白玉粉と葛粉の違いをご存知でしょうか。本記事では白玉粉と葛粉の違いを詳しく解説します。
白玉粉の原料はもち米です。米粉に分類されます。
もち米とは白く不透明で、お餅やお赤飯にする粘性のあるお米のことです。もち米と対になるのは「うるち米」です。うるち米は、一般的に食べられている半透明のお米のことです。有名な品種には「あきたこまち」や「コシヒカリ」などがあります。
白玉粉と同じ米粉に分類される粉には、上新粉やだんご粉などがあります。
葛粉の原料はマメ科植物クズの根から得られるでんぷんです。でんぷん粉に分類されます。
クズのでんぷんも掘り出すのに手間がかかり高価であるため、近年は甘藷澱粉や馬鈴薯澱粉、コーンスターチなどが加えられていることが多いです。甘藷澱粉や馬鈴薯澱粉、コーンスターチのどれもでんぷん粉です。
クズのでんぷん粉に甘藷澱粉などを合わせたものが「葛粉」、クズのでんぷんのみを使用したものが「本葛粉(本葛)」という製品名で販売されています。
甘藷澱粉とは、さつま芋のでんぷんを沈殿させ乾燥させて粉状にしたたものです。「甘藷」はさつま芋の別名です。普段口にしているさつま芋よりも一回り大きく、でんぶんを多く含んでいるさつま芋を原料にしています。
馬鈴薯澱粉とは、じゃが芋のでんぷんを沈殿させ乾燥さて粉状にしたものです。「馬鈴薯」はじゃが芋の別名です。じゃが芋の形が馬の首につける鈴に似ていたため「馬鈴薯」と呼ばれるようになったといわれています。国内で作られる馬鈴薯でん粉は、北海道で生産されたじゃが芋のみを原料として製造されています。
コーンスターチは、トウモロコシのんぷんを乾燥させて粉状にしたものです。コーンスターチに使われるトウモロコシは、一般的によく食されるスイートコーン(甘味種)ではなく、デントコーン(馬歯種)という品種です。
白玉粉は、まずもち米を水洗いして12時間程度水に浸して吸水させます。吸水させたら原料に対して1〜2倍の水を加えながら石臼で水びきします。この時に出る乳液をふるいにかけて粗粒を分離して、再び粗粒を水びきしたら、沈殿したもの(でんぷん)を圧搾機で脱水し、脱水したものを賽の目切りにして乾燥させるという製造方法で作られています。
白玉粉は米粉の一種ではありますが、でんぷんを取り出して乾燥させるという点では、でんぷん粉に近いといえます。
葛粉は、クズの根っこの部分を掘り起こし、粉砕して水の中でもみだし根の中に含まれているでんぷんを沈殿させます。その後、水に晒してアク抜きし沈殿させる工程を何度も繰り返しで不純物を取り除き、適当な大きさに砕いて乾燥させるという製造方法で作られています。
上述したように甘藷澱粉など葛粉以外のでんぷん粉を合わせて作られることも多く、配合量はメーカーによって異なります。
白玉粉の原料はもち米なので、色は真っ白です。
白玉粉も細かいかたまりがたくさんあり、ザクザクとしています。サラサラとした粉状になっていないのは、製造の過程で一度賽の目に切ってから乾燥させているからだと考えられ、品質が悪いからではありません。白玉粉の細かいかたまりは、触れるとすぐに崩れます。
葛粉の見た目は、灰色がかった白色です。もともとクズからとれるでんぷんは灰色をしていて、葛粉の割合が多ければ多いほど灰色に近くなります。反対に、葛粉よりも甘藷澱粉などの割合が多いと白色になります。
葛粉も固まりができていて、ザクザクした触感です。白玉粉と見た目と非常に良く似ていますが、微妙に灰色がかっているのでよく見ると違いがわかります。
白玉粉100gに含まれる成分は、下記の通りです。
炭水化物…80~90g
食物繊維…0.5g
たんぱく質…7g
脂質…1.2g
ビタミンB…0.03㎎
ビタミンB2…0.01mg
ナイアシン…0.4㎎
葉酸…14㎍
カルシウム…5㎎
リン…45㎎
鉄分…1.1㎎
マグネシウム…6mg
カリウム…3㎎
白玉粉のカロリーは、100gあたり347kcalです。また、白玉粉の原料はもち米であるため、もち米と同じくたたんぱく質やビタミンなども含まれます。
