レシピ通り作った肉じゃがの味がなんとなく物足りないと感じたことはありませんか。この記事では、いつもの肉じゃがをワンランク上の味わいに変えることのできる隠し味を紹介します。
肉じゃがの味付けに使う定番の調味料を解説します。それぞれの役割を知ることで隠し味がどの調味料の代用となるかがわかります。
肉じゃがの味の決め手となる醤油。醤油にも様々な種類がありますが、定番は「濃口醤油」または「淡口醤油」です。濃口ならご飯との相性が良いバランスの取れた味に、淡口なら出汁の旨味を感じやすい、比較的さっぱり目のテイストに仕上がります。濃口と淡口の両方を使うレシピもあります。
よりこってりとした濃厚なテイストに仕上げたければ「再仕込醤油」や「溜(たまり)醤油」がおすすめです。
料理酒は、コクや旨味をプラスし、お肉を柔らかくする効果があります。煮汁に入れるのはもちろん、料理によっては調理前にお肉を漬け込み、臭み消しをする使い方もされます。
ちなみに、一般的に販売されている料理酒は「純米酒」と「調味料理酒」の2種類に分けられます。調味料理酒は塩分や糖類、アミノ酸などを添加されており、料理の味を調え、コクを加えることができます。純米酒は日本酒本来の香りが強いですが、添加物がない分、食材の味を引き立てることができます。添加物や塩分量が気になる方は純米酒を選ぶと良いでしょう。
アルコール分は調理時の加熱で飛んでしまうので、お子様向けの料理に使用しても問題ありません。
肉じゃがの甘辛い味付けに欠かせない砂糖ですが、砂糖の量が味のバランスを左右します。量を少なくすればしょっぱさが強い味付けに、多めに入れれば甘めの味付けになります。
近年では羅漢果(らかんか)などから造られる低カロリーないしゼロカロリーの砂糖もあるので、糖質が気になる方はそちらを使ってみても良いでしょう。
はちみつなどを代用品または隠し味として使うこともあります。
みりんは肉じゃがに甘みとコク・旨味を加える目的で使われます。料理酒と同じ日本酒ベースの調味料で、和食づくりに欠かせない調味料です。煮物では料理に照りを出すためにも使われます。
みりんにはもち米・米麹などを原料とするアルコール度数14度の「本みりん」と、ブドウ糖や水あめなどの糖類や香料で作られるアルコール度数1度未満の「みりん風調味料」があります。
料理酒と同じアルコールの効果による味の染み込みやお肉などの臭い消し、煮くずれを防ぎたい場合には「本みりん」を使うのがおすすめで、加熱を必要としないドレッシングや和え物には、アルコールがほとんど含まれていない「みりん風調味料」を使うのがオススメです。
和風だしはしょっぱさと旨味を加えることができます。和風だしとは基本的に鰹由来のだしのことで、商品によっては昆布だしなどを組み合わせたものもあります。
料理では使いやすい顆粒だしが使われることが多いですが、本格的にだしを取りたい方はパックや鰹節などからだしをとっています。
隠し味ではありませんが、加えることで味をまとめることができ、味付けの決め手として使えるものを紹介します。
めんつゆは醤油に鰹や昆布などのだし、みりんなどの調味料が加えられている万能調味料で、手軽に使うことができ、コクや旨味も加えられることから人気です。
親子丼はめんつゆと砂糖だけで味付けしてもある程度味が決まります。めんつゆの多くは鰹だしベースですが、昆布だしベースのめんつゆもあり、「昆布つゆ」と呼ばれています。
近年人気の白だしは材料はめんつゆと一緒ですが、甘さが控えめで、かつお出汁の風味が強いまろやかな塩味のめんつゆです。色が薄いので料理の色を濃くしすぎることなく、きれいに仕上げることができます。
肉じゃがに使えばあっさりとしたテイストに仕上げることができます。煮汁の色もすっきりと仕上がります。
昆布から取っただしを入れることで、昆布の旨味をプラスできます。鰹だしが入っているめんつゆと合わせればだしのうまみがたっぷりの肉じゃがになります。
昆布からだしを取るのは大変ですが、顆粒の昆布だしや、昆布茶のパックまたは粉末を使えば簡単に昆布の旨味を肉じゃがに取り入れることができます。昆布だしベースのめんつゆを使っても良いでしょう。
