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寒天と葛粉の違い。原料・製法・使い方を比較

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寒天と葛粉の違い。原料・製法・使い方を比較

寒天と葛粉の違いをご存知でしょうか。本記事では寒天と葛粉の違いを解説します。

寒天と葛粉の違い

寒天と葛粉は全くの別物です。

寒天は、マクサなどのテングサ類の海藻を原料に作られる食品です。テングサに分類される海藻を水で煮た汁を冷やし固めたものを「つき」と呼ばれる押し出し型に入れて突き、細長い形状にすると「ところてん」になります。ところてんを凍結と融解を繰り返し、脱水・乾燥させて様々な形状にしたものが寒天です。

葛粉はマメ科植物クズの根から得られるでんぷんを原料に作るでんぷん粉の一種です。水を加えて加熱すると粘度が出て、冷やすと固まる性質があります。その性質を活かし、水まんじゅうなどの和菓子作りや料理のとろみ付けなどに使われます。

葛粉を使って作る食材に「葛切り」があります。葛切りは、葛粉を水で溶かし型に入れてから加熱した後板状に固めうどんのように細長く切ったもので、蜜をかけて食べる甘味として食べられることが多いです。葛切りと、寒天の元になるところてんは非常によく似ているため混合されることが多いですが、原料が異なります。

寒天とは

粉寒天

原料

寒天の原料は、テングサやオゴノリです。

「テングサ」は、テングサ科に分類されるマクサやオバクサなどの寒天の原料となる海藻の総称です。「オゴノリ」は、オゴノリやオオオゴノリなどの海藻です。

製造方法

寒天は、原料となるテングサやオゴノリなどの海藻を洗浄した後に水を加えて加熱します。加熱後、煮汁を濾過し、寒天液を海藻カスに分類した後、寒天液を冷却し、固めます。この状態が「ところてん」です。

その後、凍結と融解を繰り返し、脱水・乾燥させて様々な形状の寒天に加工されます。

寒天の種類

寒天には原料や形状によって様々な種類があります。主な寒天の種類は下記の通りです。

角寒天

角寒天は、羊羹のような直方体をしている寒天です。棒寒天ともいわれ、主に信州で作られています。

角寒天はテングサとオゴノリを混ぜて作られている事が多く、寒い季節に戸外でところてんを凍結・乾燥させて作る天然寒天です。

角寒天は一般的に煮溶かして使うことが多いですが、水に浸してちぎり、サラダやスイーツを作るときに使われることも多いです。

糸寒天

糸寒天は、紐状になっている寒天です。

糸寒天はテングサを主原料に作られていて、角寒天と同様に戸外で凍結・乾燥させてつくる天然寒天です。糸寒天は古くから、和菓子の材料として使われてきました。

糸寒天も角寒天と同様に、煮溶かして使ったり水にひたして柔らかくしたものをサラダに加えて食べることもできます。

粉寒天

粉寒天は、粉末状になっている寒天です。

オゴノリを原料に作られていることが多く、棒寒天や糸状寒天とは異なり工場で作られる工場寒天です。

粉状なので、角寒天や糸寒天のように水で戻す必要がなくそのまま使えるので便利です。粉寒天は、ゼリーなどスイーツを作るときに使われることが多いです。

葛粉とは

葛粉

原料

葛粉の原料は、マメ科植物クズの根から得られるでんぷんです。でんぷん粉の一種に分類されます。

クズのでんぷんも掘り出すのに手間がかかり高価であるため、近年は甘藷澱粉や馬鈴薯澱粉、コーンスターチなどが加えられていることが多いです。

クズのでんぷん粉に甘藷澱粉などを合わせたものが「葛粉」、クズのでんぷんのみを使用したものが「本葛粉(本葛)」という製品名で販売されています。

甘藷澱粉とは、さつま芋のでんぷんを沈殿させ乾燥させて粉状にしたたものです。「甘藷」はさつま芋の別名です。普段口にしているさつま芋よりも一回り大きく、でんぷんを多く含んでいるさつま芋を原料にしています。 


馬鈴薯澱粉とは、じゃが芋のでんぷんを沈殿させ乾燥さて粉状にしたものです。「馬鈴薯」はじゃが芋の別名です。じゃが芋の形が馬の首につける鈴に似ていたため「馬鈴薯」と呼ばれるようになったといわれています。国内で作られる馬鈴薯でん粉は、北海道で生産されたじゃが芋のみを原料として製造されています。


コーンスターチは、トウモロコシのでんぷんを乾燥させて粉状にしたものです。コーンスターチに使われるトウモロコシは、一般的によく食されるスイートコーン(甘味種)ではなく、デントコーン(馬歯種)という品種です。

製造方法

葛粉は、クズの根っこの部分を掘り起こし、粉砕して水の中でもみだし根の中に含まれているでんぷんを沈殿させます。その後、水に晒してアク抜きし沈殿させる工程を何度も繰り返して不純物を取り除き、適当な大きさに砕いて乾燥させるという製造方法で作られています。

上述したように甘藷澱粉など葛粉以外のでんぷん粉を合わせて作られることも多く、配合量はメーカーによって異なります。

見た目・触感

葛粉の見た目は、灰色がかった白色です。もともとクズからとれるでんぷんは灰色をしていて、葛粉の割合が多ければ多いほど灰色に近くなります。反対に、葛粉よりも甘藷澱粉などの割合が多いと白色になります。

葛粉も固まりができています。ザクザクとしていて、片栗粉などのでんぷん粉とは異なる触感です。

葛粉の用途

葛粉は、葛湯を作るときに使われる事が多いです。

葛湯は、葛粉をお湯で溶いた飲み物です。葛粉を葛湯にすることで、身体を温めることができる他、風邪のひきはじめの症状改善など様々な効果が期待できます。

また、葛餅や水まんじゅう、葛焼きなどの和菓子を作ることができます。

葛餅は、葛粉に砂糖と水を加え、加熱してできた透明な餅にきな粉と黒蜜をかけたものです。葛餅に餡(あん)を包むと透明で涼しげな水まんじゅうができます。

葛焼きは、葛粉と餡(あん)を合わせて練った生地の表面を焼いて仕上げる京都の銘菓です。

その他、白玉粉と同様に料理にとろみをつけたり、揚げ物の衣にすることもできます。