栄養が減る

もやしの加熱方法としては、鍋で茹でるが最も栄養が減ります。

上述したようにビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素が溶け出してしまうためです。

例えば、生のもやしは100gあたりビタミンCが5mg含まれていますが、茹でると1mgになってしまいます。カリウムは160mgから50mgまで減ってしまいます。ちなみにブラックマッペもやしはビタミンCは10mg→2mg、カリウムは65mg→12mgに減ります。緑豆もやしはビタミンCは8mg→2mg、カリウムは69mg→24gに減ります。

茹でる場合は、茹で時間を短くしましょう。もし茹でる場合はスープにして、流失したビタミンCも一緒に摂取できるのでおすすめです。

炒めるも◎

もやしをフライパンで炒める

もやしは炒めて食べるのもおすすめです。

炒めた場合は、水分が飛ぶことで100gあたりの栄養素の含有量は増えることがあります。また、脂溶性の栄養素は油を使うことで吸収率が上がります。ビタミンだとビタミンA、E、D、Kが脂溶性です。

炒めものにする場合はフライパンをしっかり熱して高温でさっと炒めるのがポイントです。時間をかけて加熱してしまうと水分がたくさん出てきてしまって栄養素も流出しますし、料理全体が水っぽくなってしまうので注意しましょう。