葛粉100gに含まれる成分は、下記の通りです。
たんぱく質…0.2g
脂質…0.2g
炭水化物…85.6g
ナトリウム…2mg
カリウム…2mg
カルシウム…18mg
マグネシウム…3mg
リン …12mg
鉄…2.0mg
亜鉛…微量
銅…0.02mg
マンガン…0.02mg
葛粉100gのカロリーは、347kcalです。カロリーは白玉粉と大きな差はありません。
葛粉には、白玉粉にはない様々な効能があります。例えば、クズにはイソフラボンが多く含まれています。イソフラボンとは大豆胚芽に多く含まれるポリフェノールの一種です。イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをするため、更年期や月経前のつらい症状を和らげたり 肌荒れを改善するなどの美容効果や肩こり改善、イライラを抑えるなど精神を安定させるなどの効果が期待できます。
ただし、葛粉には葛粉以外のてんぷん粉も配合されているので、葛の効能を目的とするのであれば葛粉の配合量が多いものや本葛粉を選びましょう。
白玉粉の原料であるもち米のでんぷんは、粘り気を出す働きのあるアミロペクチンできているので、白玉粉にも強い粘り気を出すという特徴があります。また、粒子が細かいためやわらかくなめらかな食感を出すことができる他、冷めても固くならないという特徴があり、白玉団子や大福などの和菓子に使われることが多いです。
和菓子作りだけではなく、料理に白玉粉を使うこともできます。例えば、白玉粉の原料はもち米なので、白玉粉を入れてご飯を炊くことでもちもちとした食感が出て、もち米がなくてもおこわ風の炊き込みご飯を作ることができます。
そのほか、料理にとろみをつけたり、揚げ物の衣として使うことも可能です。
葛粉は、葛湯を作るときに使われる事が多いです。
葛湯は、葛粉をお湯で溶いた飲み物です。葛粉を葛湯にすることで、身体を温めることができる他、風邪のひきはじめの症状改善など様々な効果が期待できます。
また、葛餅や水まんじゅう、葛切り、葛焼きなどの和菓子を作ることができます。
葛餅は、くず粉に砂糖と水を加え、加熱してできた透明な餅にきな粉と黒蜜をかけたものです。葛餅に餡(あん)を包むと透明で涼しげな水まんじゅうができます。
葛切りは、くず粉を水で溶かし型に入れてから加熱し後板状に固め、うどんのように細長く切ったものです。蜜をかけてデザートとして食べたり、乾燥させて鍋の具材として食べることができます。
葛焼きは、葛粉と餡(あん)を合わせて練った生地の表面を焼いて仕上げる京都の銘菓です。
その他、白玉粉と同様に料理にとろみをつけたり、揚げ物の衣にすることもできます。
白玉粉と葛粉はお互いに代用できる場合とできない場合があります。
例えば、料理にとろみをつけたり揚げ物の衣に使う場合はお互いに代用可能です。ただし、原料が異なるため全く同じように仕上がるわけではありません。例えば、とろみ付けに使う場合に白玉粉を葛粉で代用すると、白玉粉よりもしっかりとしたとろみがつきます。また、葛の独特の風味がつくので料理の味を損ねる場合がああります。揚げ物の衣に使う場合も葛粉では白玉粉のようなもちっとした食感に仕上げることはできません。
それぞれの特徴を理解し、代用する場合は分量などを上手く調節することが大切です。
一方で和菓子を作るときには代用できないことがあります。例えば、葛粉では白玉粉のように団子を作ることは難しいです。葛粉はでんぷん粉なので、もちっとした食感を出すことはできません。
葛粉といえば葛湯ですが、白玉粉で葛湯を作ることはできません。なぜなら、白玉粉には薬効がないためです。
白玉粉をお湯で溶いて、葛湯のような飲み物を作ることは可能です。しかし、風邪を引いているときなど薬効目的で飲む場合は白玉粉では意味がないので注意しましょう。
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