肉じゃがの味付けの基本である「醤油、出汁、砂糖、みりん」などがブレンドされているすき焼きのたれを加えることで、味をぐっとまとめることができます。すき焼きのたれだけで味付けをしているレシピもあります。
すき焼きのたれは甘辛い和食の味付けに全般的に使うことができて便利なものの、なかなか使う機会がなく、冷蔵庫にずっとあるという方はたれの消費にもなって一石二鳥です。ただし、濃い目の味付けになっているので少しずつ加えるようにしましょう。
牛骨や鶏ガラ、香味野菜、スパイス、ハーブなどから取っただしの素であるブイヨンやコンソメを入れることで肉じゃがの味を調えることができ、コクや旨味を追加することができます。ただし、洋風な味わいなので、入れすぎると肉じゃがの味のバランスが崩れ、味が濃くなってしまうので注意しましょう。
ちなみに、ブイヨンとコンソメは同じ調味料とみなされがちですが、違う調味料です。ブイヨンは純然たるだしの素といった調味料で、そのまま使ってもだしの味だけしかしませんが、コンソメはブイヨンをベースとしたスープの素で、コンソメだけで整った味のスープが作れます。
ブイヨンはいわゆる隠し味として使われることが多く、コンソメはスープなどの味の根幹、いわゆる「コンソメ味」にするために使われます。
肉じゃが作りに使う定番の隠し味を紹介します。
料理にコクを加える目的でよく使われるバターですが、醤油との相性の良さからもわかるように、肉じゃがとの相性もぴったりです。肉じゃがに加えることでまろやかなコクが生まれ、奥深い味わいにすることができます。
また、バターには具材と一緒に煮込むことでジャガイモを崩れにくくする効果もあります。いつもじゃがいもが崩れてしまうという方はバターを入れて煮込んでみるのもおすすめです。使う量は4人前あたり5gです。
ただし、入れすぎるとこってりとしたしつこさを感じるような味わいになってしまい、脂質やカロリーも増えてしまいます。入れすぎには注意です。
醤油と同じ大豆などから造られる、代表的な和食の調味料である味噌も肉じゃがの隠し味としておすすめです。熟成されることで生まれる味噌ならではの旨味や深いコクが肉じゃがに加わります。
ただし、味噌は沸騰させてしまうと風味が飛んでしまうので、入れた後は加熱しすぎないようにしましょう。バターと組み合わせると相乗効果で深いコクが生まれます。
大きなものを買うとなかなか使い道がなく、寒い時期には固まってしまいがちな蜂蜜ですが、砂糖の代わりや隠し味として肉じゃが作りで使われます。優しい甘みが特徴的で、砂糖よりもマイルドな甘さになり、コク深さもプラスできます。
甘みやコク以外にも、肉や玉ねぎとしっかりなじませることで、煮込む際に味が染みやすくなる効果があります。肉じゃが全体に照りも出ておいしそうな見た目にもなります。
にんにくはうまみ成分であるグルタミン酸を含んでおり、すりおろしたにんにくを肉じゃがに入れることで、旨味をプラスできます。スライスしたにんにくをお肉と炒めてスパイシーな肉じゃがにすることもできます。
栄養も豊富で、にんにくの独特な臭いの元であるアリシンは疲労回復などの効果が期待できます。ただし、にんにくを入れることで辛味を感じるテイストになりやすいので、味見をしながら少しずつ足すようにしましょう。
料理によく使う生姜はチューブの製品もあり、手軽に使うこともできます。肉じゃがが少しすっきりとしたテイストになるほか、体が温まる効果もうれしいポイント。
入れすぎるとピリッとした辛みを感じるような風味となってしまうので、入れすぎに注意です。
肉じゃが作りに使う少し変わり種の隠し味を紹介します。コクや旨味をアップできるものが多いです。
デミグラスソースなどの洋風の料理の味付けによく使うウスターソースは、イギリスのウスター市で生まれたソースです。原料にはトマトや玉ねぎ、ニンジンなどの野菜やリンゴなどのフルーツの搾り汁やピューレに塩、砂糖などを加え、熟成させた液体調味料です。
肉じゃがに加えることで、強めの辛味を中心とした酸味や甘みなどの味わいと、原料の野菜やフルーツ由来の旨味をプラスしてくれます。
中華料理でおなじみのオイスターソースは、牡蠣のうまみがたっぷりと詰まった調味料です。中華料理以外ではなかなか使わず、冷蔵庫のポケットに入れっぱなしという方には消費する機会にもなります。
少し入れるだけで深いコクが出ますが、入れすぎてしまうとどこかぼんやりとした味に仕上がってしまうので、入れすぎには注意しましょう。
野菜やフルーツなどの様々な旨味が凝縮された焼き肉のたれを加えることで、肉じゃがに華やかなコクを加えることができます。
何となく味が決まらないときに少し入れるだけでぐっと味がまとまることもあります。ただし、味の主張が強く、入れすぎてしまうと味のバランスがおかしくなってしまったり、濃くなりすぎたりするので要注意です。
ごま油などを数滴たらして香りづけするだけで、香り豊かになり、食欲増進が期待できます。炒める際にごま油を使って炒めるのもおすすめです。ただし、使う量が多いと風味が変わってしまい、ギトギトとしてしまうので注意しましょう。
ごま油には様々な栄養素が含まれているので、少しプラスすることで老化や生活習慣病の予防などの様々な健康効果が得られます。ただし、カロリーが高く、使いすぎは脂質の摂りすぎにもつながるので注意しましょう。
意外な組み合わせに思えるかもしれませんが、ケチャップも肉じゃがの隠し味として人気があります。ケチャップに含まれるお酢が味をまとめるほか、ケチャップに豊富に含まれるうまみ成分のグルタミン酸が肉じゃがの旨味をアップさせてくれます。
ただし、洋風な風味が肉じゃがの味に大きな影響を与えてしまうため、入れすぎに注意です。また、ケチャップを入れることで少し甘めにの味付けになってしまうので、砂糖を減らす、醤油を足すといった調整が必要になります。
お酢を入れることで肉じゃがの味をまとめ、バランス良く整えることができます。特に甘さとの相性が良く、肉じゃがの甘さを引き立てる役割を果たします。また、肉じゃがのしっとりとした食感を引き締める効果も。
使うお酢の種類は、一般的な米酢はもちろん、黒酢でも大丈夫です。ただし、入れすぎると味のバランスがおかしくなってしまうので注意しましょう。
肉じゃがを美味しく上手に作るコツを解説します。
肉じゃがは具材の切り方で火の通りや味の染み込む時間が変わります。じゃがいもの大きさがバラバラだと火の通りに差が生じ、場合によっては煮崩れてしてしまいます。
じゃがいもは大きさにもよりますが、6等分程度のサイズで乱切りにするのがおすすめです。にんじんはじゃがいもより味が染み込みにくいので、小さめに切りましょう。
玉ねぎはしゃきしゃきした食感を好む方は繊維に沿って大きめのくし切りに、柔らかくクタッと味のしみた玉ねぎが好みな方は繊維通りにまっすぐ包丁を入れて切りましょう。
一般的に煮物やカレーなどの煮込み料理には崩れにくい「メークイン」という品種が使われます。メークインは俵(たわら)のような楕円形が特徴的な見た目で、イギリスが原産の品種です。滑らかな口当たりが楽しめます。
一方、アメリカ原産で現在日本での生産量1位の「男爵イモ」は、調味料の味が染み込みやすく、火を通すことでほっくりとした食感になります。ほくほくとしたじゃがいもが好みという方は男爵イモがおすすめです。ただし、メークインよりも煮崩れしやすいので煮込む際は要注意です。
じゃがいもは角を削る「面取り」をすると煮込んでいる際に崩れにくくなります。崩れるのが気になる方は面取りをしっかり行いましょう。
じゃがいもを水にさらすことで、煮崩れを防ぐことができます。カットしたら5~10分程度水にさらしておきましょう。
じゃがいもの煮崩れは、煮込むことでジャガイモに含まれるデンプン(炭水化物の一種)とペクチン(食物繊維の一種)の2つの成分が変化してしまうことが主な理由です(たんぱく質も影響しているといわれています)。
じゃがいもを水にさらすと、ペクチンが水中の無機イオンと結合して不溶化し、細胞内のデンプンの吸水を防ぎ、煮崩れしにくくなります。カレーや煮物などにじゃがいもを使う場合は、この性質を利用することでも形をキープしたまま調理することが可能になります。
また、じゃがいもを水にさらすことで煮崩れの原因になるデンプンそのものを少しばかり取り除くこともできます。デンプン自体は水には溶けませんが、水にさらすことで水の中に沈みます。デンプンは水に沈殿することから「殿粉(デンプン)」という名称がつきました。デンプンを取り除くことでジャガイモ同士がくっつきにくくもなります。
材料の量にあった大きさの鍋やフライパンを使いましょう。大きすぎるとレシピ通りの煮汁の分量では具材がしっかり煮汁に漬からないために味がちゃんと染み込みません。また、煮汁の蒸発が早く、具材が煮えないうちに煮汁が無くなってしまい、味が濃くなってしまうほか、場合によっては焦げ付いてしまいます。
一方、小さすぎても煮汁が入りきらずに具材がしっかり煮汁に漬からないこともあるほか、火の通りや味の染み込み具合にムラが生じてしまいます。また、具材が重なってしまうので、重なった具材の重みで形が崩れてしまうこともあります。
肉じゃがは中深鍋がおすすめで、具材の量は鍋の深さの1/2程度を目安にしましょう。
肉じゃがの具材のうち、お肉やにんじん、じゃがいもを炒めることで旨味が引き出され、食欲をそそる香ばしい風味が広がります。また、焼き色をつけることで見た目も美しく仕上がり、表面が固くなり、油でコーティングされるので煮込んだ際に崩れにくくもなります。
ただし、牛肉は火が通りやすく、加熱しすぎで固くなってしまうので、煮込む際に入れるのも良いでしょう。
煮物の定番の落し蓋ですが、落し蓋は煮物において重要な役割を果たし、その中の1つに程よく煮汁を蒸発させ、水分の抜けすぎを防ぐ役割があります。また、煮汁の減少を防ぐ以外にも様々なメリットがあるので、肉じゃがを作る際は必ず落し蓋をしましょう。落し蓋を持っていない場合はアルミホイルやキッチンペーパーでも代用可能です。
落し蓋を使用することで煮汁が落し蓋に当たり、絶えず下へと循環するため、味が均一に広がります。また、鍋全体の温度が均一になるため、加熱ムラを防ぐ効果もあります。また、上から落し蓋で具材を軽く抑えることで、中で素材が大きく動かなくなり、煮崩れしにくくなります。
落し蓋は完全に密封するわけではないため、魚や肉などの生臭さがこもることなく、臭いが逃げやすくもなります。煮魚や角煮などでも落し蓋を使うのがおすすめです。
鍋の大きさに合わせてサイズを自由に調整できます。
肉じゃがはじっくり煮込んで作るイメージがありますが、煮込みすぎるとお肉のたんぱく質が縮んで固くなってしまい、じゃがいもも煮崩れを起こし、玉ねぎも溶けてなくなってしまいます。
煮込む時間は弱火で20~30分程度が基本です。具材のサイズや量、調鍋やフライパンの素材などによって必要な煮込み時間は前後するので、肉じゃがを煮込んでいる際は時々鍋の状態を確認するようにしましょう。
強火で短い時間(5分程度)加熱する方法もあります。ただし、この方法は煮詰まりすぎや焦げ付く失敗を招く可能性があります。鍋やフライパンのコーティングの劣化を早めることにもなるので、あまりおすすめできません。
煮物は煮込むことで具材が柔らかくなり、味が染み込んで美味しく仕上がりますが、ちょうどよい柔らかさになる時間と、しっかり味が染み込むまでの時間には差があり、具材が柔らかくなった段階ではまだ具材に味が染み込んでいません。しかし、肉じゃがは煮込みすぎるとお肉が固くなり、煮崩れも起きてしまい、美味しくなくなってしまいます。
そこで、程よく煮込んだ後に火を止めて放置しておくことで、余熱である程度の温度をキープすることができ、具材に味が染み込んでいくようになります。これが「煮物は冷めていく時に味が染みこむ」と言われる所以です。また、冷めていく間に味が落ち着くという効果もあります。味付けが終わったら火を止めて1~2時間放置しておくのがおすすめです。
ちなみに、冷ます理由として、浸透圧によって味が染み込むという説もあります。食材を加熱することで食材の中の細胞が膨張し、水分が外へ出ていってしまいますが、冷ますことで具材の中と煮汁の濃度を同じにしようと煮汁が食材に入っていくことにより、味が染み込むという説です。
どちらの説が正しいかは決着がついていませんが、火を止めておくことが味の染み込みにつながることは間違いないようです。
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